【後遺症別】脳出血で取得できる障害者手帳を解説!取得条件・取得手順・おすすめ求人も紹介

脳卒中の一種である脳出血を発症すると、半身麻痺などの後遺症を残る可能性があります。後遺症の内容によっては、日常生活や仕事にも大きな影響が出る可能性があります。 そうなった場合、障害者手帳を取得することで、さまざまな支援を受けることができます。 本記事では、脳出血を発症した人が障害者手帳を取得するまでの流れを、具体的に解説します。
脳出血とは

まずは脳出血について、具体的に解説します。
脳出血の概要
脳出血は、脳内の細い動脈が突然破れ、脳内で出血してしまう病気です。 脳出血の主な原因は、長年の高血圧や動脈硬化により、脳内の細い動脈が脆くなり、破れて出血してしまうことです。また、頭部への強い衝撃などの外傷性の原因もあります。 くも膜下出血と脳梗塞、そして脳出血を合わせて、脳卒中と呼ばれることもあります。 出典:恩賜財団済生会
脳出血の症状
脳出血は突然発症することが特徴の病気です。その際の出血の場所や出血量によって、症状や重症度が大きく変化します。 典型的な症状は、半身の麻痺や顔の麻痺による表情の歪み、感覚麻痺などが挙げられます。また、言葉が出にくくなる(構音障害)、視界が狭くなる(視野障害)といった症状が出ることもあります。 重度の出血の場合は意識障害を引き起こし、命に関わる可能性もあります。また脳出血を起こした場合、後遺症が残るケースが多く見られます。 【後遺症の例】
- 運動麻痺:半身に麻痺が残る
- 感覚麻痺:痛覚や触覚が鈍くなったり過敏になったりする
- 視覚障害:視野が狭くなったり、物が二重に見えたりする
- 構音障害:呂律が回りにくくなる
- 嚥下障害:食べ物を飲み込みにくくなる
- 高次脳機能障害:記憶障害や注意力の低下、感情のコントロールが困難になる
脳出血の治療法
出血自体は、数週間程度で吸収されてなくなりますが、脳の腫れを解消する薬を服薬したり、血圧のコントロールをしたりしながら、リハビリを行います。 出血が多く、脳を圧迫してしまっている場合は、手術が行われることもあります。後遺症を軽減するためには、できるだけ早く、そして継続的にリハビリを行うことが重要です。 出典:回復期リハビリテーションネット
脳出血で障害者手帳を取得できる?

