【法人向け】障害者雇用向けサテライトオフィスのメリット・事例を解説
障害者雇用の選択肢の一つに、障害者向けサテライトオフィスの利用があります。 障害者向けサテライトオフィスの代表的なメリットとしては、社内リソースを使用せず障害者雇用の強化を行える点です。 今回は、障害者向けサテライトオフィスを利用するメリットを紹介します。
障害者雇用向けサテライトオフィスとは
「サテライトオフィス」とは企業の本社・本拠地から離れた場所に設置された小規模オフィスのことです。 障害者雇用向けサテライトオフィスは、障害者の方々が働きやすい環境が整ったサテライトオフィスで、主に障害者雇用を促進したい企業が導入します。 サテライトオフィスの導入方法としては、企業が自社でサテライトオフィスを開設する方法と、民間企業が運営しているサテライトオフィスを借りて利用する方法があります。 民間企業が運営している障害者雇用向けサテライトオフィスを借りる場合、利用企業はサテライトオフィス事業者へ賃料を支払い、サテライトオフィスの一部を間借りして、障害のある社員の仕事場として利用することができます。 <障害者雇用向けサテライトオフィスのイメージ図>
障害者雇用向けサテライトオフィスは、障害者が働くことを前提として設立されているため、全面バリアフリーなど障害者の方にとって働きやすい環境が整備されていることに加えて、様々なサポートが提供されます。
障害者雇用向けサテライトオフィスの特長
ここでは、民間企業が運営している障害者雇用向けサテライトオフィスの特徴やメリットを解説します。
バリアフリー設備が整っている
障害者雇用向けサテライトオフィスは、障害者が利用しやすいバリアフリーな環境が整備されています。 具体的には、車椅子利用者向けの段差解消やエレベーター、視覚障害者向けの点字案内や音声案内などが挙げられます。 また、バリアフリーなトイレや休憩スペースも提供されます。これにより、障害者の方々は自由に移動でき、作業に集中することができます。
支援員が常駐し障害特性に合わせたサポートが提供される
障害者雇用向けサテライトオフィスのサービスの多くは、就業者の体調管理や、障害特性に合わせた個別のケアサポートを提供する支援員が常駐します。 支援員はサテライトオフィス事業者から手配され、障害者の方々が円滑に業務に従事できるように、職場適応支援や労働環境の調整、個別のケアプランの策定などのサポートを提供します。
通信環境をはじめとした基本設備やセキュリティ環境が整備されている
障害者雇用向けサテライトオフィスに限らず一般的なサテライトオフィスに関しても言えることですが、サテライトオフィスでは高速な通信環境や、モニターやプリンターなど業務に必要な設備がすでに整備されているため、利用企業は従業員の業務用PCのみを用意するだけで業務を開始することができます。 また、各ブースごとにセキュリティキーによる入出管理が実施されているため、従業員が在宅勤務する場合と比較してセキュリティの高い職場環境を実現することができます。
【雇用側】障害者雇用向けサテライトオフィスのメリット
雇用者の観点での障害者雇用向けサテライトオフィスのメリットを詳しく紹介します。
障害者の採用が円滑になり法定雇用率を達成しやすくなる
全面バリアフリーな環境や支援員によるサポートなど、障害者の方にとって魅力的な環境を用意することで、障害者をより採用しやすくなることが見込まれます。 従業員人数が100名以上の企業が障害者法定雇用率を下回った場合、不足する障害者数に応じて1人につき月額5万円の「障害者雇用納付金」を納付しなければなりませんが、障害者の採用が円滑になることで、法定雇用率(2024年4月より2.5%)を達成しやすくなります。
優秀な人材を確保しやすくなる
障害者雇用は雇用市場が広いにも関わらず、優秀層を狙って採用活動を行う企業はまだ少数のため、障害者にとって魅力的な職場環境である障害者向けサテライトオフィスを用意することで、相対的に就労スキルの高い障害者や、専門性の高い職種における障害者の雇用に繋がる可能性があります。 また、これまで本社や支社など特定のエリアのみで採用活動をしていたものが、別のエリアにサテライトオフィスを導入することで、通勤による負担の問題で求人にエントリーできなかった障害者の方が、サテライトオフィスでの募集求人にエントリーできるようになる可能性があります。
