心臓疾患の障害者手帳は1級・3級・4級のみ!認定基準と障害年金の金額も解説

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心筋梗塞や狭心症などの心臓疾患と診断されても、それだけで障害者手帳を取得できるわけではありません。

障害者手帳の対象となるのは、心臓の機能が永続的に低下し、心臓機能障害として認定された場合です。

この記事では、心臓機能障害の等級と認定基準、主な心臓疾患で障害者手帳を取得できるケース、取得の手順やメリット、あわせて受給を検討したい障害年金について解説します。

心臓疾患は心臓機能障害に認定されれば障害者手帳を取得できる

心臓疾患と診断されたこと自体は、障害者手帳の取得条件には該当しません。

障害者手帳の対象となるのは、心臓疾患によって心臓の機能が永続的に低下し、心臓機能障害として認定された場合です。

そのため、心筋梗塞や狭心症、不整脈、心臓弁膜症、心筋症など、原因となる疾患の種類にかかわらず、心臓機能の低下の程度や日常生活への支障をもとに、認定の可否や等級が判断されます。

認定には指定医が作成する診断書が必要になるため、障害者手帳の取得を希望する場合は、まず主治医に相談するようにしましょう。

出典:東京都福祉局「心臓機能障害等級表と診断のポイント

心臓機能障害の等級と認定基準

心臓機能障害の認定基準は、18歳以上と18歳未満で異なります。

18歳以上の等級は1級・3級・4級の3段階で、2級は設定されていません。まずは、18歳以上の人に適用される等級と認定基準を解説します。

等級 状態の目安
1級 心臓の機能の障害により自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの
3級 心臓の機能の障害により家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの
4級 心臓の機能の障害により社会での日常生活活動が著しく制限されるもの

数字が小さいほど障害の程度が重く、1級は身の回りの動作すら極度に制限される状態、3級は家庭内での生活が著しく制限される状態、4級は家庭内での生活はできるものの、社会での活動が著しく制限される状態が目安となります。

認定は、日常生活でどの程度の活動ができるかという活動能力の程度と、胸部エックス線や心電図などの客観的所見の両方に基づいて行われます。

出典:東京都福祉局「心臓機能障害等級表と診断のポイント

18歳以上:1級の認定基準

18歳以上の場合、次のいずれかに該当すると1級と認定されます。

1つ目は、以下のa〜hのうち2つ以上の所見があり、かつ、安静時または自己身辺の日常生活活動でも、心不全症状、狭心症症状または繰り返しアダムス・ストークス発作が起こる場合です。

このほか、ペースメーカーやICD(植込み型除細動器)を植え込み、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される場合も1級と認定されます。先天性疾患によりペースメーカー等を植え込んだ場合、人工弁移植・弁置換を行った場合、心臓移植後で抗免疫療法を必要とする期間中の場合も同様です。

出典:東京都福祉局「心臓機能障害等級表と診断のポイント

18歳以上:3級の認定基準

18歳以上の場合、次のいずれかに該当すると3級と認定されます。

1つ目は、1級のa〜hのうちいずれかの所見があり、かつ、家庭内での極めて温和な日常生活活動には支障がないものの、それ以上の活動では心不全症状もしくは狭心症症状が起こる場合、または頻回に頻脈発作を起こし、救急医療を繰り返し必要としている場合です。

2つ目は、ペースメーカーやICDを植え込み、家庭内での日常生活活動が著しく制限される場合です。目安として、身体活動能力(メッツ:安静に座っている状態を1として、活動が何倍のエネルギーを消費するかを示す運動強度の指標)の値が2以上4未満であることとされています。

出典:東京都福祉局「心臓機能障害等級表と診断のポイント」・松本協立病院「METsとは?

