就労移行支援でお金がなくても生活費を得る!失業保険や給付金を紹介
障害や難病を持った人を対象とした就労支援施設である、就労移行支援事業所。 通うことで転職の選択肢を増やせる一方、最大で2年間通うことになるため、その期間の生活費をどのように賄うのかは、避けては通れない問題です。 こちらの記事では、通所中の生活費を賄う方法について解説しました。
就労移行支援の利用料金
前提として、就労移行支援は9割以上の人が無料で利用しています。 就労移行支援の利用料金は、前年度の所得額に応じて決定されます。また、利用料金には上限額が設定されています。 利用料金の自己負担額の上限は、所得状況に応じて4つに分類されます。詳細は下記の通りです。
なお、所得の判断基準は以下に基づきます。
- 150万÷180=8,333円(基本手当日額)
- 8,333円の50%~80%=4,166円~6,666円
- 1. ハローワークで受給申請
- 2. 雇用保険受給者初回説明会に出席
- 3. 失業の認定
- 4. 支給開始
- 業務外の病気や怪我が休職の理由であること
- 仕事に就けないこと
- 連続して4日以上休んだこと
- 期間中に給与を受け取っていないこと
- 支給開始日が属する月以前の直近の継続した各月の「標準報酬月額」の平均額
- 「標準報酬月額」の平均額
- 1. 被保険者が会社に休業の申出をする
- 2. 会社が被保険者に「健康保険 傷病手当金支給申請書」を渡す
- 3. 被保険者が申請書(被保険者記入用)に記入
- 4. 医師が申請書(医療担当者記入用)に記入
- 5. 事業主が申請書(事業主記入用)に記入
- 6. 添付書類と併せて協会けんぽ、または健康保険組合に提出する
- 1級:(報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(228,700円)〕
- 2級:(報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(228,700円)〕
- 3級:(報酬比例の年金額)
- 障害の程度1級に該当…最低でも月額 81,343円受給可能(年額 976,125円)
- 障害の程度2級に該当…最低でも月額 65,075円受給可能(年額 780,900円)
- 障害の程度3級に該当…最低でも月額 49,691円受給可能(596,300円)
- 国民年金または厚生年金に加入している期間
- 20歳前または60歳以上65歳未満で国内に居住している期間
- 初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が3分の2以上であること
- 初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの直近の1年間に保険料の未納期間がないこと
- 障害認定日に、障害の状態が法令で定める障害の程度(障害基礎年金は1級・2級、障害厚生年金は1~3級)に該当すること
- 障害認定日後に、障害の程度が増進し、65歳になるまでに障害の状態が法令で定められた状態に該当すること
- 病歴・就労状況等の申立書
- 年金請求書
- 受信状況等証明書
- 医師による診断書
- 住居確保給付金…厚生労働省|住居確保給付金:制度概要
- 総合支援資金…政府広報オンライン|生活福祉資金貸付制度
- 臨時特例つなぎ資金…厚生労働省|臨時特例つなぎ資金貸付制度
- 預貯金や土地など自己資産を活用しても最低限の収入に満たない
- 働いていても最低限の収入に満たない、もしくは働けない
- 年金や手当を活用しても最低限の収入に満たない
- 親族等の援助を受けられない
- 役所の窓口で生活保護の受給を申請する
- ケースワーカーの家庭訪問を受ける
- 調査実施
- 審査結果の通知
- 受給開始
- プログラミング
- Excel word
- 系作業
- CAD設計
- グラフィックデザイン(IllustratorやPhotoshop)
- グループワーク
- ビジネスマナー
- Java
- python
- HTML
- CSS
- JavaScript
- PHP
上記のように、生活保護を受給している場合と、市町村民税非課税世帯(=おおむね年収100万円以下)の場合は、無料で就労移行支援を利用できます。 利用料金が発生するのは、この2つの分類に該当しない人です。利用料金の自己負担額の上限は、37,200円となります。また、配偶者がいる場合は、本人と配偶者の合計所得が基準になるため注意が必要です。 また、上記以外の条件でも利用料金の減免が行われる場合があるため、詳細は役所などの行政機関に相談してみてください。 就労移行支援の料金制度については、こちらの記事「就労移行支援の利用料金はいくら?対象者や利用期間など、利用条件を解説!」にて詳しく解説しています。
就労移行支援に通う期間の生活費を賄う方法について、具体的に解説します。
