障害者雇用で社内ニートになったら?5つの原因と抜け出す方法・転職の判断基準を解説
障害者雇用で入社したものの、任される仕事がほとんどなく、席に座っているだけで一日が終わる。こうした状態は社内ニートと呼ばれます。 社内ニートの状態は、本人の努力不足ではなく、企業側の業務設計や受け入れ体制によって起きることが少なくありません。仕事がない時間と担当できる業務を整理して上司や人事に伝え、必要に応じて支援機関にも相談することで、状況の改善につなげられます。 この記事では、障害者雇用で社内ニートが生まれる5つの原因と、本人ができる抜け出し方、仕事を任せる仕組みを整えている企業の事例、転職を考えるときの判断基準を解説します。
障害者雇用の社内ニートとは?仕事がない状態が生まれる背景
社内ニートとは、出社しても任される仕事がほとんどない状態
社内ニートは、法律や制度で定められた用語ではありません。会社に在籍して出勤しているものの、任される仕事がほとんどなく、就業時間の大半を手持ち無沙汰のまま過ごす状態を指す言葉として使われています。 障害者雇用では、次のような状態が社内ニートと呼ばれることが多くあります。
- 入社時に説明された業務がほとんど発生せず、1日の大半が待機になっている
- 頼まれる仕事が単発の雑用だけで、担当業務と呼べるものがない
- 上司や同僚から指示や声かけがなく、何をすればよいか分からないまま席にいる
- 手が空いていることを伝えても、新しい業務が用意されない
「仕事が暇すぎる状態」は、担当業務はあるものの仕事量が少なく、手が空く時間が多い状態です。一方、社内ニートは、任される担当業務そのものがほとんどなく、1日の大半を仕事がないまま過ごしている状態を指します。
社内ニートは企業側の業務設計や受け入れ体制が原因になることが多い
障害者雇用で仕事を任されない状態は、本人の能力や意欲ではなく、企業側が任せる仕事を十分に用意できていないことが原因になるケースが多くあります。 障害者を雇用している事業所への調査では、「会社内に適当な仕事があるか」を雇用上の課題として挙げた割合は、
- 身体障害者:77.2%
- 知的障害者:79.2%
- 精神障害者:74.2%
- 発達障害者:76.9%
となっています。 また、「障害者を雇用するイメージやノウハウがない」と答えた事業所も多く、どの仕事を任せればよいのか、どのように業務を切り出せばよいのかを企業側が整理できていないケースもあります。 そのため、仕事を任されていないからといって、「自分に能力がないからだ」と考える必要はありません。次項では、社内ニートが生まれる具体的な原因を見ていきます。 出典:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」
障害者雇用で社内ニートが生まれる5つの原因
1. 雇用率の達成が目的になり、仕事の設計が後回しになっている
厚生労働省は、障害のある社員が担当する業務を選ぶ際、職務整理表や社内アンケート・ヒアリングを活用して業務を整理・創出する方法を、望ましい取組として示しています。 採用だけを先行させ、担当業務の設計が不十分なまま配属すると、入社後に任せる仕事がなくなる原因になります。 企業は、担当業務の選定や切り出しについて、ハローワークや地域障害者職業センターから支援を受けることもできます。企業側はこうした支援も活用しながら採用前に業務を整理しておくことが重要で、準備が不十分なまま採用が進むと、入社後に仕事を任せてもらえない状態につながります。 出典:厚生労働省「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント」
2. 得意なこと・できることが配属先に伝わっていない
雇用上の課題として「採用時に適性、能力を十分把握できるか」を挙げた事業所は、発達障害者で42.9%、精神障害者で42.2%、知的障害者で40.0%となっています。 厚生労働省は、障害者には専門性のある仕事や高度な仕事は無理という思い込みは禁物であり、業務を細分化することで特性に合った作業が見つかる可能性があるとしています。 できる業務やこれまでの経験が配属先に伝わっていないと、任せられる仕事の範囲が実際より狭く見積もられ、結果として何も任されない状態になりやすくなります。 出典:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」・厚生労働省「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント」
