脊髄小脳変性症・多系統萎縮症の人に向いてる仕事・おすすめ求人3選
脊髄小脳変性症や多系統萎縮症は、進行性の神経難病の1つで、運動失調症状が代表的な症状の病気です。 今回は、脊髄小脳変性症や多系統萎縮症の人に向いてる仕事やおすすめの求人について、具体例を挙げながら解説します。
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症とは?
脊髄小脳変性症や多系統萎縮症について、具体的に解説します。
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症の概要
脊髄小脳変性症と多系統萎縮症は、進行性の神経難病の1つです。難病の中でも脳や神経に障害が引き起こされるものは「神経難病」と分類され、脊髄小脳変性症や多系統萎縮症の他にも、パーキンソン病やALSが該当します。 脊髄小脳変性症は、小農や脳幹、脊髄など複数の神経組織に異常が生じることで、歩行時のふらつきや手の震えなど、運動失調症状を引き起こします。 多系統萎縮症は、非遺伝性の脊髄小脳変性症の代表的な疾患で、症状の進行速度が早いことが特徴として挙げられます。また、小脳失調症状、パーキンソン症状、自律神経障害といった3つの症状が様々な割合で出現するという特徴があります。 発病の原因は解明されていませんが、脊髄小脳変性症の7割は非遺伝性、3割は遺伝性と言われています。非遺伝性の中で約6割が多系統萎縮症とされています。 また、脊髄小脳変性症や多系統萎縮症を発症すると、症状による心身への負担からうつ病を併発してしまう人が一定数いるとされています。 出典:全国SCD・MSA友の会・難病情報センター・東京逓信病院
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症の症状
脊髄小脳変性症の症状としては、
- 歩行時のふらつき
- 手や指の震え
- 呂律(ろれつ)が回らない
- 筋肉が硬くなる
- 起立性低血圧
- 頻尿
といった様々な運動失調症状が発現します。 多系統萎縮症の場合は、上記の症状に加えて小脳失調症状、パーキンソン症状、自律神経障害の3つの症状が現れる可能性があります。 【小脳失調症状】
- 呂律(ろれつ)が回らなくなる
- 細かい動きができなくなる
- 足がふらつく
【パーキンソン症状】
- 立ったり歩いたりする時に不安定になる
- 転びやすくなる
- 手や指の震え
【自律神経障害】
- 起立性低血圧
- 便秘や下痢
- 呼吸障害
- 睡眠障害
- 高次脳機能障害など
パーキンソン病については、こちらの記事「パーキンソン病の人に向いてる仕事・実際の求人おすすめ3選」にて詳しく解説しています。
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症の治療法
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症は現時点では原因不明の病気とされており、根治可能な治療法は確立されていないため、薬物療法で運動失調症状の進行を遅らせることを目的とした対症療法とリハビリが治療の中心になります。 服用する薬は症状に合わせて調整されます。さらに運動機能の維持や改善をするために、対症療法と並行してリハビリも実施されます。 多系統萎縮症は進行が早く、多系統萎縮症に疾患している方230人を対象にした研究結果によると、発症後、平均約5年で車いすの使用、約8年で要介護状態となり、罹病機関は9年程度と報告されていますが、それ以外の脊髄小脳変性症では症状の進行が緩やかなため、5年、10年、20年先と長期的に病気と向き合っていく必要があります。 出典:全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会・健康長寿ネット
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症が仕事に与える影響
脊髄小脳変性症と多系統萎縮症の代表的な症状としては、前述の通り運動失調症状が挙げられます。 運動失調症状がある場合、接客業や現場仕事など、立ち仕事や力仕事はできなくなってしまいます。デスクワークであっても、手や指の震えがあったり、細かい動きができなくなった場合は作業スピードに影響が出ることも考えられます。 また、歩行障害があることで、通勤時に転んでしまったり、満員電車に乗れなくなる可能性があることから、通勤面にも影響が及びます。
