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網膜静脈閉塞症で障害者手帳を取得するための条件・申請手順・メリットを解説

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目の奥にある網膜の静脈の血流が悪くなることにより、目に関する様々な症状が発現する網膜静脈閉塞症。

本記事では、網膜静脈閉塞症の人が障害者手帳を取得するための条件や手順について、具体的に解説します。

網膜静脈閉塞症とは

網膜静脈閉塞症の概要

網膜静脈閉塞症は、目の奥にある網膜の静脈が詰まり、血液の流れが悪くなる病気です。詰まる場所によって以下の2種類に分けられます。

✓ 分枝網膜静脈閉塞症（BRVO）：
網膜の一部の静脈が詰まるタイプ。発症頻度は中心静脈閉塞症の約5倍と多い。

✓ 中心網膜静脈閉塞症（CRVO）：
網膜全体に血流障害が及ぶタイプで、症状は重い。

網膜静脈閉塞症は40歳以上から発症率が上がり、有病率は2.1％程度とされています。特に60歳以上の高齢者で多く見られ、加齢や高血圧が主なリスク要因です。糖尿病・高脂血症・緑内障などを持つ人はリスクが高く、若年でも基礎疾患がある場合に発症することがあります。

出典：近畿大学医学部・日本眼科医会

網膜静脈閉塞症の症状

主な症状としては下記のものが挙げられます。

これらは網膜のむくみ（黄斑浮腫）が原因で起こり、特に物を見る中心部分がむくむと症状が強く現れます。

網膜静脈閉塞症の症状は血流が悪くなった網膜の場所により異なり、閉塞部位が網膜の中心部（黄斑）に及ぶと視力低下を起こし、周辺部だけの場合は自覚症状がないこともあります。分枝閉塞症では無症状から重度の視力低下まで様々ですが、中心静脈閉塞症では早期から視力低下を生じることが多いとされています。

慢性期になると、新しくできた異常な血管から目の中に出血（硝子体出血）が起こり、急に視界がかすむことがあります。また、中心静脈閉塞症では眼圧が上がる血管新生緑内障を起こすことがあり、放置すると失明の危険があります。

出典：近畿大学医学部・日本眼科医会

網膜静脈閉塞症の治療法

治療の中心は黄斑浮腫の改善です。

✓ 抗VEGF薬の硝子体注射：
現在の第一選択。むくみの原因となるVEGFの働きを抑える薬を眼内に注射する。数日で効果が出るが、数か月で再発することが多く、複数回の注射が必要。

✓ ステロイド注射：
炎症を抑えるが、緑内障や白内障の副作用に注意が必要。

✓ レーザー治療：
むくんだ部分にレーザーを当てて新生血管の発生を抑える。正常組織への影響があるため慎重に行う。

✓ 合併症への対応：
硝子体出血があれば硝子体手術で血液を除去。眼圧上昇があれば点眼薬や手術で対応する。

上記のように、症状の状況や副作用などのことを考慮しながら、最適な治療法が選択されます。

出典：近畿大学医学部・日本眼科医会

症状によっては障害者手帳を取得できる

視力の低下や視界のぼやけといった網膜静脈閉塞症の症状によって、日常生活に大きな影響が出ていると判断された場合は、身体障害者手帳（視覚障害）の取得対象となることがあります。

網膜静脈閉塞症による障害者手帳の取得基準は、以下の通りです。

【視覚障害の等級基準】

【視野障害の等級基準】

出典：厚生労働省

障害者手帳を取得する手順

障害者手帳の申請には、主治医が作成した診断書が必要です。申請に必要な書類は、役所の福祉課で受け取る、もしくはオンラインでダウンロードできる場合もあります。

申請時には、診断書のほかに以下の書類も必要です。

※準備物は区市町村によって異なるケースがあるため事前に市区町村の福祉課に確認するようにしましょう

＜障害者手帳の取得手順＞

STEP.1：主治医に相談
症状がある程度固定されたと判断されたタイミングで、主治医に申請用の診断書を作成してもらいます。

※眼科専門医の診断書が必要です
※症状が固定していない場合は申請できません

STEP.2：役所に必要書類を提出して申請
診断書・意見書を受け取ったら、役所の福祉課に申請書類とともに提出します。

STEP.3：審査機関による審査
役所が申請書類を受理した後、申請書類をもとに専門機関で障害の程度について審査が行われます。

STEP.4：手帳の発行と交付通知
審査が完了すると、役所から交付の通知が届きます。その後、役所で障害者手帳を受け取ります。

主治医への相談から手帳が手元に届くまで、一般的には2〜3か月ほどかかります。ただし、診断書作成の期間や審査の混雑状況によっては、3か月以上かかることもあるため、取得を希望する場合は早めに行動するようにしましょう。

