「就労移行支援は意味ないからやめとけ」は嘘!注意点とメリットを解説
「就労移行支援はやめた方がいい」「通っても就職できない」 こんな話を聞いたことはありませんか? 今回は、就労移行支援に通うべきではないと言われている原因について解説しました。
就労移行支援とは?
就労移行支援は、一般就労を目指す障害者や、難病を持った人を対象とした、就労支援事業所です。 一般就労に必要な知識や業務スキルを身につけるための訓練を受けながら、就職活動の直接的な支援も受けることができます。 また就職後の定着支援まで行っているため、就職活動のスタートから就職後まで、包括的なサポートを受けられます。 就労移行支援については、こちらの記事『「就労移行支援」は「就労継続支援」とどう違う?メリットとデメリットも解説!』にて詳しく解説しています。
また、私たち障害者雇用バンクでは、就労移行支援事業所「エラビバ就労支援」を運営しています。関東で就労移行支援事業所をお探しの場合は、ぜひ無料見学にお越しください。
就労移行支援はやめとけ」と言われる理由
Googleなどで「就労移行支援」と検索すると、検索予測に「就労移行支援 やめとけ」と表示されることがあります。 そう言われている理由について解説します。
粗悪な事業所が存在する
就労移行支援事業所の運営者は、通所人数に応じて国から助成金が受け取れます。 そのため、その助成金だけを目当てに運営している粗悪な事業所も全国3,300事業所の中には存在します。 そういった事業所は、通所者を増やすことだけが目的になっていて、通所者が就職できるかどうかは二の次と考えているため、就職支援の質が低くなっていることがあります。 もしそのような事業所を選んでしまうと、就職できる確率が下がってしまい、結果的にただ無駄に時間を過ごしてしまうことになる可能性があります。 このように粗悪な事業所に通所した人が、「就労移行支援の利用はやめた方がよい」と考えるようになってしまった、というわけです。
基本的にアルバイトが禁止されている
就労移行支援を利用している間は、基本的にアルバイトなどをしてお金を稼ぐことが禁止されています。 そのため、就労移行支援の通所中に生活費が底をついてしまい、中途半端なタイミングで通所を諦めてしまう人も少なくありません。 しかし、アルバイト以外でも就労移行支援への通所を続けための生活費を賄う方法はあるため、お金に余裕がない人は下記の方法を検討してみることをおすすめします。 【通所しながら生活費を賄う方法】
- 失業保険
- 傷病手当金
- 障害年金
- 給付金
- 生活保護
就労移行支援を利用しながら生活費を賄う方法については、こちらの記事「就労移行支援でお金がなくても生活費を得る!失業保険や給付金を紹介」にて詳しく解説しています。
確実に就職できるわけではない
就労移行支援は、基本的に一般就労を目指すために利用されるケースが多いです。 そのため、企業で仕事をこなすための知識や業務スキルを身につけることを目的とした様々なカリキュラムが組まれています。 しかし、就労移行支援を利用したからといって、確実に就職できるわけではありません。 過去には、利用者の半数近くが就職できなかったというデータも出ています。 就職できなかった原因としては、通所日数の不足やスキルの熟練度不足などが挙げられます。 つまり、就労移行支援を利用して就職の可能性を引き上げるためには、カリキュラムを適切にこなし、就職するための強みを作ることが非常に重要になります。
就労移行支援のメリット
就労移行支援の利用が不安という人に向けて、就労移行支援を利用するメリットを解説します。
選考に通りやすくなる
自分1人での就職活動に比べて、就労移行支援を利用すると選考に通りやすくなります。 【選考に通りやすくなる理由】
- 実務で役立つ業務スキルが学べる
- 選考のアドバイスをもらえる
- 自分に合った求人を提案してもらえる
就労移行支援と他の就労支援サービスとの一番の違いは、実践的なスキルが学べる点です。 事務職で活用するOfficeソフト(ExcelやWord)やプログラミング、Webデザインなど、自分が目指すキャリアに沿ったスキルを学べます。 またそれ以外にも、プロ目線で就職活動のアドバイスを受けながら自分に合った求人に挑戦できるようになるため、自分1人で就職活動をするよりも内定を獲得できる確率が高くなります。
収入の大幅増加を目指せる
