ADHDの 人は 障害者雇用で 働くべき?向いている人・ 一般雇用と の 違い・おすすめ 求人3選も 紹介

ADHDがあると、ケアレスミスや物忘れ、スケジュール管理の難しさから、今の働き方を続けられるか不安を感じる人もいるでしょう。障害者雇用を検討していても、「どんな配慮を受けられるのか」「仕事内容や給与はどう変わるのか」と気になる人も少なくありません。
ADHDの人も、精神障害者保健福祉手帳があれば障害者雇用枠に応募できます。障害者雇用では、指示の出し方や業務量、働く時間などについて相談しながら、自分の特性に合った働き方を目指せます。一方で、職種や給与などは一般雇用と異なる傾向があるため、メリット・デメリットの両方を知っておくことが大切です。
この記事では、ADHDの人が障害者雇用で働くメリット・デメリット、受けられる配慮、一般雇用との選び方、採用されるためのポイントや利用できる支援機関を、実際の求人とあわせて解説します。
ADHDの人も障害者雇用で働ける?雇用の実態をデータで確認
ADHDを理由に障害者雇用率の対象となるには精神障害者保健福祉手帳が必要
ADHDを含む発達障害は、精神障害者保健福祉手帳の対象です。ADHDを理由に企業の障害者雇用率の対象として働く場合は、精神障害者保健福祉手帳が必要です。
厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査」では、雇用されている発達障害者の81.7%について、事業所が精神障害者保健福祉手帳で障害を確認しています。企業が発達障害のある人を把握する際、精神障害者保健福祉手帳が主な確認方法になっていることが分かります。
診断書で手帳を申請する場合は、手帳の交付を求める精神疾患の初診日から6か月以上経過している必要があります。ただし、ADHDの診断があるだけで必ず交付されるわけではなく、日常生活や社会生活への影響を踏まえて判断されます。障害者雇用での就職を考えている人は、早めに主治医へ相談しておきましょう。
ADHDで障害者手帳を取得する方法については、こちらの記事「ADHDでの障害者手帳の申請方法・等級表とおすすめ求人3選」で詳しく解説しています。
出典:高齢・障害・求職者雇用支援機構「5.障害特性と配慮事項 (8)発達障害」・国立精神・神経医療研究センター「障害者手帳・障害年金」・厚生労働省「障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関するQ&A【第三版】」・厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」
企業で働く発達障害者のうちADHDは15.2%
厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査」によると、常用労働者5人以上の民営事業所で働く発達障害者は、推計9万1千人です。診断名別では、ADHDの人が15.2%を占めています。
- 自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害…69.1%
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)…15.2%
- 学習障害…2.4%
この調査からも、ADHDの診断を受けた人が企業で一定数働いていることがわかります。
また、雇用されている発達障害者が所持する精神障害者保健福祉手帳の等級は、3級が41.1%で最も多く、2級が23.6%、1級が0.7%となっています。
ただし、これはADHDだけではなく、発達障害者全体のデータです。ADHDだから一律に何級になるという基準はなく、症状の程度や日常生活・社会生活への影響を踏まえて1~3級が判断されます。
自閉スペクトラム症については、こちらの記事「自閉症スペクトラム障害の人に向いてる仕事・おすすめ求人4選」で、学習障害については、こちらの記事「学習障害(LD)の人に向いてる仕事・おすすめの求人3選」で詳しく解説しています。
精神障害者保健福祉手帳3級については、こちらの記事「精神障害者手帳3級はどの程度?受けられるサービスやメリットを解説」で、2級については、こちらの記事「精神障害者手帳2級はどんな人が取得できる?具体例とメリットを解説」で詳しく解説しています。
出典:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」
発達障害のある人の雇用形態と賃金の参考データ
以下は、2023年6月時点で企業に雇用されている発達障害者全体のデータです。ADHDの人だけを集計した数字でも、障害者雇用枠だけを集計した数字でもありませんが、働き方を考える際の参考になります。
| 区分 | 数値データ | |
| 雇用形態 | 無期契約の正社員 | 35.3% |
| 有期契約の正社員 | 1.3% | |
| 無期契約の正社員以外 | 23.8% | |
