「就労継続支援」とは?A型・B型の違いと手続き方法を解説!
「就労移行支援」とは、障害を持っている方々が一般企業に就労する前のトレーニングとして、就労移行支援事業所で働くことができるシステムです。 就労継続支援は、一般企業等で就労することが困難な方に、働く場を提供するサービスです。 混同されがちな「就労移行支援」との違い、さらに就労継続支援の中でA型とB型の違いを明らかにしながら、就労継続支援の詳しいサービス内容について説明します。
「就労継続支援」とは?「就労移行支援」とはここが違う!
冒頭で説明した通り、就労継続支援は「一般企業等で就労することが困難な方」に向けて、働く場所を提供するサービスです。よく混同されがちな就労移行支援が「働くための準備の場」を提供するのに対し、就労継続支援が提供するのは「働く場所」。その目的の差異から、両者には以下の違いがあります。
就労継続支援は「働く場所を提供するサービス」なので給与や工賃(成果報酬)が出る上、利用期間の制限がない点が、就労移行支援と異なる点です。
就労継続支援にはA型とB型がある!2つの違いは?
就労移行支援と就労継続支援の違いはお分かりいただけたかと思いますが、実は就労継続支援はさらにA型とB型の2種類に分かれています。
◆就労継続支援A型:就労支援を行う事業所と雇用関係を結ぶ
◆就労継続支援B型:事業所とは雇用関係を結ばず、働く場所を提供してもらう
ここからは、A型とB型、それぞれ詳しいサービス内容や利用条件をご説明します。
就労継続支援A型の利用対象者
就労継続支援A型では、「一般企業で働くことは難しいものの、一定の支援があれば働ける人」に向けて仕事を提供しています。 大前提として、就労継続支援A型を利用するには、以下の利用条件を満たしている必要があります。
- 原則18歳以上、65歳未満の人
- 障害者や、厚生労働省に指定された難病患者
就労移行支援と同様に、ここでいう「障害」は障害者手帳の有無に定義されるものではありません。障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書があれば、利用対象となる場合があります。 では、実際にどのような仕事に携わることができるのか、具体例をみてみましょう。
就労継続支援A型は一般企業で働くことが難しい方に向けたサービスなので、1日の労働時間が4時間〜8時間と一般就労者に比べて短くなっています。 仕事内容も以下のような比較的軽い作業が多いです。
- 飲食店でのホールスタッフ
- パソコンによるデータ入力
- 工場での軽作業
この際、スタッフがサポート役としてついてくれるので、就労に必要な知識、能力は働きながら学ぶことができます。仮に、一般企業で働くために十分なレベルまで知識や能力を向上させることができた場合、一般企業等への転職活動をサポートしてくれるのも嬉しいポイントです。
就労継続支援A型でもらえる報酬
就労継続支援A型では、利用者は事業者と雇用契約を結んで働きます。そのため、利用者は「労働者」として労働基準法に守られることになり、原則最低賃金以上の給与が支払われるきまりになっています。 厚生労働省によれば、平成30年度時点でのA型利用者の、平均賃金は、一月あたり76,877円です。 障害をお持ちの方はこの収入に生活保護や障害年金がプラスされる場合もあるので、利用者の中には一人で生活していらっしゃる方もいます。
就労継続支援A型事業所の利用料金
就労継続支援A型事業所の利用料金は事業所によって異なりますが、一月あたりの自己負担上限額は就労移行支援と同じです。
ただし、一部の事業所は自治体に利用料減免の届を出し、利用料を完全に負担しているケースもあります。その場合、利用者は完全無料で施設を利用することができます。 詳しくは、各事業所にお問い合わせください。 次に、就労継続支援B型について詳しく解説していきます。
就労継続支援B型の利用対象者
就労継続支援B型の利用対象者は、障害者や難病を持った方だけに留まりません。
- 就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
- 50歳に達している者または障害基礎年金一級受給者
- 1及び2に該当しない者で、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に関わる課題等の把握が行われている者
就労継続支援B型は、就労移行支援や就労継続支援A型と異なり年齢制限もない点が特徴です。
- 農作業
- 部品の加工
