【2025年最新】知的障害で障害年金の受給は難しい?受給条件や受給額・申請手順を解説

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知的障害を持っている人は、障害特性や生活への影響度合いによって、障害年金を受給できることがあります。しかし、条件や手続きの面で難しいと感じてしまうこともあります。

本記事では、知的障害の人が障害年金を受給するための条件や手続きの注意点について、具体例を挙げながら解説します。

知的障害とは

知的障害とは、主に幼少期に知的機能の発達が遅れ、日常生活や仕事で何らかの支援が継続して必要となる状態を指します。定義としては「発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、持続的な支障がある」ことが一般的です。

知的障害の程度は、「軽度」「中度」「重度」「最重度」の4段階に分けられます。

【知的障害の分類】

また、知的障害は通常幼児期に気づかれることが多いですが、診断されるタイミングが大人になってからという場合もあります。その場合でも、「幼少期から支援を要する状態」であったことが確認されれば、制度的に知的障害として扱われる可能性があります。

なお、障害の程度により受け取る障害者手帳の等級は異なりますが、知的障害は手帳を受け取る地域ごとに等級の分類方法や名称が異なります。東京都は1〜4度、大阪府・福岡県はA・B1・B2などの区分名となっており、都道府県ごとに分類される数や区分名が大きく異なるため、手帳を受け取る地域の等級ごとの区分名を確認しましょう。

出典:厚生労働省「知的障害児(者)基礎調査:調査の結果」

知的障害の重さによって異なる働き方のサポート

知的障害のある方が働く際は、障害の程度に応じて必要な支援や働き方が大きく異なります。

軽度・中度の方については、職場の適切なサポートがあれば十分に就労可能です。それに対し重度・最重度の方の場合は、仕事のサポートだけでなく、身の回りのことまでサポートが受けられる条件が整っているかどうかが就労において重要なポイントになります。

【知的障害の程度別の就労イメージ一覧】

障害の程度 特徴 就労の可能性 必要な支援内容
軽度 暗算や臨機応変な対応がやや苦手。日常生活は自立可能 一般企業での就労も可能(事務補助・軽作業など) 業務指示の簡素化、サポート体制、定期的な面談
中度 小学生程度の理解力。重要な判断には援助が必要 就労継続支援A型・B型が中心だが、配慮のある企業での就労も可能 作業手順の明確化、見守り、職場の配慮体制
重度 読み書き・数の理解が困難。生活面で常時支援が必要 就労継続支援B型が中心。簡単な作業なら可能な場合も 生活支援員の付き添い、作業の完全なサポート
最重度 限られた非言語的コミュニケーションのみ可能 就労は難しいが、生活介護などの日中活動施設を利用 生活全般にわたる常時介助・医療的ケアとの連携

上記のように、就労の可否は知的障害の程度だけでなく、本人の特性や環境、支援の有無によっても変わります。

就労継続支援(A型・B型)や、特例子会社での雇用など、障害に応じた働き方の選択肢も広がっています。

出典:厚生労働省「知的障害児(者)基礎調査:調査の結果」

障害年金とは

障害年金は、病気や障害によって「仕事や日常生活に大きな制限が出ている」と認められた場合に支給される年金制度です。

障害年金には2つの種類があります。

知的障害のある方は、幼少期から支援を要するケースが多く、国民年金加入前に状態が明らかになる「20歳前障害」として扱われることが一般的です。この場合、年金加入歴や保険料納付要件にかかわらず、障害基礎年金が適用されます。

ただし、成人後に厚生年金に加入してから知的障害と診断されたケースでは、障害厚生年金が認められる可能性もあります。

なお、支給される等級には以下のような違いがあります。

また、障害厚生年金に該当しない軽度な障害については、「障害手当金」という一時金が支給されることもありますが、これは労働中のケガや病気など、後天的な障害が対象です。

知的障害のように先天性の障害の場合、「障害手当金」の対象にはならないため、障害基礎年金のみが受給対象となります。

障害手当金については、こちらの記事「障害手当金とは?もらえないケースや金額・申請方法・デメリットまでわかりやすく解説」でも詳しく解説しています。

出典:日本年金機構

知的障害の人が障害年金を受け取るには?