| 有期契約の正社員以外 | 37.2% | |
| 週所定労働時間 | 30時間以上 | 60.7% |
| 20時間以上30時間未満 | 30.0% | |
| 1か月の平均賃金 | 全体 | 13万円 |
| 週30時間以上 | 15万5千円 | |
| 週20時間以上30時間未満 | 10万7千円 | |
| 平均勤続年数 | 全体 | 5年1か月 |
週30時間以上の人と週20時間以上30時間未満の人では、1か月の平均賃金に4万8千円の差があります。同じ発達障害者でも、働く時間によって収入は大きく変わります。
出典:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」
ADHDの特性と仕事で困りやすい場面
ADHDの主な特性(不注意・多動性・衝動性)
ADHD(注意欠如・多動症)は、注意し続けることができず作業にミスを生じやすい不注意と、落ち着きがない、待つことができないといった多動性・衝動性を特性とします。不注意と多動性・衝動性の両方がある場合と、どちらか一方が顕著に現れる場合があり、特性の現れ方は次のように整理されています。
- 不注意…うっかりして同じ間違いを繰り返してしまうことがある
- 多動性…おしゃべりが止まらなかったり、待つことが苦手でうろうろしてしまったりする
- 衝動性…相手の説明が終わる前に発言する、思いついた作業を先に始めてしまうなど、行動する前にいったん立ち止まることが難しい
困りごとの現れ方は人によって異なります。すべてに当てはまるわけではないため、自分が困る場面を整理しましょう。
また、子どもの頃は個性として受け止められたり、周囲のフォローを受けたりして気づかず、就職して仕事を計画的に進めることが求められる場面で初めて気づく人もいます。
出典:政府広報オンライン「発達障害に気付いたら?大人になって気付いたときの専門相談窓口」・国立障害者リハビリテーションセンター「各障害の定義」
仕事でつまずきやすい場面
ADHDのある人が社会生活の中でつまずきやすいこととして、次のような例が挙げられています。
- 整理整頓が苦手
- 集中ができず、ケアレスミスが多い
- 忘れ物や落とし物、遅刻が多い
- 頼まれていた仕事や約束を忘れる
- 人が話している間に発言する
- スケジュール管理・タスク管理が苦手
職場では、不注意によるミスが多発する、一つのことを集中して続けられない、仕事を順序通りにできないといった課題が生じることがあります。こうした困りごとは、依頼内容や優先順位を確認しやすくする、作業手順を整理するなど、仕事の受け方や進め方を工夫することで軽くなる場合があります。
出典:政府広報オンライン「発達障害に気付いたら?大人になって気付いたときの専門相談窓口」・高齢・障害・求職者雇用支援機構「5.障害特性と配慮事項 (8)発達障害」
仕事で活かせるADHDの強み
政府広報オンラインでは、ADHDのある人の特性が強みとして現れる例として、次の点が紹介されています。
- 発想力や独創性に富んでいる
- 好奇心が強い
- 行動力や決断力がある
- 興味のあることは抜群の集中力を発揮する
発達障害の特性は、環境との相互作用によって欠点になることも長所になることもあります。
ADHDのある人の中には、新しいアイデアを出すことや、興味のある分野に集中して取り組むことが得意な人もいます。得意なことは診断名だけでは決まらないため、これまで褒められた仕事、成果が出た作業、集中して取り組めた経験を振り返りましょう。苦手な作業を補う工夫や配慮と合わせて、得意を発揮できる業務を探すと選びやすくなります。
出典:政府広報オンライン「発達障害に気付いたら?大人になって気付いたときの専門相談窓口」
ADHDの人が障害者雇用で働くメリット
特性に合わせた配慮を受けながら働ける
すべての事業主には、障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な措置(合理的配慮)を講じることが義務付けられています。労働者が障害者であることを雇入れ時までに把握している場合、事業主は雇入れ時までに、職場で支障となっている事情の有無を本人に確認することとされています。
障害者雇用枠では、採用の段階から企業が障害を把握しているため、入社前から必要な配慮について話し合いやすくなります。ADHDの人の場合、業務指示を一つずつ出す、作業手順をマニュアルにするといった、特性に応じた配慮を企業と相談できます。
出典:厚生労働省「合理的配慮指針」
障害を開示しているため、困りごとを相談しやすい
障害を開示して働くと、ミスが続く、複数の業務が重なって混乱するといった困りごとを、ADHDの特性と結びつけて相談しやすくなります。
企業には合理的配慮に関する相談窓口を設けて労働者に周知することが求められているため、入社前に「困ったときは誰に相談するのか」を確認しておくと安心です。
