障害者雇用で農業の仕事はできる?仕事内容・働き方・向いている人・求人の探し方を解説
農業の仕事に興味があっても、体力面や障害への配慮の面から、障害者雇用で本当に働けるのか不安に感じる人は少なくありません。農業の求人は都市部の事務職に比べて目にする機会が少なく、どこで探せばよいのかわからないという声もあります。 農業に携わる方法は、農業法人などに障害者雇用枠で直接雇用される働き方のほか、就労継続支援A型・B型や施設外就労を通じて農作業に取り組む方法もあります。農福連携の広がりにより、農業に関わる選択肢は全国で増えています。 この記事では、障害者雇用で農業に携わる働き方の種類と仕事内容、向いている人の特徴、農業で障害のある人の活躍が広がっている背景、求人の探し方を解説します。
障害者雇用で農業の仕事はできる?まず結論
障害のある人も、農業分野で働くことができます。 農業法人・農家への直接雇用のほか、就労継続支援A型・B型や施設外就労を通じて農作業に携わる方法もあります。業務内容も栽培だけでなく、選別・袋詰め・加工・販売など幅広く、自分の得意な作業や必要な配慮に合う働き方を選べます。 ここからは、農業分野で働く場がどのように広がっているのか、どのような働き方を選べるのかを詳しく見ていきます。
障害のある人が農業で働ける場は増えている
農業と福祉が連携する「農福連携」の取組が全国で広がり、障害のある人が農業に携われる職場や働き方も増えています。 農福連携等に取り組む主体数は、令和7年度末時点で8,949件となっています。令和元年度の4,117件から毎年増え続けており、国は令和12年度末までに12,000件以上へ広げる目標を掲げています。 内訳は、農林水産業経営体やJAなどが4,140件、就労継続支援A型・B型事業所や特例子会社などが4,410件、ユニバーサル農園や高齢者施設、特別支援学校などが399件です。働き先の候補は農業側と福祉側の双方にあります。 このように、農業法人や農家への直接雇用だけでなく、就労継続支援A型・B型などの福祉サービスを通じて農業に携わる選択肢も広がっています。 出典:農林水産省「農福連携をめぐる情勢」・農林水産省「農福連携の推進」
直接雇用と福祉サービスの利用で働き方が分かれる
農業に携わる方法は、農業法人や農家に直接雇用される働き方と、就労継続支援A型・B型などの福祉サービスを利用して農作業に取り組む働き方の大きく2つに分かれます。 福祉サービスを利用する場合は、事業所が運営する農場で働くだけでなく、事業所に所属したまま農家や農業法人へ出向いて作業する「施設外就労」という働き方もあります。 それぞれの違いは、以下のとおりです。
| 働き方 | 雇用契約 | 収入 | 働く場所 | 特徴 |
| 農業法人・農家への直接雇用 | あり | 給与 | 農業法人・農家の農場や作業場 | 農業法人や農家の従業員として働く。障害者雇用枠の求人から応募でき、勤務時間や仕事内容などは求人ごとに異なる |
| 就労継続支援A型 | あり | 給与 | 事業所が運営する農場・作業場など | 支援を受けながら雇用契約を結んで働く。体調や障害の特性に合わせて農作業の経験を積める |
| 就労継続支援B型 | なし | 工賃 | 事業所が運営する農場・作業場など | 雇用契約を結ばず、自分のペースで農作業に取り組む。一般企業で働くことが難しい人も利用できる |
| 施設外就労 | A型はあり・B型はなし | A型は給与・B型は工賃 | 事業所と契約した農家・農業法人の農場 | 事業所に所属したまま、支援スタッフと一緒に農家へ出向いて作業する。農業者と直接雇用契約を結ぶ働き方ではない |
