好酸球性副鼻腔炎で障害者手帳を取ると何級？取得しやすいケースと難しいケースも紹介

好酸球性副鼻腔炎そのものは、原則として身体障害者手帳の等級対象にはなりません。

ただし、好酸球性副鼻腔炎に伴って気管支喘息による呼吸器機能障害や、好酸球性中耳炎による聴覚障害が認められる場合には、身体障害者手帳の1級・3級・4級に該当する可能性があります。

この記事では、好酸球性副鼻腔炎で障害者手帳が何級に該当するのか、対象となる条件や等級の判断基準、申請手順についてわかりやすく解説します。

好酸球性副鼻腔炎とは

好酸球性副鼻腔炎の概要

好酸球性副鼻腔炎は、指定難病に該当する病気です。

白血球の一種である好酸球が鼻や副鼻腔の粘膜に異常に集まることで炎症を起こす、難治性の慢性副鼻腔炎。

抗菌薬は無効でステロイドの内服にのみ反応しますが、手術で鼻茸を摘出してもすぐに再発する特徴があります。気管支喘息やNSAID不耐症（アスピリン不耐症）を伴うことが多く、好酸球性中耳炎を合併すると難治性の聴力障害が進行することもあります。

出典：難病情報センター「好酸球性副鼻腔炎」・ばば耳鼻科日帰り手術クリニック「好酸球性副鼻腔炎の手術」

好酸球性副鼻腔炎の症状

好酸球性副鼻腔炎の主な症状は以下の通りです。

• 高度の鼻閉（鼻づまり）
• 嗅覚障害・嗅覚の消失
• 粘り気のある鼻汁
• 両側の鼻茸（鼻ポリープ）
• 味覚障害（嗅覚障害に伴う風味障害を含む）
• 頭痛

鼻閉により口呼吸となることで、睡眠の質の低下や口腔衛生環境の悪化が生じます。また気管支喘息を伴う場合、口呼吸が喘息発作を誘発し著しい呼吸障害を起こすこともあります。

さらに好酸球性中耳炎を合併すると耳漏が生じ、難治性で聴力障害が進行し時に重度の難聴に至ることがあります。

出典：難病情報センター「好酸球性副鼻腔炎」・ばば耳鼻科日帰り手術クリニック「好酸球性副鼻腔炎の手術」

好酸球性副鼻腔炎の治療法

好酸球性副鼻腔炎の治療では、局所療法と薬物療法が基本となり、ステロイドの点鼻薬や内服薬を用いて治療されます。

ステロイド内服は症状を改善する傾向がありますが、本疾患が良性疾患のため長期継続使用は避けられ、投与中止後に再び増悪することが多いとされています。

また、薬物療法で十分な効果が得られない場合は内視鏡下での鼻副鼻腔手術により鼻茸を摘出します。そして、難治性の場合は生物学的製剤を用いた治療を行います。

好酸球性副鼻腔炎は手術後も再発することが多いため、薬物療法、鼻洗浄、正しい生活習慣の維持などの継続的な管理が必要です。特に風邪をひくと症状が悪化するため、手洗い・うがいなどの基本的な感染対策が重要とされています。

出典：難病情報センター「好酸球性副鼻腔炎」・ばば耳鼻科日帰り手術クリニック「好酸球性副鼻腔炎の手術」

障害者手帳を取得しやすいケースと難しいケース

冒頭でも触れましたが、好酸球性副鼻腔炎は障害ではなく指定難病に分類されるため、基本的には障害者手帳の取得は難しいとされています。しかし場合によっては、身体障害者手帳の取得対象となることがあります。

＜障害者手帳の対象となる可能性があるケース＞

• 気管支喘息を併発し、呼吸器機能障害が認められる場合
• 好酸球性中耳炎を合併し、聴覚障害が進行している場合

＜好酸球性副鼻腔炎で障害者手帳の取得が難しいケース＞

• 嗅覚障害のみが主症状の場合
• 呼吸機能や聴力に客観的な障害が認められない場合

上記のように、好酸球性副鼻腔炎に伴って気管支喘息を併発し呼吸器機能障害が認められる場合、または好酸球性中耳炎を合併し聴覚障害が認められる場合は、身体障害者手帳の取得が可能になることがあります。

自分が障害者手帳の取得対象かどうかの判断は、主治医に相談することが最も確実な情報となるため、障害者手帳の取得を希望する場合は相談してみましょう。

出典：東京福祉局「呼吸器障害」・千葉県「千葉県身体障害認定基準」

呼吸器機能障害の等級基準

好酸球性副鼻腔炎に気管支喘息を併発した場合、呼吸器機能障害として身体障害者手帳の対象となる可能性があります。

呼吸器機能障害の等級は、予測肺活量1秒率（指数）と動脈血O2分圧の検査結果に基づいて判定され、1級、3級、4級の3段階となっています。

上記の通り、指数または動脈血O2分圧のいずれか低位の数値をもって認定されます。また、医師の臨床所見や活動能力の程度も総合的に判断されます。

出典：東京福祉局「呼吸器障害」・千葉県「千葉県身体障害認定基準」

障害者手帳を取得する手順

身体障害者手帳（呼吸器機能障害・聴覚障害）を申請する際には、主治医の診断書が必要です。それ以外の申請に関する書類は、基本的に各自治体の福祉窓口で入手できますが、自治体によってはウェブサイトからダウンロード可能な場合もあります。