3. 入社時の配慮のまま業務量が見直されていない
障害者雇用では、入社直後の体調や習熟度に合わせて、業務量を少なめに設定することがあります。合理的配慮指針でも、本人の状況を見ながら業務量を調整したり、習熟度に応じて徐々に仕事を増やしたりすることが示されています。 一方で、仕事に慣れてできることが増えたあとも、入社時の少ない業務量がそのまま続くと、手が空く時間が増え、社内ニートの状態につながります。 本来は本人の状態や仕事への慣れに合わせて配慮の内容も変わっていくものですが、入社時に決めた業務量が固定されたままになることで、実際にできる仕事より少ない業務しか任されない状態が生まれます。 出典:厚生労働省「合理的配慮指針」
4. 指示を出す担当者が決まっていない
合理的配慮指針では、採用後の配慮の例として、業務指導や相談に関する担当者を定めることが挙げられています。 厚生労働省は、就業場所に管理者がいないままメールなどで業務指示を行うと、誰から指示を受ければよいのか分かりにくくなると指摘しています。そのため、特に本社から離れた職場では、仕事の指示や相談を担当する人を明確にし、本人の特性に合わせてサポートできる体制を整えることが重要としています。 誰が仕事を依頼し、誰に相談するのかが決まっていない職場では、業務の指示ルートが曖昧になり、仕事が回りにくくなります。 出典:厚生労働省「合理的配慮指針」・厚生労働省「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント」
5. 入社後に状況を見直すフォロー体制がない
入社時に担当業務を決めても、実際に働き始めると、「想定より早く仕事が終わる」「もっと担当できる業務がある」といった変化が出てきます。こうした状況を定期的に確認する仕組みがないと、仕事が少ない状態がそのまま続きやすくなります。 特に、次のような職場では注意が必要です。
- 上司や人事との定期面談がなく、業務量を見直す機会がない
- 本人の習熟度や「もっと仕事を増やしたい」という希望を確認していない
- 上司や人事が、実際にどのくらい仕事があるのか把握していない
- 必要な場合でも、就労支援機関など外部の支援者と連携する仕組みがない
就労移行支援を利用して就職した人は、就労定着支援などを通じて、企業と支援機関が連携しながら働き方を調整することもできます。 仕事が少ない状態を固定化させないためには、入社後も定期的に業務量や担当業務を見直せる環境が重要です。 就労移行支援の利用条件や流れについては、こちらの記事「就労移行支援の利用条件・対象者や料金・利用の流れを解説」で詳しく解説しています。 出典:厚生労働省「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント」・厚生労働省「障害福祉サービスの内容」
社内ニートの状態を放置すると起きること
働く意欲が下がり、出勤自体がつらくなる
手が空いている時間が長くなると、職場で必要とされていないように感じることがあります。仕事を任されない状態が続くと、職場に貢献できている実感を持ちにくく、働く意欲の低下につながります。 意欲の低下は、勤怠や体調にも影響します。我慢を続けず、早い段階で相談することが大切です。 出典:厚生労働省「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント」
職歴に書ける経験が積み上がらない
社内ニートの期間が長引くと、担当業務や成果として説明できる経験が増えず、異動や転職の際にアピールできる実績が限られます。 厚生労働省も、雇入れ後はさまざまな業務に取り組む機会を設け、キャリア形成を見据えて継続的に能力を伸ばせる環境を整えることが望ましいとしています。 仕事がほとんどない状態が続いている場合は、今の職場で今後どのような経験を積めるのかという視点でも、早めに状況を見直すことが大切です。 出典:厚生労働省「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント」