18歳以上:4級の認定基準

18歳以上の場合、次のいずれかに該当すると4級と認定されます。

1つ目は、以下のa〜dのうちいずれかの所見があり、かつ、家庭内での普通の日常生活活動または社会での極めて温和な日常生活活動には支障がないものの、それ以上の活動では心不全症状または狭心症症状が起こる場合です。

2つ目は、臨床所見で部分的浮腫があり、かつ、家庭内での普通の日常生活活動や社会での極めて温和な日常生活活動には支障がないものの、それ以上の活動が著しく制限される場合です。また、頻回に頻脈発作を繰り返し、日常生活や社会生活の妨げとなっている場合も対象となります。

3つ目は、ペースメーカーやICDを植え込み、社会での日常生活活動が著しく制限される場合です。

このように4級では、家庭内での生活には支障がないものの、社会での活動がどの程度制限されているかが判定の目安となります。

出典:東京都福祉局「心臓機能障害等級表と診断のポイント

18歳未満の心臓機能障害の認定基準

18歳未満の場合は、以下の14項目の所見のうち、該当する項目数などによって判定されます。

【判定に用いられる14項目の所見】

等級の目安は、原則として6項目以上で1級、5項目以上または冠動脈の狭窄・閉塞で3級、4項目以上または冠動脈瘤・拡張で4級です。

先天性心疾患の認定は、病名が確定し、客観的なデータで障害の程度を判定できる場合、3歳を待たずに行えます。また、先天性疾患(18歳未満で発症した心疾患)を原因としてペースメーカー等を植え込んだ場合は、植え込みが18歳以降であっても1級と認定されます。

一方で、一時的な発作による障害は認定の対象になりません。WPW症候群のように発作性の頻拍を繰り返す場合でも、心臓機能障害の所見に直接該当しなければ認定されない点には注意が必要です。

先天性心疾患の1つであるWPW症候群については、こちらの記事「WPW症候群で障害者手帳を取得するための条件・申請手順・メリットを解説」でも詳しく解説しています。

出典:東京都福祉局「心臓機能障害等級表と診断のポイント

心臓疾患で障害者手帳を取得できる主なケース

ここからは、心筋梗塞や狭心症などの主な心臓疾患について、障害者手帳を取得できるケースを疾患別に解説します。

心筋梗塞の場合

心筋梗塞を発症したことや、心臓カテーテル手術・バイパス手術を受けたこと自体は、認定の対象になりません。それによって、どの程度の影響が発生しているかによって判断されます。

バイパス手術などを受けた場合は、術後に障害が固定した状態をもって障害の程度が認定されます。

一方で、心電図の陳旧性心筋梗塞所見は、1級・3級の判定に用いられる所見の1つです。治療後も心機能の低下が続き、活動時に心不全症状や狭心症症状が起こる状態であれば、症状の程度に応じて等級認定の対象となります。

心臓カテーテル手術と障害者手帳の関係については、こちらの記事「心臓カテーテル手術で障害者手帳を取得するための条件・申請手順を解説」でも詳しく解説しています。

出典:東京都福祉局「心臓機能障害等級表と診断のポイント

狭心症の場合

狭心症の症状は、各等級の認定基準に組み込まれています。どの程度の活動で狭心症症状が起こるかが等級を分けるポイントで、安静時や身の回りの動作でも起こる場合は1級、家庭内の温和な活動を超えると起こる場合は3級、家庭内の普通の活動を超えると起こる場合は4級が目安となります。

ただし、実際の認定は症状だけで行われるわけではなく、心電図などの客観的所見と併せて総合的に判定されます。

狭心症の障害者手帳については、こちらの記事「狭心症で障害者手帳を取得するための条件・申請手順・メリットを解説」でも詳しく解説しています。

出典:東京都福祉局「心臓機能障害等級表と診断のポイント

不整脈でペースメーカー・ICDを植え込んだ場合

不整脈の治療でペースメーカーやICDを植え込んだ場合は、認定の対象となります。機器への依存度と身体活動能力(メッツ)の値によって、1級・3級・4級のいずれかに認定され、メッツ2未満は1級、2以上4未満は3級、4以上は4級が目安です。

メッツとは、安静に座っている状態を1として、それぞれの活動が何倍のエネルギーを消費するかを示す運動強度の指標です。

【メッツ値の参考例】

また、植え込みから3年以内に再認定が行われ、そのときの状態に応じて等級が見直されます。また、ICDを植え込んで3級または4級と認定された人は、手帳の交付後にICDが作動した場合、メッツの値に関係なく1級と認定されます。

ペースメーカーの障害者手帳については、こちらの記事「ペースメーカー植え込みでの障害者手帳の認定基準・金銭面の支援を等級別に紹介!」でも詳しく解説しています。

出典:東京都福祉局「心臓機能障害等級表と診断のポイント」・松本協立病院「METsとは?