知的障害による障害年金の受給条件

知的障害のある方が障害年金を申請する際、次のような条件が関わってきます。

● 申請できる時期:

知的障害は「幼少期にあらわれ、継続して支援が必要となる状態」とされるため、20歳に達した時点での申請が一般的です。

● 初診日・保険料納付要件の特例:

通常、障害年金では「初診日を証明する」「保険料を一定期間納めている」といった条件がありますが、知的障害では、幼少期から支援が必要だったことが確認できれば、これらの条件が緩和されることが多いです。

● 対象となる年金・等級:

知的障害の場合、主に障害基礎年金での申請となり、1級または2級に該当する必要があります。ただし、障害基礎年金には「3級」が存在しないため、比較的軽度の支援で済む状態では認定されにくい傾向があります。

● 認定日と申請のタイミング:

知的障害は20歳前から状態が継続しているとみなされ、20歳の前日が「障害認定日」とされることが一般的です。このため、20歳の誕生日前後3ヶ月以内に診断書を取得し申請を行うことが望ましいです。

出典:日本年金機構NPO法人障害年金支援ネットワーク「知的障害と障害年金」わくわく社会保険労務士法人はじめての障害年金

障害基礎年金1級に該当する具体的な状態

1級は、日常生活のすべてにおいて他者の援助がなければ生活が成り立たないような重度の状態です。

たとえば、

このような状態の場合、1級に認定される可能性があります。

障害基礎年金2級に該当する具体的な状態

2級は、日常生活の多くの場面で援助を必要とする状態です。

就労している場合でも、支援付きの就労(例:就労継続支援A型・B型、福祉的就労)で援助を受けている場合は、その支援内容も考慮されます。

出典: 日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」障害年金支援ネットワーク「知的障害と障害年金」厚生労働省「障害年金の診断書(精神の障害用)記載要領」

知的障害で障害年金を申請する手順

知的障害は先天性の障害となるため、「20歳前障害」として扱われます。

この場合、20歳の誕生日を迎えた時点で障害等級(1級または2級)に該当していれば、障害基礎年金の支給対象となります。

申請は20歳の誕生月の前後に行うことが一般的です。

必要書類

<診断書>

知的障害の障害年金申請では、「精神の障害用診断書」を使用します。これは主治医(精神科医または小児科医など)に依頼して作成してもらう必要があります。

また知的障害だけでなく、合併症(例:心疾患や消化器疾患など)がある場合は、それぞれの専門医に追加で診断書を依頼します。

日常生活の困難さや支援の必要性が正しく伝わるよう、家族や支援者が事前に生活の実態を整理して医師に伝えることが重要なポイントです。

<病歴・就労状況等申立書>

この書類は、出生から現在までの通院歴、就労状況、日常生活の様子、支援の必要性などを時系列で記載するためのものです。

「病歴・就労状況等申立書」の用紙は、年金事務所や市区町村の窓口で入手でき、本人が書けない場合は、家族や支援者が記入します。知的障害による困りごとを具体的に書くことで、審査員に状況を理解してもらいやすくなります。

書き方が不安な場合は、年金事務所の相談窓口や、社会保険労務士にアドバイスを求めるのもおすすめです。

<受診状況等証明書は原則不要>

障害年金の申請では、通常「初診日(最初に医師の診察を受けた日)」を証明するために「受診状況等証明書」が必要です。 しかし、知的障害の場合は以下の理由からこの書類の提出が省略されるケースが多いです。

【受診状況等証明書が不要となる主な理由】

ただし、出生時の診断記録が残っていない場合や、医療機関を転々としている場合などは、初診日の確認が必要になることがあります。その際は、最初に診療を受けた医療機関で「受診状況等証明書」を作成してもらいましょう。

出典:厚生労働省「障害年金における初診日証明方法の周知について」

申請の流れ

1.年金事務所または市区町村役場で相談:まずは、お住まいの市区町村役場または年金事務所で、申請の手続きや必要書類について相談しましょう。 知的障害は多くの場合先天性の障害であるため、「20歳前障害」として障害基礎年金の申請を行うのが一般的です。

申請に必要な書類(診断書、申立書の様式など)は、年金事務所または市区町村役場の窓口で受け取ることができます。

2.書類準備:次に、主治医に「精神の障害用診断書」の作成を依頼します。 併せて、出生から現在までの通院歴・就労状況・日常生活での困りごとなどを『病歴・就労状況等申立書』に記載します。

申請内容が正確に伝わるよう、医師には普段の生活や支援の実態をしっかり共有することが大切です。また提出前には、すべての書類のコピーを取っておくようにしましょう

3.審査・結果通知:書類を住所地の市区町村役場の窓口に提出します。

書類を提出すると日本年金機構によって審査が行われ、支給が決定した場合は「年金証書」が届きます。支給開始は、通常は決定から1〜3ヶ月後が目安です。

出典:日本年金機構「障害基礎年金を受けられるとき」

知的障害の人が障害年金の受給を難しいと感じる理由

障害基礎年金は1級・2級のみで認定基準が厳しい

知的障害は多くの場合、先天性または発達期(18歳まで)に発症する障害とされており、初診日が特定できないケースでは、出生日や発達状況が明らかになった幼少期が初診日相当として取り扱われることがあります。

このため、原則として障害基礎年金(1級または2級)での申請となります。障害基礎年金には3級が存在しないため、比較的軽度の障害では認定されない傾向があり、これが「受給が難しい」と感じられる一因です。

