指が曲がらない状態での障害者手帳の認定基準・金銭面の支援を等級別に紹介!

事故や病気、先天的疾患などが原因で、指が自由に動かせなくなることがあります。 本記事では、指が自由に動かせない、曲げることができない人に向けて、障害者手帳の取得方法や手順について、具体例を挙げながら解説します。
指が曲がらない病気とは

指が曲がらない状態とは、関節や腱の異常、あるいは全身の病気が原因で、指を思うように動かせなくなることを指します。 具体的には、
- 指を曲げたり伸ばしたりする動きが制限される
- こわばりや痛みで日常的な動作(物をつかむ・書くなど)が難しくなる
【指の動きに影響が出る関節・腱の病気例】
- 手根管症候群:手首の神経が圧迫されて、しびれや動かしにくさが出る
- 肘部管症候群:ひじの神経が圧迫されて、指先までしびれや動きにくさが出る
- 腱鞘炎(ばね指・ドケルバン病):腱の通り道に炎症が起きて、指が引っかかるように動く
- 変形性手指関節症:関節がすり減って変形し、痛みや動かしにくさが出る
- 頚椎症:首の神経が圧迫され、手や指のしびれや動きの障害につながる
【指の動きに影響が出るその他の病気例】
【外傷による後遺症の例】
- 事故や骨折の後遺症:骨の変形で指が動かしにくくなる
- 腱や靭帯の損傷:けがで切れたり傷ついた部分が固くなり、指を曲げ伸ばしできなくなる
【生まれつきの病気によるもの】
- 先天性多発性関節拘縮症:関節が固く、曲げ伸ばしが制限される
- 先天性筋無力症候群:筋肉が力を出せず、指や手をうまく動かせない
もし、指が普段通り動かない、こわばりを感じるといった症状を自覚した場合は、上記のような病気が原因となっている可能性もあるため、整形外科などへの受診が必要です。 出典:あべ整形外科 皮フ科クリニック・MSDマニュアル・難病情報センター
指が曲がらない状態になると障害者手帳を取得できる?

指が曲がらない症状を持つ人の、障害者手帳の取得条件について具体的に解説します。
症状によっては障害者手帳を取得できる
後天的、先天的に関わらず、指が曲がらないことによって日常生活に大きな影響が出ている場合は、身体障害者手帳(手指機能障害)を取得できる可能性があります。 【手指機能害等級表(身体障害者福祉法に基づく)】
- 3級:両上肢のおや指及びひとさし指の機能を全廃したもの(※1)
- 4級:両上肢のおや指の機能を全廃したもの/一上肢のおや指及びひとさし指の機能を全廃したもの/おや指又はひとさし指を含めて一上肢の三指の機能を全廃したもの
- 5級: 両上肢のおや指の機能の著しい障害(※2)/一上肢のおや指の機能を全廃したもの/一上肢のおや指及びひとさし指の機能の著しい障害/おや指又はひとさし指を含めて一上肢の三指の機能の著しい障害
- 6級:一上肢のおや指の機能の著しい障害/ ひとさし指を含めて一上肢の二指の機能を全廃したもの
この条件よりも症状が軽い場合も、障害であると認定されることはありますが、障害者手帳の取得には、障害等級6級以上に認定される必要があります。 また、関節リウマチなど全身に影響のある病気を発症しており、指以外の箇所にも症状が発現している場合は、全体の症状を踏まえた上で障害認定されることもあります。 (※1:機能全廃)…まったく動かせない、あるいは動かせても極めてわずかで日常生活での使用ができない状態 (※2:著しい障害)…関節可動域が大きく制限され、握る・つまむなどの動作が困難になり、日常生活や仕事に明らかな支障がある状態 出典:東京福祉局
指を切断してしまった人も取得できる可能性がある
先天的疾患や、後天的な疾患、事故などによって、指が欠損している状態の場合でも、障害者手帳を取得できることがあります。 【手指欠損害等級表(身体障害者福祉法に基づく)】
- 2級:両上肢のすべての指を欠くもの
- 3級:両上肢のおや指及びひとさし指を欠くもの/一上肢のすべての指を欠くもの
- 4級:両上肢のおや指を欠くもの/一上肢のおや指及びひとさし指を欠くもの/おや指又はひとさし指を含めて一上肢の三指を欠くもの
- 5級:一上肢のおや指を欠くもの
- 6級:ひとさし指を含めて一上肢の二指を欠くもの
指の切断による障害認定も、7級以下の場合は障害者手帳の取得対象にはならないため注意が必要です。 出典:東京福祉局
障害者手帳を取得する手順