心臓弁膜症で人工弁を置換した場合

心臓弁膜症と診断されただけでは、認定の対象になりません。人工弁への置換に至っていない段階では、心不全症状などの程度と客観的所見に応じて、ほかの心臓疾患と共通の基準で判定されます。

一方、心臓弁膜症の治療で人工弁移植・弁置換を行った場合は、術後の症状の程度にかかわらず1級と認定されます。対象となるのは機械弁に限らず、牛や豚の弁を使う生体弁を移植した場合も同様に扱われます。

ただし、自己の弁を残したまま人工弁輪で補強する弁形成術のみの場合は、人工弁移植・弁置換と同等には扱われません。

出典:東京都福祉局「心臓機能障害等級表と診断のポイント」・船橋市「障害程度等級表解説 第4 心臓機能障害

心筋症の場合

心筋症に固有の認定基準はなく、心機能の低下を示す所見と活動能力の程度によって、ほかの心臓疾患と共通の基準で判定されます。

そのため、症状が進行して活動時に心不全症状が起こる状態になった場合や、不整脈に対してペースメーカー・ICDの植え込みに至った場合に、等級認定の対象となります。

心筋症の1つである肥大型心筋症については、こちらの記事「肥大型心筋症の人に向いてる仕事・おすすめの求人を紹介」でも詳しく解説しています。

出典:東京都福祉局「心臓機能障害等級表と診断のポイント

先天性心疾患の場合

先天性心疾患についても、病名だけで障害者手帳の等級が決まるわけではありません。

年齢に応じた認定基準をもとに、心臓機能の状態や日常生活への制限などが判断されます。 18歳未満の認定基準については、前章「18歳未満の心臓機能障害の認定基準」で詳しく解説しています。

病名が確定し、客観的な検査データによって障害の程度を判定できる場合は、3歳を待たずに認定されることがあります。 また、先天性疾患を原因としてペースメーカーやICDを植え込んだ場合は、植え込みを行った年齢にかかわらず1級と認定されます。

なお、この認定基準における「先天性疾患」とは、18歳未満に発症した心疾患を指します。 一方、一時的な発作による障害は認定の対象になりません。WPW症候群のように発作性の頻拍を繰り返す場合でも、心臓機能障害の認定基準に該当しなければ、障害者手帳を取得できない場合があります。

出典:東京都福祉局「心臓機能障害等級表と診断のポイント

心臓疾患で障害者手帳の取得が難しいケース

心臓疾患と診断されていても、心臓機能障害として認定される状態でなければ、障害者手帳の取得は難しくなります。

たとえば、以下のような場合は対象にならない可能性があります。

障害者手帳は、病名だけで判断されるものではありません。心臓の機能低下がどの程度続いているか、日常生活活動がどれくらい制限されているかをもとに判断されます。

出典:東京都福祉局「心臓機能障害等級表と診断のポイント

心臓疾患で障害者手帳を取得する手順

障害者手帳の申請には、指定医が作成した診断書が必要です。申請に必要な書類は役所の福祉課で受け取れるほか、自治体によってはオンラインでダウンロードできる場合もあります。

申請時には、診断書のほかに以下の書類も必要になります。

なお、準備物は市区町村によって異なるケースがあるため、事前に市区町村の福祉課に確認しておきましょう。

ここからは、障害者手帳を取得するまでの流れを、4つのステップに分けて解説します。

【障害者手帳の取得手順】

まずは主治医に相談のうえ検査を受け、心臓機能の状態を客観的に把握します。検査結果は、診断書の作成や認定審査の根拠となる重要な資料です。

診断書を作成できるのは、都道府県知事などから指定を受けた15条指定医に限られます。かかりつけ医が指定医でない場合は、指定医を紹介してもらうか、受診する医療機関が指定されているかを事前に確認しましょう。

診断書・意見書を受け取ったら、市区町村の障害福祉窓口に申請書類とともに提出します。

申請書類が受理された後、専門機関で障害の程度についての審査が行われます。審査が完了すると交付の通知が届き、窓口で手帳を受け取れます。

主治医への相談から手帳が手元に届くまでは、一般的に2〜3ヶ月ほどかかります。診断書作成の期間や審査の混雑状況によっては3ヶ月以上かかることもあるため、取得を希望する場合は早めに行動しましょう。