離職率の減少が期待できる
バリアフリー環境や支援員によるサポートは、障害を持つ従業員の負担を軽減し、仕事における満足度の向上に繋がるため、結果として離職率を下げる効果が期待できます。
オフィスの賃料を削減することができる(賃料の高い都市部にオフィスがある場合)
賃料の高い都市部にオフィスがある場合、従業員の増加に伴ってオフィス規模を拡大することで、更に高額な賃料を支払う必要が出てきます。 しかし、都市部から少し離れた場所にサテライトオフィスを導入することで、従業員増加の際にも都市部と比較して安価な賃料で済ませることができます。
大きな初期投資をする必要がない
自社でサテライトオフィスを開設する場合、ゼロから物件を探し、ゼロからバリアフリー環境を整備することが必要なため膨大なコストが発生しますが、サテライトオフィス事業者のサービスを利用する場合は、月額の賃料のみでサテライトオフィスを導入することができます。
ネットワーク環境等がすでに用意されているためすぐに業務を開始できる
自社でサテライトオフィスを開設する場合、ネットワーク環境やデスクなど、設備や機材をゼロから用意する必要がありますが、サテライトオフィス事業者のサービスを利用する場合は、必要な設備がすでに整備されているため、利用企業は従業員の業務用PCのみを用意するだけですぐに業務を開始することができます。
社員が在宅勤務する場合と比較してセキュアな環境を実現できる
サテライトオフィスでは、各ブースごとにセキュリティキーによる入出管理が実施されているケースが多いため、従業員が在宅勤務する場合と比較してセキュリティの高い職場環境を実現することができます。
【就業者側】障害者雇用向けサテライトオフィスのメリット
ここでは、就業者の観点での障害者雇用向けサテライトオフィスのメリットを一覧で紹介します。 <就業者観点でのメリット>
- 障害特性により、一般のオフィス勤務が難しい場合でも就労が可能になる
- バリアフリー化された環境で仕事ができるため業務に集中することができる
- 遠隔地の企業への就職ができない場合でも、サテライトオフィスがあれば就業が可能になる
- 障害に関する専門知識を持った支援員が常駐しているため困った時にいつでも相談ができる
- 障害者が就労することを前提とした職場環境であるため合理的な配慮を受けやすい
上記の通り、就業者の観点でも、「仕事の選択肢を増やせる」「安心して仕事ができる」など、多くのメリットがあります。
【事例】障害者雇用向けサテライトオフィス導入事例
ライザップ株式会社は、2021年にHANDICAP CLOUDが運営する障害者向けサテライトオフィス「エラビバ」を導入しました。 ここでは、ライザップ社のサテライトオフィスの導入経緯と、導入後に価値を感じたポイントを紹介します。
導入経緯
会社の成長に伴い社員が増えたことで、障害者の雇用数が足りなくなる予想が立ち、障害者雇用を強化する方針となったものの、当時は障害者雇用に関するノウハウがなく、大人数の障害者を雇ったとしてもマネジメントやサポートが行き届かないことが目に見えていた。 そこで、障害者向けサテライトオフィスを導入し、障害者雇用のノウハウを得ながら、障害者の雇用を拡大していく選択に至った。
導入後に価値を感じたポイント
- 常駐のジョブコーチ(支援員)が毎日メンバーの体調が安定しているか、何か悩み事がないかといったことを常に把握してレポートしてくれる点
- 何かトラブルが起きた場合でも、ジョブコーチが現場で即時対応してもらえる点
- ジョブコーチが第三者の立場からメンバーの相談相手になってくれることで、メンバーが悩みや不安を抱え込んだまま働くことがなくなっていった点
- メンバーにとって相談先が「現場責任者」「本社人事」「サテライトオフィススタッフ」と3つ以上あることで、働く上での安心材料になっている点
- 結果的に、障害者雇用におけるマネジメントやサポートなどのノウハウを得ることができた点