障害者手帳の申請には、主治医が作成した診断書が必要です。申請に必要な書類は、役所の福祉課で受け取る、もしくはオンラインでダウンロードできる場合もあります。 申請時には、診断書のほかに以下の書類も必要です。
- 顔写真(縦4cm × 横3cm)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 印鑑(認め印)
※準備物は区市町村によって異なるケースがあるため事前に市区町村の福祉課に確認するようにしましょう <障害者手帳の取得手順> STEP.1:主治医に相談 症状がある程度固定されたと判断されたタイミングで、主治医に申請用の診断書を作成してもらいます。 STEP.2:役所に必要書類を提出して申請 診断書・意見書を受け取ったら、役所の福祉課に申請書類とともに提出します。 STEP.3:審査機関による審査 役所が申請書類を受理した後、申請書類をもとに専門機関で障害の程度について審査が行われます。 STEP.4:手帳の発行と交付通知 審査が完了すると、役所から交付の通知が届きます。その後、役所で障害者手帳を受け取ります。 主治医への相談から手帳が手元に届くまで、一般的には2〜3か月ほどかかります。ただし、診断書作成の期間や審査の混雑状況によっては、3か月以上かかることもあるため、取得を希望する場合は早めに行動するようにしましょう。 出典:多摩市・日野市
指が曲がらない人が障害者手帳を取得するメリット

続いて、指が曲がらない状態の人が障害者手帳を取得するメリットを解説します。
障害者枠での就労が可能になる
障害者手帳を取得すると、障害者枠での就労が可能になります。 障害者枠での採用となると、業務内容や勤務時間の調整など、障害に対する合理的配慮を受けながら働けるようになるため、就労による心身への負担を軽減できます。 【受けられる配慮の例】
- 短時間勤務・時差出勤の導入: 指の負担が大きい長時間の作業を避け、体調に合わせた柔軟な働き方を可能にする
- 通院やリハビリのための勤務調整: 医療機関への通院や定期的なリハビリに対応できるよう、勤務時間を調整
- 作業内容の変更: 握力低下や指先の細かい動きが必要な業務(長時間のタイピング・細かい組立作業など)を避け、負担の少ない業務に変更
- 補助具や支援機器の利用: 握力サポート器具、音声入力ソフト、特殊キーボードなどを活用して作業効率を高める
- 定期的な休憩の確保: 指に負担がかかる連続作業を避け、適度に休憩を取れる環境を整備
また、障害者枠は一般枠とは採用枠が異なり、障害者を採用することを前提としています。そのため、障害を持っていることが、選考において不利に働くことがなく、一般枠での選考に参加するより採用される確率が高くなるというメリットもあります。
生活の支援が受けられる
障害者手帳を取得することで、日常生活に関する支援を受けられる場合があります。 【生活支援の例】
- 訪問看護サービス(1~2級対象)
- 寝具洗濯・乾燥サービス(1~6級対象)
- 緊急通報システム設置(1~2級対象)
- 在宅リハビリ支援
- 在宅重度身体障害者訪問診査(リハビリセンターへの訪問が難しい重度身体障害者)
なお、支援の内容や対象等級は自治体によって異なるため、詳細は市区町村の福祉課で確認するようにしましょう。 出典:川崎市
障害者手帳を取得することで、助成金や交通機関の割引など、様々な金銭的な支援を受けることができます。 【医療助成金・税金の控除の例】
- 重度障害者医療費助成:障害等級1~2級が目安。入院・通院などにかかる自己負担額の助成が受けられる
- 特別障害者手当:障害等級1~2級が目安。月額28,840円が支給される。(所得制限あり)
- 税金控除(障害等級3~6級):年間27万円(所得税)年間26万円(住民税)
- 税金控除(障害等級1~2級):年間40万円(所得税)年間30万円(住民税)
出典:川崎市・厚生労働省・国税庁 【対象となる利用料の割引・免除の例】
- 公共交通機関の割引(JR・地下鉄・新幹線・都営バス・飛行機など)
- 娯楽施設の割引(映画館・水族館・遊園地など)
- 公共施設の割引・無料化(動物園・美術館など)
- NHK受信料の免除(条件を満たす場合)
- 携帯電話料金の割引(各通信事業者が提供するプランが適用)
助成制度や税控除の対象等級は自治体ごとに異なるため、申請前に自治体の福祉課で確認するようにしましょう。 また、指が曲がらない症状により就労ができないなど、社会生活に大きな影響が出ている場合、障害年金を受け取ることができる可能性があります。 障害年金の受給は、障害者手帳の認定基準とは異なる「障害年金の認定基準」に基づく審査を受ける必要があります。 【障害年金の認定基準】
- 1級:身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
- 2級:身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
- 3級:身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
なお、令和7年度の障害年金の支給額は以下の通りとなっています。(出典:小川早苗社会保険労務士事務所)
月額 | 年額 | 前年度の年額 | |
障害基礎年金1級 | 86,635円 | 1,039,625円 | 1,020,000円 |
障害基礎年金2級 | 69,308円 | 831,700円 | 816,000円 |
障害厚生年金 3級(最低保障) | 51,983円 | 623,800円 | 612,000円 |
子の加算1人目(障害基礎年金に加算) | 19,941円 | 239,300円 | 234,800円 |
子の加算2人目(障害基礎年金に加算 | 19,941円 | 239,300円 | 234,800円 |
子の加算3人目(障害基礎年金に加算 | 6,650円 | 79,800円 | 78,300円 |
配偶者 加給年金(障害厚生年金に加算) | 19,941円 | 239,300円 | 234,800円 |
障害年金生活者支援給付金1級 | 6,813円 | 81,756円 | 79,656円 |
障害年金生活者支援給付金2級 | 5,450円 | 65,400円 | 63,720円 |
上記の内容は毎年見直しが実施されているため、最新の情報は日本年金機構の公式サイトを確認しましょう。 出典:三重県・障害年金申請サポート
関節リウマチによって障害基礎年金2級を受給できた事例

