精神障害者手帳3級はどの程度?受けられるサービスやメリットを解説
精神障害者手帳3級は、 「日常生活は概ね自立しているが、ストレスや環境変化があると症状が強まり、社会生活に一定の制限が出る状態」が目安です。 本記事記事では、 ・3級の具体的な状態 ・3級で受けられるサービスや支援 ・取得手順 ・働き方の選択肢 を分かりやすく解説します。
精神障害者手帳とは?
精神障害者保健福祉手帳は、一定の精神疾患により日常生活や社会生活に制約がある方を対象に交付される障害者手帳です。精神保健福祉法に基づき、障害者の自立と社会参加を促進することを目的としています。 等級は1級から3級まであり、1級が最も重度、3級が最も軽度として扱われます。1級は「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度」、2級は「日常生活が著しい制限を受ける程度」、3級は「日常生活もしくは社会生活が制限を受ける程度」と、それぞれ定義されています。 対象となる精神疾患には、統合失調症、気分障害(うつ病、双極性障害など)、てんかん、発達障害(ADHD、ASD、学習障害など)、高次脳機能障害、薬物・アルコール依存症、ストレス関連障害などが含まれます。 精神障害者手帳を取得することで、障害者総合支援法に基づく様々な支援やサービスを受けられるようになります 出典:厚生労働省「精神障害者保健福祉手帳」・厚生労働省「精神障害者等級判定基準について」
精神障害者手帳3級はどの程度の障害?
精神障害者手帳3級に該当する障害の程度
精神障害者手帳の等級3級は、精神障害者手帳の中で最も軽度の等級として位置づけられており、判定基準として「精神障害であって、日常生活もしくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活もしくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの」と定められています。 つまり3級は、基本的に日常生活は自立しているものの、強いストレスがかかる状況や予期せぬ変化がある場面では適切に行動することが困難になる程度の障害を指します。
| 等級 | 日常生活の自立度 | 社会生活(仕事・対人) | 必要な支援の目安 |
| 1級 | 大部分で介助が必要 | 外出・対人がほぼ不可 | ほぼ常時の支援 |
| 2級 | 家事・外出に大きな制限。 介助が必要 | 一般就労は困難 | 定期的な支援が必要 | 3級 | 概ね自立している | ストレス・変化に弱く混乱しやすい | 状況に応じて部分的な支援が必要 |
【3級の具体例】 普段の家事や身の回りのことは概ね自分で行えるものの、予期せぬ変化や強いストレスが生じる場面では混乱したり援助が必要になったりする状態など 2級との大きな違いは、日常生活の自立度で判断されます。2級は日常生活に著しい制限があり、習慣化された外出しかできず、家事も誰かの助けが必要で、通院・服薬が必須となります。一方、3級は基本的に自立しているものの、過度なストレスや変化に弱いという特徴があります。 出典:厚生労働省「精神障害者等級判定基準について」
精神障害者手帳3級を受け取れるのはどんな人?