周囲の目が気になり、職場に居づらくなる
同僚が忙しく働くなかで自分だけ手が空いていると、周囲からどう見られているかが気になり、席にいること自体が負担になります。 厚生労働省は、障害者雇用の意義や働くうえで必要な合理的配慮について社内の理解を促すことをポイントに挙げています。周囲の理解が進んでいない職場では、孤立しやすくなります。 居づらさを感じている場合は、社内の相談窓口や支援機関に早めに伝えましょう。 出典:厚生労働省「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント」
評価されにくくなり、昇給やキャリアアップにつながらない
担当業務が少ないままだと、評価につながる成果を示しにくく、昇給や昇格の機会を得にくくなります。 厚生労働省は、能力開発の取組と併せて人事評価制度や報酬、昇格などの待遇制度を構築し、周知することが重要としています。障害の有無にかかわらず同一の報酬・等級制度を運用している例や、専門職としてのレベルアップも評価する2軸の評価制度を設けている例も示されています。 担当業務と成果が明確になるほど、人事評価や昇給・キャリアアップにつなげやすくなります。 障害者雇用の給料の内訳と上げ方については、こちらの記事「障害者雇用の給料は安いのか?平均月収・年収と給料を上げる方法を解説」で詳しく解説しています。 出典:厚生労働省「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント」
障害者雇用で社内ニートから抜け出す方法
手が空いている時間を記録し、事実として上司や人事に伝える
まずは、いつからどのくらいの時間が空いているか、頼まれた作業をどのくらいの時間で終えているかを記録します。厚生労働省の資料では、業務の予定や目標、遂行実績を管理するための日報の作成が工夫として挙げられており、日々の記録は相談の材料になります。 記録をもとに、まずは直属の上司へ、空いている時間と担当できる業務を具体的に伝えます。上司だけで調整が難しい場合は、人事にも相談しましょう。 上司や人事へ相談するときは、単に「仕事がありません」と伝えるのではなく、次の3点をセットで伝えましょう。
- 空いている時間:1日のうち、どのくらい仕事がない時間があるか
- これまでの経験やできること:前職の経験や、現在担当できる業務
- 新たに担当したい業務:今後やってみたい仕事や、増やしてほしい業務
【伝え方の例】
- 「先月から担当業務が少なく、1日のうち○時間ほど手が空いています。前職では○○を担当していたため、現在の部署でも○○に関わる業務であれば対応できます。もし担当できる仕事があれば、まずは一部からでも任せていただけないでしょうか。」
このように、『空いている時間』『できること』『担当したい業務』をセットで伝えると、上司や人事も新しい仕事を検討しやすくなります。 業務を増やしたいと伝えるときの具体的な伝え方と注意点については、こちらの記事「障害者雇用は暇すぎる?仕事が少ない4つの原因と対処法・転職の判断基準も解説」で詳しく解説しています。 出典:厚生労働省「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント」・厚生労働省「合理的配慮指針」
定期面談で担当したい業務と今後の希望を伝える
厚生労働省は、定期的な面談を通じて本人の希望を確認し、職務の遂行状況や習熟状況を踏まえて業務分担・配置を見直すことを、望ましい取組として示しています。 面談では、担当したい業務、これまでの経験、体調面で無理のない範囲を併せて伝えます。 やってみたいと考えている他の業務を一時的にOJTで経験する、1日のなかで複数の業務を組み合わせるといった進め方の例も示されています。面談の場が設けられていない場合は、上司や人事に振り返りの機会を依頼しましょう。 出典:厚生労働省「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント」
