人工関節で4級/5級の障害者手帳を取得するメリットと認定基準を解説

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股関節や膝など、体の関節に異常が生じた場合、対応策として人工関節に置き換える手術を受けることがあります。

本記事では、人工関節の概要や手術を受けた場合の障害者手帳の取得条件について、具体例を挙げながら解説します。

人工関節とは

人工関節の概要

人工関節とは、変形性関節症や関節リウマチ、外傷などで傷んだ関節を、金属・ポリエチレン・セラミックといった人工物に置き換えることで、痛みを軽減し機能を回復させる治療法です。

人工関節は肩・肘・手指・股・膝など多くの関節に適応でき、特に高齢者を中心に幅広く行われています。手術を受けることで痛みが劇的に改善し、歩行や日常動作がスムーズになるなど、生活の質が大きく向上します。

一方で、人工関節手術には感染症や血栓症などの合併症が起こる可能性もあります。ただし、現在はこれらのリスクに対する管理体制が整っており、安全性の高い手術として多くの患者さんに行われています。

出典:康心汐見台病院

人工関節が必要になる事例

人工関節手術が行われる代表的なケースは、関節軟骨がすり減って強い痛みや変形を伴う変形性関節症です。加齢や肥満、外傷の影響などで進行し、日常生活に大きな支障をきたす場合に人工関節手術が検討されます。

また、関節リウマチによる関節破壊も主要な原因のひとつです。関節の不安定性や拘縮が進み、歩行や動作が困難になる場合に手術が検討されます。

そのほか、外傷による骨折で関節面の修復が難しいケース(例:高齢者の上腕骨顆部粉砕骨折や関節内骨折)にも用いられます。さらに、肩関節では腱板の機能喪失に対してリバース型人工肩関節が、足関節では外傷後の変形や肥満による変形性関節症が手術の対象となります。

出典:康心汐見台病院

人工関節の手術

人工関節手術では、傷んで変形した関節の表面を削り取り、金属やポリエチレン、セラミックといった人工物に置き換えます。

この手術は、痛みの軽減と関節機能の改善に大きな効果があります。術後まもなく痛みが和らぎ、歩行もスムーズになるケースが多く報告されています。

回復後は、日常生活に必要な動作が可能になります。例えば肘関節では食事や整髪が、肩関節では手を上げる動作が改善し、関節の可動域も不自由のない範囲まで戻ることが期待できます。

安全性についても長期的に実績があり、15年以上経過しても90%以上の成功率が維持されています。股関節では20年を超えても80%以上の人が再手術を必要としないというデータがあります。

さらに、リバース型肩関節手術は痛みが少なくリハビリ期間も短いとされ、患者満足度が高い方法です。ただし、手を背中に回すといった一部の動作には制限が残る場合があります。

出典:康心汐見台病院

障害等級4級または5級に認定されることで障害者手帳の取得が可能

人工関節を膝や股関節に挿入した場合、かつては一律で身体障害者手帳4級と認定されていました。しかし、医療技術の進歩を踏まえ、2014年4月以降は関節の機能状態に応じて等級が決まる方式に見直されています(※1)。

膝関節の障害等級には4級・5級・7級の区分がありますが、7級単独では手帳の交付対象外です。そのため、人工関節手術を受けて障害者手帳を取得できるかどうかは、関節の部位や機能の残存度によって決まります。

【膝関節の障害等級分類(身体障害者福祉法に基づく)】

(※1)出典:厚生労働省「身体障害者診断書の書き方:総論・肢体不自由」より
(※2)筋力テスト2…ほぼ自力では動かせず介助が必要な状態
(※3)筋力テスト3…重力下でかろうじて動かせる状態
(※4)筋力テスト4…重力に抗して動かすことができ、さらに軽い抵抗があっても動かせる状態

【股関節の障害等級分類(身体障害者福祉法に基づく)】

出典:康心汐見台病院・厚生労働省「身体障害者診断書の書き方:総論・肢体不自由

肩・肘・足関節は障害者手帳の認定対象になる?

人工関節は肩や肘など、さまざまな部位で行われます。しかし、身体障害者手帳の等級認定の対象として基準表に明記されているのは、主に「膝関節・股関節・足関節」の3部位です。

✓ 膝関節・股関節:
人工関節を挿入した場合、関節機能の状態に応じて4級・5級・7級のいずれかに認定されることがあります。

✓ 足関節:
人工関節を挿入しても7級相当の扱いであり、単独では手帳交付の対象外ですが、他の障害とあわせて2級以上となれば対象になります。

✓ 肩関節・肘関節:
人工関節を挿入しても、現行の障害等級表には明確な基準がなく、原則として障害者手帳の認定対象外です。

このように、人工関節を挿入した部位によって障害者手帳の認定対象や等級は大きく異なります。自分の症状や関節の部位ごとの扱いを正しく理解し、必要に応じて自治体や専門医に相談することが大切です。

出典:康心汐見台病院・厚生労働省「肢体不自由(人工関節等置換者)の障害認定基準の見直しについて

障害者手帳を取得する手順

障害者手帳の申請には、主治医が作成した診断書が必要です。申請に必要な書類は、役所の福祉課で受け取る、もしくはオンラインでダウンロードできる場合もあります。

申請時には、診断書のほかに以下の書類も必要です。

※準備物は区市町村によって異なるケースがあるため事前に市区町村の福祉課に確認するようにしましょう

<障害者手帳の取得手順>

STEP.1:主治医に相談
症状がある程度固定されたと判断されたタイミングで、主治医に申請用の診断書を作成してもらいます。

STEP.2:役所に必要書類を提出して申請
診断書・意見書を受け取ったら、役所の福祉課に申請書類とともに提出します。

STEP.3:審査機関による審査
役所が申請書類を受理した後、申請書類をもとに専門機関で障害の程度について審査が行われます。

STEP.4:手帳の発行と交付通知
審査が完了すると、役所から交付の通知が届きます。その後、役所で障害者手帳を受け取ります。

主治医への相談から手帳が手元に届くまで、一般的には2〜3か月ほどかかります。ただし、診断書作成の期間や審査の混雑状況によっては、3か月以上かかることもあるため、取得を希望する場合は早めに行動するようにしましょう。