精神障害者手帳3級を受け取れるのは、日常生活や社会生活において以下のような困難や制限を抱えている人が対象となります。 なお、それぞれの具体例は厚生労働省「精神障害者等級判定基準について」をもとに作成しています。 【3級に該当する困難や制限の例】 ・予期せぬ状況の変化や手順の変更があると、適切に対応することが困難 (例)いつも通っている通勤ルートが急に使えなくなった際、代替手段を自分で判断して行動するのが難しく、混乱してその場から動けなくなる状態など。 ・過度なストレスがかかる場面では、冷静な判断や行動ができなくなる (例)職場で急な納期変更や上司からの強いプレッシャーを受けた際、動悸や過呼吸が起きて業務ができなくなる状態など。 ・複雑な対人関係の調整や、状況に応じたコミュニケーションが不安定になることがある (例)職場の同僚同士のトラブルに巻き込まれた際、感情のコントロールができず言葉が荒くなったり、黙り込んでしまい、関係が悪化する状態など。 ・いつもと違う場所への外出や、慣れない環境では誰かのサポートが必要 (例)初めて行く病院や役所など、慣れていない場所に一人で行くと混乱してパニックになるため、同行者が必要な状態など。 ・家事や身の回りのことは基本的にできるが、状況が変わると混乱し、助けが必要になる (例)普段は自炊できていても、家電が壊れたり手順が変わると、調理方法がわからなくなり何もできなくなる状態など。 ・デイケアや就労移行支援など、配慮のある環境でなければ就労や社会参加が困難 (例)一般企業でのフルタイム勤務では体調を崩しやすく、週3日の短時間勤務や、就労支援員のサポートがある職場でないと継続的に働くことが難しい状態など。 等級の判定は、「能力障害の状態」と「精神疾患の状態」の両方から総合的に判断されます。 「能力障害の状態」とは、日常生活に必要な行動の可否、コミュニケーション能力、公的手続きの可否などを指し、「精神疾患の状態」とは、症状の程度や頻度、気分障害や妄想・幻覚の有無などを指します。 出典:厚生労働省「精神障害者等級判定基準について」
精神障害者手帳3級を取得するメリット・受けられるサービス
精神障害者手帳3級を取得することで、就労面や金銭面でさまざまなメリットがあります。 <精神障害者手帳3級で受けられるサービス一覧>
| 分類 | 主なサービス | 備考 |
| 就労 | 障害者雇用枠の応募、合理的配慮 | 3級でも利用可能 |
| 就労支援 | 就労移行支援、就労継続支援、ハローワーク障害者窓口 | 職場定着支援も受けられる |
| 税制 | 所得税27万円・住民税26万円の障害者控除 | 配偶者控除などと併用可能 |
| 医療・生活支援 | 自治体の福祉サービス(交通割引・レジャー割引など) | 地域差あり |
| 公共料金 | 公共交通機関の割引・NHK受信料免除(条件あり) | 特になし |
| 通信 | 携帯料金の割引 | 主要キャリア対応 |
| 年金 | 障害厚生年金の申請が可能 | 障害者手帳と認定基準は異なる |
障害者雇用での就労が可能になる
精神障害者手帳3級を取得することで、障害者雇用枠での就労が可能になります。障害者雇用枠で採用されると、障害に対する合理的配慮を受けながら働けるため、就労による心身への負担を軽減できます。 障害者雇用枠は一般枠とは採用枠が異なり、障害者専用の雇用枠となっています。そのため、障害を持っていることが選考において不利に働くことがなく、一般枠で選考を受けるよりも採用される確率が高くなります。 【合理的配慮の例】
- 勤務時間の調整(短時間勤務、フレックスタイム制など)
- 業務内容の調整
- 通院時間の確保
- 定期的な面談の実施
- 在宅勤務の許可
税控除などの金銭的メリットが受けられる
生活に直結するメリットとして、金銭的な支援を受けられることが挙げられます。 【税金控除・利用料の割引・免除の例】
- 税金控除:年間27万円(所得税)年間26万円(住民税)
- 公共交通機関の割引(バス・地下鉄・飛行機など)
- 娯楽施設の割引(映画館・水族館・遊園地など)
- 公共施設の割引・無料化(動物園・美術館など)
- NHK受信料の免除(条件を満たす場合)
- 携帯電話料金の割引
出典:国税庁「障害者控除」・川崎市「障害のある方への福祉サービス」
また、精神障害者手帳3級を取得した上で障害年金を申請することもできます。 障害年金には障害基礎年金(1級・2級のみ)と障害厚生年金(1級・2級・3級)があります。 障害年金の受給は、障害者手帳の認定基準とは異なる「障害年金の認定基準」に基づく審査を受ける必要があります。 【障害年金の認定基準】
- 1級:日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