障害者就業・生活支援センターやジョブコーチに間に入ってもらう
仕事だけでなく生活面も含めて幅広く相談したいときは障害者就業・生活支援センター、今の職場で仕事の割り振りや指示方法を具体的に改善したいときはジョブコーチが相談先になります。 障害者就業・生活支援センターは、障害のある人の身近な地域で、就業面と生活面の一体的な相談と支援を行う機関です。令和8年4月現在、全国に340センターが設置されています。就業面の支援として、障害特性や能力に合った職務の選定、職場定着に向けた支援のほか、障害特性を踏まえた雇用管理についての事業所への助言も行っています。 職場適応援助者(ジョブコーチ)は、新たに就職するときの支援だけでなく、雇用後の職場適応支援も行います。事業主や職場の従業員に対して、仕事の内容や指導方法を改善するための助言と提案を行い、必要に応じて職務の再設計や職場環境の改善を提案します。 支援期間は標準的には2〜4か月で、1〜8か月の範囲で個別に設定されます。利用は無料で、問い合わせ先はハローワークまたは地域障害者職業センターです。 本人からは伝えにくい内容も、第三者を介することで企業側に伝わりやすくなります。 出典:厚生労働省「障害者就業・生活支援センターの概要」・高齢・障害・求職者雇用支援機構「職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援」・厚生労働省「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント」
社内の相談窓口や異動・配置転換の制度を使う
事業主は、合理的配慮に関する相談窓口をあらかじめ定めて労働者に周知することとされています。業務量を抑えることが配慮として決まっている場合は、この窓口で見直しを相談できます。 障害のある社員を5人以上雇用する事業所では、障害者職業生活相談員の選任が義務づけられています。社内の相談先の一つになります。 社内公募や異動の制度がある場合は、現在の部署で業務が用意されない事情を伝えたうえで、他部署への配置転換を相談しましょう。 相談者のプライバシーを保護する措置と、相談したことを理由とする不利益な取扱いの禁止は、指針で定められています。 出典:厚生労働省「合理的配慮指針」・高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者職業生活相談員資格認定講習について」
担当したい業務に必要なら職業訓練や資格取得も活用する
社内ニートになる原因は、本人のスキル不足ではなく、企業側が業務を十分に用意できていないことも多くあります。 一方で、今後担当したい仕事があり、そのために必要なスキルが明確な場合は、職業訓練や資格取得を活用して仕事の幅を広げる方法もあります。まずは上司や人事に、どのような業務を担当できる可能性があるか相談してみましょう。 必要なスキルが明確になったら、次のような制度を活用できます。
- 公共職業訓練(ハロートレーニング)を利用する
在職者向けの公共職業訓練があり、業務に必要な知識やスキルを学べます。
- 障害者向けの職業訓練を利用する
障害者職業能力開発校のほか、企業や社会福祉法人、民間機関などで受けられる委託訓練もあります。受講についてはハローワークに相談できます。
- 社内の資格取得支援を活用する
業務に必要な資格の取得費用や学習を支援している企業もあるため、利用できる制度がないか確認しましょう。 「何か資格を取れば仕事が増える」と考えるのではなく、まず担当したい業務を明確にし、その仕事に必要なスキルを身につける順番が大切です。 出典:厚生労働省「ハロートレーニング(障害者訓練)」・厚生労働省「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント」
社内ニートを出さない工夫をしている企業の事例
転職先で再び「仕事を任せてもらえない状態」にならないためには、求人票の条件だけでなく、入社後に仕事を任せる仕組みが整っているかを確認することが大切です。 実際に障害者雇用に取り組む企業では、次のような工夫が行われています。