入社後に困る場面が変わった場合も、必要に応じて配慮の内容を見直せます。たとえば、「急な依頼が重なると締切を忘れやすいので、優先順位を一緒に確認したい」など、困っている場面と希望する対応を具体的に伝えると相談が進みやすくなります。
また、合理的配慮について相談したことを理由に、解雇などの不利益な取扱いをすることは禁止されています。
出典:厚生労働省「合理的配慮指針」
支援機関と企業が連携して働き方を調整しやすい
障害を開示して入社すると、支援機関と企業が特性や困りごとを踏まえて働き方を調整しやすくなります。
職場適応援助者(ジョブコーチ)は、新たに就職するときの支援だけでなく、雇用後の職場適応支援も行います。たとえば、職場を訪問し、本人への助言だけでなく、上司への指導方法の提案も行います。一般雇用で働いている人も支援の対象です。
支援期間は標準2~4か月で、個別に1~8か月の範囲で設定されます。就労移行支援や就労継続支援、自立訓練、生活介護などを利用した後に一般就労し、6か月以上働き続けている人は、「就労定着支援」の対象になります。就労定着支援では、生活面の相談や、企業・医療機関などとの連絡調整を受けられます。利用条件は、支援機関や市区町村へ確認しましょう。
出典:高齢・障害・求職者雇用支援機構「職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援」・厚生労働省「障害福祉サービスの内容」・厚生労働省「生活困窮者への就労支援における地方自治体と公共職業安定所等との連携について」
ADHDの人が障害者雇用で働くデメリット
任される職種が限られる場合がある
雇用されている発達障害者を職業別にみると、サービスの職業が27.1%、事務的職業が22.7%、運搬・清掃・包装等の職業が12.5%となっており、上位3つで6割を超えます。希望する職種の求人が少なかったり、任される業務の幅が狭いと感じたりする場合があります。
発達障害者の雇用に課題があると回答した事業所のうち、76.9%が「会社内に適当な仕事があるか」を課題に挙げています。希望する業務を担当できるかは企業ごとに異なるため、応募前に「入社直後に担当する業務」と「経験を積んだ後に担当できる業務」を確認しましょう。
発達障害のある人が障害者枠で辛いと感じる理由と対処法については、こちらの記事「発達障害で「障害者枠が辛い」と感じたら?すぐできる対処法と適職の選び方」で、任される仕事が少ない場合の対処法については、こちらの記事「障害者雇用は暇すぎる?仕事が少ない4つの原因と対処法・転職の判断基準も解説」で詳しく解説しています。
出典:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」
短時間勤務や雇用条件によって収入が下がることがある
前述の令和5年度障害者雇用実態調査では、企業に雇用されている発達障害者の1か月の平均賃金は13万円で、週所定労働時間30時間以上の人でも15万5千円です。賃金の支払形態は月給制が52.3%、時給制が44.2%で、時給制の場合は働く時間が月収に直接影響します。
ただし、障害者雇用枠へ転職したからといって、一律に収入が下がるわけではありません。収入は勤務時間や雇用形態、仕事内容によって変わります。
求人を選ぶときは、月給・時給だけでなく、勤務時間、賞与、昇給、契約更新や正社員登用の条件まで確認し、現在の収入と比較しましょう。
障害者雇用の給料の実態と上げ方については、こちらの記事「障害者雇用の給料は安いのか?平均月収・年収と給料を上げる方法を解説」で詳しく解説しています。
出典:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」
配慮の内容は企業によって差がある
同じ障害者雇用枠でも、指示の出し方や勤務時間の調整など、実際に受けられる配慮は企業や仕事内容によって異なります。応募前には「どのような配慮がありますか」と聞くだけでなく、「口頭の指示をメールやチャットでも伝えてもらえますか」「複数の依頼が重なったとき、優先順位は誰に確認できますか」など、自分が困りやすい場面に合わせて確認しましょう。
合理的配慮の内容は、本人と企業が話し合って決まります。希望する方法が企業にとって過重な負担になる場合でも、そこで終わりではなく、負担の小さい別の方法を相談します。たとえば、常に専任者が隣で支援するのが難しい場合でも、手順書を用意し、決まった時間に担当者へ確認する方法なら対応できないかを話し合うことができます。
障害者雇用だから希望どおりの配慮が自動的に受けられると考えるのではなく、自分に必要な対応を整理したうえで、応募時や面接時に実現できる方法を具体的に確認することが大切です。
障害者雇用で配慮してもらえないときの対処法については、こちらの記事「障害者雇用なのに配慮してもらえない!4つの対処法と相談先・転職の判断基準」で詳しく解説しています。
出典:厚生労働省「合理的配慮指針」
ADHDの人が障害者雇用で受けられる配慮の例
