本文へスキップ

転職活動ガイド

身体障害とは?種類ごとの特徴と具体例・人数・職場で受けられる配慮を解説

身体障害とは、視覚・聴覚・手足・内臓など、身体の機能に障害がある状態を指します。手足の障害のように外から分かりやすいものだけでなく、内臓の障害のように外見では分かりにくいものもあります。

このうち、身体障害者手帳の対象になるのは、国が定めた種類の障害が一定以上の程度で永続している人です。基準に当てはまれば身体障害者手帳を取得でき、障害に合わせた補装具などの支援を受けられるほか、障害者雇用枠での就職も目指せます。

この記事では、身体障害の種類ごとの特徴と、生活や仕事で支障が出やすい場面、種類別の人数、職場で受けられる配慮の例を解説します。

身体障害とは、身体の機能に一定以上の障害が永続している状態

身体障害のうち、国が定めた種類の障害が一定以上の程度で永続している場合は、身体障害者手帳の対象になります。手帳の対象になるかどうかは、障害の種類と程度によって判断されます。

ここでいう永続とは、将来にわたって回復する可能性が極めて少ないことを指します。そのため、障害の程度が一生変わらないものに限られるわけではありません。

なお、障害者手帳には、身体障害者手帳のほかに、知的障害のある人が対象の療育手帳と、精神障害のある人が対象の精神障害者保健福祉手帳があります。

3種類の障害者手帳の等級の区分の違いについては、こちらの記事「障害者手帳の等級はどうやって決まる?誰が・何を見て決めるのかを種類別に解説」で詳しく解説しています。

出典:厚生労働省「身体障害者手帳制度の概要」・厚生労働省「身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について」・厚生労働省「障害者手帳について」

身体障害者手帳の対象になるかは、病名ではなく障害の程度で決まる

身体障害者手帳の対象になるかどうかは、病名ではなく、病気やけがの結果として残った障害の程度や、日常生活の動作への支障で判断されます。

そのため、同じ病名でも、手帳の対象になる人とならない人がいます。

また、障害の原因となる病気を発病して間もない時期や、障害が永続しないと考えられる場合は、認定の対象にならないことがあります。

自分の障害が対象になるか分からない場合は、手帳の診断書を作成できる指定医や、住んでいる市区町村の障害福祉の窓口に相談しましょう。

身体障害者手帳の審査基準や取得手順については、こちらの記事「身体障害者手帳の審査は厳しい?審査基準や取得手順を解説」で詳しく解説しています。

出典:東京都心身障害者福祉センター「身体障害者手帳について」

身体障害の種類と、それぞれの特徴

身体障害者手帳の交付対象となる障害は、厚生労働省の資料では次の9種類に分けて示されています。

  • 視覚障害
  • 聴覚または平衡機能の障害
  • 音声機能、言語機能またはそしゃく機能の障害
  • 肢体不自由
  • 心臓、じん臓または呼吸器の機能の障害
  • ぼうこうまたは直腸の機能の障害
  • 小腸の機能の障害
  • ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害
  • 肝臓の機能の障害

このうち、心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこうまたは直腸、小腸、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫、肝臓の機能の障害は、まとめて内部障害と呼ばれます。

障害の程度は1級から7級までの等級で区分され、手帳が交付されるのは6級までです。障害の種類によって、定められている等級の範囲は異なります。

7級は肢体不自由だけに定められており、7級の障害が1つだけでは手帳は交付されません。原則として、7級の障害が2つ以上重なる場合や、7級と6級以上の障害が重なる場合は手帳の交付対象になります。なお、同じ上肢・下肢内で障害が重なる場合など、単純に合算しないケースもあります。

障害の種類ごとの等級の具体例については、こちらの記事「障害者手帳の等級はどうやって決まる?誰が・何を見て決めるのかを種類別に解説」で、7級の障害が重なる場合については、こちらの記事「障害者手帳7級のメリットはある?重複で6級になる条件と具体例を解説」で詳しく解説しています。

出典:厚生労働省「身体障害者手帳制度の概要」・厚生労働省「合理的配慮指針事例集[第六版]」・港区「身体障害者障害程度等級表」

視覚障害

視覚障害は、視力や視野に障害がある状態で、まったく見えない全盲のほか、見えにくい弱視や、見える範囲が狭くなる視野狭窄などがあります。視力は、眼鏡などで矯正したあとの視力で判定されます。