申請する際は診断書とともに、下記の書類を準備しましょう。

• 顔写真（縦4cm × 横3cm）
• 本人確認書類（運転免許証、マイナンバーカードなど）
• 印鑑（認め印）

※準備物は区市町村によって異なるケースがあるため事前に市区町村の福祉課に確認するようにしましょう。

＜障害者手帳の取得手順＞

STEP.1：主治医に相談
好酸球性副鼻腔炎で障害者手帳を申請する場合は、合併している呼吸器障害や聴覚障害について、主治医に診断書を作成してもらう必要があります。診断書をもとに、市区町村の福祉窓口へ申請を行い、審査を経て等級の判定が行われます。

STEP.2：役所に必要書類を提出して申請
診断書・意見書を受け取ったら、役所の福祉課に申請書類とともに提出します。

STEP.3：審査機関による審査
役所が申請書類を受理した後、申請書類をもとに専門機関で障害の程度について審査が行われます。

STEP.4：手帳の発行と交付通知
審査が完了すると、役所から交付の通知が届きます。その後、役所で障害者手帳を受け取ります。

医師への相談から実際に手帳が交付されるまでは、通常2〜3ヶ月程度の期間を要します。ただし、診断書作成の状況や審査の混み具合によっては、さらに時間がかかる場合もありますので、余裕をもって手続きを進めましょう。

好酸球性副鼻腔炎の人が障害者手帳を取得するメリット

障害者枠での就労が可能になる

障害者手帳を取得することで、障害者雇用枠での就労が可能になります。障害者雇用枠で採用されると、障害に対する合理的配慮を受けながら働けるため、就労による心身への負担を軽減できます。

【合理的配慮の例】

• 勤務時間の調整（短時間勤務、フレックスタイム制など）
• 業務内容の調整
• 通院時間の確保
• 定期的な面談の実施
• 在宅勤務の許可

上記のように、心身への負担を軽減するための様々な配慮を受けることができます。業務内容や就労環境の調整など、症状への影響を極力避けた状態で働くことが可能です。

また、障害者雇用枠は一般枠とは採用枠が異なり、障害者専用の雇用枠となっている点も大きなメリットです。一般枠とは別の枠として選考が行われるため、障害を持っていることが選考において不利に働くことがなく、一般枠で選考を受けるよりも採用される確率が高くなります。

公共料金・交通機関・レジャー施設等の割引

障害者手帳を取得すると、さまざまな割引制度の対象となります。

• 公共交通機関の割引（バス・地下鉄・飛行機など）
• 娯楽施設の割引（映画館・水族館・遊園地など）
• 公共施設の割引・無料化（動物園・美術館など）
• NHK受信料の免除（条件を満たす場合）
• 携帯電話料金の割引/li>

上記のように、映画館や水族館などのレジャー施設の料金が半額程度割引されたり、交通機関の乗車券の金額が割引されるなど、日常生活の中で割引制度を利用できるようになります。

対象等級は自治体ごとに異なるため、詳細は自治体の福祉課で確認するようにしましょう。

出典：川崎市「障害のある方への福祉サービス」・ミライロID「ミライロIDが使える場所」

税控除などの金銭的優遇が受けられる

身体障害者手帳を取得すると、「障害者控除」が適用され、課税所得が減るため、結果として所得税・住民税の負担が軽くなります。

【税控除の内容】

所得税：
・一般障害者（3級〜6級）…年間27万円
・特別障害者（1級・2級）…年間40万円

相続税：
・一般障害者…「85歳に達するまでの年数 × 10万円」
特別障害者…「85歳に達するまでの年数 × 20万円」

※相続税の障害者控除は、相続時に一度だけ適用されます。

このほか、自動車税、贈与税、個人事業税などについても、自治体や制度の条件を満たすことで減免を受けられる場合があります。

これらの控除は、本人が障害者の場合だけでなく、配偶者や扶養親族が障害者である場合にも適用されます。また、障害者控除は、扶養控除の適用がない16歳未満の障害者についても適用されます。

障害者控除を受けるには、年末調整または確定申告での申告が必要となるため、忘れずに手続きを行いましょう。

出典：国税庁「障害者と税」

障害年金を受給できる可能性がある

好酸球性副鼻腔炎や併発している障害の症状により社会生活に著しい制限が生じている場合、障害年金の受給対象となる可能性があります。

障害年金は、障害者手帳とは別の基準で審査が行われます。そのため、手帳を持っている場合でも、症状の程度や日常生活への影響などを踏まえて、個別に支給の可否が判断される仕組みになっています。

障害年金には障害基礎年金（1級・2級のみ）と障害厚生年金（1級・2級・3級）があります。

【障害年金の認定基準】

　

• 1級：日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
• 2級：日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
• 3級（障害厚生年金のみ）：労働が著しい制限を受けるもの

