精神障害で障害者手帳を取得するメリット3選!対象疾患や取得手順・おすすめ求人も紹介
うつ病などの精神障害や、ADHDなどの発達障害を持っている場合、障害者手帳の取得対象となります。 今回は、障害者手帳を取得するメリットについて、具体例を挙げながら解説します。
精神障害での障害者手帳取得のメリット
障害者手帳を取得することには、様々なメリットがあります。
障害者雇用で働ける
障害者手帳を取得すると、障害者雇用での就労ができるようになります。障害者雇用とは、障害者手帳を所有している人だけを対象とした雇用枠で、障害に対する合理的配慮を受けながら働くことができます。 【合理的配慮の例】
- 業務内容の調整
- 勤務時間の調整
- 通勤時間の変更
- 定期的な面談など
障害内容に合わせて、無理のない範囲で働けるようになるため、就労による心身への負担を軽減することができます。 障害者雇用については、こちらの記事「【求人6選】障害者枠の給料だと生活できない?実際の求人とともに給料アップの方法を解説」でも詳しく解説しています。 <特例子会社での就労> 障害者雇用での就労の場合、一般企業だけでなく特例子会社でも就労することができます。特例子会社とは、大手企業が障害者の就労機会を創出することを目的に設立する子会社で、一般企業の障害者雇用以上に徹底した配慮を受けながら働くことができます。 特例子会社については、こちらの記事「特例子会社の給料を実際の求人4選とともに紹介!ボーナスや向いている人の特徴も解説」にて詳しく解説しています。 <障害者向けサテライトオフィスでの就労> 障害者雇用での一般就労には、ほかにも「障害者向けサテライトオフィスでの就労」という選択肢があります。これは、一般企業に障害者枠で所属しながら、障害者向けのサテライトオフィスで業務を行う就労方法です。 サテライトオフィスは、バリアフリーな職場環境が整っているほか、支援員が常駐しており、就労において困ったことが起きたり、不安があったりする時にはすぐに相談することができます。 障害者向けサテライトオフィスについては、こちらの記事「障害者向けサテライトオフィスとは?働き方やメリット・デメリットを解説!」にて詳しく解説しています。
就労支援も利用可能
障害者手帳を取得すると、就労移行支援や就労継続支援を利用できるようになります。 <就労移行支援> 就労移行支援とは、一般就労で役立つ業務スキルを学びながら、就職活動や転職活動の支援を受けられる就労支援サービスです。 就労移行支援で学べる業務スキルや知識は以下の通りです。
- プログラミング
- Excel word
- 軽作業
- CAD設計
- グラフィックデザイン(IllustratorやPhotoshop)
- グループワーク
- ビジネスマナー
就労移行支援は、体調が不安定なため時間をかけて就職準備をしたい人に最適なサービスです。就労移行支援については、こちらの記事『「就労移行支援」は「就労継続支援」とどう違う?メリットとデメリットも解説!』にて詳しく解説しています。 <就労継続支援> 一方、就労継続支援は事業所で業務や作業を行い、それに対する給与や工賃を受け取ることができる就労支援サービスです。 就労継続支援には、雇用契約を結ぶA型事業所と結ばないB型事業所の2種類があります。 【就労継続支援での業務例】
- 事務作業
- 軽作業
- プログラミング
- Webデザイン
- 清掃業
- 接客業
- 農業など