弱視の場合は、物の輪郭がぼやけて形を見分けにくい、色が似ている物を見分けにくいといった支障があり、視野狭窄の場合は、書類のページ全体の配置をつかみにくくなります。ただし、弱視の人は、拡大読書器やルーペなどの補助具を使って文字を読み書きできる場合があります。

視力障害で手帳を取得するメリットについては、こちらの記事「視力障害で障害者手帳を取得するデメリットはほぼゼロ!メリット・等級・申請手順を解説」で、弱視や緑内障の場合については、こちらの記事「弱視・緑内障で障害者手帳を取得するための条件・申請手順・メリットを解説」で詳しく解説しています。

出典:厚生労働省「合理的配慮指針事例集[第六版]」・港区「身体障害者障害程度等級表」

聴覚障害・平衡機能障害

聴覚障害は、音が聞こえにくい、または聞こえない状態です。小さな音が聞こえないだけの人から、まったく聞こえない人までさまざまで、手話などで意思疎通をする人もいれば、補聴器などを使って音声で意思疎通をする人もいます。

聴覚障害がある人は、火災報知器や緊急放送など、音による知らせに気づけないことがあります。また、聞こえなくなった年齢などによって話す言葉の明瞭さにも個人差があり、電話の応対が難しい人もいます。

平衡機能障害は、体のバランスを保つ機能に障害がある状態で、歩いているときに大きくよろめいたり転んだりして、歩き続けられなくなることがあります。判定の検査では、目を閉じてまっすぐ歩いたときに10メートル以内でこうした状態になるかを確かめ、障害が重い場合は目を開けていても同じ状態になります。

平衡機能障害のある人に向いている仕事については、こちらの記事「平衡機能障害の人に向いてる仕事・実際のおすすめ求人3選」で詳しく解説しています。

出典:厚生労働省「合理的配慮指針事例集[第六版]」・厚生労働省「身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について」

音声機能・言語機能・そしゃく機能の障害

声を出す、言葉で意思を伝える、食べ物をかんで飲み込むといった機能に障害がある状態です。音声や言語の障害では、声や話し言葉だけで意思を伝えることが難しくなります。また、そしゃく機能の障害には、食べ物を飲み込む機能の障害も含まれます。

原因には、のどの障害や、発音に使う器官の障害、脳などの中枢の病気があります。仕事では、電話の応対など、声で話すことが前提の業務が難しくなる場合があります。

出典:厚生労働省「身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について」・厚生労働省「合理的配慮指針事例集[第六版]」

肢体不自由

肢体不自由は、腕や手指などの上肢の障害、股関節や膝などの下肢の障害、座る・立つといった姿勢を保つことが難しい体幹の障害、脳性まひなどの脳の病変による運動機能の障害の総称です。

仕事では、手の届く範囲が限られる、作業の姿勢を調節しにくいといった支障が出やすくなります。さらに、障害の原因によっては、体温を調節する機能が低下していたり、熱さや痛みを感じにくかったりすることもあります。

上肢の障害がある人の仕事については、こちらの記事「手が不自由でもできる仕事は?上肢障害者におすすめの求人」で、下肢の障害がある人の仕事については、こちらの記事「足が悪くてもできる仕事・下肢障害者おすすめの求人を紹介」で詳しく解説しています。

出典:厚生労働省「合理的配慮指針事例集[第六版]」

内部障害

内部障害は、心臓やじん臓などの内臓の機能に障害がある状態です。共通する特徴として体力や運動能力が低下していることがあり、定期的な通院が必要な人もいます。そのため、重い物の取り扱いや長時間の立ち仕事など、体に負担のかかる作業が難しい場合があります。

さらに、内部障害は外見から障害が分かりにくいため、優先席の利用など、援助や配慮が必要なことが周囲に伝わりにくい場面があります。そこで東京都は、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている人が、そのことを周囲に知らせるためのヘルプマークを配布しています。対象には、内部障害や難病のある人も含まれます。

出典:厚生労働省「合理的配慮指針事例集[第六版]」・東京都福祉局「ヘルプマーク」

心臓機能障害

心臓の機能の障害によって、日常生活の活動が制限される状態です。一定以上の活動をすると、心不全症状や狭心症症状が起こる場合などが対象になります。ペースメーカを植え込んだ人も、日常生活の活動の制限の程度に応じて認定されます。