厚生労働省の合理的配慮指針には、発達障害のある人への合理的配慮の事例が示されています。事例はあくまで例示であり、すべての事業主が必ず実施するものではなく、実際の配慮の内容は本人と事業主との話し合いで決まります。ここでは、ADHDの特性と関わりの深いものを紹介します。
出典:厚生労働省「合理的配慮指針」
業務指示やスケジュールを明確にし、指示を一つずつ出してもらう
合理的配慮指針では、発達障害のある人への配慮の事例として、業務指示やスケジュールを明確にし、指示を一つずつ出すことが挙げられています。ADHDのある人への配慮のポイントとしては、次のような例も示されています。
- 短く、はっきりとした言い方で伝える
- 指示は文書にして伝える
- 一度に多くのことを頼まない
- 締切や約束は、余裕を持って伝える
担当作業をメモ帳や手帳などでリストアップし、優先順位を明示する方法も有効とされています。
出典:厚生労働省「合理的配慮指針」・政府広報オンライン「発達障害に気付いたら?大人になって気付いたときの専門相談窓口」・高齢・障害・求職者雇用支援機構「5.障害特性と配慮事項 (8)発達障害」
作業手順を図などを使ったマニュアルにしてもらう
合理的配慮指針では、作業手順について図等を活用したマニュアルを作成することが事例として挙げられています。職場で確実に守るべきルールも、文章やメモにして図表などで具体的に示す方法があります。
手順を確認しながら作業できるため、手順の飛ばしや思い違いによるミスを防ぎやすくなります。
出典:厚生労働省「合理的配慮指針」・高齢・障害・求職者雇用支援機構「5.障害特性と配慮事項 (8)発達障害」
業務指導や相談の担当者を決めてもらう
合理的配慮指針では、業務指導や相談に関し、担当者を定めることが事例として挙げられています。誰に確認すればよいかが決まっていると、わからないことや困りごとをため込まずに相談できます。
また、できた点を具体的に伝え、うまくいかなかったときも叱責するのではなく手順や伝え方を一緒に見直すことも配慮のポイントです。
出典:厚生労働省「合理的配慮指針」・政府広報オンライン「発達障害に気付いたら?大人になって気付いたときの専門相談窓口」
通院や体調に合わせて出退勤時刻や休憩を調整してもらう
合理的配慮指針では、出退勤時刻・休暇・休憩に関して、通院・体調に配慮することが事例として挙げられています。発達障害者に配慮している事業所が行っている配慮でも、「休暇を取得しやすくする、勤務中の休憩を認める等休養への配慮」が61.2%で最も多く、「短時間勤務等勤務時間の配慮」が50.9%で続いています。
発達障害のある人が仕事を長く安定的に続けるためには、身体的・精神的な健康を維持することが欠かせないとされています。
出典:厚生労働省「合理的配慮指針」・厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」・高齢・障害・求職者雇用支援機構「5.障害特性と配慮事項 (8)発達障害」
周囲の従業員に障害の内容や必要な配慮を説明してもらう
合理的配慮指針では、本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明することが事例として挙げられています。周囲が特性を理解していると、指示の出し方の工夫などを職場全体で共有しやすくなります。
誰にどこまで説明するかは、本人の意向を踏まえて企業と相談しましょう。
出典:厚生労働省「合理的配慮指針」
障害者雇用と一般雇用、ADHDの人はどちらを選ぶべき?
障害者雇用が向いているADHDの人
障害者雇用は、企業が障害を把握したうえで採用するため、配慮を受けることを前提に働きやすくなります。次のような人は、障害者雇用を検討しましょう。
- ミスや抜け漏れが続き、指示の出し方や業務量の調整が必要な人
- 通院や体調に合わせて勤務時間を調整したい人
- これまで一般雇用で働き続けることが難しかった人
- 支援機関の定着支援を受けながら働きたい人
一般雇用から障害者雇用への切り替えについては、こちらの記事「一般雇用から障害者雇用への切り替え方!転職?今の会社に残る?2つの方法とおすすめ求人」で詳しく解説しています。
一般雇用が向いているADHDの人
一般雇用は、障害者雇用枠に限らず求人を選べるため、希望する職種や待遇を優先しやすくなります。次のような人は、一般雇用も選択肢になります。
- 自分なりの対処法で、ミスや抜け漏れを防げている人
- 必要な配慮が少ない人
- 希望する職種や収入を優先したい人
障害者手帳を持っていても一般求人に応募でき、手帳を持つ人の応募を障害者専用求人に限ることは、法で禁止する差別に該当するとされています。一方で、障害を開示せずに働く場合は、企業が障害を把握していないため、特性に合わせた配慮を受けにくくなります。
障害を開示して働くか開示せずに働くかについては、こちらの記事「障害者手帳を持つ人の就職はオープン・クローズどっち?障害者雇用枠のメリット・デメリットと選び方」で、障害者雇用から一般雇用への切り替えについては、こちらの記事「障害者雇用から一般雇用に切り替えて給料は上がる?実際の高待遇求人も切り替え前にチェック」で詳しく解説しています。