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症の人に向いてる仕事
デスクワークの職種であれば、多少病気による影響があったとしても周りからのサポートがあれば就労が可能です。 【職種】
- 一般事務
- プログラマー・SE
- Webデザイン
- データ入力
- 動画編集
歩行障害により通勤に負担を感じる場合は、在宅ワークができる仕事を選ぶこともおすすめです。上記で紹介した職種は在宅ワークができることもあるため、求人を選ぶ時にはそこも考慮するとより働きやすい環境を手に入れることができます。
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症の人におすすめ求人3選
JCB
【求人情報】
- 職種:オープンポジション(障害者枠)
- 雇用形態:正社員
- 業務内容:配属職種によって決定
- 給与・年収:3,200,000円~8,500,000円
- 勤務地:東京本社もしくは、各支社(札幌・仙台・大宮・名古屋・大阪・広島・福岡)
- 応募資格:基本的なパソコンスキル(Excel、Word)をお持ちの方
こちらは株式会社JCBが募集しているオープンポジションの求人です。 オープンポジションでの募集となるため、経歴やスキルに合わせた部署への配属となり、自分の目指すキャリアプランを実現することも可能です。 もちろん障害者雇用での採用となるため、障害への配慮を受けながら働くことができます。 株式会社JCBの求人はこちらからご覧ください。
NEC航空宇宙システム
【求人情報】
- 職種:エンジニア(障害者枠)
- 雇用形態:正社員
- 業務内容:防衛・航空・宇宙事業等の各分野におけるシステム開発、ソフトウエア開発
- 給与・年収:3,200,000円~5,280,000円
- 勤務地:東京本社もしくは各支社(仙台・札幌・福岡)
- 応募資格:ソフトウェア開発経験3年以上
こちらはNEC航空宇宙システムが募集しているエンジニア向け求人です。 エンジニアとしての採用となり、システム開発やソフトウェア開発といったエンジニアとしてのキャリアアップが目指せる求人です。さらに給与も一般雇用の求人と遜色ないものとなっています。 NEC宇宙システム株式会社の求人はこちらからご覧ください。
トヨタエンタプライズ
【求人情報】
- 職種:事務職(障害者枠)
- 雇用形態:正社員
- 業務内容:書類制作、データ入力、ファイリング、在庫管理、営業補佐など
- 給与・年収:2,752,096円~3,600,000円
- 勤務地:東京事事務所・豊田事務所
- 応募資格 ・事務経験 ・初級PCスキル(Excel、Word,outlook) ・Outlook:基本操作のできる方
こちらは、トヨタエンタプライズが募集している一般事務の求人です。 業務内容は書類の制作やデータ入力、営業補佐業務など、心身への負担が少ないものとなっているため、体調への不安がある人でも無理のない範囲で働くことができます。 基本的なPCスキルがあれば応募可能となっているため、事務職として心身への負担を抑えながら働きたい人におすすめの求人になっています。 株式会社トヨタエンタプライズの求人はこちらからご覧ください。
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症の人は障害者雇用で働ける?
障害者雇用では、障害や病気に対する合理的配慮を受けながら働くことができるため、体への負担を抑えて働きたい人にはおすすめの就労方法です。 障害者雇用で働くためには障害者手帳の取得が必要になりますが、歩行時のふらつきや手の震えといった運動失調症状が強く出ている場合は身体障害の認定対象となるため、障害者手帳を取得できる可能性があります。 障害者手帳の取得には主治医の診断書が必須となるため、取得を希望する場合はまず主治医に相談しましょう。
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症で障害年金は受け取れる?