動き回る仕事は、心臓に負担がかかりやすくなります。また、ペースメーカを植え込んでいる人は、携帯電話を操作する際に植込み部位から15cm程度以上離す、高エネルギーの電磁波を発生する機器に注意する、植込み部位に強い衝撃を受けないようにするといった注意が必要な場合があります。

心臓疾患の認定基準については、こちらの記事「心臓疾患の障害者手帳は1級・3級・4級のみ!認定基準と障害年金の金額も解説」で、ペースメーカを植え込んだ場合については、こちらの記事「ペースメーカー植え込みでの障害者手帳の認定基準・金銭面の支援を等級別に紹介!」で詳しく解説しています。

出典:厚生労働省「身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について」・厚生労働省「合理的配慮指針事例集[第六版]」・医薬品医療機器総合機構「ペースメーカ、ICDをご使用のみなさまへ」

じん臓機能障害

じん臓の機能の障害によって、日常生活の活動が制限される状態です。じん臓の働きを示す血液などの検査の数値と、日常生活の活動の制限の程度で判定されます。なお、人工透析を受けている人は、透析によって検査の数値が改善していても、透析を始める前の状態で判定されます。

人工透析を受けている人は、定期的に通院して透析を受けるための時間が必要になります。職場の配慮例として、じん臓移植を受けた人の感染症リスクに配慮し、トイレ清掃などを担当から外した事例があります。

腎臓病のある人に向いている仕事については、こちらの記事「IgA腎症の人に向いてる仕事とは?腎臓病の人におすすめの求人を紹介」で詳しく解説しています。

出典:厚生労働省「身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について」・厚生労働省「合理的配慮指針事例集[第六版]」

呼吸器機能障害

呼吸器の機能の障害によって、日常生活の活動が制限される状態です。息を吐く力を調べる検査の数値や、血液中の酸素の量、医師の所見で判定されます。

障害の程度によっては、呼吸困難によって体を動かす活動が制限されます。1級の認定基準には、呼吸困難が強く、歩行がほとんどできない状態も含まれます。

喘息のある人に向いている仕事については、こちらの記事「喘息の人に向いてる仕事・おすすめの求人3選」で詳しく解説しています。

出典:厚生労働省「身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について」

ぼうこう・直腸機能障害

ぼうこうや直腸の機能の障害によって、排尿や排便に支障がある状態です。便や尿を体の外に出すために腹部に造る出口(ストマ)を持つ人や、排尿・排便の機能に高度の障害がある人が対象になります。

ストマを永久的に造った場合は、造った直後から認定を受けられます。ストマを持つ人にとっては、装具の交換などに備えて、近くにトイレがあることや、ストマの処理ができるオストメイト対応のトイレがあることが大切です。

潰瘍性大腸炎で手帳を取得する場合については、こちらの記事「潰瘍性大腸炎で障害者手帳を取得するための条件・等級表・申請手順を解説」で詳しく解説しています。

出典:厚生労働省「身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について」・厚生労働省「合理的配慮指針事例集[第六版]」

小腸機能障害

小腸の大量切除や、クローン病などの小腸の病気によって、小腸の機能が永続的に低下し、通常の食事だけでは栄養を保てない状態です。そのため、静脈に点滴で栄養を入れる中心静脈栄養法などで、栄養を補う必要があります。

職場の事例には、クローン病のある人の急な体調の悪化に備えて、外出の際に移動の途中でトイレに立ち寄れるよう、移動時間を長めに見込んだものがあります。

クローン病のある人に向いている仕事については、こちらの記事「クローン病の人に向いてる仕事・おすすめの求人を紹介」で詳しく解説しています。

出典:厚生労働省「身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について」・厚生労働省「合理的配慮指針事例集[第六版]」

ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染し、免疫の機能の障害によって日常生活が制限される状態です。免疫の状態を示す検査の数値や、症状の有無などで判定されます。

判定で確認される症状には、横になって休む必要があるほどの強いだるさ、体重の減少、発熱、下痢、ほかの感染症の発症などがあります。あわせて、生ものの食品を控えるといった日常生活上の制限や、軽作業を超える作業を避ける必要があるかどうかも確認されます。

