【比較表つき】就労移行支援と就労継続支援の違いは?得られる業務スキルの違いも解説

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就労支援系の福祉サービスの代表的なものとして、就労移行支援と就労継続支援の2つがあります。

今回はこの2つの就労支援サービスの違いについて、さまざまな観点から比較しながら解説します。

就労移行支援と就労継続支援の違い

就労移行支援と就労継続支援は、どちらも障害や難病を持った人を対象とした就労支援系の福祉サービスです。しかし、名称は似ていますが、それぞれ利用目的や対象者などに違いがあります。

【例:利用目的の違い】

また、就労継続支援はA型とB型の2種類に分類されます。

就労移行支援と就労継続支援A型・B型それぞれの違いについて、比較表で紹介します。

【比較表:就労移行支援と就労継続支援A型・B型の違い】

就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型
利用目的 一般就労を目指すための準備や業務スキルを身に付ける 事業所内で業務を行い給与を受け取る 事業所内で作業を行い工賃を受け取る
利用対象者 一般就労を目指している人 体調の関係で一般就労が難しい人 体調の関係で一般就労が難しい人
雇用契約 なし 結ぶ 結ばない
給与 なし 時給(最低賃金補償あり) 工賃(最低賃金補償なし)
平均月収 なし 81,645 円/月(令和3年度) ※1 16,507 円/月(令和3年度) ※1
利用可能年齢 原則18歳から65歳未満 原則18歳から65歳未満 指定なし
利用可能期間 現職最大2年間 指定なし 指定なし
得られる業務スキル
  • 事務スキル
  • プログラミング
  • Webデザインなど
  • 事務スキル
  • 清掃
  • 軽作業など
  • 軽作業
  • 清掃
  • 農業など
求められる体調の安定度 一般就労を目指せる状態であること 一般就労は難しいが、一定時間働ける状態であること 短時間であれば作業ができる状態であること

※1出典:厚生労働省

利用目的・対象者の違い

利用目的と対象者の違いについて具体的に解説します。

就労移行支援

就労移行支援は一般就労を目指すために利用する施設で、通うこと自体が目的ではありません。

就労移行支援では、一般就労に役立つ業務スキルを学んだり、一般就労をする場合の生活リズムに体を慣れさせたりしながら、企業への一般就労を目指す流れになるため、あくまで対象者は一般就労を目指している方になります。

なお、就労移行支援事業所に通所できる期間は、原則2年間までとされているため、2年以内の就職を目指す必要があります。

そのため、体調が不安定で、利用期限である2年以内の就職が現実的に難しい場合は、利用は向いていません。

就労移行支援の利用期間については、こちらの記事「就労移行支援を2年過ぎても利用する方法・期間リセットの事例や2年以内に就職する方法も解説」にて詳しく解説しています。

就労継続支援

就労継続支援は、事業所内で業務や作業をすることで、働く機会を得ながら賃金を得ることができる施設です。

就労移行支援と比較されることが多いですが、利用目的の観点から見ると、就労移行支援は「一般就労のための準備」であることに対し、就労継続支援は「働き方の選択肢のひとつ」であるため、趣旨は大きく異なります。

そのため、就労継続支援は、企業での一般就労や、障害者向けサテライトオフィスなどと比較した方が、どの環境が自分に向いているのかを判断しやすくなります。

就労継続支援 障害者向けサテライトオフィス 一般就労(障害者枠)
雇用形態 ・A型:雇用契約あり
・B型:雇用契約なし
正社員・契約社員・パート 正社員・契約社員・パート
就労場所 事業所 サテライトオフィス 企業のオフィス
給与 時給・工賃 月給・時給 月給・時給
障害への配慮 徹底した配慮を受けられる 徹底した配慮を受けられる 受けられる(程度は企業による)


障害者枠での一般就労のメリットとしては、障害に対する合理的配慮を受けながら働ける点です。配慮の程度は企業によって異なりますが、障害に合わせた業務内容の変更や勤務時間の調整といった基本的な配慮はどの企業であっても確実に受けることができます。

それに対し、障害者向けサテライトオフィスは、企業から直接雇用され、障害者のための設備やサポートが整っている別のオフィス(サテライトオフィス)で業務を行う働き方です。障害者向けサテライトオフィスには、バリアフリーな環境が整備されているだけでなく、障害に対する専門的なサポートを行えるスタッフが常駐しているため、より安心して働くことができます。