出典：厚生労働省「障害年金」・日本年金機構「障害年金」

なお、令和7年度の障害年金の支給額は以下の通りとなっています。（出典：小川早苗社会保険労務士事務所 ）

上記の内容は毎年見直しが実施されているため、最新の情報は日本年金機構の公式サイトを確認しましょう。

好酸球性副鼻腔炎で障害厚生年金2級を受給できた事例

好酸球性副鼻腔炎に伴う難治性喘息によって障害厚生年金2級の受給対象となった30代女性の事例を紹介します。

こちらの女性は、数年前から咳の症状が続き、次第に悪化して喘息と診断され、日常的に吸入薬が必要な状態となりました。事務職として働いていましたが、頻繁な体調不良により欠勤が増え、就労の継続が困難となり退職しています。

家庭でも家事が十分に行えず、家族の支援を受けながら生活している状況であったため、障害等級に該当する可能性があると考えました。

初診日は好酸球性鼻炎を診断した耳鼻科で証明を取得し、現在通院中の医療機関で呼吸器疾患用の診断書を作成しました。

その結果、日常生活および就労への支障が認められ、障害厚生年金2級に認定。年間約154万円を受給することができました。

出典:大阪障害年金サポートセンター「難治性喘息で障害厚生年金2級を受給できたケース」

好酸球性副鼻腔炎が仕事に与える影響

好酸球性副鼻腔炎は、鼻や呼吸、聴力に関わる症状により、業務パフォーマンスや職種選択に影響を及ぼすことがあります。

【業務パフォーマンスへの影響】

• 高度の鼻閉や睡眠の質の低下による集中力低下
• 頻繁な鼻汁処理が必要となり、人前での業務に支障が出る

【職種への影響】

• 嗅覚障害により、飲食業や危険察知が必要な業務が困難
• 味覚障害を伴う場合、食品関連の仕事が制限される

【合併症による影響】

• 喘息による発作で欠勤・早退が増える
• 中耳炎による聴力低下でコミュニケーションに支障が出る

このように、通院や手術を含む治療が長期化しやすく、仕事との両立が難しくなるケースもあるため、障害や難病への理解がある職場環境を選ぶことが重要です。

特に、定期的な通院への配慮や、体調に応じた勤務時間・業務量の調整が可能な職場であれば、治療を続けながら安定した就労を目指しやすくなります。

好酸球性副鼻腔炎を発症した人におすすめの求人

好酸球性副鼻腔炎やそれに伴う合併症を発症している場合、集中力の低下や人前での業務遂行に関する懸念を踏まえて、下記の条件に当てはまる求人がおすすめです。

• 自分のペースで業務を進めることができる
• 定期的に休憩を取ることができる
• クライアントなど社外の人との直接的なコミュニケーションを取る機会がない
• 電話対応の免除や会議参加時のサポートがある（聴覚への影響が出ている場合）

その上で、症状全般への正しい理解がある企業を選ぶことが重要となります。

NECネクサソリューションズ

【求人情報】

• 職種：営業事務・庶務（障害者枠）
• 雇用形態：正社員
• 業務内容：営業事務業務サポート、事業推進サポート業務、その他庶務業務
• 給与・年収：364万円～575万円
• 勤務地：東京本社・在宅可
• 応募資格：Officeツールスキル(Excel・Word・PowerPoint)

こちらは、NECネクサソリューション株式会社が募集している、営業事務兼庶務の求人です。

こちらのポジションでは、申請業務や帳票作成、申請業務など基本的な事務業務全般を担当することになります。多くの業務が在宅でも対応可能となっているため、落ち着いた環境の中で、自分のペースを守りながら働きたい人に最適な求人です。

また、同社ではそのほかのポジションでも積極的な採用を行なっているため、事務職以外でのキャリアを検討している人にもおすすめです。

NECネクサソリューション株式会社の求人は、こちらからご確認ください。

イトーキ

【求人情報】

• 職種：SE（障害者枠）
• 雇用形態：契約社員
• 業務内容：業務プロセス分析・既存システムのカスタマイズ・保守／運用・システム開発・保守／運用・プロジェクトマネジメントなど
• 給与・年収：300万円～600万円
• 勤務地：東京本社
• 応募資格：エンジニア／プログラミング／エンジニアアシスタント経験

こちらはエンジニアとしてのキャリアアップを目指している人におすすめの求人です。

社内SEもしくはインフラ管理のポジションで、これまでの経験や障害の内容に合わせて最適業務を担当することが可能です。担当できる業務内容によっては、高水準の給与を受け取ることも可能となっています。

こちらの企業も、様々なポジションでの採用を実施しています。

株式会社イトーキの求人は、こちらからご覧ください。

博報堂DYアイ・オー

【求人情報】

• 職種：経理（障害者枠）
• 雇用形態：正社員
• 業務内容：グループ会社の経理伝票照合業務・データ処理・ＰＣによる入力業務・ＣＭ放送確認書照合業務・ファイリング業務など ※経験や能力によって最終的な業務内容を決定
• 給与・年収：2,795,000円～3,588,000円
• 勤務地：東京本社
• 応募資格
  ・Word・Excel・Outlook：基本操作ができる方
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