関節リウマチによって指が自由に動かせないことによって、障害基礎年金2級を受給対象となった50代女性の事例です。 本事例の女性は、関節の痛みや指のこわばりを感じて病院を受診し、投薬治療とリハビリを続けていました。しかし症状が改善せず、次第に通院をやめてしまいました。 その後、症状が悪化して歩行にも困難を抱えるようになり、日常生活に大きな支障が出ました。こうした状況を踏まえて障害年金を申請した結果、障害基礎年金2級に認定され、年額136万円を受給することができました。 出典:千葉障害年金相談センター
指が曲がらない症状が仕事に与える影響

指が自由に動かない状態になると、日常生活だけでなく仕事にも大きな影響が出ることがあります。 【影響が出やすい仕事の例】
- デスクワークや軽作業 パソコン操作が難しくなる、細かい手作業(資料整理・組立作業など)が困難になる
- 工場や現場での仕事 重い荷物を持てない、バランスを取って物を運べないなどで安全面にリスクが生じる
- 接客業(飲食店など) 運搬やレジ操作など、手指を使う作業に支障が出て就労が難しくなる
【働き続けるためのポイント】 一方で、職場に障害への理解があり、自分のペースで業務を進められる環境であれば、就労を続けることは十分可能です。 転職や就職を考える場合は、
- 職種や仕事内容
- 障害者雇用の実績があるかどうか
を確認し、無理なく働ける職場を選ぶことが大切です。
指が曲がらない症状のある人におすすめの求人

