うつ病の休職期間の目安は?生活費の工面方法・転職方法も解説

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仕事や職場環境が原因でうつ病を発症した場合、休職をすることが推奨されていますが、必要な休職期間は人によって異なります。

今回は、適切な休職期間の判断方法について、具体例を挙げながら解説します。

うつ病になったら休職を検討しましょう

うつ病を発症した場合はまず、休職することを検討しましょう。

うつ病の人が休職するべき理由

うつ病の発症や症状の悪化には、様々な要因があるとされていますが、精神的なストレスが強く関わっているとされており、仕事環境が原因でうつ病になった場合、無理をして仕事を続けると症状が悪化してしまう可能性があります。

また、うつ病を患いながら仕事を続けていると治療に十分な時間を使うことができなくなってしまうため、症状の改善に悪影響が出る傾向があり、仮に仕事を数日から1週間程度休んで療養したとしても、即時的な回復は難しいとされています。

その点、まとまった期間仕事を離れて休職する場合、仕事によるストレスから距離を取ることができ、治療に専念する時間を作ることができます。そのため、基本的にはうつ病を発症した場合は、一度休職することがおすすめです。

出典:品川メンタルクリニック久米クリニック

うつ病で休職するまでの手順

<STEP 1:医師による診断書を貰う>

うつ病で休職するためには必ず診断書が必要になるため、休職を検討している場合は医療機関(心療内科・精神科など)、または勤務先の産業医に相談しましょう。

<STEP 2:会社の就業規則を確認する>

休職をする際は勤め先の会社の就業規則を確認し、休職に関するルールを事前に把握しましょう。 特に、

については、一定期間以上休職をする上で重要なポイントになるため、必須で確認する必要があります。

<STEP 3:会社に休職したい旨を伝える>

診断書の内容をもとに休職したい旨を会社に伝えましょう。基本的には、直属の上司に伝え、そこから必要な手続きを進めることになります。

仮に自分で会社に連絡することが難しい場合は、家族に頼ることも大切です。

うつ病による休職期間の平均値・症状ごとの目安

うつ病による休職期間の平均値は約3.5ヶ月と言われていますが、症状の程度によって、目安となる休職期間は異なり、自分の症状に合わせて、適切な休職期間を調整する必要があります。

また企業によって休職可能な最大期間は異なっており、大半の企業が3ヶ月から2年となっています。この最大期間は企業によって差があるので、事前に確認しておくようにしましょう。

症状が軽度の場合

うつ病の症状が軽度の場合は、1ヶ月前後の休職期間が目安となります。

軽度のうつ病とは、睡眠に何かしらの影響が出ている状態や、自己評価の低下、理由もなく自分を責めてしまうような状態です。無理をすれば仕事ができる状態ですが、それが悪化の原因となることもあります。

症状が軽度の場合は、まず1ヶ月ほどを目安に休職し、経過を見ながら症状を落ち着かせることを目指すようにしましょう。

症状が中度の場合

うつ病の症状が中度の場合は、3ヶ月から6ヶ月ほどの休職期間が目安になります。

中度のうつ病とは、軽度からさらに症状が進行し、家事や仕事といった、日常生活や社会生活に支障をきたすようになる状態です。

遅刻や欠席が目立つようになり、朝起き上がることができなくなることもあります。

その状態で仕事を継続することは難しいため、期間に余裕を持って休職する必要があります。

症状が重度の場合

うつ病が重度にまで進行した場合は、一年以上の休職期間が必要になるケースもあります。

重度のうつ病とは、日常生活を送ることが難しく、自責感に襲われたり、無価値感を強く感じるようになり、生きること自体にマイナスの感情が生まれてしまっている状態です。

その状態で仕事を継続することは非常に困難であり、また、すぐに症状が改善することも難しいとされています。

そのため、期間を気にせずまずは日常生活が送れるようになることだけを考えて、治療に専念する必要があります。

出典:江藤病院

休職中の生活費の工面方法

一般的に、休職に入ると有給休暇を消化していく形をとるため、有給休暇が残っている場合は、休職してすぐに所得がなくなってしまうといったことはありません。

休職期間が1ヶ月など短期間であれば生活費が問題になるケースは少ないですが、中長期に渡る休職を検討している場合は生活費についても考えておく必要があります。

休職中の給与の支給については会社によってルールが異なりますが、法律上は従業員の休職中、会社側に給与の支払い義務はないため、有給休暇を消化しきった場合、休職中は無給になることが一般的です。