- 現場責任者を含め、メンバーも毎日安心して業務に集中できるようになった点
ライザップ株式会社の障害者向けサテライトオフィスの導入経緯や導入後の感想については、こちらのインタビュー記事で詳しく記載しています。
障害者雇用向けサテライトオフィス導入時に検討すべきポイント
障害者雇用向けサテライトオフィスを導入する際に検討すべき点は、「サテライトオフィスでどのような業務を従業員に任せるか?」という点です。 ここでは、厚生労働省委託事業としてパーソルチャレンジが作成した「障害者のサテライトオフィス雇用促進マニュアル2019」をもとに、サテライトオフィスでの対応業務の検討方法について詳しく解説します。
既存業務からサテライトオフィスで対応できる業務を切り出す
障害者雇用向けサテライトオフィスを導入する際に重要なポイントは「既存業務からサテライトオフィスで対応できる業務を切り出す」ことです。 サテライトオフィスで仕事に従事する障害者の方は、雇用企業から比較的負担が少ない仕事を任されることが多いため、簡単な事務作業などが業務の中心になります。 障害者雇用向けサテライトオフィスを導入する場合は、まずこの「サテライトオフィス内で対応する業務」を既存業務から切り出す必要があります。 場合によっては、以下のような形で、すでに事務作業が既存業務から切り出されているケースもあります。 <すでに既存業務から事務作業が切り出されているケース>
- パート・アルバイトを雇って対応している事務作業がある
- 派遣社員を雇って任せている事務作業がある
- 外部の会社にアウトソースしている事務作業がある
上記のように、アルバイトや外部の会社に任せている事務作業がある場合は、それらの業務をまるっとサテライトオフィスでの対応業務とする、といった形でスライドしやすいため、比較的スムーズにサテライトオフィスを導入できる傾向があります。
サテライトオフィスでの対応業務の切り出し方
既存業務から事務作業が切り出されていない場合は、業務難易度と業務のボリュームを判断基準として、既存業務からの切り出しを検討します。 既存業務から事務作業を切り出す方法のひとつとして、以下のような「業務洗い出しシート」を活用することを雇用促進マニュアルでは推奨しています。
出典:障害者のサテライトオフィス雇用推進マニュアル2019 上記は、とある会社の営業部内の業務「新規顧客開拓」に関連する業務をひとつひとつ洗い出した図になりますが、ワークフローに沿って仕分けすると、以下の流れになります。 <例:「新規顧客開拓」業務を分解した際のワークフロー>
- ①情報収集・顧客リスト作成
- ②アポ取り
- ③持参資料作成
- ④顧客訪問
- ⑤訪問報告書作成
- ⑥社内共有打ち合わせ
- ⑦顧客への提案書作成
- ⑧見積書作成
- ⑨顧客訪問
- ⑩受注処理
上記を業務内容ごとに分類すると、以下の5項目に分けることができます。
- 電話対応
- 電話・メール対応
- 資料作成
- 訪問
- 会議
「訪問」や「会議」などの業務は専任の担当者でなければ対応できない業務となりますが、それ以外については、サテライトオフィス内で対応する業務として切り出せる可能性があります。 このような手順で既存業務を整理していくことで、既存業務から「サテライトオフィス内で対応する業務」を洗い出すことができます。 出典:障害者のサテライトオフィス雇用推進マニュアル2019
業務の切り出しにお悩みの際は「エラビバ」にご相談ください!
自社内での業務の切り出しにお悩みの際は、障害者向けサテライトオフィス「エラビバ」にぜひご相談ください。 エラビバは2021年に開設された障害者雇用向けサテライトオフィスで、サテライトオフィス導入を検討されている企業様の業務コンサルティング・業務の切り出し・マニュアル作成・現場での支援員を通じたサポート実績が豊富にあります。 サテライトオフィスのご契約前でも、他社の事例と共に貴社に沿った最適な業務切り出しサポートを無料で実施しています。 「こんな業務をしているが切り出しは可能か?」など、ぜひお気軽にご相談ください。
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