- 2級:日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
- 3級(障害厚生年金のみ):労働が著しい制限を受けるもの
<精神障害者手帳3級と障害年金の違い>
| 項目 | 精神障害者手帳 | 障害年金 |
| 目的 | 社会参加を支援するための“福祉制度” | 生活保障を行う“公的年金制度” |
| 等級 | 1〜3級 | 基礎年金:1・2級、厚生年金:1〜3級 |
| 審査基準 | 日常生活の制限 | 日常生活・労働への制限 |
| 3級の扱い | 最も軽度 | 3級の認定は厚生年金加入者のみ |
| 取得のしやすさ | 診断書+自治体審査 | 診断書+年金機構の審査 |
出典:厚生労働省「障害年金」・日本年金機構「障害年金」・ミライロID「ミライロIDが使える場所」 なお、令和7年度の障害年金の支給額は以下の通りとなっています。(出典:小川早苗社会保険労務士事務所 )
| 月額 | 年額 | 前年度の年額 | |
| 障害基礎年金1級 | 86,635円 | 1,039,625円 | 1,020,000円 |
| 障害基礎年金2級 | 69,308円 | 831,700円 | 816,000円 |
| 障害厚生年金 3級(最低保障) | 51,983円 | 623,800円 | 612,000円 |
| 子の加算1人目(障害基礎年金に加算) | 19,941円 | 239,300円 | 234,800円 |
| 子の加算2人目(障害基礎年金に加算) | 19,941円 | 239,300円 | 234,800円 |
| 子の加算3人目(障害基礎年金に加算) | 6,650円 | 79,800円 | 78,300円 |
| 配偶者 加給年金(障害厚生年金に加算) | 19,941円 | 239,300円 | 234,800円 |
| 障害年金生活者支援給付金1級 | 6,813円 | 81,756円 | 79,656円 |
| 障害年金生活者支援給付金2級 | 5,450円 | 65,400円 | 63,720円 |
精神障害3級で障害年金2級を受給できた事例
うつ病によって障害厚生年金2級の受給対象となった30代女性の事例を紹介します。 こちらの女性は、プログラマーとして働いていましたが、5年ほど前にうつ病と診断されました。その後、正社員勤務が困難になり、無職の状態が続いていました。そして。障害者手帳3級を取得した際に、障害年金の申請を検討しました。 障害認定日時点では正社員として勤務中であったため、事後重症請求で申請を進めることにしました。 申請では、家事や身の回りのことが家族の支援なしでは困難である実態を整理し、医師に状況を伝えて診断書に正確に記載してもらいました。 結果、日常生活に著しい支障があると認められ、障害厚生年金2級に認定されました。 出典:みのり社会保険労務士事務所「受給事例」
精神障害3級で障害年金3級を受給できた事例
うつ病によって障害厚生年金3級の受給対象となった30代男性の事例を紹介します。 こちらの男性は、離婚調停の長期化による強いストレスからうつ病を発症し、休職後も改善しないまま経済的理由で復職しましたが、遅刻・早退・欠勤が続き就労継続が不安定な状況でした。 一般雇用で働き収入も維持されていたため受給は極めて困難と判断されましたが、強い希望により申請を実施。医師の診断書を丁寧に作成してもらったことで、結果的に障害認定日分は不支給となったものの、事後重症で3級が認められ、年間約58万円を受給することができました。 出典:千葉障害年金相談センター「精神疾患・うつ病」
就労支援サービスを利用できる
精神障害者手帳があれば、より幅広い就労支援サービスが活用できます。 【利用できる就労支援の例】
- ハローワークの障害者雇用窓口
- 就労移行支援
- 就労継続支援
- 障害者専門の転職・就職エージェント
就労移行支援事業所では、就職に必要な知識やスキルを学ぶことができ、就職/転職活動の支援を受けることができます。 さらに入社後もスタッフが本人・雇用主と連携しながら職場定着をサポートします。そのため、業務や働き方に対する様々な悩みをスタッフに相談・解決しながら長期就労を目指せます。 一方で障害者専門の転職・就職エージェントでは、希望条件と障害の内容、過去の経験をもとに、適した求人を紹介してもらえます。面接の練習や選考書類の作成サポート、就職後の定着支援など、総合的な支援を受けることができます。 短期間で転職活動を完了したい方や、キャリアアップを目指す方、自分に合った求人を多数の中から探したい方など、障害者手帳を所有している様々な方におすすめのサービスです。 これらのサービスを活用することで、仕事探しや働く上で大きな助けとなり、自分に合った職場環境を見つけやすくなります。
