ヘルニアで働きながら障害年金を受給する時の注意点・受給額の目安を解説

日本最大級の障害者雇用求人情報を提供する「障害者雇用バンク」は、求人提案から入社後のサポートまで、一人ひとりに合わせたサービスであなたの就職・転職活動を支援いたします!

ご登録はこちら

ヘルニアになると、就労に影響が出ることも少なくないですが、適切な配慮があれば一般就労は十分に可能です。

一方、現時点で障害年金を受給している人にとっては、就労しながらでも受給を継続できるのかは、気になるポイントかと思います。本記事では、ヘルニアによる障害年金の受給と就労状況との関係について、具体例を上げながら解説します。

椎間板ヘルニアとは

ヘルニアとは、臓器や組織が本来の位置から飛び出してしまう状態を指します。椎間板ヘルニアとは、背骨(椎骨)と椎骨の間にあるクッションの椎間板が外に飛び出し、神経を圧迫することで、腰や足に強い痛み・しびれ・麻痺などが起こる状態です。

症状が重い場合は、歩行が難しい、足に力が入らない、排尿や排便を自力でコントロールしづらいといった、日常生活レベルの支障につながることもあり、これが障害年金の審査で重視されるポイントです。

【椎間板ヘルニアの主な症状】

椎間板ヘルニアの治療法

椎間板ヘルニアの治療には、大きく分けて保存療法と手術療法の2種類があります。

保存療法(まずはこちらから始めるのが一般的)

軽度~中等度の症状では、まず保存療法が行われます。

手術療法(保存療法で効果がない場合)

以下のような場合には、手術が検討されます。

手術方法には、椎間板を直接取り除く方法と、レーザーで椎間板の圧力を減らす方法があります。

最新の治療(内視鏡手術)

最近では、内視鏡を使うことで身体への負担を抑えた手術方法も普及しています。

出典:あいちせぼね病院

このように、治療は、痛み止め・ブロック注射・コルセットなどの保存療法から始め、十分に改善しない場合は手術が検討されます。

手術は症状の改善につながることも多い一方、手術後も麻痺やしびれ、歩行困難などの後遺症が残る場合があります。こうした「後遺症が長く続いている状態」が、障害年金の対象になり得ます。

障害年金とは

障害年金は、病気や障害によって「仕事や日常生活に大きな制限が出ている」と認められた場合に支給される年金制度です。

障害年金には2つの種類があります。

また、障害厚生年金の3級よりは軽いものの、一定の障害が残っていると認められた場合には、一時金として「障害手当金」が支給される場合もあります。

【障害年金の等級とおおまかな目安】

障害手当金については、こちらの記事「障害手当金とは?もらえないケースや金額・申請方法・デメリットまでわかりやすく解説」にて詳しく解説しています。

出典:日本年金機構

椎間板ヘルニアで働きながら障害年金は受け取れる?

結論からいうと、椎間板ヘルニアであっても、働きながら障害年金を受給できる可能性はあります。障害年金は「働いているかどうか」そのものではなく、「日常生活や労働能力にどれだけ制限があるか」で判断されるからです。

たとえば、短時間勤務や在宅勤務であれば続けられる一方、長時間の立ち仕事や重量物の運搬は難しいなど、明確な制限がある場合は、就労中でも受給できるケースがあります。

働きながら受給する際の注意点

障害年金は原則として1~5年ごとに更新審査(有期認定)が行われます。更新時に「症状が軽くなった」「通常勤務ができるようになった」と判断されると、等級が下がったり、支給停止になる場合があります。

たとえば、受給開始時は無職だった人が、更新時にフルタイムで一般就労している場合などは、「日常生活や労働能力が改善した」と判断される可能性があります。

更新審査では、「どのような環境で」「どのような配慮を受けながら」働いているかが、重要な判断材料になるため、診断書には、次のような情報を具体的に記載してもらうのが望ましいです。

【診断書に記載してもらうべきポイント】

出典:日本年金機構

20歳前障害基礎年金の場合は収入によって受給が打ち切られることがある

20歳前障害基礎年金は、20歳になる前に初診日がある傷病により、20歳に達したとき(または障害認定日が20歳以降の場合はその日)に1級または2級の障害の状態にある場合に支給される障害基礎年金です。