企業に雇用されている障害者の数を産業別に見ると、農・林・漁業は1,037人で、集計対象となった企業は528社です。ただし、この集計は従業員40人以上の企業が対象のため、家族経営や小規模な農業法人は含まれていません。 一方、農福連携の取組主体のうち、就労継続支援A型・B型事業所などの障害者就労施設等は4,410件にのぼります。 そのため、農業法人や農家への直接雇用だけで探すと選択肢は狭く見えますが、A型・B型や施設外就労まで含めて探すことで、農業に携われる場は大きく広がります。 出典:厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」・農林水産省「農福連携をめぐる情勢」・農林水産省「農福連携ガイドブック」
障害のある人が農業に携わる働き方の種類
障害のある人が農業に携わる方法は、農業法人や農家に直接雇用される方法だけではありません。就労継続支援A型・B型を利用したり、事業所に所属したまま農家へ出向く施設外就労を利用したりする方法もあります。 ここでは、それぞれの働き方について詳しく解説します。
農業法人・農家に障害者雇用枠で直接雇用される
農業法人や農家と雇用契約を結び、従業員として農作業に携わる働き方です。給与を受け取りながら働き、勤務時間や担当する業務は求人ごとに決められています。 障害者雇用枠の農業求人は、ハローワークなどで探せます。仕事内容は職場によって異なり、たとえば次のような仕事があります。
- 種まき・苗の植え付け・収穫などの栽培作業
- 野菜や果物の選別・袋詰め
- 出荷準備
- 農場やハウス内の清掃・管理
- 農産物の加工・販売
屋外作業が中心の職場もあれば、選別や袋詰めなど屋内作業を多く担当する職場もあります。自分の障害特性や体力に合う仕事かどうか、求人票で担当業務や勤務環境を確認することが大切です。 農業法人のなかには、長年にわたって障害のある人を雇用し、作業の分担や設備を整えている企業もあります。 また、特例子会社が農業に取り組み、障害のある社員が野菜や花などの生産・販売を担当している例もあります。 特例子会社と障害者雇用枠の違いについては、こちらの記事「特例子会社と障害者雇用枠の違い・おすすめ求人3選をそれぞれ紹介!」で詳しく解説しています。 出典:農林水産省「農福連携ガイドブック」
就労継続支援A型・B型事業所で農作業に取り組む
就労継続支援A型では事業所と雇用契約を結んで給与を受け取り、B型では雇用契約を結ばず、作業に応じた工賃を受け取ります。いずれも、農業に取り組む事業所があります。 農福連携の事例では、20人以上の利用者全員が年間を通じて農作業に従事し、一人ひとりの障害特性に応じて作業を分担している事業所もあります。 就労継続支援の工賃については、令和6年度の全国平均で、就労継続支援B型が月額24,141円、A型が月額91,451円です(農業に取り組む事業所に限った数値ではなく全国の就労継続支援事業所の平均値)。 工賃の額は事業所ごとに差が大きく、農作業に取り組む事業所には、県平均の約4倍の工賃や、平均工賃95,000円以上を実現しているところもあります。 体力や体調に不安があり、企業に直接雇用される働き方がすぐには難しい場合は、事業所で農作業の経験を積みながら一般就労を目指す進み方もあります。 就労継続支援A型とB型の対象者や利用条件については、こちらの記事「就労継続支援A型はどんな人が対象?向いている人・利用条件・B型との違いを解説」と「就労継続支援B型はどんな人に向いてる?対象者・利用条件・申請手順をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。 出典:厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」・農林水産省「農福連携ガイドブック」・農林水産省「農福連携をめぐる情勢」
事業所から農家へ出向く施設外就労・請負作業