みずほフィナンシャルグループ
【求人情報】
- 職種:オープンポジション(障害者枠)
- 雇用形態:正社員/契約社員
- 業務内容:金融関係事務・営業・企画・マーケティング・人事・総務・経理・広報・法務・情報システム・DX推進など、社内の様々なポジションで希望と適正に応じて配属。配属部署にて業務内容が決定
- 給与・年収:2,940,000円~6,000,000円
- 勤務地:東京本社・在宅勤務
- 応募資格:各ポジションでの条件を満たす
こちらはみずほフィナンシャルグループが募集している、オープンポジションの求人です。 オープンポジションのため、それまでの業務経験や保有スキル、障害の内容によって適切なポジションに配属されます。適切な配慮を受けながらの就労や、業務内容の調整を受けることができるため、指の症状に悩んでいる人でも安心して就労できます。 また在宅勤務ができるという点も大きなメリットの1つです。 株式会社みずほフィナンシャルグループの求人については、こちらからご覧ください。
LAVA International
【求人情報】
- 職種:Webデザイナー(障害者枠)
- 雇用形態:正社員
- 業務内容:メインビジュアル、バナー、ランディングページなど、社内で発生するWebデザイン業務全般
- 給与・年収:5,040,000円~6,020,000円
- 勤務地:東京本社
- 応募資格 ・Webデザインの実務経験が3年以上ある方 ・プロダクション、もしくはインハウスでの制作経験がある方 ・Adobe Photoshop、XD、Illustratorなどデザインツールの使用経験
こちらは株式会社LAVA Internationalが募集しているWebデザイナーの求人です。 社内で発生する様々なWebデザイン業務を担当することができ、Webデザイナーとしてのキャリアアップを目指している人に特におすすめの求人です。 応募条件は3年以上の実務経験が求められていますが、その分、給与水準も高く、Webデザイナーとして豊富な経験がある人には非常におすすめです。 株式会社LAVA Internationalの求人は、こちらからご覧ください。
LINEヤフー
【求人情報】
- 職種:事務職(障害者枠)
- 雇用形態:正社員
- 業務内容:管理部門での事務業務(障害特性に応じて決定)
- 給与・年収:2,850,000円~4,150,000円
- 勤務地:完全在宅
- 応募資格:基本的なPC操作・事務スキル(Word、Excel、メール、チャットツール等)
こちらはLINEヤフー株式会社が募集している、事務ポジションの求人です。 人事部など管理部門での事務を担い、障害特性に合った業務を担当します。そのため、無理のない業務を担当でき、心身への負担を軽減しながら働くことができます。 また、完全在宅勤務が可能なため、指以外の関節にも症状が出ている場合など、通勤に負担を感じる人にもおすすめの求人です。 LINEヤフー株式会社の求人はこちらからご覧ください。
指が曲がらない症状のある人の就職/転職には転職エージェントがおすすめ

指が曲がらない症状によって障害者手帳を取得した人が転職や就職を希望する場合は、障害者雇用専門の転職エージェントの活用がおすすめです。 転職エージェントでは、症状に応じて就業可能な求人の紹介を受けることができ、転職/就職活動全般のサポートを無料で受けることができます。そのため、一人で転職活動や/就職活動をするよりも、効率的に内定獲得を目指すことができます。 【転職エージェントの支援内容】
- 就職や転職におけるキャリアカウンセリング
- 求人の紹介
- 面接の練習
- 選考書類の作成サポート
- 就職や転職後の定着支援
求人の紹介では、個人の障害内容や希望に合わせた求人の紹介を受けることができます。場合によっては採用市場には出回らない高待遇の非公開求人を紹介してもらえることもあるため、転職先や就職先の選択肢が広がります。 また、障害者雇用専門のキャリアアドバイザーから、選考を通過するためのノウハウやアドバイスを随時もらうことができるため、希望する企業への内定確率を高めることができます。 障害者専門のエージェントである障害者雇用バンクは、キャリアアップ重視のハイクラス求人と、例子会社などの応募ハードルが低い求人、どちらのタイプの求人も多数保有しているため、希望に沿った求人の紹介を受けることができます。 障害者枠で選考を受ける場合、障害者雇用バンクのサポートを受けることで、
- 障害を持った人の入社実績が豊富な企業を優先して紹介してくれる
- 企業側へどのように伝えると好印象を与えられるかを教えてくれる
- 面接後にキャリアアドバイザーからあなたの良さを企業側にプッシュしてくれる
など、希望するキャリアを実現するための徹底した就業サポートを受けることができます。 障害者雇用バンクの転職サポート・就職サポートは、すべて無料でご利用いただけますので、転職/就職を検討している方は、ぜひこちらより会員登録をしてみてください。
日本最大級の障害者向け求人サイト
「障害者雇用バンク」

数多くある障害者の転職サイトのなかでも、日本最大級の障害者向け求人情報を提供する「障害者雇用バンク」は業界初「人材紹介の求人情報データベースとハローワークの求人データベースの両方の情報の提供」障害者の転職をトータルで支援します。
より積極的に募集される障害者求人情報と、公的機関であるハローワークの求人情報を一つのサイトでまとめて検索することができるだけでなく、カウンセラーとのWeb面談などのサービスも。在宅のままスマートフォン1台で、自分に合った仕事探しが可能です。
無料登録は3分程度で手軽にできるので、まずは登録するところから始めてみてはいかがでしょうか?