出典:厚生労働省「身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について」

肝臓機能障害

肝臓の機能の障害によって、日常生活の活動が制限される状態です。肝臓の状態を点数で評価する検査の結果と、強いだるさや吐き気などの症状で判定されます。

全身のだるさが出ることがあるため、重労働や残業を控える場合があります。一方で、肝臓機能障害は自覚症状が現れにくいこともあり、無理をして状態を悪化させることがあるため、本人の自己管理だけでなく、周囲の理解も大切になります。

肝臓の病気で手帳を取得した場合の等級については、こちらの記事「肝硬変で障害者手帳を取得すると何級?等級の基準や手帳の取得手順を解説」で詳しく解説しています。

出典:厚生労働省「身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について」・厚生労働省「合理的配慮指針事例集[第六版]」

身体障害者手帳を持つ人は約467.5万人で、肢体不自由が最も多い

厚生労働省の令和6年度福祉行政報告例によると、2024年度末現在の身体障害者手帳交付台帳登載数は4,674,999人です。障害の種類別では次のとおりです。

  • 肢体不自由…2,247,815人(48.1%)
  • 内部障害…1,618,720人(34.6%)
  • 聴覚・平衡機能障害…439,036人(9.4%)
  • 視覚障害…312,992人(6.7%)
  • 音声・言語・そしゃく機能障害…56,436人(1.2%)

肢体不自由が約半数で最も多く、次いで内部障害が34.6%を占めています。ここで示した人数は、在宅者だけを対象にした推計ではなく、全国の身体障害者手帳交付台帳に登録されている人数です。

年齢別では、令和4年の在宅調査で、身体障害者手帳を持つ人のうち65歳以上が約296.2万人で、全体の71.2%を占めています。18歳から64歳までは約98.5万人(23.7%)です。身体障害者手帳を持つ人は、高齢者の割合が高いことがわかります。

出典:厚生労働省「令和6年度福祉行政報告例 統計表1 身体障害者手帳交付台帳登載数」・厚生労働省「令和4年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)結果の概要」

身体障害者手帳で受けられる支援

身体障害者手帳を持っていると、障害の種類に合わせた用具の支給などの支援を利用できます。さらに、等級に応じて、税金の控除や交通機関の運賃割引などを受けられる場合もあります。ただし、支援の内容は自治体によって異なるため、住んでいる市区町村の障害福祉の窓口で確認しましょう。

税金の控除額や運賃割引の区分が等級によってどう変わるかについては、こちらの記事「障害者手帳の等級はどうやって決まる?誰が・何を見て決めるのかを種類別に解説」で詳しく解説しています。

出典:国税庁「No.1160 障害者控除」・港区「JR運賃、私鉄運賃」

障害の種類に合わせた補装具・日常生活用具の支給

補装具費支給制度では、身体の機能を補う用具の購入や修理にかかる費用が支給されます。自己負担は原則1割で、月の上限は市町村民税の課税世帯が37,200円、非課税世帯が0円です。18歳以上の障害者は、本人または配偶者のうち市町村民税所得割額が最も高い人の納税額が46万円以上の場合、補装具費の支給対象外になります。一方、障害児は2024年4月から所得制限が撤廃されています。

補装具の種目には、義肢、装具、車椅子、電動車椅子、歩行器、視覚障害者安全つえ、義眼、視覚障害に対応する眼鏡、補聴器などがあります。申請は市区町村で行い、専門機関の判定や意見にもとづいて支給が決まります。

このほか、市区町村の日常生活用具給付等事業では、聴覚障害者用屋内信号装置、盲人用体温計、点字器、人工喉頭、ストマに取り付けて便や尿を受けるストーマ装具など、日常生活を送りやすくする用具が給付または貸与されます。自己負担の額は、市区町村が決めます。

出典:厚生労働省「補装具費支給制度の概要」・厚生労働省「日常生活用具給付等事業の概要」

障害者雇用枠での就職

企業には従業員の一定割合以上の障害者を雇う義務があり、民間企業の法定雇用率は令和8年7月から2.7%になっています。身体障害者手帳1級から6級の人は、この法定雇用率の算定対象になります。

そのため、障害の種類や等級にかかわらず、手帳を持っていれば障害者雇用枠の求人に応募できます。

実際に企業で働いている身体障害者の状況を見ると、厚生労働省の令和5年度の調査では、従業員5人以上の事業所で働く身体障害者は約52.6万人と推計され、平成30年度の約42.3万人から増えています。