失業保険
退職後にハローワークに申請することで、失業保険を受け取れます。 また障害者は、就職困難者に該当するため、失業保険の受給条件のハードルが少し下がり、受給しやすくなります。 障害者の失業保険の受給条件は「離職前の2年間で雇用保険に加入していた時期が通算して12か月以上あること」とされています。 失業保険の支給額は人により異なります。おおよその目安としては、基本手当日額の50%〜80%が支給されます。また元の給与が低いほど、80%に近い金額が受け取れるようになっています。 ※離職した日の直前の6か月分の所得総額÷180=基本手当日額 下記が一例となります。 【直近6ヶ月の所得総額が150万円の場合】
失業保険を受け取るためには、自分で手続きをする必要があります。 【申請手順】
失業保険については、こちらの記事「障害者専用の失業保険とは?申請方法や受給金額を徹底解説!」にて詳しく解説しています。
傷病手当金
病気やケガでしばらくの期間仕事ができなくなってしまった場合は、傷病手当金を受け取れます。 傷病手当を受け取る条件は以下の4つです。
傷病手当金の受取金額は、下記の低い方が適用されます。
標準報酬月額の算出方法は、直近の3ヶ月に支払われた報酬額の合計が基準になります。報酬に該当するものは、基本給、諸手当、賞与、通勤手当などです。そしてこの合計額を3で割り、標準報酬月額表に当てはめることで算出できます。 たとえば直近3ヶ月で支払われた報酬額の合計額が90万円の場合、それを3で割ると30万円となります。そして、これを標準報酬月額表に当てはめると、290,000円~310,000円となります。 注意点としては傷病手当金を受け取る場合、失業保険や障害年金は基本的に受け取れないため注意が必要です。 出典:マネーフォワード 【傷病手当金の受給までの手順】
障害年金
障害の内容や症状の重さによっては、障害年金を受け取れる場合があります。 障害年金は基本的に、20歳から65歳(=老齢年金の受給年齢)までに病気やケガで障害の状態になった方を対象とした年金です。そのため、障害年金が請求できるのは基本的に20歳以上65歳未満の方となります。 障害年金は、1級から3級に分類されており、1級の方がより高額の年金を受給できます。また、この等級は障害等級とは異なります。 <障害年金に該当する状態> ※障害者手帳の等級とは異なります 【1級】 他人の介助がなければ、日常生活のほとんどを送れないほどの状態。身の回りのことはかろうじてできるが、それ以上のことはできない人、入院や在宅介助が必要な人などが該当します。 【2級】 全てにおいて他人の助けを借りる必要がなくても、日常生活を送ることが極めて困難で、働いて収入を得ることができない状態。簡単な家事はできても、それ以上の活動はできない人、活動の範囲が病院や家庭内に限られる人が該当します。 【3級】 労働に対して著しい制限を受ける程度の状態。日常生活に大きな支障はないが、労働には制限がある人が該当します。 出典:厚生労働省 障害年金制度について 障害年金は2つに分類され「初診日」に国民年金に加入していた場合は、「障害基礎年金」の受給対象となり、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」の受給対象となります。基本的に会社員の場合は厚生年金になり、厚生年金の方が受給額は高額になります。 【障害厚生年金の年金額】
上記の計算式をもとに等級別の受け取り金額の最低金額を以下に示します。(※令和3年度の場合)
出典:マネーシールド 障害年金を受け取る条件は以下の3項目です。 【障害年金を受け取る条件】 1. 初診日が被保険者期間等にあること 障害の原因となった怪我や病気の初診日が下記のいずれかの期間にあること
保険料の納付要件を満たしていること 次のいずれかを満たしていること
一定の障害の状態にあること
またなお、障害年金と失業保険は、それぞれの受給条件を満たしていればそれぞれ同時に受け取ることができます。 出典:日本年金機構 障害年金の申込をするためには、下記の書類を揃え、年金事務所窓口で手続きを行います
また上記以外にも、年金手帳、預金通帳、戸籍謄本や住民票なども必要になります。
給付金
自治体などが、給付金や貸付金制度を実施している場合もあるため、必要に応じて申請することも選択肢の1つです。 【給付金・貸付金例】
制度面 | 対象者 | 支給額 |
住居確保給付金 (給付金) | ・65歳未満かつ離職から2年以内 ・就労意欲がある ・住居を喪失もしくは喪失するおそれがある | 賃料月額相当を支給(上限あり、原則3か月間、条件により最大9か月まで延長可)) |
総合支援資金 (貸付金) | 失業等により日常生活全般に困難を抱えている | 生活支援費(最長12ヶ月)、住宅入居費、一時生活再建費の貸付(上限あり) | 臨時特例つなぎ資金 (貸付金) | ・離職者を支援するための公的な給付、貸付制度を申請している ・住居がない ・給付、貸付までの生活に困窮している | 上限10万円まで貸付 |