脳出血を発症した人が、障害者手帳を取得する条件やその流れについて解説します。
後遺症の内容によっては手帳を取得できる
障害者手帳の取得には、後遺症が一定の障害と認定されることが条件となります。脳出血の後遺症によって取得できる可能性のある障害者手帳は、以下の3種類です。
- ① 身体障害者手帳(運動麻痺・視覚障害・構音障害などが該当)
- ② 精神障害者保健福祉手帳(高次脳機能障害が該当)
- ③ 療育手帳(知的障害が生じた場合)※ただし知的障害の発症が18歳未満であることが条件
<後遺症別:該当する障害者手帳の種類> 【肢体不自由(運動麻痺)の場合】 上下肢に麻痺が残った場合、身体障害者手帳の「肢体不自由」として取得可能です。その際、等級は、麻痺の重症度や日常生活への影響度によって異なります。 肢体不自由については、こちらの記事「手が不自由でもできる仕事は?上肢障害者におすすめの求人」「足が悪くてもできる仕事・下肢障害者おすすめの求人を紹介」にて、それぞれ詳しく解説しています。 【視覚障害や言語障害(構音障害)の場合】 視野狭窄や視力低下が一定の基準を満たせば、身体障害者手帳(視覚障害)を取得できる可能性があります。 また、構音障害(言葉が話しにくくなる)が重度の場合も、身体障害者手帳の対象となることがあります。 視覚障害については、こちらの記事「視覚障害者に向いてる仕事とは?注意点とおすすめ求人も紹介」にて、詳しく解説しています。 【高次脳機能障害の場合】 記憶障害、注意力の低下、感情のコントロールが困難などの症状が顕著な場合、精神障害者保健福祉手帳の対象になる可能性があります。 高次脳機能障害については、こちらの記事「高次脳機能障害の人に向いてる仕事・おすすめ求人3選」にて、詳しく解説しています。 障害者手帳の取得には、主治医の判断と診断書が必要になるため、障害者手帳の取得を検討する場合は、まず主治医に相談しましょう。
肢体不自由の等級表
肢体不自由で障害者手帳を取得する際の、症状ごとの等級分類について紹介します。 【肢体不自由の障害等級(一部)】
- 1級:両上肢、または両下肢の機能全廃したもの
- 2級:両上肢、または両下肢の機能の著しい障害
- 3級:一上肢の機能の著しい障害または、一下肢の機能を全廃したもの
- 4級:一上肢の肩関節、肘関節又は手関節のうち、いずれか一関節の機能を全廃したものまたは、一下肢の機能の著しい障害
- 5級:一上肢の肩関節、肘関節又は手関節のうち、いずれか一関節の機能の著しい障害または、一下肢の足関節の機能を全廃したもの
- 6級: 一上肢、または一下肢の機能の軽度の障害
出典:東京都福祉局
障害者手帳を取得する手順
障害者手帳の申請には、主治医が作成した診断書が必要です。申請に必要な書類は、役所の福祉課で取得できますが、自治体によってはオンラインでダウンロードできる場合もあります。 申請時には、診断書のほかに以下の書類も必要です。
- 顔写真(縦4cm × 横3cm)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 印鑑(認め印)
<障害者手帳の取得手順> STEP.1:主治医に相談 症状がある程度固定されたと判断されたタイミングで、主治医に申請用の診断書を作成してもらいます。 ※精神障害者保健福祉手帳の場合は、初診から6ヶ月以上の通院歴が必要です STEP.2:役所に必要書類を提出して申請 診断書・意見書を受け取ったら、役所の福祉課に申請書類とともに提出します。 STEP.3:審査機関による審査 役所が申請書類を受理した後、申請書類をもとに専門機関で障害の程度について審査が行われます。 STEP.4:手帳の発行と交付通知 審査が完了すると、役所から交付の通知が届きます。その後、役所で障害者手帳を受け取ります。 主治医への相談から手帳が手元に届くまで、一般的には2〜3か月ほどかかります。ただし、診断書作成の期間や審査の混雑状況によっては、3か月以上かかることもあるため、早めの申請が推奨されています。 出典:愛知県・多摩市・日野市
脳出血の人が障害者手帳を取得するメリット