出典:多摩市「障害者手帳の申請について」・日野市「身体障害者手帳について

心臓疾患の人が障害者手帳を取得するメリット

ここからは、心臓疾患の人が障害者手帳を取得することで受けられる、主なメリットを解説します。

障害者雇用での就労が可能になる

障害者手帳を取得すると、障害者雇用枠での就労が可能になります。障害者雇用枠で採用されると、障害に対する合理的配慮を受けながら働けるため、就労による心身への負担を軽減できます。

心臓疾患の場合、例えば以下のような配慮を受けられる可能性があります。

重い荷物の運搬や長時間の立ち仕事など、身体に強い負荷のかかる業務を除外し、座って取り組める業務を中心にできる

定期的な循環器内科の受診が必要な場合でも、勤務スケジュールを柔軟に調整してもらえる

胸の痛みや息切れなどの症状が出た際に、すぐ休憩を取れる環境の整備や、勤務中の体調変化への対応

ペースメーカーやICDを使用している場合に、強い電磁波が発生する環境での作業を避けられる

また、障害者雇用枠は一般枠とは採用枠が異なり、障害者を採用することを前提としています。そのため、障害を持っていること自体が選考において不利に働くことがない点もメリットです。

就労支援サービスを利用できる

障害者手帳を取得すると、障害者雇用を前提とした就労支援サービスを利用しやすくなります。

たとえば、以下のような支援機関・サービスがあります。

障害のある人を対象とした窓口で、障害の特性や希望職種に応じた職業相談・職業紹介を受けられる

一般企業への就労を目指す人に向けた、就労に必要な訓練や求職活動のサポート、就職後の定着支援を受けられる

仕事の相談だけでなく、体調管理や生活習慣といった生活面もあわせて、一体的な相談・支援を受けられる

症状に配慮した求人の紹介や選考対策のサポートを受けられる(利用には原則として障害者手帳が必要な場合が多い)

心臓疾患の症状と付き合いながら働き続けるためには、こうした支援を活用しながら、無理のない働き方を整えていくことが大切です。

就労移行支援については、こちらの記事「就労移行支援の利用条件・対象者や料金・利用の流れを解説」でも詳しく解説しています。

税控除などの金銭的メリットがある

障害者手帳を取得すると、所得税や住民税において障害者控除を受けることができるようになります。

等級によって控除額が異なり、1級・2級は「特別障害者」、3級〜6級は「一般障害者」として扱われます。心臓機能障害の等級は1級・3級・4級のため、1級の人は特別障害者、3級・4級の人は一般障害者に該当します。

【一般障害者(3級・4級)の控除額】

【特別障害者(1級)の控除額】

なお、ここでいう控除額は「税金がそのまま安くなる金額」ではなく、課税対象となる所得から差し引かれる金額です。実際の減税額は「控除額 × 税率」で決まります。

たとえば、所得税の税率が10%の人の場合、

27万円(控除額)× 10%(所得税の税率)= 2万7,000円

となり、「2万7,000円」が実際に軽減される税額になります。

また、相続税の障害者控除は一般障害者の場合「85歳までの年数 × 10万円」、特別障害者の場合は「85歳までの年数 × 20万円」で計算されます。

このほか、自治体によっては医療費の助成や各種手当などの制度が設けられている場合があるため、市区町村の窓口で確認してみましょう。

出典:国税庁「障害者と税

公共交通機関・公共料金・レジャー施設等の割引が受けられる

障害者手帳を提示することで、鉄道・バス・タクシー・飛行機などの公共交通機関の運賃割引を受けられるようになります。割引の内容は手帳の等級や事業者によって異なるため、事前に確認するようにしましょう。

なお、心臓機能障害は1級・3級・4級のすべての等級が第1種に区分されるため、JRの割引では介護者も割引の対象になります。

【主な割引制度】※2026年7月時点

片道100kmを超える区間で本人の普通乗車券が半額になる。第1種の場合は介護者1名も割引対象となり、距離制限なく普通乗車券・回数券・定期券が半額になる

各事業者が独自に割引を設定しており、手帳の等級・自治体によって内容が異なる(例:都営バスでは身体障害者手帳の所持者は普通運賃50%割引、定期運賃30%割引)