出典:厚生労働省「障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関するQ&A【第三版】」・厚生労働省「合理的配慮指針」
一般雇用で働く場合も、障害を開示すれば配慮を求められる
一般雇用でも、ADHDによって長期にわたり仕事に相当の支障がある人は、合理的配慮の対象です。障害者手帳を持っているかどうかだけで、合理的配慮の対象が決まるわけではありません。
ただし、企業が障害や仕事上の困りごとを把握していなければ、必要な配慮を検討することができません。配慮が必要な場合は、人事や上司に障害があることと、仕事で困っている場面を伝えましょう。
「どのような配慮をお願いすればよいか分からない」という場合も、「口頭の指示を覚えきれず作業に漏れが出る」「急な依頼が重なると優先順位が分からなくなる」など、具体的な困りごとを説明すれば、企業と対応方法を話し合えます。
そのため、一般雇用でも障害を開示して配慮を受けながら働く選択肢があります。障害者雇用と一般雇用のどちらを選ぶかは、必要な配慮だけでなく、希望する職種や収入、働き方もあわせて比較しましょう。
出典:厚生労働省「障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関するQ&A【第三版】」・厚生労働省「合理的配慮指針」
ADHDの人が障害者雇用で仕事を選ぶポイント
業務の手順やルールが明確か
ADHDのある人は、職場で仕事を順序通りにできないといった課題が生じることがあります。発達障害のある人への配慮としては、職場のルールを文章や図表で具体的に示すことや、担当作業の優先順位を明示することが挙げられています。
求人票や面接で、業務マニュアルの有無や指示の出し方を確認しましょう。
出典:高齢・障害・求職者雇用支援機構「5.障害特性と配慮事項 (8)発達障害」
複数の業務を同時に進める場面が少ないか
ADHDのある人の中には、複数の指示や割り込みが重なると、優先順位の整理や作業の切り替えに負担を感じる人がいます。配慮のポイントとしても、一度に多くのことを頼まないことが挙げられています。
複数の依頼が重なると優先順位が分からなくなる人は、作業の切り替えや割り込みがどのくらいあるかを確認しましょう。求人に「シングルタスク」と書かれていても、電話対応や急な依頼があるかは別に確かめる必要があります。面接では「作業中に別の依頼が入ったとき、優先順位は誰が決めますか」と聞くと、働き方を具体的にイメージできます。
出典:高齢・障害・求職者雇用支援機構「5.障害特性と配慮事項 (8)発達障害」・政府広報オンライン「発達障害に気付いたら?大人になって気付いたときの専門相談窓口」
興味や得意を活かせる業務か
ADHDのある人の得意なこととして、発想力や独創性、好奇心の強さ、行動力や決断力、興味のあることに対する抜群の集中力が挙げられています。発達障害のある人の雇用では、できる仕事と苦手な仕事を把握したうえで、本人の適性に応じた配置をすることが大切とされています。
興味を持てる分野や得意を発揮できる業務を選ぶと、集中力を活かしやすくなります。
ADHDの人に向いている職種については、こちらの記事「大人の発達障害に向いてる仕事はコレ!特性別の選び方・実際の求人おすすめ3選も紹介」で詳しく解説しています。
出典:政府広報オンライン「発達障害に気付いたら?大人になって気付いたときの専門相談窓口」・高齢・障害・求職者雇用支援機構「5.障害特性と配慮事項 (8)発達障害」
ADHDの人が障害者雇用で採用されるためのポイント
自分の特性と対処法を整理する
求人への応募前に、ミスが起きやすい場面、得意な作業、自分で行っている工夫を書き出しておきましょう。
整理には、厚生労働省の就労パスポートも活用できます。就労パスポートは、障害のある人が、働く上での自分の特徴やアピールポイント、希望する配慮などについて、支援機関と一緒に整理し、事業主などにわかりやすく伝えるためのツールです。採用面接時に職場の担当者へ説明し、職務の設定などの参考にしてもらうといった使い方ができます。
就労パスポートは、ハローワークや地域障害者職業センター、就労移行支援などの支援機関に相談し、自分の得意・苦手なことや必要な配慮を担当者と一緒に整理しながら作成します。
出典:厚生労働省「就労パスポート」・厚生労働省「第3回 精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会 資料」
必要な配慮を具体的に伝えられるようにする
採用時に配慮が必要な場合は、「仕事のどんな場面で困るのか」と「どのように対応してもらえると働きやすいのか」をセットで伝えましょう。希望する配慮を具体的に言葉にするのが難しい場合は、まず支障となっている場面を説明するだけでも構いません。