施設外就労は、事業所が農家と農作業の請負契約を結ぶ仕組みで、利用者は支援スタッフと一緒に農場へ出向いて作業します。作業の指示は、職業指導員などの支援スタッフが行います。 作業の対価である請負報酬は農家から事業所へ支払われ、利用者は普段通っている事業所に所属したまま農場へ出向く形になります。 事業所が請け負う作業は農家ごとに決まっています。こまつなやほうれんそうの収穫・袋詰めを通年で担う場合もあれば、えだまめの出荷のように夏の2か月間だけ担う場合もあり、通年の作業か季節限定の作業かで働ける期間が変わります。 通い慣れた事業所の支援スタッフが同行するため、農作業が初めての場合や、指示の受け取り方に配慮が必要な場合でも取り組みやすい働き方です。 出典:農林水産省「農福連携ガイドブック」
障害者雇用で農業の主な仕事内容
種まき・苗の植え付け・収穫などの栽培作業
農作物を育てる栽培作業では、種まきから収穫まで、季節や作物の成長に合わせてさまざまな仕事を行います。 主な作業は次のとおりです。
- 畑を耕し、土を整える
- 種をまく・苗を植える
- 水や肥料を与える
- 雑草を取る・苗を間引く
- 支柱を立て、茎や枝を整える
- 育った野菜や果物を収穫する
一つの作物を育てるだけでも多くの工程があるため、職場では作業を細かく分け、本人の得意なことや障害の特性に合わせて担当する仕事を決められます。 出典:農林水産省「農福連携ガイドブック」
選別・袋詰め・出荷などの調製作業
調製作業は、収穫した農産物を出荷できる状態に整える工程で、屋内や作業場で行うものが多くあります。天候に左右されにくく、座って行える作業も含まれます。 出荷調製では、収穫物の規格をそろえて市場に出す準備をします。具体的には、次の作業があります。
- 余分な葉・根・皮を落とす
- 洗浄する
- 大きさや重さで分別する
- 箱やパックに詰める
収穫物の保存・貯蔵、種子の採取・保存、市場や直売所、契約先への出荷も、この段階に含まれる作業です。 屋外での作業が難しい場合でも、調製作業を中心に担当すれば、屋外作業を抑えながら農業に携われます。 出典:農林水産省「農福連携ガイドブック」
加工・販売にかかわる作業
生産した農産物を加工し、販売まで手がける6次産業化の現場では、屋内での作業や接客の仕事が生まれます。 加工では、生産物からジャムやジュースなどを作ります。洗浄、カット、計量、梱包・包装といった工程があります。 販売や農家レストランでは、接客、調理、給仕、皿洗いなどを担当します。 自社栽培した米を使った米粉スイーツを製造・販売し、障害のある人が働く店舗を設けている事業者もあります。栽培に限らず、加工や接客まで担当する働き方があります。 出典:農林水産省「農福連携ガイドブック」・農林水産省「農福連携をめぐる情勢」
農場・ハウスの整備や清掃
収穫を終えた畑やハウス内をきれいにする片付け・清掃も、農業現場に欠かせない作業です。 栽培環境を整える作業には、次のようなものがあります。
- マルチング…作物の周りを草・ワラ・ポリエチレンフィルムなどで覆う
- トンネル…畝の上に支柱を差してトンネル状にし、ビニールなどをかける
- 支柱立て…支柱を立てて伸びた茎を絡ませる
病害虫防除や農薬散布のように、薬剤を扱う工程もあります。担当するかどうかは職場によって異なるため、応募前に作業の範囲を確認しましょう。 出典:農林水産省「農福連携ガイドブック」
農業の仕事に向いている人・働く前に確認したいポイント
向いている人の特徴
農業には、体力を使う仕事だけでなく、コツコツ繰り返す作業や細かい手作業など、さまざまな仕事があります。そのため、自分の得意なことに合う作業を選びやすい点が特徴です。 特に、次のような人は農業の仕事に向いています。 体を動かすことが好き・得意な人 畑を耕す、草を取る、作物を収穫するなど、屋外で体を動かす作業があります。デスクワークよりも、体を使って働く方が好きな人に向いています。 【主な作業例】
- 畑を耕す・土を整える
- 水やり・除草
- 収穫
- 農産物の運搬
コツコツと繰り返す作業が得意な人 農業には、決められた手順に沿って同じ作業を繰り返す仕事も多くあります。一つの作業に集中して取り組むことが得意な人は力を発揮しやすいでしょう。 【主な作業例】