身体障害者手帳の所持者が対象。メーター運賃の1割が割引される。自治体によってはタクシー券の配布もある

身体障害者手帳の所持者が対象。通常料金の半額が適用される

多くの航空会社で障害者割引運賃が設定されている

映画館・水族館・遊園地など、多くの娯楽施設で障害者割引が設けられている(例:東京ディズニーリゾートでは障害者手帳所持者と同伴者1名が割引チケットを購入できる)

美術館・博物館・動物園などで入場料が割引または無料になるケースがある(例:国立科学博物館では障害者手帳の所持者と介護者1名が入場無料)

障害者手帳を持つ方がいる世帯全員が市民税非課税の場合、全額免除。世帯主が1級・2級の場合は半額免除

なお、上記の情報は2026年7月時点のものです。割引の有無や内容は、手帳の等級、自治体、各事業者の判断によって変更される場合があるため、利用前に公式サイトや窓口で最新情報を確認しましょう。

出典:東京都福祉局「心臓機能障害等級表と診断のポイント」・JR東日本「障害者割引制度のご案内」・東京都交通局「割引運賃」・名古屋市「タクシー料金の割引」・NEXCO東日本「有料道路における障害者割引」・東京ディズニーリゾート「障がいのある方向けのパークチケットについて」・国立科学博物館「入館案内」・NHK「NHK受信料の免除

心臓疾患で障害年金は受給できる?

障害者手帳とあわせて検討したい公的支援が、障害年金です。ここでは、心臓疾患で障害年金を受給できるかどうかの考え方を解説します。

障害年金の認定基準は障害者手帳と異なる

障害年金は、障害者手帳とは別の制度です。そのため、障害者手帳を取得しているかどうかに関わらず、障害年金の認定基準を満たしていれば受給の対象になります。逆に、障害者手帳を取得していても、障害年金の認定基準に該当しなければ受給できません。

障害者手帳 障害年金
制度の目的 福祉サービスや割引、 障害者雇用などにつなげる制度 障害によって生活や仕事に制限がある人へ年金を支給する制度
認定基準 身体障害者手帳の心臓機能障害の基準で判定 国民年金・厚生年金保険の障害認定基準で判定
等級 心臓機能障害は1級・3級・4級 障害基礎年金は1級・2級、障害厚生年金は1級・2級・3級
金額 手帳自体に年金の支給はない 等級や加入していた年金制度によって支給額が変わる
注意点 手帳の等級がそのまま障害年金の等級になるわけではない 手帳がなくても、条件を満たせば受給できる場合がある

障害年金の等級ごとの認定基準は以下のとおりです。

心疾患の認定基準では、弁疾患・心筋疾患・虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)・難治性不整脈・大動脈疾患・先天性心疾患に分けられ、区分ごとに自覚症状・他覚所見・検査所見・日常生活や労働への支障などから総合的に判定されます。

障害年金では、人工弁を装着した場合や、ペースメーカー・ICDを装着した場合は原則として3級、CRT・CRT-Dを装着した場合は原則として2級の対象となります。

また、心臓移植を受けた場合や人工心臓を装着した場合は、原則として1級の対象です。 ただし、人工弁やペースメーカー・ICDを装着している場合でも、臨床症状や検査結果、日常生活への支障の程度などが上位等級の認定基準に該当すれば、2級または1級に認定されることがあります。

なお、心臓移植・人工心臓・CRT・CRT-Dについては、手術後または装着後はいったん上記の等級に認定されます。その後、1〜2年程度の経過観察を行い、症状が安定した時点で、臨床症状や検査成績、日常生活の状態を踏まえた再認定が行われます。

出典:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」・日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」・厚生労働省「心疾患による障害」・四日市障害年金相談室「心疾患で障害年金をお考えの方へ

心臓機能障害1級でも障害年金1級になるとは限らない

障害者手帳(心臓機能障害)が1級であっても、障害年金で1級に認定されるとは限りません。例えば人工弁の装着は、障害者手帳では1級ですが、障害年金では原則3級と認定されます。