続いて、脳出血の人が障害者手帳を取得するメリットについて、具体例を挙げながら解説します。
障害者枠での就労が可能になる
障害者手帳を取得する最大のメリットは、障害者枠での就労ができるようになる点です。 障害者枠で採用されると、会社側から合理的配慮を受けながら働くことができ、安心して長く就業できる環境を得ることができます。 【合理的配慮の例】
- 業務内容や業務量の調整
- 勤務時間の柔軟化
- 定期的な面談の実施
- 専用の業務マニュアルの提供
- 在宅勤務の許可など
具体的な配慮の内容は企業のルールや障害の内容によって異なりますが、合理的配慮を受けることで、就労による心身への負担を軽減することができます。そのため、一般枠での就労と比較して、長期的に安心して働くことができるようになります。 また、障害者枠の採用枠は一般枠とは別に設けられているため、採用されやすくなるというメリットもあります。
生活の支援が受けられる
障害者手帳を取得することで、日常生活に関する支援を受けられる場合があります。 【生活支援の例】
- 補装具費の支給:義肢や車椅子などの支給、または修理に関する費用の支給
- 訪問看護サービス(1~2級対象)
- 寝具洗濯・乾燥サービス(1~6級対象)
- 緊急通報システム設置(1~2級対象)
- 在宅リハビリ支援
- 在宅重度身体障害者訪問診査(リハビリセンターへの訪問が難しい重度身体障害者)
なお、支援の内容や対象等級は自治体によって異なるため、詳細は市区町村の福祉課で確認するようにしましょう。 出典:川崎市
金銭的な支援が受けられる
障害者手帳を取得することで、助成金や交通機関の割引など、様々な金銭的な支援を受けることができます。 【助成金・税金の控除の例】
- 重度障害者医療費助成:障害等級1~2級が目安。入院・通院などにかかる自己負担額の助成が受けられる
- 特別障害者手当:障害等級1~2級が目安。月額28,840円が支給される。(所得制限あり)
- 税金控除(障害等級3~6級):年間27万円(所得税)年間26万円(住民税)
- 税金控除(障害等級1~2級):年間40万円(所得税)年間30万円(住民税)
出典:川崎市・厚生労働省・国税庁 【対象となる利用料の割引・免除の例】
- 公共交通機関の割引(JR・地下鉄・新幹線・都営バス・飛行機など)
- 娯楽施設の割引(映画館・水族館・遊園地など)
- 公共施設の割引・無料化(動物園・美術館など)
- NHK受信料の免除(条件を満たす場合)
- 携帯電話料金の割引(各通信事業者が提供するプランが適用)
助成制度や税控除の対象等級は自治体ごとに異なるため、申請前に自治体の福祉課で確認するようにしましょう。 また、後遺症によって社会生活に大きな影響が出ている場合、障害年金を受け取ることができる可能性があります。障害年金は、障害者手帳とは別の認定基準が設けられています。 【障害年金の認定基準】
- 1級:身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
- 2級:身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
- 3級:身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
なお、障害年金の等級と障害者手帳の等級は、基準が異なります。そのため、障害者手帳を取得しても、必ずしも障害年金の対象になるとは限らない点に注意しましょう。 なお、令和7年度の障害年金の支給額は以下の通りとなっています。
月額 | 年額 | 前年度の年額 | |
障害基礎年金1級 | 86,635円 | 1,039,625円 | 1,020,000円 |
障害基礎年金2級 | 69,308円 | 831,700円 | 816,000円 |
障害厚生年金 3級(最低保障) | 51,983円 | 623,800円 | 612,000円 |
子の加算1人目(障害基礎年金に加算) | 19,941円 | 239,300円 | 234,800円 |
子の加算2人目(障害基礎年金に加算 | 19,941円 | 239,300円 | 234,800円 |
子の加算3人目(障害基礎年金に加算 | 6,650円 | 79,800円 | 78,300円 |
配偶者 加給年金(障害厚生年金に加算) | 19,941円 | 239,300円 | 234,800円 |
障害年金生活者支援給付金1級 | 6,813円 | 81,756円 | 79,656円 |
障害年金生活者支援給付金2級 | 5,450円 | 65,400円 | 63,720円 |
上記の金額は毎年見直されるため、最新の情報は日本年金機構の公式サイトでご確認ください。 出典:三重県・障害年金申請サポート、小川早苗社会保険労務士事務所
脳出血で障害厚生年金3級を受給できた事例

脳出血により、障害厚生年金3級の受給対象となった50代男性の事例を紹介します。 こちらの男性は、突然のめまいにより倒れ、救急搬送され脳出血と診断されました。その後、後遺症として左半身の麻痺と失語症を発症しました。リハビリを続けていましたが、左半身の麻痺が悪化し、仕事を辞めざるを得なくなってしまいました。 就労ができなくなったことで、障害年金を申請。その結果、障害厚生年金3級と認定され、年額約89万円を受給しました。 出典:千葉障害年金相談センター
脳出血を発症した人におすすめの求人

ジョンソン・エンド・ジョンソン
【求人情報】
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- 雇用形態:正社員
- 業務内容:入社~異動~退職に伴う人事関連手続き全般、ファイリング・人事データの抽出・提供、社内問い合わせ対応など、配属ポジションによって決定
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- 勤務地:東京本社・在宅とのハイブリッド勤務可能
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LAVA International
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LINEヤフー
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