- 種まき
- 間引き
- 収穫物の選別
- 袋詰め・箱詰め
細かい作業や機械操作が得意な人 苗の植え付けや作物の手入れなど、手先を使う細かな作業もあります。また、職場によっては農業機械を扱う仕事もあります。細かな作業を正確に進めることや、機械を操作することが得意な人にも向いています。 【主な作業例】
- 苗の植え付け
- 支柱を立てる・茎や枝を整える
- 計量・選別
- 農業機械の操作
農業の仕事は作業の種類が幅広いため、「体力に自信がないから農業は難しい」と一括りに考える必要はありません。自分の得意なことや障害の特性に合う作業があるかを確認して、仕事を選ぶことが大切です。 障害の種類ごとに向いている職種については、こちらの記事「障害者でもできる仕事一覧!身体・精神・知的障害別に向いている職種を解説」で詳しく解説しています。 出典:農林水産省「農福連携ガイドブック」
農業で働く前に確認したいポイント
農業は、担当する作業や職場によって働く環境が大きく異なります。無理なく働き続けるためにも、応募前に次の点を確認しておきましょう。 暑さ・寒さへの対策があるか 屋外で作業する職場では、夏の暑さや冬の寒さへの対策が重要です。日陰や空調のある休憩場所、こまめに水分補給できる環境、作業時間の調整など、体調を守りながら働ける環境が整っているか確認しましょう。 トイレ・休憩場所が確保されているか 農場やほ場によっては、トイレや休憩場所まで距離があることもあります。定期的な休憩やトイレの利用が必要な場合は、設備の場所や利用しやすさを事前に確認しておくと安心です。 年間を通じて仕事があるか 農業は作物の栽培時期によって仕事量が変わります。安定して働きたい場合は、繁忙期だけでなく、年間を通じて担当できる仕事が用意されているかを確認しましょう。 必要な休憩や配慮を受けられるか 障害の特性や体調によって、こまめな休憩、作業時間の調整、屋内作業との組み合わせなどが必要になることもあります。自分に必要な配慮を伝え、どのような働き方ができるかを応募前に相談しておくことが大切です。 出典:農林水産省「農福連携ガイドブック」・農林水産省「農福連携をめぐる情勢」
障害のある人が農業に携わるメリット・デメリット
メリット
農福連携に取り組む就労施設では、農作業を通じて利用者の体力やコミュニケーション面に良い変化が見られています。 調査では、利用者について次のような変化が報告されています。 80.5%が「体力がついて長い時間働けるようになった」 58.3%が「表情が明るくなった」 46.5%が「コミュニケーション力が高まった」 農林水産政策研究所の研究でも、農作業を行う障害のある人の半数以上に、自己肯定感や自信、体力、集中力、社会性の向上が見られたと報告されています。 また、農福連携に取り組む就労施設の58.4%が、過去5年間で利用者の平均賃金・工賃が増加したと回答しています。 農福連携の現場では、一人ひとりの得意なことや障害の特性に合わせて作業を分け、手順をわかりやすくする工夫も進んでいます。こうした職場づくりを支える「農福連携技術支援者」も全国で育成されています。 農業に携われる求人や事業所を選ぶときは、作業が自分に合うよう分担されているか、手順書が整っているか、困ったときに相談できる人がいるかを確認しましょう。 出典:農林水産省「農福連携をめぐる情勢」・農林水産省「農福連携ガイドブック」
デメリット・注意点