- 担当する業務が具体的に決められている
- 仕事の指示や相談をする相手が決まっている
- 定期的に面談し、困りごとや業務量を確認している
- 経験やスキルに応じて業務を広げる仕組みがある
ここでは、高齢・障害・求職者雇用支援機構の事例から、具体的な取組を紹介します。
| 企業 | 主な取組 | 転職先選びで見るポイント |
| 株式会社竹田工務店 | 担当業務の切り出し・作業マニュアル・定期面談 | 仕事内容が明確か、 相談体制があるか |
| KCJ GROUP株式会社 キッザニア甲子園事業部 | 「私の説明書」・定期面談・ジョブコーチ活用 | 指示役が明確か、 面談や外部支援があるか |
| 株式会社NTT西日本ルセント 九州支店 | 業務の割り当て・月1回面談・研修や資格取得支援 | 仕事の幅を広げられるか、 キャリア支援があるか |
業務を細かく切り出し、担当と手順を明確にしている企業
株式会社竹田工務店では、障害のある人を採用する際に、社内の仕事を洗い出し、担当できる業務を具体的に切り出しています。 たとえば、
- 型枠用木材の片付け
- 釘抜きや穴埋め
- ベニヤ板のコンクリート剥がし
- 資材の仕分け
など、建設現場を支える仕事を担当業務として設定しています。 さらに、良い例と悪い例を写真で示した作業マニュアルを用意し、本人が確認しながら仕事を進められるようにしています。作業日誌による振り返りや、障害者職業生活相談員と週1回程度の定期的な面談も行われています。 また、社内だけで抱え込まない支援体制も特徴です。本人が障害者就業・生活支援センターへ直接相談でき、必要に応じて本人、支援センター、会社の三者面談を実施しています。 こうした取組により、本人の不安軽減や体調の安定、職場への定着につながっているとされ、同社は令和6年度のもにす認定(障害者雇用優良中小事業主認定制度)も受けています。 転職先を選ぶときは、「担当業務が明確か」「作業手順が整理されているか」に加えて、「困ったときに社外の支援機関も含めて相談できる体制があるか」まで確認しましょう。 出典:高齢・障害・求職者雇用支援機構「建設業における職務創出と作業マニュアルの工夫」
定期面談と支援機関との連携で状況を把握している企業
KCJ GROUP株式会社 キッザニア甲子園事業部では、本人の障害特性に合わせて仕事内容を相談しながら決め、入社後も定期的に状況を確認する体制を整えています。 具体的には、次のような取組を行っています。
- 「私の説明書」を作成する
本人を中心に、人事担当者と一緒に障害特性や必要な配慮をまとめた「私の説明書」を作成しています。本人の同意を得たうえで同じグループの従業員にも共有し、1年に1度を目安に更新します。
- 本人・上司・人事・支援機関で定期面談を行う
就労移行支援事業所などを利用している社員については、月1回程度、本人、上司、人事担当者、支援機関の担当者による四者面談を実施しています。四者面談を行わない場合も、支援機関とメールや電話で情報を共有しています。
- ジョブコーチを活用して仕事内容を見直す
清掃業務を担当する社員の業務量が増える際には、障害者職業センターのジョブコーチ支援を利用しています。月1回程度の訪問を受け、現状の確認や改善案の提案、担当トレーナーの配置、定期面談などを行っています。
- 仕事の指示を出す人と手順を明確にする
担当トレーナーを決めたことで、複数の先輩から異なる指示を受けて戸惑う場面が減り、判断基準も明確になったことで作業ミスの減少につながっています。さらに、その日に行う作業内容や手順を図で示した資料を朝礼で配布し、本人からも「仕事の見通しが立てやすい」という声が出ています。 この事例からわかるのは、「仕事を用意する」だけでなく、誰が指示するのか、困ったときに誰へ相談するのか、業務量が変わったときにどう見直すのかまで決めておくことが重要という点です。 転職先を選ぶときは、「指示を出す担当者が決まっているか」「定期面談があるか」「必要に応じて支援機関やジョブコーチと連携できるか」まで確認すると、社内ニートになりにくい職場かを判断しやすくなります。 出典:高齢・障害・求職者雇用支援機構「就労支援機関との連携により働きやすい環境づくり」