障害等級の判断は、知能指数(IQ)の数値だけではなく、日常生活における援助の必要性や支援の状況を総合的に評価して行われます。

一般的には以下のような基準が目安になります。

なお、療育手帳の等級と障害年金の等級は一致しないため、たとえ療育手帳がB2(軽度)であっても、日常生活の困難が明確であれば2級と認定される場合もあります。

医師による診断書作成が難しいケースがある

知的障害の方の中には、精神科などの医療機関に長期間かかっていないケースも多く、障害年金の申請時に初診医がすぐに診断書を作成できないことがあります。

また、診察の回数が少ない場合、障害の状態を十分に把握できず、診断書に実態が正しく反映されないこともあります。

特に家族と同居している場合、支援が日常的になっていて困難さを自覚しにくく、医師にうまく説明できないことで、等級が軽く見積もられてしまうリスクがあります。

そのため、診断書を依頼する前に、

といった事前準備が非常に重要です。

申請手続きが複雑でタイミングを逃すと損になる

障害年金の申請には、以下のような複数の書類を用意する必要があります。

知的障害は「20歳前障害」として申請するため、原則として初診日の証明(受診状況等証明書)は不要です。ただし、医療機関の記録が残っていない場合など、初診日を補足する資料が求められることもあるため、事前に確認しておくと安心です。

また、20歳の誕生日前後3ヶ月以内に診断書が取得できないと、「障害認定日請求」ができず、過去分をさかのぼって受給することができません。

この場合、「事後重症請求」となり、申請月の翌月分からしか支給されなくなるため、受給開始が遅れてしまいます。

そのため、20歳到達前後のタイミングで確実に診断書を取得し、障害認定日に間に合うよう申請を行うことが非常に重要です。

専門家に依頼することで受給率を高める手もある

知的障害による障害年金の申請では、診断書や病歴・就労状況等申立書に、日常生活の困難さや支援の必要性が正確に反映されているかどうかが、受給できるかを大きく左右します。

書類の内容に不安がある場合は、障害年金に詳しい社会保険労務士などの専門家に相談することで、診断書の内容確認や書類作成のサポートを受けることができ、受給の可能性を高めることができます。

出典:日本年金機構NPO法人障害年金支援ネットワーク全国障害年金サポートセンター咲くや障害年金相談室はじめての障害年金わくわく社会保険労務士法人厚生労働省(1)厚生労働省(2)

障害年金はいくら受給できる?

知的障害による障害年金の受給額について、ここでは目安となる金額を解説します。

なお、金額は令和7年度(2025年度)の水準です。毎年改定されるため最新情報を確認するようにしましょう。

障害基礎年金の受給額

通常、障害基礎年金は、国民年金に加入していた人が対象となります。

知的障害は多くの場合先天性または発達期(18歳まで)に発症する疾患であり、原則として20歳前から障害の状態にある「20歳前障害」として扱われるため、国民年金への加入歴がなくても障害基礎年金の対象となります。(障害厚生年金は対象外)

【障害基礎年金の受給額(2025年度)】

出典:日本年金機構(障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額

子の加算

子どもがいる場合には「子の加算」が付き、障害基礎年金に上乗せされます。

【子の加算(2025年度)】

出典:日本年金機構(障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額

【障害年金の受給額まとめ(2025年度)】
月額 年額 前年度の年額
障害基礎年金1級 86,635円 1,039,625円 1,020,000円
障害基礎年金2級 69,308円 831,700円 816,000円
障害厚生年金 3級(最低保障) 51,983円 623,800円 612,000円
子の加算1人目(障害基礎年金に加算) 19,941円 239,300円 234,800円
子の加算2人目(障害基礎年金に加算) 19,941円 239,300円 234,800円
子の加算3人目(障害基礎年金に加算) 6,650円 79,800円 78,300円
配偶者 加給年金(障害厚生年金に加算) 19,941円 239,300円 234,800円
障害年金生活者支援給付金1級 6,813円 81,756円 79,656円
障害年金生活者支援給付金2級 5,450円 65,400円 63,720円

知的障害の人におすすめの求人・働き方

知的障害のある方が自分に合った仕事を見つけるためには、仕事内容や職場のサポート体制が自分の特性とマッチしているかがとても重要です。

ここでは、知的障害の方に向いている具体的な求人の例や、無理なく働き始められる支援制度・働き方について紹介します。

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就労継続支援については、こちらの記事「「就労継続支援」とは?A型・B型の違いと手続き方法を解説!」でも詳しく解説しています。

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就労移行支援については、こちらの記事『「就労移行支援」は「就労継続支援」とどう違う?メリットとデメリットも解説!』にて詳しく解説しています。

また就労継続支援と就労移行支援の違いについては、「【比較表つき】就労移行支援と就労継続支援の違いは?得られる業務スキルの違いも解説

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