就労継続支援B型はどんな人におすすめ?作業内容や工賃を徹底解説!
就労継続支援B型は障害などが理由で、企業で働くことができない方のための作業所です。 企業とは違い、障害に対する徹底した配慮やごく短い時間から働けるなど、就労継続支援B型ならではのメリットがたくさんあります。 今回はこの就労継続支援B型について徹底解説します!
就労継続支援B型とは?
まずは就労継続支援B型がどんな施設なのかについて解説します。
一般就労が難しい人を対象とした作業所
就労継続支援B型は、体調面などさまざまな事情で企業での一般就労が難しい方を対象とした作業所です。 就労継続支援B型は雇用契約を結ばず、自分が行った作業量に対して工賃を受け取ります。 また週1日や1日1時間など、通所者の状況や都合に合わせた働き方ができるのも、就労継続支援B型の特徴です。
就労継続支援B型の作業内容
就労継続支援B型での作業内容は、事業所ごとに異なりますが、基本的には単純作業が中心です。 【作業内容例】
- PCでの簡単な入力作業
- カルテのスキャン(PDF化)作業
- お菓子やパンの製造
- ビルの清掃作業
- 農作業
- 製品の包装作業
- 袋詰め製品へのシール貼り作業
- 缶バッチの作成作業
- 衣類のクリーニング
- ホームページの作成作業
- 競技用車椅子のメンテナンス作業
体調が安定していない方や、社会人経験がない方や少ない方を対象としているため、比較的簡単な作業内容となっています。 作業内容は事業所ごとに決められているため、ご自身の希望や得意分野に合わせて事業所を選んでみましょう。 作業所をインターネットを活用して探す場合は、Googleなどの検索エンジンで「障害者 作業所 〇〇(清掃など)」や「就労継続支援B型 〇〇(新宿区)」と検索してみましょう。 また事業所によっては、入所前に見学や体験ができる場合もあるため、気になる事業所を見つけたらまずは問い合わせてみましょう。
就労継続支援B型の工賃(給料)
就労継続支援B型では、雇用契約を結ばないため最低賃金は保証されません。例えば東京都の最低賃金は、1時間あたり1,041円(2022年4月時点)ですので、一般就労や就労継続支援A型では、時給が1,041円を下回ることはありませんが、就労継続支援B型では時給換算でこの金額を下回ることがあります。 しかし作業量に対して工賃が支払われるため、働く時間を自分の状況に合わせて調整できるというメリットがあります。 また、当日体調が悪くなったりした場合に欠席できることもメリットの1つです。 厚生労働省の調査(令和2年度)によると、1ヶ月あたりの工賃の全国平均額は15,776円で、前年度の16,369円と比べると少し減額していますが、10年前と比べると2,000円ほど増額しています。もちろん長時間働くことができれば、3万〜5万円程度受け取れることもあります。 【1ヶ月あたりの工賃例】※30代でうつ病の方
- 工賃(月額):17,000円
- 作業内容:PCでの簡単なデータ入力作業
- 勤務時間:週3日 1日4時間
作業内容が他の事業所と変わらなくても、工賃の全国平均額を大きく上回る工賃を設定している作業所もありますが、そういった作業所は数がかなり限られています。工賃が高い事業所を探す場合は「就労継続支援b型 工賃 高い」などと検索してみましょう。 工賃は税務上、給与所得にはなりません。就労継続支援B型では雇用契約を結んでいないため、工賃は源泉徴収の対象外となります。源泉徴収の対象外となるメリットとしては、工賃から税金を支払う必要がなくなるというメリットがあります。 本来、源泉徴収対象外の収入については、自分で確定申告を行い税金を支払う義務がありますが、年間の工賃額が65万円以下の場合は、自分で確定申告をする必要がないため、手間がかからない点もメリットと言えます。 年間65万円以上稼ぐためには、月平均で5万5千円程度の工賃をえる必要がありますが、工賃の全国平均額(15,776円)から考えてもこれは難しいため、大抵の場合工賃がそのまま自分の手元に入ります。
就労継続支援B型の対象者
就労継続支援B型は、下記の条件のうち1つ以上に当てはまる方が利用対象です。 【利用条件】
- 就労経験があり、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難になった方
- 50歳に達している方
- 障害基礎年金一級受給している方
- 上記に該当せず、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に関わる課題等の把握が行われている方
また年齢制限はないため、一般企業のように定年退職もありません。ご自身が利用対象に入るかどうかわからない場合は、お近くの役所もしくは施設にてお問合せください。
利用料と利用期間
続いて、就労継続支援B型の利用料金と、利用期間についてです。 就労継続支援B型の利用料金は、9割が国と自治体の負担、残りの1割が自己負担となります。さらにこの自己負担分にも上限額が設定されており、上限額は世帯収入ごとに異なりますが約8割の方が無料で利用されています。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限額 |