キャリアアップの道筋を示し、業務の幅を広げている企業
株式会社NTT西日本ルセント 九州支店では、受託した業務を細かく分け、社員一人ひとりの特性、能力、適性に合わせて担当する仕事を決めています。 さらに、入社後も仕事の幅を広げられるよう、次のような仕組みを整えています。
- キャリアアップの道筋を用意している
スタッフをサポートする業務や、業務チームのリーダーを担当する障害のある社員もいます。将来的には、障害のある社員の管理者登用も目指しています。
- 原則月1回の面談で困りごとを確認する
自分から悩みを言い出しにくい社員を早めにフォローできるよう、原則月1回の面談を行い、困っていることを確認しています。
- 業務内容と体調を毎日記録する
自社開発の体調管理・業務日報ツールに、その日の業務内容や体調を毎日記録し、スタッフが確認して必要に応じてフォローしています。
- 専門スタッフに直接相談できる
経営企画部には、精神保健福祉士や社会福祉士4名、ジョブコーチ6名をアドバイザリー担当として配置しています。直属の上司には言いづらい悩みも、専門家に相談できます。
- スキルアップや資格取得を支援している
学習機会の提供や資格取得の推進、研修会の開催も行っており、仕事を続けながらスキルを高められる環境が整っています。 同社では入社して1年以上働き続けている社員の割合が95%を超えており、高い定着率につながっています。 この事例からわかるのは、社内ニートを防ぐには、単に「仕事があるか」だけでなく、仕事の幅を広げる仕組み、定期面談、体調や業務状況を把握する仕組み、専門家に相談できる体制まで整っていることが重要という点です。 転職先を選ぶときは、「入社後に担当業務を広げられるか」「定期面談があるか」「困ったときに専門家へ相談できるか」「研修や資格取得の支援があるか」まで確認しましょう。 出典:高齢・障害・求職者雇用支援機構「人の役に立つ喜び、信頼される幸せをみんなでつかむ事業場」
相談しても変わらないときは転職も選択肢になる
転職を考える判断基準
上司や人事への相談や、支援機関の利用などを試しても状況が変わらない場合は、転職も選択肢になります。特に、次の3つは判断の目安になります。
- ① 相談しても、担当業務を増やす具体策が出てこない
上司や人事に「仕事を増やしたい」と伝えても、新しい業務の切り出しやOJTなど、状況を改善するための具体的な動きがない場合は、今後も仕事がない状態が続く可能性があります。
- ② 異動・配置転換を含めても、仕事を任せてもらえる見通しがない
現在の部署だけでなく、他部署への異動や配置転換も難しく、社内で新たな仕事を担当できる見込みがない場合は、環境を変えることを検討するタイミングです。
- ③ 仕事がない状態が、働く意欲や体調に影響している
「出勤するのがつらい」「働く意欲が落ちた」「睡眠や食欲に影響が出ている」など、仕事がない状態そのものが心身の負担になっている場合は、無理に今の職場にとどまる必要はありません。 社内ニートの状態を解消できる見込みがなく、働き続けること自体が負担になっているなら、自分の経験や能力を活かせる職場へ移ることも前向きな選択肢です。 一般雇用への切り替えを考えている場合については、こちらの記事「障害者雇用から一般雇用に切り替えて給料は上がる?実際の高待遇求人も切り替え前にチェック」で詳しく解説しています。
転職先を選ぶときに確認したいポイント
転職先でも同じ状態を繰り返さないためには、「入社後にどんな仕事を任されるのか」「仕事を広げる仕組みがあるか」まで確認することが大切です。 求人票では、次の点を確認しましょう。
- 担当する業務が具体的に書かれているか
- 配属先や所属部署、担当業務の決まり方が明確か
- 仕事の指示を出す担当者が明確か
- 経験やスキルに応じて業務を広げられるか
- 定期面談など、入社後に仕事量を相談する機会があるか
面接では、求人票だけではわからない実際の働き方まで確認します。たとえば、次のように質問すると具体的なイメージをつかみやすくなります。 【面接で確認したい質問例】