通常の障害年金では保険料納付要件(一定期間保険料を納付していること)が必要ですが、20歳前障害基礎年金は20歳前の期間は保険料を納付する義務がありません。そのため保険料納付要件は問われませんが、本人が保険料を納付していないことから、一定以上の所得がある場合に支給が制限される所得制限が設けられます。

所得による支給制限は下記の通り(扶養親族等がない場合)です。

扶養親族等がいる場合は、1人につき所得制限額が+38万円(老人控除対象配偶者または老人扶養親族の場合は48万円、特定扶養親族または控除対象扶養親族(19歳未満の人に限る)は63万円)が加算されます。

出典:厚生労働省 「障害年金制度の見直しについて」「年金制度の仕組みと考え方」

なお、ここでいう「所得」とは、給与収入そのものではなく、給与収入から給与所得控除などを差し引いた後の金額です。つまり、年収が400万円程度あっても、控除後の所得が370.4万円以下であれば、すぐに支給停止になるとは限りません。

この所得制限は前年の所得額をもとに判定し、原則としてその年の10月分から翌年9月分までの支給に反映されます。前年の所得が高いと、翌年度の期間に「半額停止」や「全額停止」が適用されるイメージです。

出典:ぜんち共済日本年金機構

社労士への相談のメリット

更新手続きに不安がある場合は、障害年金に詳しい社会保険労務士(社労士)への相談がおすすめです。

【社労士に依頼するメリット】

障害年金の更新は、診断書の内容次第で結果が大きく変わります。実態より軽く書かれると支給停止になることもあるため、専門家の助言を受けることで受給継続の可能性を高めることができます。

障害年金の更新は、診断書の内容次第で結果が大きく変わります。実態より軽く書かれると支給停止になることもあるため、専門家の助言を受けることで受給継続の可能性を高めることができます。

椎間板ヘルニアが障害年金の対象となる基準

椎間板ヘルニアで障害年金を受け取るには、次の3つすべてを満たす必要があります。

椎間板ヘルニアが障害年金の対象となる基準

椎間板ヘルニアで障害年金を受け取るには、次の3つすべてを満たす必要があります。

初診日の年金加入状況

椎間板ヘルニアの症状で初めて医師の診療を受けた日にどの年金に加入していたかで、受給できる年金の種類が決まります。

保険料の納付要件

初診日の前日までに、一定以上の期間きちんと国民年金・厚生年金の保険料を納めている(または免除されている)ことが必要です。

おおむね「加入期間の3分の2以上で納付か免除」または「初診日があった月の前々月までの直前1年に未納がないこと」が目安になります。

※20歳前に発症したケース(20歳前障害)は、この納付要件は問われません。

出典:厚生労働省 年金局「障害年金制度(2023年6月)

医師の診断書に基づく障害の程度

「ヘルニア」という診断名だけでは足りず、実際にどの程度生活や仕事が制限されているかが重要です。椎間板ヘルニアでは「肢体の障害」として、次のような点が診断書で評価されます。

診断書には、実際の困りごと(長く立てない、杖が必要、就労は短時間しかできない等)を医師に具体的に伝えておくことが、適正な等級認定につながります。

出典:政府広報オンライン障害年金支援ネットワークはじめての障害年金申請代行センター

椎間板ヘルニアで障害年金を申請する方法

必要書類

診断書:椎間板ヘルニアの場合は肢体の診断書を使用します。日常生活の困難さや職場での配慮内容を医師に詳しく伝え、実態が適切に反映されるようにすることが大切です。

病歴・就労状況等申立書:
発病から現在までの通院歴、就労状況、日常生活の様子を記載します。椎間板ヘルニアによる困りごとを具体的に書くことで、審査員に状況を理解してもらいやすくなります。

受診状況等証明書:初診日を証明する書類で、最初に受診した医療機関で作成してもらいます。初診時と診断書作成医療機関が同じ場合は不要です。

申請の流れ

年金事務所または市区町村役場で相談:まず年金事務所で初診日の確認と保険料納付要件を確認し、必要書類を受け取ります。障害基礎年金は年金事務所以外に、お住まいの市区町村役場でも必要書類を受け取ることができます。