就労継続支援は、現時点で一般就労が難しい人が、賃金を受け取りながら働くことに慣れる時間を作ることができます。就労継続支援については、こちらの記事「就労継続支援A型とは?手取り額やB型との違い・仕事内容を徹底解説!」「就労継続支援B型はどんな人におすすめ?作業内容や工賃を徹底解説!」にてそれぞれ詳しく解説しています。
金銭的な支援を受けられる
障害者手帳を取得することには、金銭的なメリットもあります。 【金銭的な支援の例】
- 公共交通機関の割引(JR・地下鉄・新幹線・都営バス・飛行機など)
- 娯楽施設の割引(映画館・水族館・遊園地など)
- 公共施設の割引・無料化(動物園・美術館など)
- NHK受信料の免除
- 携帯電話料金の割引
- 税金の控除
- 医療費扶助
- 障害者手当の支給
- 障害年金の支給
交通機関や娯楽施設などの割引額はそれぞれ異なりますが、2~5割程度が一般的です。 また税金の控除も大きなメリットです。障害者手帳の取得に伴う、所得税と住民税の控除額は、以下の通りです。 <所得税と住民税の控除額>
- 障害者…所得税:年間27万円、住民税:26万円
- 特別障害者(※1)…所得税:年間40万円、住民税:30万円
- 同居特別障害者(※2)…所得税:年間:75万円、住民税:53万円
出典:国税庁・新宿区 (※1)特別障害者…身体障害者手帳1・2級、精神障害1級等、重度の障害を持つ人 (※2)同居特別障害者…次の3つの条件を満たす人:①特別障害者(重度の障害者:身体障害1級・2級、精神障害1級、または同等の人)②扶養親族であり、納税者と生計を一にしている ③納税者と同居しており、日常的に面倒や介護を受けている 所得税控除を受けられることによって、手取り額が増加します。 他にも、手当金を受け取れる可能性もあります。例えば川崎市の場合、障害により日常生活に著しい制限を受けている人に対して、「特別障害者手当」として月額で28,840円を支給しています。支給額や支給条件については地域によって異なるため、受給を希望する場合は役所に確認してみるようにしましょう。
障害者手帳の取得には基本的にデメリットはない
障害者手帳を取得すると多くのメリットを享受することができ、デメリットは基本的にありません。 障害者手帳を取得することで、障害者雇用での就労が可能となりますが、それによって一般枠での就労ができなくなるということはありません。 一般枠での就労を希望する場合、選考や働き方は健常者と同様になるものの、障害への配慮がない環境でも問題がない人であれば、障害者手帳の取得後も一般枠での就労が可能です。 障害者手帳を持つことで、正式に障害者と認定されることに抵抗感がある人もいるかもしれません。しかし、障害者手帳を取得しない限り、障害に対する様々な支援を受けることはできないため、障害者手帳の取得条件を満たせる可能性がある場合は、まずは障害者手帳の交付申請をしてみることをおすすめします。 なお、障害者手帳の取得に関してあえてデメリットな面を挙げるとすると、取得に費用が発生する点と、時間がかかる点です。まず、障害者手帳の申請には診断書の提出が必要となります。この診断書の発行には費用が発生し、相場としては、5,000円~11,000円程度となります。 また、精神障害による障害者手帳の申請は、初診日から6ヶ月以上の時間が経っていることが条件として求められます。そのため、症状があるからといってすぐに手帳を取得することはできません。また、申請後も手帳が届くまでに1ヶ月程度のタイムラグがあるため、その点にも注意が必要です。 出典:国立国際医療研究センター
精神障害者手帳を取得するには?