脊髄小脳変性症や多系統萎縮症を発症したことで、日常生活や社会生活に影響が出ている場合、障害年金を受給できる可能性があります。 障害年金は、障害厚生年金と障害基礎年金の二種類に分類され、病状の程度によって1~3級に分類されます。障害等級と障害年金の等級は異なる基準で判断されます。 【参考:障害年金における運動障害の認定基準】
- 1級:身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
- 2級:身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
- 3級:身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
障害年金を受給するためには、障害者手帳の取得と同様に主治医の診断書が必要になるため、障害年金の取得を希望する場合は主治医に相談するようにしましょう。 出典:社労士事務所ウィル
障害基礎年金1級に認定されたケース(40代・女性)
こちらのケースでは、頭痛とめまいが初期症状として現れ、その後悪化したことで受診したところ、脊髄小脳変性症と診断されました。 投薬治療を開始しましたが、手足へ力が入らなくなってしまい、自力での歩行が困難な状況になり、外出時には車椅子を利用するようになりました。 その後も治療を継続したものの症状は悪化傾向で、その他の症状としても、目眩や頭痛が頻発したり、食事中によくむせるなど、日常生活に大きな支障が出るようになりました。 その結果、障害基礎年金1級と認定され、年額約120万円の障害年金を受給。さらに、申請前の期間についても遡り請求できることになり、合計約300万円を受給することができました。 出典:千葉障害年金相談センター
脊髄小脳変性症・多系統萎縮症の人が向いてる仕事に就職・転職する方法
最後に、脊髄小脳変性症や多系統萎縮症の人が向いてる仕事に就職・転職する方法について、2つのパターンに分けて解説します。
体調が不安定な場合は就労移行支援がおすすめ
就労意欲はあるものの、体調の観点からすぐに一般就労を目指すのは不安という場合には、就労移行支援の利用がおすすめです。 就労移行支援は、各事業所が設定したカリキュラムを通して一般就労で役立つスキルを学んだり、就職・転職活動の包括的な支援を受けながら一般就労を目指すための就労支援施設です。 就労移行支援を利用する最大のメリットは、PCスキルやプログラミングなど、一般就労で役立つ業務スキルが学べることです。 【就労移行支援で学べる業務スキル】
- プログラミング
- Excel word
- 軽作業
- CAD設計
- グラフィックデザイン(IllustratorやPhotoshop)
- グループワーク
- ビジネスマナー
自分の体調に合わせながら、最大で2年間の時間をかけて就職・転職準備を進められるため、体調が不安定な人におすすめの転職方法です。 就労移行支援については、こちらの記事『「就労移行支援」は「就労継続支援」とどう違う?メリットとデメリットも解説!』にて詳しく解説しています。 また、私たち障害者雇用バンクでは、就労移行支援事業所「エラビバ就労支援」を運営しています。関東で就労移行支援事業所をお探しの場合は、ぜひ無料見学にお越しください。
体調が安定している場合は転職エージェントがおすすめ
就職活動や転職活動を開始する時点である程度体調が安定しており、すぐにでも働きたいという人には転職エージェントの利用がおすすめです。 転職エージェントでは就労移行支援のように実践的なスキルを学ぶことはできませんが、その分、就職活動や転職活動に特化した包括的なサポートを受けられます。 【転職エージェントのサポート内容】
- 求人の提案(非公開求人も含む)
- 面接の練習
- 選考書類の作成サポート
- 就業後の相談対応
転職エージェントの最大のメリットとしては、求人の提案が受けられることです。本人の経験やスキル、キャリアプラン、さらに障害内容を踏まえた上で適切な求人を紹介してもらえます。また一般には公開されていない非公開求人の紹介を受けられることもあるため、就職先や転職先の選択肢を増やすこともできます。 転職エージェントと似たサービスにハローワークがあります。転職エージェントとハローワークの違いは以下の通りです。
料金 | 運営方法 | サポート体制 | 求人の数 | 求人の質 | 拠点 | |
ハローワーク | 無料 | 税金で運営 | 担当者ごとにばらつきあり | 多い | 玉石混交 | 全国各地 |
転職エージェント | 無料 | 企業から紹介料を得て運営 | 専門の転職コンサルタントが手厚くサポート | 少ない(ハローワークと比較すると) | 選ばれた求人のみ掲載 | エージェントによる ※Web会議や電話で相談できる場合もある |
転職エージェントを利用することで、最短で1ヶ月以内で内定を獲得することができるため、短期間での就職や転職を目指す場合は、転職エージェントの利用がおすすめです。
日本最大級の障害者向け求人サイト
「障害者雇用バンク」
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