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯(注1) | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満)※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除きます(注3)。 | 9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
※注1:3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象となります ※注2:収入が概ね600万円以下の世帯が対象になります。 ※注3:入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります 具体的な条件や利用料金については、市区町村ごとに細かく違う場合があるため、詳しくはお住まいの役所窓口へお問合せください。 また、就労継続支援に利用期間は定められていないため、本人が希望する限り何年でも続けて通所できます。
就労継続支援B型とA型の違い
就労継続支援には、B型とA型の2種類があります。 それぞれの違いは下記の通りです。 【B型とA型の違い】
A型 | B型 | |
雇用契約 | 結ぶ | 結ばない |
利用料金 | 所得により自己負担の場合あり | 所得により自己負担の場合あり |
賃金 | 作業量に対する工賃 | 働いた時間に対する給料 |
平均賃金 | 79,625円/月・899円/時給 | 15,776円/月・222円/時給 |
対象年齢 | 年齢上限なし | 原則65歳未満 |
利用期間 | 規定なし | 規定なし |
A型では雇用契約を結ぶため最低賃金が保証されます。そのためB型よりも高い収入を得ることができます。 令和2年度の平均給与額は、79,625円となっていてB型の15,776円と比較しても5倍以上の金額です。 しかしA型はB型よりも長時間の勤務が必要なため、体調が不安定だと利用が難しいです。その点B型では、ごく短時間からの利用が可能で、その上当日の体調によって欠席もできるため、体調が不安定な方でも安心して利用できます。 また、利用料金の条件や利用期間については、A型もB型と同様です。
就労継続支援B型は体調が不安定な方におすすめ
障害者雇用での一般就労や特定子会社、障害者向けサテライトオフィスなど、複数ある働き方の中で最も障害への負担が少ない働き方です。 具体的に言うと、就労継続支援B型は下記のような方におすすめです。
- 一般就労が難しい方
- ごく短い時間から働き始めたい方
- まずは社会参加をしたい方
上記のように、障害の症状が安定していなかったり、一般就労をするのが不安な方は、まず就労継続支援B型での就労がおすすめです。 また一般就労は難しいけどある程度の収入も欲しいという場合は、就労継続支援A型の利用をご検討ください。
就労継続支援B型に通うための手順
就労継続支援に通うための手順は下記の通りです。
- 1.事業所を見つけて応募する
- 2.市区町村窓口で利用申請する
- 3.認定調査
- 4.「サービス等利用計画案」の提出
- 5.暫定支給の決定(A型のみ)
- 6.「個別支援計画」の作成
- 7.支給決定と受給者証の交付
手順が多く大変ですが、市区町村窓口で直接教えてもらうこともできるので、不安な場合はぜひ窓口で相談してみてください。 就労継続支援に通う手順については、こちらの記事『「就労継続支援」とは?A型・B型の違いと手続き方法を解説!』にて詳しく解説しています。 また障害者雇用バンクを利用して就労継続支援事業所を探すことができます。地域で絞って検索することもできるので、自宅にいながら自分の希望に合う事業所を探してみてください。
就労継続支援B型から一般就労は目指せる?
最後に、就労継続支援B型からのキャリアアップについて解説します。 就労継続支援は希望する限りずっと利用できますが、一般就労に向けてキャリアアップすることもできます。 以下に、一般就労に向けたおすすめのキャリアステップを記載します。 <一般就労に向けたキャリアステップ例>
- 1.就労継続支援B型で仕事に慣れる
- 2.就労継続支援A型で週20時間勤務を目指す
- 3.就労移行支援事業所から転職サポートを受ける
- 4.特定子会社もしくは障害者向けサテライトオフィスで勤務する
- 5.一般就労で働く
まずは就労継続支援で、体調を安定させることと就労の経験を積みましょう。そしてある程度経験を積んだら就労移行支援を活用し、一般就労に必要なスキルを身につけながら就職先を探します。 就労移行支援からそのまま企業での一般就労を目指すこともできますが、特例子会社や障害者向けサテライトオフィスの方が、障害への理解が進んでいたり働き方に融通が効くため、就労の負担で体調の再悪化を防ぐためにも、特例子会社や障害者向けサテライトオフィスでの就労を挟むことをおすすめします。 上記のキャリアステップはあくまで一例となりますので、体調や状況によってご自身に合ったやり方でキャリアアップを目指してみてください。 就労継続支援からのキャリアアップについては、こちらの記事「障害者向けの作業所とは?就労継続支援から一般就労を目指す方法や作業内容を解説」で詳しく解説しています。
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