精神障害者手帳の取得条件や取得手順について解説します。
精神障害者手帳の取得対象
精神障害者手帳の正式名称は「精神障害者保健福祉手帳」で、うつ病などの精神障害やAHDHなどの発達障害によって、生活に影響が出ている人を対象とした障害者手帳です。 精神障害者保健福祉手帳の対象になる障害は以下の通りです。 【精神障害】
【発達障害】
出典:厚生労働省 主に上記の障害によって、日常生活や社会生活に影響が出ている場合に、障害者手帳を取得することができます。また、精神障害と発達障害は、障害の重さによって1級~3級に分類されます。
- 1級:精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
- 2級:精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
- 3級:精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの
出典:厚生労働省 障害者手帳の申請には、主治医の判断が基準となり、診断書も必要になるため、取得を希望する場合は主治医に相談するところからスタートしましょう。
精神障害者手帳の取得手順
障害者手帳の取得手順は以下の通りです。
- STEP.1:主治医に相談
- STEP.2:役所に必要書類を提出し、申請
- STEP.3:手帳の発行を待つ
障害者手帳の申請には、主治医が発行した診断書が必要です。そのため、精神障害での初診日から半年経過するタイミングの少し前から、主治医に障害者手帳の取得を希望する旨を伝えましょう。その後、居住地の役所に診断書と、役所で配布されている「精神障害者保健福祉手帳申請書」、証明写真(縦4cm・横3cm)を提出し、申請を行います。 障害者手帳の申請後、審査が通った際には、通常「手帳交付が確定した」という連絡が来ることが多いですが、これは市区町村や手帳の種類(身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳)によって異なる場合があります。
一般的な連絡の流れ
1.審査完了後の連絡 市区町村の福祉課や窓口から、電話や郵送で「手帳交付準備が整いました」などの通知が送られます。 この連絡をもって、手帳の交付が確定したことがわかります。 2.交付通知書の送付 一部の市区町村では、郵送で「交付通知書」が届き、それを持参して手帳を受け取りに行くよう案内されます。 3.直接の電話連絡 自治体によっては、直接電話で「手帳の交付が可能です」と伝えられることがあります。 交付の確定後、障害者手帳が手元に届くまでの期間の目安は次の通りです。
- 窓口で受け取る場合…数日~1週間程度
- 郵送で受け取る場合…1週間~10日程度
なお、手元に障害者手帳が届いていなくても、障害者手帳の取得が確定している状態であれば、障害者雇用での選考に参加することができます。内定後、入社時点では障害者手帳が手元にあることが求められるため、その点は注意しましょう。
精神障害のある人におすすめの求人3選
マイナビパートナーズ
【求人情報】
- 職種:軽作業・データ入力(障害者枠)
- 雇用形態:正社員
- 業務内容:郵便物の仕分け、名刺や営業資料の印刷、ファイリング作業、データ入力など
- 給与・年収:2,600,000円~3,200,000円
- 勤務地:東京本社
- 応募資格:パソコンの基本操作ができること
こちらは株式会社マイナビパートナーズが募集している、軽作業と一般事務を担当する求人です。 マイナビグループの特例子会社であるため、手厚い配慮を受けながら働くことができます。また、業務内容も単純作業が多く、一度覚えることができればスムーズに業務をこなすことができるようになるため、働くことに慣れていない人でも安心して就労することができます。 株式会社マイナビパートナーズの求人はこちらからご覧ください。
SHIFT
【求人情報】
- 職種:Web・アプリテストエンジニア(障害者枠)
- 雇用形態:正社員
- 業務内容:ソフトウェア・アプリ・Webサイトについてテスト実行・バグの報告、テスト以外の庶務業務(マニュアル作成やデータ登録など)
- 給与・年収:2,160,000円~2,400,000円
- 勤務地:東京本社
- 応募資格:Excel:初級レベル(表計算、四則演算)
こちらは株式会社SHIFTが募集している、Web・アプリテストエンジニアの求人です。 社内で作成されたソフトウェアやアプリの動作をチェックするためのテスト業務を主に担当します。業務は、事前に用意された手順書に従って進めることになるため、臨機応変な対応が苦手な人でも作業に集中することができます。 株式会社SHIFTの求人はこちらからご覧ください。
NSユナイテッド海運
【求人情報】
- 職種:人事総務(障害者枠)
- 雇用形態:嘱託社員
- 業務内容:労務、人事、採用、教育、庶務などの業務の中から、経験をもとに担当業務を決定
- 給与・年収:3,500,000円~6,000,000円
- 勤務地:東京本社
- 応募資格:人事・総務業務経験1年以上
こちらはNSユナイテッド海運株式会社が募集している、人事総務のポジションの求人です。 社内規定や勤怠に関する労務業務や、入退社や採用に関する人事業務など、人事総務部が担っている領域から、適正を踏まえて担当業務が決定します。 人事、労務、総務のポジションでのキャリアアップを検討している人におすすめの求人です。 NSユナイテッド海運株式会社の求人はこちらからご覧ください。
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