働いている身体障害者の障害の種類別の内訳は、肢体不自由が35.4%、内部障害が30.6%、聴覚・言語障害が12.2%、視覚障害が7.5%です。前回の調査と比べると、肢体不自由の割合が42.0%から下がり、ほかの3つはいずれも割合が上がっています。

また、正社員として働いている人の割合は59.3%で、平均勤続年数は12年2か月です。いずれも前回の調査(52.5%、10年2か月)を上回っています。

障害を開示して働くかどうかの選び方については、こちらの記事「障害者手帳を持つ人の就職はオープン・クローズどっち?障害者雇用枠のメリット・デメリットと選び方」で詳しく解説しています。

出典:厚生労働省「障害者雇用のご案内」・厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査の結果を公表します」

身体障害の種類ごとに職場で受けられる配慮の例

事業主には、障害のある人が働くうえで支障となっている事情を改善するため、障害の特性に配慮した措置をとる義務があります。これを合理的配慮といい、事業主にとって過重な負担になる場合を除いて提供されます。

選考の段階で配慮が必要な場合は、本人から企業に、支障となっている事情と希望する配慮を申し出ます。具体的な内容を伝えにくい場合は、支障となっている事情を伝えるだけでもかまいません。合理的配慮の内容によっては企業側の準備に一定の時間がかかる場合があるため、面接日までに希望する措置を余裕をもって相談しておきましょう。

配慮の内容は、本人と企業の話し合いで決まります。厚生労働省の合理的配慮指針では、障害の種類ごとに配慮の例が示されています。ただし、配慮は一人ひとりの障害の状態や職場の状況に応じて決まるため、示されている例はあくまで一例です。

身体障害のある人に向いている仕事については、こちらの記事「身体障害者でも働ける仕事とは?おすすめ求人や仕事の探し方を紹介」と、こちらの記事「障害者でもできる仕事一覧!身体・精神・知的障害別に向いている職種を解説」で詳しく解説しています。

出典:厚生労働省「合理的配慮指針(平成27年厚生労働省告示第117号)」

視覚障害のある人への配慮

選考の段階では、募集内容を音声などで提供することや、採用試験を点字や音声で行い、試験時間を延長することが配慮の例として示されています。

採用後は、拡大文字や音声ソフトなどを活用して業務を行えるようにする、職場内の机の配置や危険な場所を事前に確認する、通路に物を置かないなどして職場内の移動の負担を減らす、といった配慮が挙げられています。企業の事例には、採用の前後に社内のレイアウトや危険な場所を本人に説明しているものもあります。

出典:厚生労働省「合理的配慮指針(平成27年厚生労働省告示第117号)」・厚生労働省「合理的配慮指針事例集[第六版]」

聴覚・言語障害のある人への配慮

選考の段階では、面接を筆談などで行うことや、就労支援機関の職員などの同席を認めることが配慮の例として示されています。

採用後は、業務の指示や連絡に筆談やメールなどを使う、危険な場所や危険の発生を目で見て確認できるようにする、といった配慮が挙げられています。企業の事例には、会議に手話通訳者の同席を認めたものもあります。

出典:厚生労働省「合理的配慮指針(平成27年厚生労働省告示第117号)」・厚生労働省「合理的配慮指針事例集[第六版]」

肢体不自由のある人への配慮

選考の段階では、面接の際にできるだけ移動が少なくて済むようにすることが配慮の例として示されています。

採用後は、机の高さを調節するなど作業ができるように工夫する、スロープや手すりを設置する、体温を調整しやすい服装を認める、といった配慮が挙げられています。企業の事例には、車いすでも使える机や、高さを調節できる机を用意したものもあります。

出典:厚生労働省「合理的配慮指針(平成27年厚生労働省告示第117号)」・厚生労働省「合理的配慮指針事例集[第六版]」

内部障害のある人への配慮

選考の段階では、面接の時間を体調に配慮して設定することが配慮の例として示されています。

採用後は、通院や体調に合わせて出退勤の時刻や休暇、休憩を調整する、本人の負担の程度に応じて業務量を調整する、といった配慮が挙げられています。企業の事例には、透析治療の日を短縮勤務にしたものや、重い物の取り扱いなど本人ができない業務を担当にしないようにしたものもあります。

