うつ病で障害者手帳をもらうには?認定基準や申請手順・メリットを解説

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うつ病と診断されても、必ず障害者手帳を取得できるわけではありません。

しかし、症状が一定期間継続し、日常生活や社会生活に継続的な支障が出ている場合には、精神障害者保健福祉手帳の対象となる可能性があります。

この記事では、うつ病で障害者手帳を取得できる条件や等級の目安、申請手順、取得後に受けられる支援やメリットについて解説します。

うつ病とは

うつ病とはどのような病気か

うつ病は、気分がひどく落ち込んだり、何事にも興味を持てなくなったりして強い苦痛を感じ、日常生活に支障が現れるまでになった状態を指します。

精神的ストレスや身体的ストレスなどを背景に、脳がうまく働かなくなっている状態であり、ものの見方や考え方が否定的になりやすくなります。

脳内では、感情に関する情報を伝達する神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンの機能が低下し、情報伝達がうまくいかなくなることで、うつ病の状態が生じていると考えられています。

出典:厚生労働省「こころの耳

うつ病の原因と発症のきっかけ

うつ病の原因はひとつではなく、さまざまな要因が複雑に結びついて発症するとされています。

最もきっかけとなりやすいのが環境要因です。例えば、大切な人の死や離別、仕事や財産・健康を失うこと、人間関係のトラブル、職場や家庭での役割の変化(昇格、降格、結婚、妊娠など)が挙げられます。

また、性格傾向も発症要因のひとつとされています。義務感が強く仕事熱心、完璧主義、几帳面、凝り性、常に他人への配慮を重視する性格の人は、エネルギーの消耗が大きく、成果が出せない状況が続くと発症リスクが高まるとされています。

その他、遺伝的要因、がんや糖尿病といった慢性的な身体疾患、妊娠出産や更年期障害などの内分泌変化も発症に関わる要因として知られています。

出典:厚生労働省「こころの耳

うつ病の症状

うつ病の症状は、精神症状と身体症状の大きく2つに分けられます。

精神症状

精神症状としては、以下のような症状が挙げられます。

通常であれば楽しめていたことでも楽しみや喜びを感じられなくなり、何をしていても憂うつな気分が続くことになります。一方で、きっかけとなった出来事が解決したり、良いことが起こったりしても気分が晴れない状態が続くという特徴もあります。

身体症状

身体症状としては、以下のような症状があります。

睡眠障害の具体例として、寝つきに30分以上かかる、途中で何度も目が覚める、朝いつもより早く目が覚めてネガティブな考えごとをする、熟睡感がなくなるといった症状が挙げられます。