また、障害年金の3級は障害厚生年金のみの等級です。そのため、初診日に国民年金に加入していた場合は、2級以上に該当しなければ受給できません。

ペースメーカーやICDを装着した場合は、障害年金の認定基準上、原則として3級の対象となります。ただし、症状や検査結果、日常生活への支障の程度などが上位等級の認定基準に該当する場合は、2級以上に認定されることがあります。

このように、障害者手帳の等級だけでは障害年金を受給できるか判断できません。受給の可能性を確認したい場合は、年金事務所や社会保険労務士などの専門家に相談しましょう。

出典:四日市障害年金相談室「心疾患で障害年金をお考えの方へ」・名古屋愛知障害年金サポート「ペースメーカー装着で障害基礎年金2級を受給できた事例」・日本年金機構「心疾患による障害

心臓疾患で障害年金を受給する際の金額(等級別)

障害年金の金額は、初診日に加入していた年金制度と等級によって決まります。令和8年度の支給額は以下のとおりです。(出典:小川早苗社会保険労務士事務所

昭和31年4月2日以降に生まれた方の場合(主に70歳以下)

月額 年額 前年度の年額
障害基礎年金1級 88,260円 1,059,125 1,039,625円
障害基礎年金2級 70,608 847,300 831,700円
障害厚生年金 3級(最低保障) 52,958円 635,500円 623,800円
子の加算1人目(障害基礎年金に加算) 20,316円 243,800円 239,300円
子の加算2人目(障害基礎年金に加算) 20,316円 243,800円 239,300円
子の加算3人目(障害基礎年金に加算) 6,775円 81,300円 79,800円
配偶者 加給年金(障害厚生年金に加算) 20,317円 243,800円 239,300円
障害年金生活者支援給付金1級 7,025円 84,300円 81,756円
障害年金生活者支援給付金2級 5,620円 67,400円 65,400円

障害基礎年金の金額

障害基礎年金は、子の有無と人数で金額が変わります。一方で、配偶者の有無によって金額が変わることはありません。 家族構成別に障害基礎年金の受給額を計算すると、以下のとおりです。

847,300円+子の加算243,800円×2人=年額1,334,900円(月額約111,242円)

1,059,125円+子の加算243,800円×2人+81,300円×1人=年額1,628,025円(月額約135,669円)

出典:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」NPO法人 障害年金支援ネットワーク「令和8年度(2026年度)の障害年金の金額

障害厚生年金の金額

障害厚生年金1級・2級は、障害基礎年金に報酬比例の年金と配偶者加給年金が上乗せされます。報酬比例部分は平均標準報酬額や加入期間によって人ごとに金額が異なり、一般的には給与が高く会社勤めの期間が長い人ほど多くなります。

また、3級と障害手当金があるのは障害厚生年金のみで、報酬比例の年金のみの支給です。金額が低くなりすぎないよう最低保障額が設けられており、3級は635,500円、障害手当金(一時金)は1,271,000円となっています。

家族構成別に障害厚生年金の受給額を計算すると、以下のとおりです

障害基礎年金847,300円+子の加算243,800円+配偶者加給年金243,800円+報酬比例の年金=年額1,334,900円+報酬比例の年金

報酬比例の年金のみ。計算結果が635,500円に満たないときは、最低保障により年額635,500円(月額52,958円)

出典:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」NPO法人 障害年金支援ネットワーク「令和8年度(2026年度)の障害年金の金額

子の加算・配偶者加給年金・生活者支援給付金

障害年金には、要件に該当する場合に上乗せされる加算や給付金があります。

子の加算は、18歳到達年度末までの子など、生計を維持している子がいる場合に障害基礎年金に加算されるもので、1人目・2人目が各243,800円、3人目以降が各81,300円です(いずれも年額)。

配偶者加給年金は、障害厚生年金1級・2級の人に、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいる場合に加算されるもので、243,800円です(年額)。 さらに、障害基礎年金を受給している人は、前年の所得が一定額以下などの要件を満たすと、障害年金生活者支援給付金を受け取れます。

令和8年度の給付額は、障害等級1級が月額7,025円、2級が月額5,620円です。障害年金生活者支援給付金を初めて受け取る際は、請求手続きが必要です。障害基礎年金を新たに請求する場合は、年金の請求とあわせて手続きを行いましょう。