出典:厚生労働省「合理的配慮指針(平成27年厚生労働省告示第117号)」・厚生労働省「合理的配慮指針事例集[第六版]」

【求人3選】身体障害のある人が働きやすい環境を整えた障害者雇用の求人

身体障害は種類によって必要な環境が異なるため、働きやすさは職場の設備や受けられる配慮に大きく左右されます。障害者雇用の求人には、段差のないフロアやバリアフリートイレ、筆談でのやり取りなど、身体障害に配慮した環境を整えているものもあります。

ここでは、身体障害のある人が働きやすい環境を整えた、障害者雇用バンクに掲載されている実際の求人を3つ紹介します。求人を選ぶときは、次のポイントを確認しましょう。

  • 障害の種類や程度に合った業務内容か
  • 移動や設備など、職場の環境が自分の障害に対応しているか
  • 通勤や通院について、必要な配慮を相談できるか

※求人情報は2026年10月時点の内容です。募集状況や雇用条件は変更される可能性があるため、応募前に最新情報をご確認ください。

博報堂DYアイ・オー

【求人情報】

  • 職種:一般事務(障害者枠)
  • 雇用形態:正社員
  • 業務内容:請求書の作成・発行、経理伝票の照合、媒体支払業務、メールの送受信、データ処理・入力・チェック、資料作成など。経験やスキル、能力をふまえて配属部署を検討
  • 給与・年収:月給215,000円~276,000円
  • 勤務地:東京都江東区豊洲
  • 応募資格:
    ・Word・Excel・Outlookの基本操作ができる方
    ・ビジネスメールでやり取りができる方

こちらは、株式会社博報堂DYアイ・オーが募集している、一般事務の求人です。

障害への配慮として、車いすでの勤務、段差のないフロア、自動ドア、バリアフリートイレが挙げられており、車いすを使う人も職場内を移動しやすい環境です。加えて、災害の発生を知らせるパトライトや、聴覚障害者向けの呼び出しブザーも設置されているため、音による知らせに気づきにくい人も働きやすくなっています。

身体障害のある人の受け入れ実績が多く、入社後は数か月から1年ほどトレーナーの指導を受けながら業務を覚え、月1回のメンターとの面談もあります。肢体不自由や聴覚障害があり、設備の整った職場で事務職として長く働きたい人に向いている求人です。

株式会社博報堂DYアイ・オーの求人は、こちらからご覧ください。

トプコン

【求人情報】

  • 職種:勤怠管理(労務担当)(障害者枠)
  • 雇用形態:正社員
  • 業務内容:労務担当として勤怠管理を担当。適性にあわせて給与計算の補助などもあり
  • 給与・年収:月給180,000円~230,000円
  • 勤務地:東京都板橋区蓮沼町
  • 応募資格:何らかの事務業務経験をお持ちの方

こちらは、株式会社トプコンが募集している、労務担当の求人です。

障害への配慮として、エレベーター、段差のない出入口、階段の手すりが挙げられています。車通勤もできるため、下肢に障害がある人や、電車での通勤が体の負担になる人も通勤手段を選べます。

フレックスタイム制(コアタイムは10時~14時45分)のほか、在宅勤務や時短勤務も取り入れており、通勤ラッシュを避けたり、体調に合わせて働く時間を調整したりできます。通院への配慮も相談できるため、移動に負担がある人だけでなく、定期的な通院が必要な人にも向いている求人です。

株式会社トプコンの求人は、こちらからご覧ください。

SBIインシュアランスグループ

【求人情報】

  • 職種:オープンポジション(障害者枠)
  • 雇用形態:正社員
  • 業務内容:経理財務、内部監査、商品開発、システム、経営企画のいずれか。志向と適性をみて決定(職種によっては子会社への出向の可能性あり)
  • 給与・年収:年収3,500,000円~4,800,000円
  • 勤務地:東京都港区六本木(泉ガーデンタワー)
  • 応募資格:
    ・希望するポジションの経験が1年以上ある方
    ・基本的なPCスキル(Excel、Word、PowerPointなど)がある方
    ・大学卒以上

こちらは、SBIインシュアランスグループ株式会社が募集している、オープンポジションの求人です。

障害への配慮として、チャット・筆談でのやり取り、段差のない環境、通院、残業、時短勤務、電話応対などへの配慮が挙げられています。なかでも通院や時短勤務への配慮があるため、定期的な通院や体調管理が必要な内部障害のある人も、働く時間を相談しながら勤務できます。