そのため、中長期に渡る休職の際には、会社からの給与ではなく、基本的には「傷病手当金」で生活費を工面する形になります。

傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

社会保険に加入しており、以下の条件を満たしている場合、休職してから4日目以降は、健康保険制度に基づいた傷病手当金が受給できます。

<傷病手当金の受給要件>※①~④をすべて満たす場合に受給可能

(※1)…仕事に就くことができない状態の判定は、療養担当者の意見等を基に、被保険者の仕事の内容を考慮して判断されます

(※2)…続けて休んだ場合の4日目から支給されます(初めの3日間は「待期期間」と呼ばれ支給されない期間となります)

(※3)…給料等を貰っていてもその額が傷病手当金より少ないときは差額が支給されます

※出典:経済団体健康保険組合全国健康保険協会

<傷病手当金の支給金額>

休業1日につき直近12ヶ月間の標準報酬月額平均額÷30×2/3相当額が支給されます。

(例)過去12ヶ月のうち、12ヶ月の標準報酬月額が30万円だった場合  30万円÷30日×2/3=6,667円/日(1日あたりの傷病手当金)

<傷病手当金の支給期間>

支給期間は支給開始日から最長で1年6ヶ月です。

仮に1日あたりの傷病手当金が6,667円だった場合、150日休業すると合計で約100万円が受け取れる計算になります。

<傷病手当金の申請~受給に必要な期間>

傷病手当金の申請には診断書が必要になります。初回申請時は審査があり、申請から振り込みまで最短2週間~1ヶ月程度かかります(2回目以降は申請から振り込みまで2週間前後が目安)。注意点としては、加入している保険組合によってはそれ以上の日数を要する場合もあるので、事前に確認するようにしましょう。

症状の重さによっては障害年金の受給も可能

うつ病の症状の重さが障害認定基準に該当している場合は、原則障害年金を請求することができます。

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に受け取ることができる年金です。(高齢者だけでなく現役世代の方も含めて受給可能)

障害年金には以下の2種類があります。

①障害厚生年金…うつ病の症状で初めて病院を受診した日(初診日)に厚生年金に加入していた人に支給される年金で、1級・2級・3級の等級が存在し、症状の重さによってどの等級に該当するかが判定される。

②障害基礎年金…初診日に国民年金に加入していた人に支給される年金で、1級・2級の等級が存在する。

<障害年金の受給要件>

<障害基礎年金の支給金額目安(年額)>

<障害年金の受給事例>

・障害厚生年金2級(遡及)
・年金額:約220万円
・障害認定日請求(遡及):約1,100万円
・受給経緯:うつ病の初診日は10年以上前にあり、症状が悪化しては休職し、少し良くなると職場復帰する形を繰り返していた。うつ病の症状は悪化傾向にあり、抑うつ、不安感、身体が動かないという重い症状が出ており、復職の見込みが全く立たない状態であったが、初診日に通院していた病院から受診状況等証明書を取得し、診断書を作成の上、障害厚生年金の申請を実施したところ、合計約1,100万円の受給が決定した。

出典:社会保険労務士事務所ピオニー

上記の事例の通り、障害年金の受給にも、主治医が作成した診断書が必要になるため、受給を希望する場合は主治医に相談しましょう。

出典:ファイナンシャルフィールド東京海上日動あんしん生命全国健康保険協会障害年金支援ネットワーク全国健康保険協会・岸和田・泉州障害年金相談事務所

仕事復帰を目指す人の休職期間中の過ごし方

休職期間の過ごし方も重要なポイントとなります。段階ごとに解説します。

心身を休め、うつ病の治療を行う

まずうつ病が原因で休職した場合は、症状の悪化を防ぐためにも心身を休めることを最優先にする必要があります。

通院をしながら主治医に相談し、うつ病の改善を目指すところからがスタートになります。

日常生活の中でできることを増やす

主治医の指示に従いながら無理のない生活を繰り返していくことで、徐々に症状の改善が見込めるようになります。

少しの時間外出してみたり、生活リズムを整えてみたりなど、無理のない範囲で日常生活でできることを増やしていくようにしましょう。

また休職中は、仕事復帰ができる目処が立つまで仕事のことを考えないことも重要です。仕事をしていないことに不安を感じてしまうかもしれませんが、それ自体がストレスになり、症状の改善を妨げる可能性もあるため、主治医から就労についての話が出るまでは、仕事のことは考えないようにしましょう。