配慮の内容によっては企業側の準備に時間がかかるため、面接直前ではなく、できるだけ余裕を持って伝えておくと話し合いやすくなります。また、苦手なことだけでなく、自分で行っている対策もあわせて伝えると、企業側も必要なサポートをイメージしやすくなります。
【面接での伝え方の例】
- 「口頭で複数の指示を受けると、作業に漏れが出ることがあります。現在はメモとチェックリストを使っています。新しい作業では、締切と優先順位を文書で伝えていただけると、順番に確認して進められます。」
このように、「困る場面→自分で行っている対策→企業にお願いしたい配慮」の順に整理し、実際の経験に合わせて伝えましょう。
障害者雇用の面接で聞かれる質問と答え方については、こちらの記事「障害者雇用の面接で聞かれる質問16選!回答例・逆質問まで解説」で詳しく解説しています。
出典:厚生労働省「合理的配慮指針」
面接への支援機関職員の同席を相談する
合理的配慮指針では、発達障害のある人の募集及び採用時の配慮の事例として、次の2つが挙げられています。
- 面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること
- 面接・採用試験について、文字によるやりとりや試験時間の延長等を行うこと
合理的配慮の手続きにおいて障害者の意向を確認することが難しい場合は、就労支援機関の職員等に本人の補佐を求めても差し支えないとされています。支援機関を利用している場合は、担当者に面接への同席を依頼できるか相談しましょう。
出典:厚生労働省「合理的配慮指針」
ADHDの人が障害者雇用で就職するときに利用できる支援機関
就職に関する相談は、内容によって使いやすい支援機関が異なります。求人紹介や応募の相談をしたい人はハローワーク、仕事の得意・苦手や必要な支援を整理したい人は地域障害者職業センター、働く前に訓練や職場体験をしたい人は就労移行支援が主な相談先です。
診断前を含め、生活や仕事の困りごとを幅広く相談したいときは、発達障害者支援センターを利用できます。支援機関同士も連携しているため、どこへ相談すればよいか迷った場合は、まず最寄りの窓口で困っていることを伝えましょう。
ハローワークの専門援助部門
ハローワークには、障害のある人の就職を専門に支援する窓口があります。求職登録後は、専門の職員や職業相談員から、障害の特性や適性、希望職種に応じた職業相談や求人紹介を受けられます。
一部のハローワークには精神・発達障害者雇用サポーターが配置されており、就職準備から職場定着までの支援計画を立てたり、必要に応じて地域の支援機関につないだりしています。
より専門的な支援が必要な場合は、地域障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターなどを紹介してもらえます。
ハローワークの活用については、こちらの記事「ハローワークの障害者求人を紹介!良い求人に出会うコツは?」で詳しく解説しています。
出典:厚生労働省「ハローワークにおける障害者の就労支援」・発達障害ナビポータル「職業紹介」
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、発達障害のある人やその家族を対象に、日常生活、仕事、人間関係など幅広い相談に対応する専門機関です。就労についても相談でき、ハローワークや地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどと連携して必要な情報や支援につなげています。
必要に応じて、スタッフが就労先を訪問し、障害特性や仕事の適性について助言したり、作業工程や職場環境の調整を支援したりすることもあります。
「発達障害かもしれないが、まだ診断を受けていない」という段階でも相談先の一つになります。
出典:国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害者支援センターの事業内容」・政府広報オンライン「発達障害に気付いたら?大人になって気付いたときの専門相談窓口」
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターでは、ハローワークと連携しながら、就職前の相談や職業能力等の評価から、就職後の職場適応まで専門的な支援を行っています。
職業評価では、本人の希望や職業能力、仕事上の課題などを整理し、就職や職場定着に必要な支援内容をまとめた計画を作成します。
ジョブコーチによる職場支援も行っているため、「自分に合う仕事が分からない」「就職後の働き方まで調整したい」という人に向いています。利用したい場合は、最寄りの地域障害者職業センターへ事前に連絡しましょう。
出典:高齢・障害・求職者雇用支援機構「就職支援・相談窓口」・高齢・障害・求職者雇用支援機構「職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援」
就労移行支援