農業分野の障害者雇用求人は、事務職などと比べると見つけにくい点がデメリットです。ただし、直接雇用だけでなく、就労継続支援A型・B型や施設外就労まで含めて探すことで、選択肢を広げられます。 また、働き始める前に次の点も確認しておきましょう。 仕事内容: 農業は季節や作物の成長に合わせて、種まき・収穫・出荷など担当する作業が変わります。 収入: A型・B型などを利用する場合は、事業所によって賃金・工賃に差があります。特にB型は、令和6年度の平均工賃が都道府県別で月額19,747円~30,231円です。 仕事の安定性: 年間を通じて仕事があるか、勤務日数や作業時間が安定しているかも確認しておきましょう。 求人の有無だけでなく、仕事内容・収入・年間の働き方まで比較して、自分に合う職場や事業所を選ぶことが大切です。 出典:厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」・厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」・農林水産省「農福連携ガイドブック」
農業で障害者雇用が広がっている背景
農業分野では、深刻な担い手不足を背景に、障害のある人を新たな働き手として受け入れる動きが広がっています。さらに、農作業を細かく分けて働きやすくする工夫や、障害者雇用を後押しする支援制度も整えられています。 ここでは、農業で障害者雇用が広がっている3つの背景を紹介します。
農業の担い手不足から障害者雇用への期待が高まっている
基幹的農業従事者は20年間で224万人から103万人へと54%減少しており、農業の現場は深刻な人手不足にあります。再生利用が可能な荒廃農地も全国で約10万haにのぼります。 農福連携に取り組む農業経営体へのアンケートでは、56.4%が「障害者等が貴重な戦力となった」、55.7%が「労働力確保で営業等の時間が増加」と回答しています。 働き手が確保できることで、経営者が営業や販路開拓に充てる時間が生まれ、経営全体の立て直しにつながっています。 農業法人にとって、障害のある人は人手不足を補うだけでなく、現場を支える大切な戦力になっています。農業で働きたい障害のある人にとっても、活躍できる職場が広がっていることがわかります。 出典:農林水産省「農福連携をめぐる情勢」
作業の切り分け・標準化で障害のある人も働きやすくなっている
農業では、作業工程を細かく分けたり、手順を図やマニュアルでわかりやすくしたりする取組が進んでいます。これにより、一人ひとりの得意なことや障害の特性に合わせて仕事を任せやすくなっています。 こうした取組は、農業法人の経営にも効果をもたらしています。京丸園株式会社は、障害者の視点で農作業の体制を整備したことで作業が効率化し、経営規模と生産量が拡大しました。障害者雇用数に比例して売上が増え、30年間で約10倍になっています。 静岡県のひらまつファームは、新たな治具の開発と各作業のマニュアル作成によって作業効率が飛躍的に改善し、収益向上と栽培面積の拡大、時間的な余裕の確保につながりました。 農業経営体へのアンケートでは、77.3%が収益性向上に対する効果があると答えています。52.1%が「農産物の年間売上高が増加した」、31.6%が「品質の向上や収量の増加につながった」と回答しています。 出典:農林水産省「農福連携をめぐる情勢」・農林水産省「農福連携ガイドブック」
障害者雇用を後押しする助成金・支援制度がある
農業法人が障害のある人を採用しやすくするため、さまざまな助成金や支援制度が用意されています。 主な制度は次のとおりです。 雇用就農資金 就農を希望する49歳以下の障害のある人を新たに雇用する農業法人等には、新規雇用就農者1人あたり年間最大75万円、最長4年間が交付されます。また、通常は週平均35時間以上の勤務が要件ですが、障害のある人は週20時間以上で対象になるため、短時間勤務から農業に挑戦しやすくなっています。 特定求職者雇用開発助成金・障害者トライアル雇用助成金 ハローワーク等の紹介で障害のある人を雇用した企業や、一定期間の試行雇用を行う企業を支援する制度です。トライアル雇用では、実際に働きながら仕事内容や職場との相性を確認したうえで、継続雇用を目指せます。 農山漁村振興交付金 障害のある人が働くための生産施設や、休憩所・トイレなどの整備を支援する制度です。働きやすい設備や職場環境を整える後押しになります。 こうした制度によって、農業法人は障害のある人を採用しやすくなり、求職者にとっても短時間勤務やトライアル雇用など、自分に合った形から農業の仕事を始めやすくなっています。 出典:農林水産省「農福連携ガイドブック」・農林水産省「農福連携に関する支援制度」