- 製品に刺繍をするなどの手工芸
- パンやクッキーなどのお菓子作り
- 飲食店での調理
- 衣類やリネンなどのクリーニング
- WEBサイトの作成
就労時間は、1日に2〜4時間と短く、なかには1時間のみの利用も可能な事業所があります。勤務時間を、スタッフと相談しながら自分の好きなように調整できるので、マイペースに働くことができます。 また、勤務日数も週1~5日までで選ぶことができるので、定期的に通院しなくてはいけない方も利用しやすいサービスです。
就労継続支援B型でもらえる報酬
就労継続支援B型は「障害や持病の特性上、雇用契約を結んで働くのが困難である」と市町村によって判断された方に向けたサービスです。利用者は事業所と契約を結ぶわけでは無いので、作業に対しては給与ではなく「工賃」(成果報酬)が支払われる仕組みになっています。 就労継続支援B型では、事業所によって1日のうちにもらえる賃金の最高額が決まっている場合と、つくった製品やサービスなど、労働の対価に応じて賃金が支払われる場合があります。 しかし、B型の利用者は労働基準法が適用されないため、工賃はほとんどの場合最低賃金を下回っています。近年は増加傾向にあるようですが、それでも平成30年度時点の平均賃金は一月あたり16,118円となっています。
就労継続支援B型事業所の利用料金
利用料に関する規定は、就労移行支援事業所、就労継続支援A型事業所と全く同じですので、割愛します。
就労継続支援A型・B型の利用方法
最後に、就労継続支援A型・B型の利用開始までの流れをお伝えします。利用までの流れは、A型・B型どちらも大体同じです。
就労継続支援事業所の利用方法
就労継続支援事業所で働くためには、事業所での選考を受けた後、市町村に対して申請をしなくてはいけません。具体的な手順は以下の通りです。
①事業所を見つけて応募する
市区町村の障害福祉窓口やハローワークに足を運び、就労継続支援事業所の求人を見つけましょう。事業所への問い合わせや見学、説明会に行った際にその事業所から就労を勧められることもあります。また、インターネット上の検索サイトを利用すれば、直接足を運ぶ手間がかかりません。障害者雇用バンクなら、18000軒以上の中から、ご希望条件に沿った事業所を探すことが可能です。気になる事業所を見つけたら、履歴書を送り、選考を受けましょう。
②市町村窓口で利用申請をする
事業所での選考を通過したら、市区町村の窓口で就労継続支援の利用を申請します。
③認定調査
次に調査員による利用意図・状況の聞き取り調査を受けます。
④「サービス等利用計画案」の提出
どのような意図でどのようなサービスを受けるのかをまとめた「サービス等利用計画案」を提出します。この際、計画案を一人で書くことに不安がある方は、指定特定相談事業者に委任したり、一緒に作成したりもできるのでご安心ください。
⑤暫定支給の決定(A型のみ)
就労継続支援A型の利用を希望する方は、サービス等利用計画案を提出したのち、最長期間を2ヶ月として就労支援体験を行います。サービス内容が適切かどうか、他に必要なサービスがあるかどうかなどを調整する、本格的にサービスを利用する前の試行期間です。 ただ、市町村によって「暫定支給期の期間を設けなくてよい」と判断された場合は、暫定支給決定を行わないこともあります。過去に利用していた事業所を再度利用する場合などがこの一例です。
⑥「個別支援計画」の作成
サービス等利用計画案や暫定期間の所感をもとに、指定特定相談支援事業者が個別支援計画を作成します。この個別支援計画は実際の支援のベースとなるもので、利用者の目標達成や継続的なサポートのために重要な役割を果たしています。
⑦支給決定と受給者証の交付
個別支援計画が受理され支給が決定したらサービスの内容が申請者に通知され、その後受給者証が交付されます。自治体によって異なりますが、申請から本支給までは1~2ヵ月ほど要することが多いようです。 最後にサービスを利用するための受給者証が発行されたら、いよいよ就労継続支援事業所で勤務開始です。
以上が、就労継続支援A型とB型の違いです。 A型事業所もB型事業所も、ご自身の障害と上手に付き合いながら働ける環境が整っています。また、就労継続支援を利用してから、就労移行支援事業所に移ることや、一般企業等へ就労することも可能です。現状「フルタイム勤務が難しい」と感じている方は、 一度就労継続支援事業所で働くことを検討してみてはいかがでしょうか。
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