また、就労移行支援に通うことで、長期的な目線で見れば収入を増やすことにつながります。 例えば、プログラマー職に就きたい場合、プログラミングの知識ゼロでは選考を通過するのは困難ですが、就労移行支援でプログラミングを学ぶことで、実務未経験からでもプログラマーとしての就職が現実的になります。 プログラマーの求人は、軽作業やデータ入力の求人と比較すると給与が高く、初任給で月給20万を超える求人も少なくありません。
【求人情報】
- 職種:プログラマー(障害者枠)
- 雇用形態:正社員
- 業務内容:さまざまなシステム開発に従事しプログラミング等の作業
- 給与・年収:21万円~25万円
- 応募資格:プログラミングの経験(実務未経験OK)※3ヶ月程のプログラミング研修あり
たプログラマーとして経験を積み、SE(システムエンジニア)へキャリアアップし、さらに経験を積むことで年収600万超えも目指すことができます。
【求人情報】
- 職種:Web・オープン系システム開発(障害者枠)
- 雇用形態:正社員
- 業務内容:システム開発プロジェクトにおける詳細設計、プログラミング、テストなどの開発業務 言語:Java・javaScript・PHP・Ruby等
- 給与・年収:32.1万円~73.1万円
- 応募資格:Web・オープン系システム開発1年以上
就労移行支援で学ぶことができるプログラミング言語の例を以下に列挙します。 【就労移行支援で学ぶことができるプログラミング言語】
- Java
- python
- HTML
- CSS
- JavaScript
- PHPなど
スクールに通う費用がかからない(無料で専門的なスキルを学べる)
未経験からプログラマーやWebデザイナーなどの専門職に就く方法の1つに、民間のスクールに通い、業務スキルを身に着けてから選考を受け、就業するという方法もあります。 しかし民間のスクールは、月額で10万円以上することが多く、優良スクールの場合は20万〜60万円することもあります。また場合によっては入会料金や教材費も別途でかかることもあります。 それに対し、就労移行支援は9割以上の人が無料で利用できているため、民間のスクールに通うより、お金をかけずに専門的なスキルを学ぶことができます。 また前述の通り、専門的なスキルを学ぶことで一般雇用と変わらない程度の初任給(20万前後)で就職できたり、将来的には600万円以上の年収を目指せるようにもなります。 出典:WorkshipMAGAZINE
就労移行支援を活用してもうまくいかない人の特徴
就労移行支援を利用するメリットとして、選考を通過できる可能性が高くなると解説しましたが、人によっては就労移行支援を利用しても就職がうまくいかない場合があります。 【就活がうまくいかない人の特徴】
- 安定して通所できなかった
- 就職活動の準備が不十分だった
- 質の悪い事業所に通っていた
就労移行支援は、週1日からの通所が可能ですが、通所期間の上限が2年間と定められています。そのため、週1〜2日程度の通所を繰り返していると、十分にカリキュラムをこなせません。 また、就労移行支援では様々な就職活動のサポートを受けられますが、もちろん自分自身でも就活の準備は必要です。特に障害者雇用で働く場合は自己分析が重要になるため、そこが不十分だと就職できる確率は下がってしまいます。 就労移行支援を活用しても上手くいかない人の特徴については、こちらの記事「就労移行支援で就職できなかった?解決法とおすすめの就職先を紹介」にて詳しく解説しています。
就労移行支援を活用して就職するためのポイント
就労移行支援を活用して、就職するために重要な4つのポイントを解説します。
優良な事業所を選ぶ
繰り返しになりますが、就労移行支援事業所には粗悪な事業所も存在します。そのため、そういった粗悪な事業所ではなく、信頼できる優良な事業所を選びましょう。 【優良な事業所を選ぶポイント】
- 入所前に見学に行く
- 過去の就職実績を確認する
- 役所やハローワークに紹介してもらう
就労移行支援では、申し込み前に事業所での相談、見学が行えるので、自分に合った事業所かどうかを自分の目で確認しましょう。 また過去の就職実績を確認したり、役所やハローワークに紹介してもらったりすることでも、優良な事業所に通える確率が高くなります。
自分の目指すキャリアに合ったスキルを身につける
就労移行支援では、全ての事業所で同じカリキュラムを実施しているのではなく、各事業所ごとに設定されています。 そのため、自分が学びたいスキルをカリキュラムに組み込んでいる事業所を選びましょう。 事務職を目指すのであれば事務関連の業務スキル(Excel、Word)プログラマーを目指すのであればプログラミングと、自分の目指すキャリアに合わせたスキルを身につけるようにしましょう。