出典:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」NPO法人 障害年金支援ネットワーク「令和8年度(2026年度)の障害年金の金額」・日本年金機構「障害年金生活者支援給付金の概要

心臓疾患で障害基礎年金2級を受給できた事例

拡張型心筋症によりペースメーカーを植え込み、障害基礎年金2級を受給できた40代男性の事例を紹介します。

この男性は、腰のヘルニアの手術前に行った心電図検査で異常が見つかり、精査の結果、特発性拡張型心筋症と診断されましたが、当時は経過観察となりました。約5年後にうっ血性心不全と診断されて即入院し、さらに5年後にペースメーカーの植え込み手術を受けました。

植え込み後に身体障害者手帳1級を取得したものの、障害年金は約7年間申請していませんでした。専門家のサポートを受けて申請した結果、植え込んだ機器が2級の対象となるCRT-Dであったことや検査所見などから障害基礎年金2級に認定され、子の加算とあわせて年額約123万円を受給しました。

出典:名古屋愛知障害年金サポート「ペースメーカー装着で障害基礎年金2級を受給できた事例

心臓疾患が仕事に与える影響

ここからは、心臓疾患を抱えながら働くうえで知っておきたい、仕事への影響を解説します。

身体に負担のかかる業務が制限される

心臓機能障害は、どの程度の活動で心不全症状や狭心症症状が起こるかによって等級が判定されるとおり、重い荷物の運搬や長時間の立ち仕事など、身体に強い負荷のかかる業務では症状が出やすくなります。

症状を悪化させないためには、業務内容や業務量を調整しながら働ける職場を選ぶことが重要です。

心臓に負担のかからない仕事については、こちらの記事「心臓に負担のかからない仕事とは?狭心症でもできる仕事の求人を紹介」でも詳しく解説しています。

出典:東京都福祉局「心臓機能障害等級表と診断のポイント

通院・体調管理と仕事の両立が必要になる

心臓疾患は、治療後も定期的な通院や服薬、検査の継続が必要になることが多く、通院と仕事を両立できる環境選びが欠かせません。

通院への配慮や柔軟な勤務制度のある職場であれば、体調の変化に応じた無理のない働き方がしやすくなります。

症状に応じて職場の理解や配慮が必要になる

必要な配慮は、症状や治療内容、担当する業務によって異なります。

身体への負担を避ける必要がある場合や、定期的な通院が必要な場合は、避けたい業務や体調不良時の対応について、職場と事前に共有しておくと安心です。

心臓疾患で障害者手帳を取得した人におすすめの求人例

心臓疾患の症状を抱えながら働くには、心臓に負担のかかる業務を避けられること、通院や体調の変化に合わせて働き方を調整できることが大切です。

具体的には、以下のような条件を満たす職場がおすすめです。

ここでは、上記の条件を踏まえて、実際の求人を紹介します。

なお、同じ心臓疾患でも、症状や避けるべき業務は人によって異なります。応募を検討する際には、必要に応じて主治医の意見を確認したうえで、求人企業に業務内容や作業環境、受けられる配慮を確認しましょう。

太陽石油

【求人情報】

こちらは、太陽石油株式会社が募集している、事務系のオープンポジションの求人です。

企画や総務、人事、経理、法務など幅広い事務職種が対象で、業務は座って取り組めるデスクワークが中心です。重い荷物の運搬のような身体に強い負荷のかかる作業を避けたい、デスクワークを希望する人にとって、選択肢となる求人です。

また、応募条件としては社会人経験と基本的なパソコンスキルで、年収は400万円から800万円と高い水準で設定されています。心臓疾患をきっかけに障害者雇用への転職を考えている人が、これまでの経験を活かしながら、正社員として安定して働きたい場合におすすめです。

太陽石油株式会社の求人は、こちらからご覧ください。

イトーキ

【求人情報】

こちらは、株式会社イトーキが募集している、採用アシスタントの求人です。

日程調整や書類整理、データ集計など、座って取り組める事務作業が中心で、経験や志向性に合わせて担当業務を任せてもらえます。業務の負担を調整しながら働きやすいため、体調に合わせて無理のない範囲から始めたい心臓疾患の人に向いています。