- 「障害者雇用で働いている方は、現在どのような業務を担当していますか?」
- 「入社後、仕事に慣れた場合は担当業務を広げていくことはできますか?」
- 「業務量や仕事内容について相談する面談は、どのくらいの頻度で行われていますか?」
また、正社員登用や昇格の実績、支援機関との連携体制も確認しておくと、長く働いたときのキャリアをイメージしやすくなります。 特例子会社と一般企業の障害者雇用枠では、仕事内容やサポート体制が異なります。自分が仕事を任され、経験を積んでいける環境かという視点で比較しましょう。 特例子会社との違いについては、こちらの記事「特例子会社と障害者雇用枠の違い・おすすめ求人3選をそれぞれ紹介!」で詳しく解説しています。 出典:厚生労働省「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント」
障害者雇用専門の転職エージェントを活用する
求人票だけでは実際の業務量や受け入れ体制まで判断しにくいため、転職先選びに不安がある場合は、障害者雇用専門の転職エージェントに相談する方法があります。 転職エージェントでは、専任のアドバイザーを通じて入社後の業務内容やサポート体制を確認できるほか、社内ニートだった経歴をどう説明するかを含めた選考対策から、入社後の定着支援まで受けられます。 障害者専門のエージェントである障害者雇用バンクは、大手企業の事務職から専門性を活かせる求人、特例子会社の求人まで、幅広いタイプの求人を多数保有しています。今の職場で仕事がない状況を担当者に伝えたうえで、業務内容が明確な職場を選べます。 障害者雇用バンクの転職サポート・就職サポートは、すべて無料で利用できます。仕事を任される職場に移りたい場合は、こちらから会員登録のうえ、無料相談を活用してみるのも選択肢です。
【求人3選】社内ニートから抜け出したい人におすすめの障害者雇用の求人
はじめから担当業務が明確で、経験に応じて役割を広げられる職場を選ぶことで、同じ状況を避けやすくなります。 ここでは、実際の障害者雇用枠の求人を3つ紹介します。求人を選ぶときは、次のポイントを確認しましょう。
- 担当する業務の内容が具体的に示されているか
- 経験やスキルに応じて業務や役割を広げる仕組みがあるか
- 面談やサポート体制など、入社後に状況を伝えられる場があるか
※求人情報は2026年9月時点の内容です。募集状況や雇用条件は変更される可能性があるため、応募前に最新情報をご確認ください。
東芝エレベータ
【求人情報】
- 職種:一般事務(障害者枠)
- 雇用形態:契約社員
- 業務内容:書類の取りまとめ、ファイリング、電子化処理、社内外の電話取次ぎ、郵便物の配布、パソコンによる各システムへのデータ入力と集計、経理伝票処理など
- 給与・年収:2,964,000円~3,984,000円
- 勤務地:東京都(東京支社)
- 応募資格 ・事務経験がある方 ・ExcelやWordを使って定型フォームへの入力ができる方
こちらは、東芝エレベータ株式会社が募集している、一般事務の求人です。 書類の取りまとめやファイリング、電子化処理に加えて、電話の取次ぎや郵便物の配布、各システムへのデータ入力と集計、経理伝票の処理までを担当します。担当する作業が求人票の段階で具体的に示されているため、入社後に何を任されるのかを把握したうえで応募できます。 正社員登用があり、契約社員から役割を広げていける点も特徴です。任される仕事がはっきりした環境で、事務の経験を積み直したい人におすすめです。 東芝エレベータ株式会社の求人は、こちらからご覧ください。
ソフトバンク
【求人情報】
- 職種:アソシエイト職・事務系(障害者枠)
- 雇用形態:正社員
- 業務内容:営業、企画、人事、法務、総務、技術などの各部門での、パソコンを使った資料作成やデータ処理などのアシスタント業務
- 給与・年収:4,300,000円~5,000,000円
- 勤務地:東京都(本社)
- 応募資格 ・希望ポジションの実務経験がある方 ・公共交通機関での通勤が可能な方