障害者雇用で働きやすい農業法人を選ぶ4つのポイント
農業は、職場によって仕事内容や設備、受けられるサポートが大きく異なります。 応募前には、次の4つを確認しておきましょう。 困ったときに相談できる支援者がいるか 農福連携技術支援者やジョブコーチなど、障害の特性に合わせた作業の進め方や働き方を相談できる人がいると安心です。 作業手順がわかりやすく整理されているか 作業を細かく分け、写真や図を使ったマニュアルを用意している職場なら、初めての作業にも取り組みやすくなります。 トイレ・休憩場所などの設備が整っているか 農場やほ場は事務所から離れていることもあります。トイレや休憩場所の位置、暑さ・寒さへの対策などを確認しましょう。 年間を通じて仕事があるか 農業は季節によって仕事量が変わります。安定して働きたい場合は、繁忙期以外にも担当できる仕事があるか確認することが大切です。 こうした情報は求人票だけではわからないこともあります。応募前や面接時に「どのような配慮を受けられるか」「困ったときの相談先は誰か」「年間の仕事内容はどう変わるか」を具体的に確認しましょう。 また、障害者雇用に積極的な中小企業を厚生労働大臣が認定する「もにす認定」や、「障害者雇用事例リファレンスサービス」の掲載事例も、応募先を選ぶ際の参考になります。 出典:農林水産省「農福連携ガイドブック」・農林水産省「農福連携をめぐる情勢」・独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用事例リファレンスサービス」
障害者雇用で農業の求人を探す方法
ハローワークの障害者専門窓口
ハローワークは障害のある人を対象とした求人を扱っており、農業分野の求人もここから探せます。求職登録をすると、就職後の職場定着指導まで一貫して利用できます。 専門職員や職業相談員がケースワーク方式で、障害の種類・程度に応じたきめ細かな職業相談・紹介を行います。農作業のどの工程なら担えるかを整理したうえで相談すると、紹介を受けやすくなります。 ハローワークを中心に福祉関係者が協力する障害者就労支援チームによる支援や、一定期間試行雇用したうえで継続雇用に移る障害者トライアル雇用の紹介も受けられます。 ハローワークで良い求人に出会うコツについては、こちらの記事「ハローワークの障害者求人を紹介!良い求人に出会うコツは?」で詳しく解説しています。 出典:厚生労働省「障害者の方への施策」・農林水産省「農福連携ガイドブック」
就労移行支援・就労継続支援事業所を活用する
就労継続支援A型・B型事業所のなかには、自ら農業に参入している事業所や、施設外就労で地域の農家へ出向いている事業所があります。農福連携の取組主体のうち、障害者就労施設等は4,410件を占めています。 事業所を選ぶときは、農作業を行っているか、施設外就労を実施しているか、年間を通じて作業があるかを確認しましょう。 就労移行支援は、一般就労を目指し、必要な知識と能力を高める訓練を受けられるサービスです。農業法人への就職を目指す場合の準備期間として利用できます。 いきなり求人へ応募するのではなく、事業所で農作業の経験を積んでから直接雇用に進む道もあります。 就労移行支援の利用条件や事業所の選び方については、こちらの記事「就労移行支援の利用条件・対象者や料金・利用の流れを解説」と「【チェックリスト付き】就労移行支援の選び方!失敗しない事業所選び5つのポイント」で詳しく解説しています。 出典:農林水産省「農福連携をめぐる情勢」・農林水産省「農福連携ガイドブック」
障害者専門の転職エージェントを利用する