就労移行支援では、一般企業への就職を目指す障害のある人が、就労に必要な知識やスキルを身につける訓練、職場体験、求職活動の支援、就職後の定着に向けた相談などを受けられます。働き始める前に、ミスを防ぐ方法や自分に必要な配慮を整理したい人にも向いています。
障害者手帳がなくても、医師の診断書などで障害が確認され、利用要件を満たせば就労移行支援を利用できます。実際に利用できるかは市区町村が判断するため、手帳を持っていない人もまずは相談してみましょう。
就労移行支援の利用条件や対象者については、こちらの記事「就労移行支援の利用条件・対象者や料金・利用の流れを解説」で、事業所の選び方については、こちらの記事「【チェックリスト付き】就労移行支援の選び方!失敗しない事業所選び5つのポイント」で詳しく解説しています。
出典:厚生労働省「障害福祉サービスの内容」・国立精神・神経医療研究センター「障害者手帳・障害年金」
障害者雇用専門の転職エージェント
求人票だけでは、指示の出し方やマニュアルの有無といった職場の配慮の実態まで判断しにくいため、より詳細な職場環境や障害者雇用の実績を知りたい場合は、障害者雇用専門の転職エージェントに相談するのがおすすめです。
転職エージェントでは、担当者を通じて配慮の実績や業務の進め方を確認できるほか、特性や必要な配慮の伝え方を含めた選考対策を受けられます。
障害者専門のエージェントである障害者雇用バンクは、事務職からIT・クリエイティブ系の専門職、特例子会社の求人まで、幅広いタイプの求人を多数保有しています。業務マニュアルの整備やシングルタスクなど、ADHDの特性に合った配慮に対応している求人も選べます。また、入社後の定着支援も受けることができます。
障害者雇用バンクの就職サポート・転職サポートは、すべて無料で利用できます。ADHDの特性に合った職場を探したい場合は、こちらから会員登録のうえ、無料相談を活用してみるのも選択肢です。
【求人3選】ADHDの特性に配慮した障害者雇用の求人
ADHDの特性による困りごとは、指示の出し方や業務の進め方を工夫してもらうことで軽くなる場合があります。職場を探す際は、職種や給与だけでなく、どのような配慮に対応しているかまで確認することが大切です。
ここでは、ADHDの特性に配慮した働き方ができる、実際の障害者雇用枠の求人を3つ紹介します。求人を選ぶときは、次のポイントを確認しましょう。
- 業務マニュアルや指示の具体化など、作業の進め方への配慮があるか
- 一度に複数の業務を任されないなど、業務量や優先順位への配慮があるか
- 定期面談など、困りごとを相談できる機会があるか
※求人情報は2026年10月時点の内容です。募集状況や雇用条件は変更される可能性があるため、応募前に最新情報をご確認ください。
SBIインシュアランスグループ
【求人情報】
- 職種:事務補助(障害者枠)
- 雇用形態:正社員
- 業務内容:電話対応、書類ファイリング、郵便物の配布・仕分、その他庶務全般。業務内容は志向と適性をみて決定(配属先は同社または保険グループ)
- 給与・年収:2,500,000円~4,800,000円
- 勤務地:東京都港区六本木(泉ガーデンタワー)
- 応募資格:
・基本的なPCスキル(Excel、Word、PowerPointなど)がある方
・社会人経験のある方
・大学卒以上
こちらは、SBIインシュアランスグループ株式会社が募集している、事務補助の求人です。
障害への配慮としてシングルタスクとマニュアル完備が挙げられており、作業を一つずつ、手順を確認しながら進められます。業務には電話対応が含まれますが、電話応対も配慮の項目に入っているため、作業中にかかってくる電話が負担になる場合は、どこまで担当するかを相談できます。
定期面談の機会もあり、ミスが続く、業務が重なるといった困りごとを入社後に伝えやすい求人です。手順に沿って、一つずつ仕事を進めたい人に向いています。
SBIインシュアランスグループ株式会社の求人は、こちらからご覧ください。
パーソルダイバース
【求人情報】
- 職種:事務スタッフ(障害者枠)
- 雇用形態:正社員
- 業務内容:パーソルグループ各社から受託する事務業務。派遣就業条件の確認・登録、派遣スタッフの職歴情報の登録、派遣求人の修正・入力、派遣契約書の内容の突合など、Excelや専用システムを使用した入力業務が中心
- 給与・年収:月給207,000円~220,000円(別途賞与あり)
- 勤務地:五反田オフィス(東京都品川区)
- 応募資格:PC操作の経験がある方(Excel、Outlookなど。実務経験は問わない)
こちらは、パーソルダイバース株式会社が募集している、事務スタッフの求人です。
障害への配慮として指示内容のテキスト化とマニュアルの完備が挙げられており、口頭の指示を覚えきれずに作業が抜けやすい人も、文字で見返しながら進められます。コミュニケーションの範囲が決まっていて、質問先や相談先も明確なため、誰に確認すればよいか迷いにくい環境です。