こちらは、ソフトバンク株式会社が募集している、アソシエイト職(事務系)の求人です。 営業や企画、人事、法務、総務、技術などの各部門で、パソコンを使った資料作成やデータ処理といったアシスタント業務を担当します。配属先は、本人の希望とこれまでの経験を踏まえて決まります。転居を伴う転勤はありません。 これまでの実務経験をもとに担当業務が決まるため、経験があるのに仕事を任されていない状況を変えたい人に向いています。 ソフトバンク株式会社の求人は、こちらからご覧ください。
マイナビパートナーズ
【求人情報】
- 職種:事務職(障害者枠)
- 雇用形態:正社員
- 業務内容:データ入力、アンケート入力、WebサイトやSNSの情報収集と更新、データの登録・集計・分析と資料作成、RPAなどのシステム開発や業務効率化ツールの開発、Web原稿制作、郵便物の仕分けと発送、資料のファイリング、書類のチェックと照合、イベント資料や営業資料の印刷と封入など
- 給与・年収:2,774,460円~3,200,000円
- 勤務地:東京都
- 応募資格 ・中途採用は高卒以上の方 ・新卒採用は短大・専門卒以上の方
こちらは、株式会社マイナビパートナーズが募集している、事務職の求人です。 データ入力やアンケート入力、WebサイトやSNSの情報収集と更新、データの集計と分析、業務効率化ツールの開発から、郵便物の仕分けや書類のチェックまで、担当する作業が幅広く示されています。スキルに応じて、システム開発やWeb制作を担当する場合もあります。 マイナビグループの特例子会社で、業務マニュアルの作成や後輩のサポートなど、キャリアアップにつながる役割にも挑戦できます。配慮を受けながら、担当する業務を段階的に増やしていきたい人におすすめです。 株式会社マイナビパートナーズの求人は、こちらからご覧ください。
まとめ:社内ニートは本人だけの問題ではなく、伝え方と職場選びで変えられる
仕事がない状態は、本人の能力不足が原因とは限りません。企業側が任せる業務を十分に用意できていない、得意なことが職場に伝わっていないなど、受け入れ体制が原因になることも多くあります。 まずは、「1日にどのくらい手が空いているか」「自分に何ができるか」「どんな仕事を担当したいか」を整理し、上司や人事に具体的に伝えましょう。 社内だけで状況が変わらない場合は、定期面談や社内の相談窓口、障害者就業・生活支援センター、ジョブコーチを活用し、必要に応じて異動や配置転換も相談しましょう。 それでも仕事を任せてもらえる見通しがなく、働く意欲や体調にも影響している場合は、担当業務や入社後のサポート体制が明確な職場への転職も前向きな選択肢です。
障害者雇用の社内ニートに関するよくある質問
社内ニートの状態でも給料をもらい続けて問題ありませんか?
会社の指示どおり出勤し、勤務時間中に業務へ対応できる状態でいるなら、仕事が少ないことだけを理由に後ろめたく感じる必要はありません。 ただし、状態が長引くほど経験の空白が広がり、評価や転職に影響します。 大切なのは、仕事がない状態を放置せず、上司や人事に共有することです。
仕事がないことを上司に伝えると評価が下がりませんか?
仕事が少ないことを相談しただけで、評価が下がると考える必要はありません。厚生労働省も、本人の希望や習熟状況を踏まえて業務の分担や配置を見直すことを企業に求めています。 相談するときは、「どのくらい手が空いているか」「何ができるか」「どんな仕事を担当したいか」を具体的に伝えましょう。
社内ニートの状態が続くと解雇されることはありますか?
仕事を十分に与えられていない状態だけで、直ちに解雇されるわけではありません。また、障害があること自体を理由とした解雇や、不利な解雇条件を設けることは禁止されています。 解雇や退職勧奨の話が出た場合は、その場で判断せず、ハローワークや障害者就業・生活支援センターなどに相談しましょう。 出典:厚生労働省「障害者差別禁止指針」・厚生労働省「障害者雇用促進法に基づく障害者差別禁止・合理的配慮に関するQ&A【第三版】」
日本最大級の障害者向け求人サイト
「障害者雇用バンク」
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