このように、うつ病では精神症状と身体症状の両方が現れることが特徴です。

これらの症状が2週間以上継続し、日常の社会生活に支障をきたしている状態を、医学的に「うつ病」と診断します。

また、原因がはっきりしない身体の不調を訴える人も多く、被害妄想などの精神症状が認められることもあります。

出典:厚生労働省「こころの耳」・厚生労働省「厚生科学審議会資料

うつ病の治療法

うつ病の治療は、症状や生活状況に応じて、 休養・薬物療法・精神療法を組み合わせて行われます。

心身を回復させるための休養

治療の基本となるのは、心身を十分に休ませることです。

ストレスの原因から距離を置き、無理をしない生活を送ることが重要になります。 症状によっては、

といった対応が必要になる場合もあります。

症状を和らげる薬物療法

薬物療法では、抗うつ薬を中心とした治療が行われます。

抗うつ薬は、脳内の神経伝達物質の働きを整え、気分の落ち込みや意欲低下などの症状を改善する目的で使用されます。

効果が出るまでに時間がかかることもあるため、自己判断で服薬を中止せず、医師の指示に従って継続することが大切です。

再発予防にも役立つ精神療法

精神療法も、うつ病治療の重要な選択肢のひとつです。

中でも認知行動療法は、ストレスに対する考え方や受け止め方の偏りを見直し、問題に対処しやすい心の状態を整えることを目的としています。

薬物療法と併用することで、症状の安定や再発予防につながるとされています。

出典:厚生労働省「こころの耳」・厚生労働省「e-ヘルスネット

うつ病では精神障害者保健福祉手帳を取得できる

うつ病は、精神障害者保健福祉手帳の対象となる疾患です。 一定の条件を満たしていれば、精神障害者保健福祉手帳を取得することができます。

取得の前提条件

手帳を申請するためには、うつ病による初診日から6か月以上が経過していることが必要です。

これは、一時的な不調ではなく、症状が一定期間継続しているかを確認するための要件です。

精神障害者保健福祉手帳の等級の考え方

精神障害者保健福祉手帳の等級は、1級〜3級に分かれています。

等級の判定では、症状の重さそのものだけでなく、日常生活や社会生活にどの程度支障が出ているかが総合的に判断されます。

厚生労働省が定める精神障害者保健福祉手帳の認定基準は以下の通りです。

等級判定で重視されるポイント

うつ病の場合、

といった症状が持続したり、繰り返し現れたりすることで、日常生活や社会生活に制約が生じているかが重要な判断材料となります。

そのため、等級の判定では、 症状の重さだけでなく、生活や仕事への影響の程度が重視されます。

出典:厚生労働省「障害者手帳」・厚生労働省「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について

うつ病で障害者手帳の取得が難しいケース

うつ病と診断されていても、すべてのケースで精神障害者保健福祉手帳が交付されるわけではありません。 特に、次のような場合は手帳の交付対象になりにくいとされています。

初診日から6か月が経過していない場合

精神障害者保健福祉手帳は、症状が一定期間継続しているかどうかを重視します。 そのため、うつ病による初診日から6か月未満の場合は、原則として申請できません。

症状が軽度で、生活への影響が限定的な場合

気分の落ち込みや不安感があっても、

といった場合は、日常生活や社会生活への制約が認められにくく、等級に該当しないと判断されることがあります。

治療により症状が安定している場合

通院や服薬によって症状が安定し、

といった状況では、障害としての継続的な支障が認められず、交付が見送られるケースもあります。

診断書の内容が基準に満たない場合

手帳交付の可否は、医師が作成する診断書に記載された内容をもとに審査されます。 診断書の内容に、具体的な症状や生活上の困りごとが十分に反映されていない場合、実際に生活上の支障があったとしても、認定基準に該当しないと判断されることがあります。

上記のように、精神障害者保健福祉手帳は申請したからといって必ず交付されるわけではなく、 症状の継続性・生活への影響・診断書の記載内容を踏まえて総合的に判断されます。 そのため、審査の結果、現時点では手帳の交付が認められなかった場合でも、症状が長期化したり、生活への支障が大きくなった場合には、改めて申請できる点も知っておくとよいでしょう。

出典:厚生労働省「障害者手帳」・厚生労働省「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について

精神障害者手帳を取得する手順

精神障害者手帳を申請する際には、継続して診療を受けている医師が作成した診断書が必要です。それ以外の申請に関する書類は、基本的に各自治体の福祉窓口で入手できますが、自治体によってはウェブサイトからダウンロード可能な場合もあります。

申請する際は診断書とともに、下記の書類を準備しましょう。

※準備物は区市町村によって異なるケースがあるため事前に市区町村の福祉課に確認するようにしましょう。

<障害者手帳の取得手順>

STEP.1:主治医に相談
うつ病の症状により社会生活に著しい制限が生じている場合、継続して診療を受けている医師に申請用の診断書を作成してもらいます。その際、初診日から6ヶ月以上経過していることが条件となります。

STEP.2:役所に必要書類を提出して申請
診断書・意見書を受け取ったら、役所の福祉課に申請書類とともに提出します。

STEP.3:審査機関による審査
役所が申請書類を受理した後、申請書類をもとに専門機関で精神障害の程度について審査が行われます。

STEP.4:手帳の発行と交付通知
審査が完了すると、役所から交付の通知が届きます。その後、役所で障害者手帳を受け取ります。

医師への相談から実際に手帳が交付されるまでは、通常2〜3ヶ月程度の期間を要します。ただし、診断書作成の状況や審査の混み具合によっては、さらに時間がかかる場合もありますので、余裕をもって手続きを進めましょう。