書類準備:医師に診断書作成を依頼し、病歴・就労状況等申立書を作成します。診断書は内容を必ず確認し、提出前に全書類のコピーを取ります。

提出・審査・結果通知

書類を提出すると審査が行われ、支給が決定した場合は「年金証書」が届きます。支給開始は、通常は決定から1〜3ヶ月後が目安です。

出典:日本年金機構

椎間板ヘルニアで障害年金を受給できた事例

障害基礎年金2級の受給対象となった事例

腰椎椎間板ヘルニアによって障害基礎年金2級の受給対象となった30代男性の事例を紹介します。

こちらの男性は、申請時点から3年前に突然動けなくなりヘルニアと診断されました。投薬治療を続けていましたが、2年経過した頃に臀部の感覚が無くなり、手術可能な病院へ転院。しかし手術後には足の感覚が無くなってしまい、リハビリ専門病院でのリハビリが必要になりました。

現在は両下肢装具と両手杖を使用してゆっくりと歩行できる状況ですが、下半身の感覚がほとんどないため排尿排便障害があり、日常生活に大きな支障が出ています。

障害年金の申請では、診断書に膀胱直腸障害を記載してもらい、申立書には10分も椅子に座ることができないことや、立っていることすら辛い状況を詳しく記載しました。

結果、日常生活に著しい支障があると認められ、障害基礎年金2級に認定。年額約78万円を受給することができました。

出典:愛媛・松山障害年金相談センター

障害厚生年金3級の受給対象となった事例

腰椎椎間板ヘルニアによって障害厚生年金3級の受給対象となった40代男性の事例を紹介します。

こちらの男性は、飛び出た軟骨が神経をつぶしてしまい、歩行や排便が困難になっている状態でした。少しの外出ならロフストランド杖2本を使用していますが、時と場合によっては車椅子を使用することもあり、排便や排尿も自力で行いにくい症状が出ていました。

病気のために仕事も退職されており、日常生活に大きな支障が出ている状況でした。

障害年金の申請を行った結果、症状が労働に著しい制限を与えると認められ、障害厚生年金3級に認定。年額約59万円を受給することができました。

出典:神奈川中央障害年金センター

受給額の目安

椎間板ヘルニアによる障害年金の受給額は、等級や加入していた年金制度によって異なります。ここでは目安となる金額を解説します。

なお、金額は令和7年度(2025年度)の水準です。毎年改定されるため最新情報を確認するようにしましょう。

障害基礎年金の受給額

障害基礎年金は、国民年金に加入していた人が対象です。

【障害基礎年金の受給額(2025年度)】

また、子どもがいる場合には「子の加算」が付き、1人目・2人目は各23万9,300円、3人目以降は各7万9,800円が上乗せされます。

出典:日本年金機構

障害厚生年金の受給額

厚生年金に加入していた人が対象で、障害基礎年金に加えて報酬比例額が支給されます。

【障害厚生年金の受給額(2025年度)】

報酬比例部分は「現役時代の収入」に応じて計算されるため、加入期間が長いほど受給額も増えます。

出典:日本年金機構

子の加算や配偶者加算

子どもがいる場合には「子の加算」が付き、障害基礎年金に上乗せされます。

【子の加算(2025年度)】※障害基礎年金に上乗せ

また、障害厚生年金(1級・2級)の場合、配偶者がいると年額約23万9,300円が加算されます。

【配偶者加算額(2025年度)】※障害厚生年金に上乗せ

出典:日本年金機構

【障害年金の受給額まとめ(2025年度)】

月額 年額 前年度の年額
障害基礎年金1級 86,635円 1,039,625円 1,020,000円
障害基礎年金2級 69,308円 831,700円 816,000円
障害厚生年金 3級(最低保障) 51,983円 623,800円 612,000円
子の加算1人目(障害基礎年金に加算) 19,941円 239,300円 234,800円
子の加算2人目(障害基礎年金に加算) 19,941円 239,300円 234,800円
子の加算3人目(障害基礎年金に加算) 6,650円 79,800円 78,300円
配偶者 加給年金(障害厚生年金に加算) 19,941円 239,300円 234,800円
障害年金生活者支援給付金1級 6,813円 81,756円 79,656円
障害年金生活者支援給付金2級 5,450円 65,400円 63,720円

上記の内容は毎年見直しが実施されているため、最新の情報は日本年金機構の公式サイトを確認しましょう。

出典:小川早苗社会保険労務士事務所

椎間板ヘルニアで障害者手帳は取得できる?