就労継続支援と一般就労(障害者枠)の間に、障害者向けサテライトオフィスでの就労が位置しているイメージがわかりやすいでしょう。

障害者向けサテライトオフィスについては、こちらの記事「障害者向けサテライトオフィスとは?働き方やメリット・デメリットを解説!」にて詳しく解説しています。

受けられる支援内容の違い

続いて、それぞれで受けられる支援内容の違いについて解説します。

就労移行支援

就労移行支援で受けられる支援内容は、大きく分けて2つです。

1つが、一般就労での就労に役立つ実務的な業務スキルを学べることです。

【学べる業務スキルの例】

これらの業務スキルを、カリキュラムに沿って基本的なレベルまで学ぶことができるため、未経験職種への就職を目指したい場合に最適です。

もう1つは、一般就労を実現するための就職活動のサポート。選考を通過するための準備や、求人の紹介、就職後の定着支援など、総合的なサポートを受けることができます。

就労継続支援

就労継続支援では、事業所ごとに設定された業務や作業を行います。A型とB型を比較すると、B型の方がより心身への負荷が少ない作業を担当することになります。

【A型の業務例】

【B型の作業例】

どちらも、障害への負担がない範囲で、適切な配慮を受けながら仕事や作業を行うことができます。

就労移行支援と就労継続支援は同時に通える?

就労移行支援と就労継続支援は同時に利用することはできません。

理由としては、それぞの支援事業所は利用目的や対象者が異なり、就労移行支援は「一般就労を目指すため」、就労継続支援は「働く機会を得るため」に利用するものであるため、目的が違うサービスを併用することで、それぞれに悪影響を与える可能性があるためです。

【併用することで悪影響が出てしまう例】

(例)一般就労を目指すために就労移行支援でプログラミングを学んでいたが、生活費のために、事業所に内緒で就労継続支援で仕事を始めたところ、就労移行支援事業所に通所する時間が少なくなり、結果的にプログラミングの知識が身につかず一般就労することができなかった。

併用できないと国が明文化しているわけではありませんが、上記のような理由から、市町村単位では明確に禁止とされていることが大半です。

また、就労移行支援と就労継続支援は、アルバイトを含む一般就労を同時に行うこともできません。

就労移行支援を利用中のアルバイトについては、こちらの記事「就労移行支援はアルバイト禁止!バレたらどうなる?生活費を賄う方法も紹介」にて詳しく解説しています。

就労移行支援は給料を受け取れる?

就労移行支援は、継続支援とは違い、給料や工賃を受け取ることはできません。

ただし例外的に、一部事業所では賃金を得る充実感を経験するため、金銭管理を学ぶことなどを目的として、賃金を支給している場合があります。しかし非常に稀な例であるため、基本的に就労移行支援は賃金を受け取れないと考えておきましょう。

また、就労継続支援を利用した場合でも、賃金的に十分な収入にはならないことがあります。そのような場合には、事前に金銭的な対策をしておくことが重要になります。

なお、就労移行支援は工賃を受け取ることはできませんが、その分メリットが多数あります。

【就労移行支援のメリット】

そのため、就労経験や実務スキルが少ない人や、安心できる環境で就職活動をしたい人は積極的に利用しましょう。

就労移行支援の利用が向いてる人については、こちらの記事「【比較表つき】就労移行支援が向いている人と向いてない人の違いを解説」にて詳しく解説しています。

就労移行支援・就労継続支援を利用する方法

続いて、就労移行支援と就労継続支援を利用するまでの流れを、それぞれ簡単に解説します。

【就労移行支援を利用するまでの流れ】

【就労継続支援を利用するまでの流れ】

このように、通うまでの手順が少し複雑になっており、どちらも準備には1~2ヶ月ほどかかることが一般的です。

それぞれの事業所の利用開始方法については、こちらの記事「就労移行支援事業所に通い始めよう!利用登録・契約の方法は?」『「就労継続支援」とは?A型・B型の違いと手続き方法を解説!』にてそれぞれ詳しく解説しています。

また、私たち障害者雇用バンクでは、就労移行支援事業所「エラビバ就労支援」を運営しています。関東で就労移行支援事業所をお探しの場合は、ぜひ無料見学にお越しください。

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