仕事復帰の準備を進める

ある程度症状が落ち着き、仕事復帰のことを考えられるようになったら、元の仕事への復職か別の仕事への転職を検討しましょう。

復職するべきか転職するべきかは、人によって異なります。復職が有効な代表的なケースは、次の3パターンが挙げられます。

休職後の復職が有効なケース

休職した後に、転職ではなく元の職場への復職が有効なケースについて、具体的に解説します。

うつ病の原因が仕事と関係ない場合

うつ病の原因が仕事と関係ないのであれば、休職して症状が落ち着いた後に復職する形であれば、問題なく復職が可能です。

部署異動によりうつ病の原因から離れられる場合

企業文化そのものがうつ病に影響を与えているわけではない場合、部署異動などで異なる仕事環境へ転籍することで、再発のリスクを抑えながら復職できる可能性があります。

部署異動を希望する場合は、事前に会社へ部署異動を希望していることを伝え、異動が実現する可能性があるかどうかを確認するようにしましょう。

一般枠から障害者枠に切り替えが可能な場合

企業によっては一般枠から障害者枠に切り替えが可能なことがあります。

障害者枠(障害者雇用)では、会社側から就労に関する合理的配慮を受けながら働けるようになるため、一般雇用で働くよりも就労による心身への負担を軽減することができます。心身の負担を軽減できれば、うつ病を再発して再度離職してしまうリスクを減らすことができます。

「転職はしたくないが、うつ病への配慮を得ながら復職したい」といった意向がある場合は、一般枠から障害者枠に切り替えが可能かどうかを会社へ確認するようにしましょう。

復職については、こちらの記事「うつ病からの復職が怖い時!再発を防ぐポイントや向いてる仕事を解説」にて、詳しく解説しています。

休職後の転職が推奨されるケース

休職前にしていた仕事や就労していた仕事環境が、うつ病の発症に関わっていて、部署異動などでもうつ病の原因から離れられない場合は、元の職場に復職するのではなく転職することが推奨されます。

転職せずに復職した場合、またうつ病を発症する前と同じ状況に身をおくことになるため、せっかく改善した症状がまた悪化してしまう可能性があります。

実際に、うつ病などで会社を休職した会社員の10人に4人が、職場復帰後に退職しているというデータも存在します。(※1)これは、うつ病には一度発症すると6割程度の人が再発する「慢性疾患」という特徴があるためです。(※2)

そのため、転職することでうつ病の発症原因となった仕事環境を離れることが、再発のリスクを抑えながら復帰する上で重要なポイントとなります。

うつ病を発症した人が転職するべき理由については、こちらの記事「うつ病からの転職成功率を高める方法4選とおすすめ求人3選」でも詳しく解説しています。

(※1)出典:メディカルケア大手町・虎ノ門
(※2)出典:アイトライリワーク大宮

うつ病の人が転職する方法

最後に、うつ病の人が転職するためにおすすめな転職支援について解説します。

就労移行支援を利用する

就労移行支援は、実務で役立つスキルや企業で働くために必要な知識を学びながら、転職活動の支援を受けられる就労支援施設です。
就労移行支援で学べるスキルや知識は以下の通りです。

上記の内容を、事業所が設定したカリキュラムに沿って学びながら、一般就労を目指します。
就労移行支援は、最大で2年間利用できることも特徴で、時間をかけて転職活動をしたい人におすすめの転職方法です。
また障害に関する理解がある支援員が常駐しており、慣れるまでは短い時間から利用することもできるため、通うこと自体が社会復帰の練習にもなります。

就労移行支援については、こちらの記事『「就労移行支援」は「就労継続支援」とどう違う?メリットとデメリットも解説!』にて詳しく解説しています。

また、私たち障害者雇用バンクでは、就労移行支援事業所「エラビバ就労支援」を運営しています。関東で就労移行支援事業所をお探しの場合は、ぜひ無料見学にお越しください。

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また転職後の定着支援として、定期的な状況確認の連絡や、職場で困ったことがあった場合の相談対応もしてもらえるため、転職後も安心して就労できるようになります。

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