うつ病の人が障害者手帳を取得するメリット

続いて、うつ病の人が障害者手帳を取得するメリットについて、それぞれ具体的に解説していきます。

障害者雇用での就労が可能になる

障害者手帳を取得すると、障害者雇用での就労ができるようになります。

障害者雇用では、従業員に対する合理的配慮を提供することが企業側に義務付けられているため、一般雇用で働く場合と比較して、より安定した長期的な就労が可能になります。

【合理的配慮の例】

・勤務時間や働き方の調整
体調に波があることを考慮し、時短勤務やフレックスタイム制、段階的な勤務時間の延長(リワーク)などが認められる場合があります。

・業務内容・業務量の調整
短期間での判断や高い集中力を求められる業務を避け、業務量を調整することで、過度な負担がかからないよう配慮されます。

・定期的な面談・体調確認の実施
上司や人事担当者との定期的な面談を通じて、体調や業務負担の状況を共有し、早めに調整できる体制が整えられることがあります。

・在宅勤務/静かな作業環境への配慮
通勤による負担や人間関係のストレスを軽減するため、在宅勤務の導入や、刺激の少ない作業環境への配慮が行われる場合もあります。

合理的配慮の内容は、企業の制度や本人の障害の内容・程度によって異なりますが、障害者雇用では就労に必要な配慮を前提として働くことができます。

特にうつ病の場合は、

といった職場環境が安定した就労につながります。

また、障害者雇用は一般雇用とは異なる採用枠のため、障害があること自体が選考で不利になることはありません。

就労支援サービスを利用できる

障害者手帳を取得することで、さまざまな就労支援サービスを利用できるようになります。

【就労支援サービスの例】

就労移行支援事業所は、実務経験に役立つさまざまな実践的なスキルを学びながら、就職先を探すことができる支援サービスです。それに対し就労継続支援事業所は、その事業所で就労をすることで、給与や工賃を受け取りながら、就労経験を積むことができる事業所です。

ハローワークの障害者雇用窓口や、障害者雇用専門の転職エージェントでは、それぞれで障害者枠での転職/就職活動全般の支援を受けることができます。

どの就労支援サービスも、抱えているうつ病の状態を踏まえた上で、最適な支援を提供してもらえます。

税控除などの金銭的メリットがある

精神障害者手帳を取得すると、「障害者控除」が適用され、課税所得が減るため、結果として所得税・住民税の負担が軽くなります。

【精神障害者手帳1級(特別障害者)の場合】

【精神障害者手帳2級・3級(障害者)の場合】

※上記の税控除額は2025年(令和7年)時点の制度に基づいています

精神障害者手帳1級は、特別障害者として扱われるため、2級・3級よりも控除額が大きくなります。

これらの控除は、本人が障害者の場合だけでなく、配偶者や扶養親族が障害者の場合にも適用されます。また障害者控除は、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族がいる場合にも適用されるため、幅広く活用できます。

障害者控除を受けるには、年末調整または確定申告での申告が必要なため、忘れず手続きを行いましょう。

出典:国税庁「障害者と税

公共交通機関・公共料金・レジャー施設等の割引が受けられる

精神障害者手帳を取得すると、JR・バス・タクシー・航空機などで割引を受けられる場合があります。

割引内容は、障害の区分(第1種・第2種)や交通事業者、自治体によって異なります。

【主な割引例】※2026年1月時点

(例)横浜市
・障害者本人の普通乗車券:50%割引
・介護人の普通乗車券:50%割引

(例)ANA:おおむね50%前後の割引の水準で設定 ※2026年1月時点

※詳細は利用する交通機関・自治体に必ずご確認ください。

【その他の割引対象となる利用料の割引・免除の例】※2026年1月時点