出典:多摩市日野市

障害者手帳を取得するメリット

障害者枠での就労が可能になる

障害者手帳を取得すると、障害者枠での就労が可能になります。

障害者枠での採用となると、業務内容や勤務時間の調整など、障害に対する合理的配慮を受けながら働けるようになるため、就労による心身への負担を軽減できます。

【受けられる配慮の例】

短時間勤務・時差出勤の導入:
関節への負担を考えて、体調に合わせて短時間勤務や時差出勤を認めてもらうことで無理なく働けるようにする。

通院やリハビリのための勤務調整:
術後の経過観察やリハビリ通院が必要になった場合、勤務スケジュールに柔軟性を持たせ、休暇や中抜けを取りやすい環境を整える。

作業内容の変更:
重い荷物を持つ、長時間立ち続ける、中腰作業といった関節に負担のかかる業務を避け、デスクワークや軽作業など、身体への負担が少ない業務に変更する

定期的な休憩の確保:
長時間同じ姿勢を続けることによる症状の悪化を防ぐため、一定時間ごとに休憩や軽いストレッチを取れる仕組みを設ける。

また、障害者枠は一般枠とは採用枠が異なり、障害者を採用することを前提としています。そのため、障害を持っていることが、選考において不利に働くことがなく、一般枠での選考に参加するより採用される確率が高くなるというメリットもあります。

生活の支援が受けられる

障害者手帳を取得することで、日常生活に関する支援を受けられる場合があります。

【生活支援の例】

なお、支援の内容や対象等級は自治体によって異なるため、詳細は市区町村の福祉課で確認するようにしましょう。

出典:川崎市

障害者手帳を取得することで、助成金や交通機関の割引など、様々な金銭的な支援を受けることができます。

【医療助成金・税金の控除の例】

出典:川崎市厚生労働省国税庁

【対象となる利用料の割引・免除の例】

助成制度や税控除の対象等級は自治体ごとに異なるため、申請前に自治体の福祉課で確認するようにしましょう。

また、人工関節の手術を受けても社会生活への影響が残っている場合、障害年金を受給できる可能性があります。

障害年金の受給は、障害者手帳の認定基準とは異なる「障害年金の認定基準」に基づく審査を受ける必要があります。

【障害年金の認定基準】

なお、令和7年度の障害年金の支給額は以下の通りとなっています。(出典:小川早苗社会保険労務士事務所

月額 年額 前年度の年額
障害基礎年金1級 86,635円 1,039,625円 1,020,000円
障害基礎年金2級 69,308円 831,700円 816,000円
障害厚生年金 3級(最低保障) 51,983円 623,800円 612,000円
子の加算1人目(障害基礎年金に加算) 19,941円 239,300円 234,800円
子の加算2人目(障害基礎年金に加算 19,941円 239,300円 234,800円
子の加算3人目(障害基礎年金に加算 6,650円 79,800円 78,300円
配偶者 加給年金(障害厚生年金に加算) 19,941円 239,300円 234,800円
障害年金生活者支援給付金1級 6,813円 81,756円 79,656円
障害年金生活者支援給付金2級 5,450円 65,400円 63,720円

上記の内容は毎年見直しが実施されているため、最新の情報は日本年金機構の公式サイトを確認しましょう。

出典:三重県・障害年金申請サポート

人工関節の手術を受けたことで障害基厚生年金3級を受給できた事例

人工関節置換手術を受けたあと、障害厚生年金3級に認定された50代女性の事例を紹介します。

本事例の女性は、手術を受ける10年ほど前の時点から股関節に痛みを感じるようになりました。整体などに通ってはいましたが、症状の改善が見られませんでした。

当時は、立ち仕事をしていましたが、症状の悪化により仕事をこなすことができない状況になってしまい、医療機関を受診しました。その結果変形性股関節症と診断され、さらにその後も症状が悪化したことで人工関節手術を受けることになりました。

その結果、障害厚生年金3級に認定され、年間約59万円を受給することができました。

出典:あすか中央社会保険労務士法人

人工関節の手術を受けたことによって発生する仕事への影響

手術後も仕事に戻れる?

人工関節の手術を受けると、痛みが和らぎ関節の動きも良くなるため、多くの方が仕事に復帰できます。歩いたり日常の動作が楽になるので、特にデスクワークなどの仕事では大きな影響は少ないでしょう。

気をつけたい点

ただし、手術後はリハビリを含めて数週間〜数か月の休養が必要になります。重い荷物を持つ仕事や体力を使う仕事では、人工関節に負担をかけないように仕事内容を調整することも大切です。

また、肩の手術後は「手を背中に回す動作」、膝の手術後は「長時間の立ち仕事や階段の上り下り」などに制限が残る場合があります。高い場所での作業や特定の姿勢が必要な仕事では、無理をしないよう周囲の理解やサポートが欠かせません。

前向きに働き続けるために

一方で、手術前には難しかった作業ができるようになることもあります。動作がスムーズになることで仕事の効率が上がるケースも少なくありません。職場環境を工夫したり、会社の配慮を受けたりすることで、多くの方が安心して仕事を続けられています。

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