椎間板ヘルニアの症状が重度で、日常生活や就労に大きな制限が出ている場合は、身体障害者手帳を取得できる可能性があります。

障害者手帳の等級は1級から6級まであり、症状が重いほど数字が小さくなります。等級は主に以下の2つの観点から判断されます。

【下肢機能障害(歩行や下半身の動きに影響がある場合)】

※1…「著しい障害」とは、関節の動きや筋力が大きく制限され、歩行・立位・階段昇降などの日常的な動作が著しく困難になっている状態を指します

※2…「全廃」とは、関節や筋肉を全く動かせない、または動かせてもごくわずかで、実生活においてその部位を使用できない状態を指します

【膀胱・直腸機能障害(排尿や排便のコントロールに影響がある場合)】

椎間板ヘルニアが原因でも、麻痺や排尿・排便障害といった機能障害が長期的に残っている場合に限って、身体障害者手帳の等級認定につながります。

そのため、「痛みが強い」という理由だけでは身体障害者手帳の対象にならず、生活への影響の度合いが大きな判断基準となります。

椎間板ヘルニアで障害者手帳を取得するための条件や申請手順については、こちらの記事「椎間板ヘルニアで障害者手帳を取得するための条件・等級・申請手順を解説」でも詳しく解説しています。

出典:東京福祉局(1)東京福祉局(2)厚生労働省千葉県

椎間板ヘルニアの人に向いている働き方

椎間板ヘルニアがある場合は、「長時間同じ姿勢を続けないこと」「重量物を持たないこと」「急な体調悪化にも配慮してもらえること」が大切になります。具体的には次のような働き方が検討しやすいです。

自分に合う働き方を探すときは、

の3点を必ず確認しましょう。

椎間板ヘルニアの人が転職/就職するなら転職エージェントがおすすめ

体調が不安定な場合は就労移行支援がおすすめ

体調が不安定だったり、椎間板ヘルニアの症状への理解が不十分など、現時点での就労が難しい場合は、就労移行支援を利用して、最大2年間の時間をかけて就職/転職の準備をすることをおすすめします。

就労移行支援は、就労で役立つさまざまな実践的な業務スキルを身につけながら、就労準備をすることができる就労支援サービスです。

就労移行支援で学べる業務スキルや知識は以下の通りです。



就労移行支援については、こちらの記事『「就労移行支援」は「就労継続支援」とどう違う?メリットとデメリットも解説!』にて詳しく解説しています。

また、私たち障害者雇用バンクでは、就労移行支援事業所「エラビバ就労支援」を運営しています。関東で就労移行支援事業所をお探しの場合は、ぜひ無料見学にお越しください。

すぐに転職/就職をしたい場合は障害者雇用専門の転職エージェントを利用する

現時点で体調が比較的安定していて、自分の障害の状態についても正確に把握できている人には、障害者雇用専門の転職エージェントの利用がおすすめです。

【転職エージェントの支援内容】

求人の紹介では、個人の障害の内容や希望に沿った求人を紹介を受けることができます。さらに、経歴やスキルなどの条件を満たしている場合は、一般には公開されていない高条件の非公開求人に応募することも可能です。

障害者専門の転職/就職エージェントである障害者雇用バンクは、キャリアアップ重視のハイクラス求人と、特例子会社などの応募ハードルが低い求人、どちらのタイプの求人も多数保有しているため、障害者雇用での一般就労を目指している人であれば非常にメリットが多い就業支援サービスです。

障害者枠で選考を受ける場合、障害者雇用バンクのサポートを受けることで、

など、希望するキャリアを実現するための徹底した就業サポートを受けることができます。

障害者雇用バンクの転職サポート・就職サポートは、すべて無料でご利用いただけますので、転職/就職を検討している方は、ぜひこちらより会員登録をしてみてください。

日本最大級の障害者向け求人サイト
「障害者雇用バンク」

ご登録はこちら

数多くある障害者の転職サイトのなかでも、日本最大級の障害者向け求人情報を提供する「障害者雇用バンク」は業界初「人材紹介の求人情報データベースとハローワークの求人データベースの両方の情報の提供」障害者の転職をトータルで支援します。

より積極的に募集される障害者求人情報と、公的機関であるハローワークの求人情報を一つのサイトでまとめて検索することができるだけでなく、カウンセラーとのWeb面談などのサービスも。在宅のままスマートフォン1台で、自分に合った仕事探しが可能です。

無料登録は3分程度で手軽にできるので、まずは登録するところから始めてみてはいかがでしょうか?