精神障害者手帳の申請方法
精神障害者手帳を申請する際には、主治医の診断書が必要です。それ以外の申請に関する書類は、基本的に各自治体の福祉窓口で入手できますが、自治体によってはウェブサイトからダウンロード可能な場合もあります。 申請する際は診断書とともに、下記の書類を準備しましょう。
- 顔写真(縦4cm × 横3cm)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 印鑑(認め印)
※準備物は区市町村によって異なるケースがあるため事前に市区町村の福祉課に確認するようにしましょう。 <障害者手帳の取得手順> STEP.1:主治医に相談 症状が日常生活に支障を与えている場合、主治医に申請用の診断書を作成してもらいます。その際、初診日から6ヶ月以上経過していることが条件となります。 STEP.2:役所に必要書類を提出して申請 診断書・意見書を受け取ったら、役所の福祉課に申請書類とともに提出します。 STEP.3:審査機関による審査 役所が申請書類を受理した後、申請書類をもとに専門機関で精神障害の程度について審査が行われます。 STEP.4:手帳の発行と交付通知 審査が完了すると、役所から交付の通知が届きます。その後、役所で障害者手帳を受け取ります。 医師への相談から実際に手帳が交付されるまでは、通常2〜3ヶ月程度の期間を要します。ただし、診断書作成の状況や審査の混み具合によっては、さらに時間がかかる場合もありますので、余裕をもって手続きを進めましょう。
精神障害者手帳3級の人におすすめの働き方・実際の求人3選
精神障害者手帳3級の人は、
- ストレスが少ない環境
- 手順が決まったルーティン業務
- 短時間勤務や柔軟な働き方
であれば、比較的安定して働けるケースが多くあります。 障害者雇用枠には、こうした条件に合う求人が多く、特例子会社やバックオフィス中心の職種など、無理のない環境で働ける選択肢を見つけやすいのが特徴です。 以下では、精神障害者手帳3級の人におすすめの実際の求人を紹介します。
マイナビパートナーズ
【求人情報】
- 職種:軽作業・データ入力(障害者枠)
- 雇用形態:正社員
- 業務内容:郵便物の仕分け、名刺や営業資料の印刷、ファイリング作業、データ入力など
- 給与・年収:2,600,000円~3,200,000円
- 勤務地:東京本社
- 応募資格:パソコンの基本操作ができること
こちらは株式会社マイナビパートナーズが募集している求人で、軽作業と一般事務を担当します。 マイナビグループの特例子会社であるため、手厚い配慮を受けながら働くことができます。体調の変化に合わせて、業務内容や勤務時間の調整を受けることも可能で、業務内容も単純作業が多いため、心身への負担を最低限にしながら働きたい人におすすめの求人です。 株式会社マイナビパートナーズの求人はこちらからご覧ください。
SHIFT
【求人情報】
- 職種:Web・アプリテストエンジニア(障害者枠)
- 雇用形態:正社員
- 業務内容:ソフトウェア・アプリ・Webサイトについてテスト実行・バグの報告、テスト以外の庶務業務(マニュアル作成やデータ登録など)
- 給与・年収:2,160,000円~2,400,000円
- 勤務地:東京本社
- 応募資格:Excel:初級レベル(表計算、四則演算)
こちらは株式会社SHIFTが募集しているWeb・アプリテストエンジニアの求人です。 社内で作成されたソフトウェアやアプリの動作をチェックするためのテスト業務を主に担当します。業務は事前に用意された手順書に従って進めるため、自分のペースで作業に集中しながら働くことができます。 株式会社SHIFTの求人はこちらからご覧ください。
ジェイ・エス・エス
【求人情報】
- 職種:事務系オープンポジション(障害者枠)
- 雇用形態:正社員
- 業務内容:本社での事務業務を担当
- 給与・年収:2,700,000円~3,200,000円
- 勤務地:東京本社
- 応募資格:Word、ExcelなどPCでのデータ入力が可能な方
こちらは事務系オープンポジションの募集となっており、基本的な事務業務を担当します。 オープンポジションでの募集のため、障害特性や過去の経験を踏まえて、適性のある業務を担当できます。さらに事務職の実務経験は不要となっており、簡単なPC操作さえできれば応募可能なため、働くことに慣れていない人にもおすすめです。 株式会社ジェイ・エス・エスの求人はこちらからご覧ください。
精神障害者手帳を取得した人の転職/就職には転職エージェントがおすすめ
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