出典：多摩市・日野市・広島県・厚生労働省

網膜静脈閉塞症の人が障害者手帳を取得するメリット

障害者枠での就労が可能になる

障害者手帳を取得すると、障害者枠での就労が可能になります。

障害者枠での採用となると、業務内容や勤務時間の調整など、障害に対する合理的配慮を受けながら働けるようになるため、就労による心身への負担を軽減できます。

【受けられる配慮の例】

✓ 短時間勤務・時差出勤の導入：
目への負担が大きい長時間の作業を避け、体調に合わせた柔軟な働き方を可能にする

✓ 通院のための勤務調整：
医療機関への通院に対応できるよう、勤務時間を調整

✓ 作業内容の変更：
PCの画面などを見続けることになると目への負担が大きくなるため、負担の少ない業務に変更し負担を軽減

✓ 補助具や支援機器の利用：
拡大鏡や大型モニターなどを活用して作業効率を高める

✓ 定期的な休憩の確保：
目に負担がかかる連続作業を避け、適度に休憩を取れる環境を整備

また、障害者枠は一般枠とは採用枠が異なり、障害者を採用することを前提としています。そのため、障害を持っていることが、選考において不利に働くことがなく、一般枠での選考に参加するより採用される確率が高くなるというメリットもあります。

生活の支援が受けられる

障害者手帳を取得することで、日常生活に関する支援を受けられる場合があります。

【生活支援の例】

なお、支援の内容や対象等級は自治体によって異なるため、詳細は市区町村の福祉課で確認するようにしましょう。

出典：川崎市

障害者手帳を取得することで、助成金や交通機関の割引など、様々な金銭的な支援を受けることができます。

【医療助成金・税金の控除の例】

出典：川崎市・厚生労働省・国税庁

【対象となる利用料の割引・免除の例】

助成制度や税控除の対象等級は自治体ごとに異なるため、申請前に自治体の福祉課で確認するようにしましょう。

また、網膜静脈閉塞症の症状によって就労ができないなど、社会生活に大きな影響が出ている場合、障害年金を受給できる可能性があります。

障害年金の受給は、障害者手帳の認定基準とは異なる「障害年金の認定基準」に基づく審査を受ける必要があります。

【障害年金の認定基準】

なお、令和7年度の障害年金の支給額は以下の通りとなっています。（出典：小川早苗社会保険労務士事務所 ）

月額 年額 前年度の年額
障害基礎年金1級 86,635円 1,039,625円 1,020,000円
障害基礎年金2級 69,308円 831,700円 816,000円
障害厚生年金　３級（最低保障） 51,983円 623,800円 612,000円
子の加算1人目（障害基礎年金に加算） 19,941円 239,300円 234,800円
子の加算2人目（障害基礎年金に加算 19,941円 239,300円 234,800円
子の加算3人目（障害基礎年金に加算 6,650円 79,800円 78,300円
配偶者 加給年金（障害厚生年金に加算） 19,941円 239,300円 234,800円
障害年金生活者支援給付金1級 6,813円 81,756円 79,656円
障害年金生活者支援給付金2級 5,450円 65,400円 63,720円

上記の内容は毎年見直しが実施されているため、最新の情報は日本年金機構の公式サイトを確認しましょう。

出典：三重県・障害年金申請サポート

網膜静脈閉塞症で障害基礎年金1級を受給できた事例

網膜中心静脈閉塞症によって、障害基礎年金1級の受給対象となった事例を紹介します。

本事例の方は、別の疾患の影響により定期的に通院をしていましたが、徐々に右眼がよく見えなくなってきたことで別途眼科を受診しました。その際に網膜中心静脈閉塞症と診断され、その後は内出血が発生するようになりました。

さらに診断から3年ほど経ったタイミングで、左目の視力の低下が始まり、緑内障と診断。最終的には左目が完全に見えない状態となりました。その結果、家族やヘルパーのサポートがなければ日常生活が送れないようになり、障害基礎年金1級の受給対象に認定されました。

出典：福岡・博多障害年金相談センター

網膜静脈閉塞症が仕事に与える影響

網膜静脈閉塞症は、視力や視野に障害が生じるため、業務内容や作業効率に大きく影響します。

制限されやすい仕事

✓ 運転が必要な職種：
視野の欠損や視力低下により事故の危険があるため、車の運転を伴う業務は難しくなります。

✓ 現場作業や危険を伴う仕事：
足場の悪い現場や工場など、視覚に頼る場面が多い環境では安全確保が難しくなります。

オフィスワークでの影響

✓ 人との接触や障害物に気づきにくく、社内移動や通勤時に危険が伴うことがある

✓ パソコン業務など細かい文字や画面を長時間見る作業では、作業効率の低下や眼精疲労が起こりやすく、定期的な休憩が必要になる

働き続けるための工夫

✓ 拡大鏡や大型モニターなどの視覚補助具の活用

✓ 勤務時間や作業内容の調整といった職場での合理的配慮

これらの工夫を取り入れることで、多くの場合、無理なく就労を継続することが可能です。転職や就職を考える際は、仕事内容だけでなく、企業が障害者雇用に積極的で、配慮体制が整っているかどうかを確認することが重要です。

網膜静脈閉塞症を発症した人におすすめの求人

みずほフィナンシャルグループ

【求人情報】

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日本ナレッジ株式会社の求人は、こちらからご覧ください。

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