また、勤務地は日本橋駅から徒歩1分と、通勤による身体への負担を抑えやすいことも特徴です。正社員登用の制度もあるため、まずは契約社員として働き始め、体調と相談しながら安定した働き方を目指したい人にもおすすめです。

株式会社イトーキの求人は、こちらからご覧ください。

博報堂DYアイ・オー

【求人情報】

こちらは、博報堂グループの特例子会社である博報堂DYアイ・オーが募集している、経理部門の一般事務の求人です。

特例子会社は、障害のある人が働きやすいように、業務内容や職場環境の整備に取り組んでいる会社です。請求書の作成や伝票の照合、データ入力など、決まった手順で進めやすい事務作業が中心のため、体調と相談しながら落ち着いて取り組めます。

また、休暇制度として定期通院休暇や時間単位の年休が設けられており、通院と仕事の両立が必要になる心臓疾患の人にとって働きやすい環境が整っています。

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心臓疾患の人の転職/就職には転職エージェントがおすすめ

心臓疾患の人が転職や就職を考えるときは、重い荷物の運ぶような身体に強い負荷のかかる業務がないか、通院や体調の変化に合わせた調整ができるか、ペースメーカーやICDを使用している場合は作業環境に問題がないかなど、確認すべき条件が多くなります。こうした条件を、求人票の情報だけで見極めるのは簡単ではありません。

そのため、障害者雇用専門の転職エージェントの活用がおすすめです。

障害者雇用専門の転職エージェントでは、どの程度の活動で症状が出るか、通院の頻度、避けたい業務や作業環境といった事情をふまえて、無理なく働ける求人の紹介を受けられます。あわせて、症状や必要な配慮の伝え方を含めた選考対策から、入社後の定着支援まで、転職・就職活動全般のサポートを無料で受けられます。

障害者専門のエージェントである障害者雇用バンクは、この記事で紹介したような、収入水準の高い事務職の求人から、配慮を受けながら働きやすい特例子会社の求人まで、幅広いタイプの求人を多数保有しています。そのため、経験を活かして収入を上げたい場合でも、体調を最優先に働きたい場合でも、希望に合った求人の紹介を受けられます。

心臓疾患で障害者手帳を取得した上で、配慮を受けながら働ける職場を探したい場合は、こちらから会員登録のうえ、無料相談を活用してみるのも選択肢です。

まとめ:心臓疾患は心臓機能障害の認定によって障害者手帳を取得できる

心臓疾患と診断されただけでは障害者手帳を取得できず、心臓の機能が永続的に低下し、心臓機能障害として認定された場合に取得できます。

等級は1級・3級・4級の3段階で、活動能力の程度と心電図などの客観的所見に基づいて判定されます。ペースメーカー・ICDの植え込みや人工弁の置換は、それ自体が認定の対象となります。

また、障害者手帳とは別に、認定基準の異なる障害年金の受給も検討できます。

障害者手帳の取得を希望する場合は、まず主治医に相談し、市区町村の窓口で申請手続きを進めましょう。

心臓疾患の障害者手帳に関するよくある質問

心臓の手術を受けた直後でも障害者手帳を申請できる?

申請できる時期は、受けた手術の種類によって異なります。 心臓カテーテル手術やバイパス手術などでは、手術を受けたこと自体ではなく、治療後に残った心機能の低下や日常生活への制限をもとに認定されます。

そのため、術後の状態が安定してから判断されるのが一般的です。 一方、人工弁の移植・置換やペースメーカー・ICDの植え込みは、個別の認定基準が設けられています。

申請できる時期や見込まれる等級は、身体障害者福祉法第15条指定医に確認しましょう。

出典:厚生労働省「身体障害認定基準等の取扱いに関する疑義について(改正後全文)」・東京都福祉局「心臓機能障害等級表と診断のポイント

障害者手帳を取得していなくても障害年金は受給できる?

受給できる可能性があります。障害者手帳と障害年金は別の制度で、認定基準もそれぞれ独立しているため、障害者手帳の取得は障害年金の受給要件ではありません。

受給できるかどうかは、初診日の年金加入状況や保険料の納付状況、障害の状態によって判断されます。

出典:四日市障害年金相談室「心疾患で障害年金をお考えの方へ

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