選考対策を十分に行う
就労移行支援は、あくまで就職支援機関なので、頼りきりになるのではなく自分でも選考対策を行う必要があります。 中でも、障害者雇用で働く場合は、障害理解を深めることが重要です。 【障害理解のポイント】
- 障害の症状・特性
- 仕事への影響
- 必要な配慮・不要な配慮
- 通院・服薬の有無
- 発作が起きた場合の対応
これらの情報を選考でしっかりと伝えることで、会社側も安心して採用できるようになります。 障害者枠で働く場合、障害について事前に説明しておくことは義務になりますので、主治医や家族の力も借りながら、障害理解を深めましょう。
就職先の選択肢を増やす
障害者雇用で働く場合、一般企業で正社員として働く以外にもいくつかの選択肢があります。 【就職先の選択肢例】
- 特例子会社
- 障害者向けサテライトオフィス
- パート勤務
特例子会社は、大手企業が障害者の就労機会を増やすために設立した子会社です。会社自体が障害者を雇う前提で設立されているため、バリアフリー設備はもちろん、勤務時間の配慮や定期面談制度、休憩室の設置など、安心して働ける環境が整っています。 障害者向けサテライトオフィスは、自分が所属している企業ではなく、別の企業が運営している障害者向けのオフィスで業務を行う働き方です。サテライトオフィスの主な従業員は障害当事者で、サテライトオフィスを運営する企業の支援員が常駐しているため、適切な配慮を受けながら仕事をすることができます。 これらの働き方はどちらも、一般企業で働く以上に障害に対する徹底した配慮を受けながら働ける反面、業務内容が単純だったり給与が低かったりする傾向があります。 ですが、その分就職するハードルも下がるので、一般企業への就職に自信がない場合は選択肢に入れることをおすすめします。 特例子会社と障害者向けサテライトオフィスについては、こちらの記事「特例子会社で働くメリット・デメリットと実際の求人例を紹介」「障害者向けサテライトオフィスとは?働き方やメリット・デメリットを解説!」にて、それぞれ詳しく解説しています。
通所する余裕がない場合は就職支援サービスを利用しよう!
就労移行支援に通う時間的な余裕や、生活費が確保できない場合は、転職エージェントなど就職支援サービスを利用しましょう。
料金 | 運営方法 | サポート体制 | 求人の数 | 求人の質 | 拠点 | |
ハローワーク | 無料 | 税金で運営 | 担当者ごとにばらつきあり | 多い | 玉石混交 | 全国各地 |
転職エージェント | 無料 | 企業から紹介料を得て運営 | 専門の転職コンサルタントが手厚くサポート | 少ない(ハローワークと比較すると) | 選ばれた求人のみ掲載 | エージェントによる ※Web会議や電話で相談できる場合もある |
ハローワーク
ハローワークは公的な就労支援機関で、障害者雇用専門の窓口があります。 ハローワークでは、求人の紹介をはじめとした就職活動全般の支援を受けられます。 また、ハローワークから職業訓練校の紹介を受けることで、就労移行支援のように就職に役立つ専門的なスキルを学ぶことも可能です。 ハローワークと職業訓練校については、こちらの記事「ハローワークの障害者求人を紹介!良い求人に出会うコツは?」「障害者のためのプログラミング訓練を活用してエンジニアになる方法」にて、それぞれ詳しく解説しています。
転職エージェント
転職エージェントは、民間企業が運営する就労支援サービスで、ハローワークと同じように障害者雇用専門のサービスがあります。 支援内容もハローワークと近しいサポートが受けられますが、紹介を受ける求人には違いがあります。ハローワークは企業側が無料で求人を掲載できるため、求人の数は多くなりますが、質の悪い求人が含まれているケースもあります。(いわゆるブラック企業など) それに対し転職エージェントは、企業側が採用決定時にエージェントに対してお金を払うシステムになっていることもあり、求人数はハローワークに比べると少なくなりますが、人気企業の求人や高収入の求人など、質の良い求人が多くなります。 またハローワークやインターネット上に公開されていない非公開求人の紹介を受けられることも大きなメリットです。 ハローワークと転職エージェントは、難しい手続きもなく無料で全てのサービスを利用できるため、就労移行支援に通うことが難しい人はぜひこれらを活用しましょう。
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