相談の機会は、上司との月1回の面談に加え、外部の支援者を交えた定着支援担当者との面談もあります。支援機関と連携しながら、指示を文字で確認できる職場で長く働きたい人に向いています。
パーソルダイバース株式会社の求人は、こちらからご覧ください。
ソフィアメディ
【求人情報】
- 職種:人事・労務の事務(障害者枠)
- 雇用形態:アルバイト・パート
- 業務内容:田町本社の人事・労務での簡単なデータ入力、資料作成、給与計算関連、勤怠管理関連、事務手続き書類関連、資料の整理・ファイリング、梱包などの軽作業、その他庶務。経験や希望、得意なことを聞きながら業務内容を決定
- 給与・年収:時給1,200円~1,300円
- 勤務地:田町本社(東京都港区)
- 応募資格:
・1年以上継続した実務経験がある方
・田町本社に出社できる方
こちらは、ソフィアメディ株式会社が募集している、人事・労務の事務の求人です。
静かなオフィス環境で、ヘッドホンや耳栓の利用、昼休憩とは別のこまめな休憩も認められているため、周囲の音や人の動きで集中が途切れやすい人も作業に向き合いやすい環境です。指示の具体化とマルチタスクへの配慮も挙げられており、電話応対は必須ではありません。
勤務時間や勤務日数も相談できます。まずは短い時間から、得意な作業に合わせて担当を決めてもらいながら働き始めたい人に向いています。
ソフィアメディ株式会社の求人は、こちらからご覧ください。
まとめ:ADHDの人は配慮の内容を確かめて障害者雇用の職場を選ぶ
ADHDの人も、精神障害者保健福祉手帳を取得すれば障害者雇用率制度の対象となり、障害者雇用枠で働けます。企業で働く発達障害者のうち、ADHDの診断を受けている人は15.2%を占めています。
障害者雇用では、指示の出し方や作業手順、勤務時間などについて、自分の特性に合わせた配慮を企業と相談しながら働けます。一方で、求人によっては職種や業務の幅が限られていたり、勤務時間や雇用条件によって収入が低くなったりすることがあります。また、受けられる配慮の内容も企業によって異なります。
一般雇用でも、障害を伝えて申し出れば合理的配慮を求められます。必要な配慮の大きさと、希望する職種や収入を踏まえて働き方を選びましょう。仕事を選ぶ際は、手順やルールの明確さ、同時に進める業務の少なさ、得意を活かせるかを確認し、就労パスポートや支援機関を活用して必要な配慮を伝えることが大切です。
ADHDと障害者雇用に関するよくある質問
ADHDの診断があれば障害者手帳は取得できますか?
ADHDの診断があるだけで、必ず手帳を取得できるわけではありません。精神障害者保健福祉手帳の対象ですが、日常生活や社会生活への支障も審査されます。
診断書で申請する場合は、対象の精神疾患の初診日から6か月以上経過した時点の診断書が必要です。まずは主治医に相談しましょう。
ADHDで障害者手帳を取得する手順や等級については、こちらの記事「ADHDでの障害者手帳の申請方法・等級表とおすすめ求人3選」で詳しく解説しています。
出典:国立精神・神経医療研究センター「障害者手帳・障害年金」
障害者手帳がなくても職場で配慮を受けられますか?
はい。ADHDにより長期にわたって仕事に相当の支障がある人は、手帳がなくても合理的配慮の対象です。
必要な配慮があれば、障害と困っている場面を人事や上司に伝えましょう。一方、ADHDを理由に企業の障害者雇用率へ算入されるには、精神障害者保健福祉手帳が必要です。
出典:厚生労働省「障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関するQ&A【第三版】」・厚生労働省「合理的配慮指針」
障害者雇用で働きながら障害年金を受け取れますか?
はい。障害者雇用で働きながら、障害年金を受け取ることは可能です。
働いていることだけで受給の可否が決まるわけではなく、障害の状態や日常生活の支障、職場で受けている援助などから判断されます。初診日や保険料納付などの要件もあるため、年金事務所に確認しましょう。
ADHDで障害年金を受給できるかについては、こちらの記事「ADHDで障害年金は貰える?不支給になる3つの原因と認定基準をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。
出典:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(第8節 精神の障害)」・日本年金機構「障害年金」
ADHDであることは職場の全員に知られますか?
必ずしも職場の全員に伝わるわけではありません。合理的配慮指針では、他の労働者に障害の内容や必要な配慮を説明する場合も、本人のプライバシーに配慮した上で行うこととされています。合理的配慮に関する相談者の情報についても、事業主はプライバシーを保護するために必要な措置を講じることとされています。
誰にどこまで伝えるかは、入社前や配属時に人事担当者と相談して決めましょう。
出典:厚生労働省「合理的配慮指針」