障害者雇用を専門とする転職エージェントは、求人を紹介するだけでなく、障害の状況や必要な配慮を企業へ伝える役割も担います。農業のように求人数が限られる分野では、公開求人を自分で探すより、希望を登録して条件に合う求人を紹介してもらうほうが効率的です。 障害者雇用バンクは、障害のある人向けの求人を扱う転職支援サービスで、事務職から専門職、屋外や現場での作業まで幅広い求人を保有しています。 障害者雇用バンクの転職支援は、登録から相談、求人紹介まですべて無料で利用できます。会員登録後の面談で、農業での就労を希望していることを伝えておくと、条件に合う求人が出た際に紹介を受けることができるため、こちらから会員登録のうえ、無料相談を活用してみるのも選択肢です。
まとめ:障害のある人が農業で働く選択肢は広がっている
障害のある人も、農業分野で働けます。農業法人・農家への直接雇用だけでなく、就労継続支援A型・B型や施設外就労を通じて農作業に携わる方法もあり、農福連携の広がりによって働き方の選択肢も増えています。 農業の仕事は、栽培や収穫だけではありません。選別・袋詰め・加工・販売など幅広いため、体力や得意なこと、必要な配慮に合わせて仕事を選べます。応募先を選ぶときは、仕事内容だけでなく、相談できる支援者の有無や作業マニュアル、トイレ・休憩場所、年間を通じた仕事量も確認しましょう。 農業で働きたい場合は、まずハローワークの障害者専門窓口や、障害者雇用専門の転職エージェントに相談し、直接雇用だけでなく農作業に取り組むA型・B型事業所や施設外就労まで含めて比較するのがおすすめです。自分に合った働き方から農業の仕事を始めてみましょう。
障害者雇用と農業に関するよくある質問
農業の経験がなくても障害者雇用で働けますか?
農業現場の作業は、畑を耕す、種をまく、草を取る、収穫する、出荷準備をするといった工程に細かく分かれており、未経験から担当できる仕事もあります。 経験を積んでから直接雇用を目指す場合は、農作業を行う就労継続支援事業所や、施設外就労で農家へ出向いている事業所を利用する方法もあります。 出典:農林水産省「農福連携をめぐる情勢」・農林水産省「農福連携ガイドブック」
体力に自信がなくても農業の仕事はできますか?
農業の仕事は、体力を使う作業だけではありません。長時間の集中力が必要な繰り返し作業、一人で進められる作業、細かな手作業などもあります。 たとえば、収穫物の洗浄や選別、袋詰め・箱詰めなどの出荷調製は、屋内や作業場で行うことが多く、体力に自信がない人でも取り組みやすい仕事です。加工や販売にかかわる作業も選択肢になります。 一方、屋外作業では暑さや寒さの影響を受けるため、応募前に担当する作業内容や休憩場所、作業時間の調整など、無理なく働ける環境が整っているかを確認しましょう。 出典:農林水産省「農福連携ガイドブック」
農業の障害者雇用の給料はどのくらいですか?
農業法人や農家に直接雇用される場合の賃金は、求人ごとに異なります。作業内容と勤務時間、年間を通じて働けるかどうかで差が出るため、求人票で確認しましょう。 就労継続支援事業所を利用する場合、令和6年度の平均工賃(賃金)は、就労継続支援B型事業所が月額24,141円、就労継続支援A型事業所が月額91,451円です。 農作業に取り組む障害者就労施設の58.4%が、過去5年間で利用者の平均賃金・工賃が増加したと回答しています。事業所によって水準の差が大きいため、利用先を選ぶときは工賃の実績を確認しましょう。 障害者雇用の平均月収や給料を上げる方法については、こちらの記事「障害者雇用の給料は安いのか?平均月収・年収と給料を上げる方法を解説」で詳しく解説しています。 出典:厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」・農林水産省「農福連携をめぐる情勢」
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