身体障害への配慮を受けながら、経理財務やシステムなど、これまでに積んだ専門的な経験を活かして働きたい人に向いている求人です。

SBIインシュアランスグループ株式会社の求人は、こちらからご覧ください。

身体障害のある人の転職/就職には転職エージェントがおすすめ

障害者雇用専門の転職エージェントでは、障害の内容や必要な配慮に応じて、就業可能な求人の紹介を受けられます。選考書類の作成や面接対策など、転職・就職活動全般のサポートを無料で受けられるため、一人で活動するよりも効率的に内定獲得を目指せます。

障害者専門のエージェントである障害者雇用バンクは、キャリアアップ重視のハイクラス求人と、特例子会社などの応募ハードルが低い求人のどちらも多数保有しています。そのため、障害の種類や必要な設備・配慮に沿った求人の紹介を受けられます。

障害者雇用バンクの転職サポート・就職サポートは、すべて無料で利用できます。こちらから会員登録のうえ、無料相談を活用してみるのも選択肢です。

まとめ:身体障害は種類ごとに特徴が異なり、必要な配慮も変わる

身体障害者手帳の交付対象となる障害は、視覚障害、聴覚または平衡機能の障害、音声・言語・そしゃく機能の障害、肢体不自由、内部障害に大きく分けられます。手帳の対象になるかは病名ではなく、障害の程度と、それが永続するかで判断されます。

身体障害者手帳を持つ人は約467.5万人で、肢体不自由が48.1%で最も多く、次いで内部障害が34.6%を占めています。

障害の種類によって、生活や仕事で支障が出やすい場面や、職場で必要な配慮は異なります。仕事を探すときは、自分の障害に合った設備や配慮を受けられる職場かを確認し、必要な配慮は面接日までに企業に相談しておきましょう。

自分や家族の障害が手帳の対象になるか分からない場合は、指定医や住んでいる市区町村の障害福祉の窓口に相談しましょう。

身体障害に関するよくある質問

難病は身体障害に含まれますか?

難病であることだけでは、身体障害者手帳の対象にはなりません。病気の結果として残った障害が、身体障害の基準に当てはまる場合に手帳が交付されます。

ただし、手帳を持っていなくても、障害者総合支援法の対象となる難病(令和7年4月からは376疾病)の人は、必要と認められた障害福祉サービスを利用できます。対象の病気かどうかは、住んでいる市区町村の窓口で確認しましょう。

難病のある人に向いている仕事については、こちらの記事「難病でもできる仕事を徹底解説。実際の求人・就労支援やハローワークのサポートも紹介」で詳しく解説しています。

出典:東京都心身障害者福祉センター「身体障害者手帳について」・厚生労働省「障害者総合支援法の対象疾病(難病等)」

高次脳機能障害は身体障害に含まれますか?

高次脳機能障害そのものは、精神障害者保健福祉手帳の対象になり得ます。

一方、脳の病気やけがによって手足の麻痺などの身体機能障害も残り、身体障害の基準に当てはまる場合は、その障害について身体障害者手帳の対象になります。

高次脳機能障害のある人に向いている仕事については、こちらの記事「高次脳機能障害の人に向いてる仕事・おすすめ求人3選」で、半身不随の等級については、こちらの記事「半身不随の障害等級は何級?2〜4級が多い理由と認定基準を解説」で詳しく解説しています。

出典:厚生労働省「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」・東京都心身障害者福祉センター「身体障害者手帳について」

子どもでも身体障害者手帳を取得できますか?

子どもでも、身体障害の基準に当てはまる障害があれば身体障害者手帳を取得できます。東京都では、15歳未満の場合は保護者が申請します。申請の前に、住んでいる市区町村の障害福祉の窓口で手続きを確認しておきましょう。

乳幼児は、原則として障害の程度を判定できる年齢(おおむね満3歳)以降に認定されます。ただし、四肢欠損など障害の程度や永続性が明らかな場合は、3歳未満でも認定されることがあります。治療や訓練で将来障害が軽くなると予想される場合は、残ると予想される障害の程度で認定され、必要に応じて再認定が行われます。

出典:東京都心身障害者福祉センター「身体障害者手帳について」・厚生労働省「身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について」・厚生労働省「身体障害認定基準等の取扱いに関する疑義について」

障害者雇用バンクで求人を探してみませんか

登録は無料。専任アドバイザーへの相談もできます。

ご登録はこちら