出典:Kaien 貸付金は借りているお金のため、返済していく必要がありますので、その点は注意しましょう。 受給条件や支給額の詳細・申請方法については以下をご覧ください。
生活保護
就労移行支援は、生活保護を受けながらの利用も可能です。 【生活保護を受けられる条件】
上記の条件を全て満たす場合に生活保護を受給できます。 生活保護の受給額は、住んでいる地域や生活状況によっても異なりますが、月額で10万〜13万程度とされています。 また、障害者の場合は、「障害者加算」が適用されるため、通常の生活保護費に上乗せで受け取れることがあります。障害者加算の金額は、15,000円〜26,000円程度です。 障害年金と生活保護の併用は可能ですが、障害年金で受け取れる金額分、生活保護費は減額されるため、受け取れる上限は決まっています。 【生活保護受給までの手順】
アルバイト・副業
原則として、就労移行支援を利用している場合は、アルバイトや副業などでお金を稼ぐことは禁止されています。 就労移行支援は、あくまで就労を目指すための施設です。そのためアルバイトをしているとすでに就労しているとみなされることになります。 アルバイトが許可されるケースもまれにありますが、就労移行支援は平日に毎日、日中に通うことになり、生活費にできるほどのお金を稼ぐことは難しいため、アルバイトではなく他の制度を利用する方が適切です。
就労移行支援で学べるスキル
就労移行支援では、転職活動の支援だけでなく、実務で活用できるスキルを学べます。 【学べるスキルの例】
プログラミングや事務スキルなど、業務で直接的に活用するスキルや、グループワークやビジネスマナーなど、社会人として必要になる基本的なスキルも学べます。 上記の中でも、プログラミングは企業からの需要が多く、求人も多数展開されています。 【就労移行支援で学べるプログラミング言語】
プログラミング訓練を活用してエンジニアになる方法については、こちらの記事「障害者のためのプログラミング訓練を活用してエンジニアになる方法」にて詳しく解説しています。 就労移行支援では、ビジネスマナーやグループワークといった、基本的なスキルは全ての事業所でカリキュラムに組み込まれていますが、それ以外のスキルは事業所ごとに学べるものと学べないものがあります。 自分のキャリアプランを考えた上で、通う事業所を選びましょう。 就労移行支援については、こちらの記事『「就労移行支援」は「就労継続支援」とどう違う?メリットとデメリットも解説!』でも詳しく解説しています。
就労移行支援以外の就労支援
最後に、就労移行支援以外の転職活動で活用できる就労支援制度について解説します。
料金 | 運営方法 | サポート体制 | 求人の数 | 求人の質 | 拠点 | |
ハローワーク | 無料 | 税金で運営 | 担当者ごとにばらつきあり | 多い | 玉石混交 | 全国各地 |
転職エージェント | 無料 | 企業から紹介料を得て運営 | 専門の転職コンサルタントが手厚くサポート | 少ない(ハローワークと比較すると) | 選ばれた求人のみ掲載 | エージェントによる ※Web会議や電話で相談できる場合もある |
ハローワーク
ハローワークは、公的な転職支援制度です。 求人の紹介や面接サポートなど、転職活動全般のサポートを無料で受けられます。 ハローワークの窓口は、一般雇用と障害者雇用で分かれており、障害者枠での転職を希望する場合は、専用の窓口による支援を受けられます。 またハローワークは、企業側が無料で求人を掲載できるため、求人数が多い点もメリットです。 ハローワークについては、こちらの記事「ハローワークの障害者求人を紹介!良い求人に出会うコツは?」にて詳しく解説しています。
障害者雇用専門の転職エージェント
ハローワークは公的な就労支援ですが、転職エージェントは民間企業が運営している転職支援サービスです。 支援内容はハローワークとおおよそ同じで、求人の紹介や面接練習、選考書類の添削など、転職活動のスタートから、転職後まで通したサポートを無料で受けられます。 ハローワークと比較すると求人数は少なくなりますが、転職エージェントが精査した上で求人を掲載しているため、給与が高かったりキャリアアップにつながったりする質の高い求人の割合が高い点がメリットです。 また転職エージェントでは、一般には公開されていない非公開求人も紹介してもらえる場合があります。 ハローワークと転職エージェントは、どちらも就労移行支援と並行しながら利用できるため、転職活動の幅を広げたい場合はぜひ利用してみてください。
日本最大級の障害者向け求人サイト
「障害者雇用バンク」
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