肝硬変で障害者手帳を取得すると何級?等級の基準や手帳の取得手順を解説

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肝臓の細胞が長期的なダメージにより繊維化・硬化し、肝機能が低下してしまう病気である肝硬変。

本記事では、肝硬変による障害者手帳の取得について、等級分類や取得の手順について、具体例を挙げながら解説します。

肝硬変とは

まずは肝硬変について、具体的に解説します。

肝硬変の概要

肝硬変とは、肝臓の細胞が長期的なダメージにより繊維化・硬化し、肝機能が低下してしまう病気です。肝臓は本来、再生能力の高い臓器ですが、炎症や損傷が長く続くことで修復が追いつかなくなり、組織が硬く変化していきます。

肝硬変は、病状によって以下の2つに分類されます。

・代償性肝硬変:
肝機能がある程度保たれており、自覚症状がほとんどない状態。

・非代償性肝硬変:
肝機能が著しく低下し、日常生活に支障をきたす状態。黄疸や腹水、肝性脳症などの症状が現れる。

放置すると肝不全や肝がんに進行する恐れもあるため、早期発見と治療が重要です。

出典:MYmedicalclinic

肝硬変の原因

肝硬変は以下のような原因で発症することが多いです。

これらの原因により肝臓に慢性的な炎症が起こり、組織が傷つき修復を繰り返す中で線維化が進行し、最終的に肝硬変へと至ります。原因を特定し早期に治療することが、進行を防ぐ鍵となります。

出典:MYmedicalclinic日本肝臓学会

肝硬変の症状

肝硬変の症状は、進行段階や発症部位によって異なります。以下に段階ごとに整理して解説します。

【初期症状(代償性)】

【進行後の症状(非代償性)】

【皮膚に現れる症状】

【重篤な合併症】

肝硬変は「沈黙の臓器」とも呼ばれる肝臓に関する病気のため、症状が現れたときにはすでに進行していることも多いです。

健康診断での肝機能異常の指摘や、体の異変に早めに気づくことが大切です。

出典:MYmedicalclinic

肝硬変の治療法

肝硬変の治療は、原因の除去と進行の抑制、合併症の予防を目的に行われます。進行度や病態に応じて治療法が異なります。

【薬物療法】

【食事療法】

【生活習慣の見直し】

【手術・移植治療】

内科的治療で効果が得られない場合や、重度の非代償性肝硬変では、肝移植が検討されます。

出典:MYmedicalclinic

肝硬変の病状によって、障害等級は変わる

肝硬変が進行し、日常生活に大きな支障をきたす状態になると、身体障害者手帳(肝臓機能障害)を取得できる可能性があります。

【肝臓機能障害等級表(身体障害者福祉法に基づく)】

出典:厚生労働省

上記の等級を判断する際には、医療的な評価指標として、肝機能障害の重症度を評価する「Child-Pugh分類」という指標が参考に使われます。

Child-Pugh分類とは、肝臓の重症度を評価する国際的な基準のことで、肝機能に関わる下記の5つの項目について、それぞれ1~3点(腹水と肝性脳症は2~3点)で分類されます。

【Child-Pugh分類の評価項目】

【各等級に対応するChild-Pugh分類】

障害者手帳1級に対応する判定条件

(1)Child-Pugh 分類(注)の合計点数が7点以上であって、肝性脳症、腹水、血清アルブミン値、プロトロンビン時間、血清総ビリルビン値の項目のうち肝性脳症又は腹水の項目を含む3項目以上が2点以上の状態が、90 日以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続くもの。

次の項目(a~j)のうち、5項目以上が認められるもの。

障害者手帳2級に対応する判定条件

(1) Child-Pugh 分類(注)の合計点数が7点以上であって、肝性脳症、腹水、血清アルブミン値、プロトロンビン時間、血清総ビリルビン値の項目のうち肝性脳症又は腹水の項目を含む3項目以上が2点以上の状態が、90日以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続くもの。

(2) 前述の項目(a~j)のうち、aからgまでの1つを含む3項目以上が認められるもの。

障害者手帳3級に対応する判定条件

(1) Child-Pugh 分類(注)の合計点数が7点以上の状態が、90日以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続くもの。

(2) 前述の項目(a~j)のうち、aからgまでの1つを含む3項目以上が認められるもの。

障害者手帳4級に対応する判定条件

(1) Child-Pugh 分類(注)の合計点数が7点以上の状態が、90 日以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続くもの。

(2) 前述の項目(a~j)のうち、1項目以上が認められるもの。

出典:山形県

障害者手帳を取得する手順

障害者手帳の申請には、主治医が作成した診断書が必要です。申請に必要な書類は、役所の福祉課で受け取る、もしくはオンラインでダウンロードできる場合もあります。

申請時には、診断書のほかに以下の書類も必要です。

※準備物は区市町村によって異なるケースがあるため事前に市区町村の福祉課に確認するようにしましょう

<障害者手帳の取得手順>

STEP.1:主治医に相談
症状がある程度固定されたと判断されたタイミングで、主治医に申請用の診断書を作成してもらいます。

STEP.2:役所に必要書類を提出して申請
診断書・意見書を受け取ったら、役所の福祉課に申請書類とともに提出します。

STEP.3:審査機関による審査
役所が申請書類を受理した後、申請書類をもとに専門機関で障害の程度について審査が行われます。

STEP.4:手帳の発行と交付通知
審査が完了すると、役所から交付の通知が届きます。その後、役所で障害者手帳を受け取ります。

主治医への相談から手帳が手元に届くまで、一般的には2〜3か月ほどかかります。ただし、診断書作成の期間や審査の混雑状況によっては、3か月以上かかることもあるため、取得を希望する場合は早めに行動するようにしましょう。

出典:多摩市日野市

肝硬変の人が障害者手帳を取得するメリット

続いて、肝硬変の人が障害者手帳を取得するメリットを解説します。

障害者枠での就労が可能になる

障害者手帳を取得すると、障害者枠での就労が可能になります。

障害者枠での採用となると、業務内容や勤務時間の調整など、障害に対する合理的配慮を受けながら働けるようになるため、就労による心身への負担を軽減できます。

<受けられる配慮の例>

また、障害者枠は一般枠とは採用枠が異なり、障害者を採用することを前提としています。そのため、障害を持っていることが、選考において不利に働くことがなく、一般枠での選考に参加するより採用される確率が高くなるというメリットもあります。

生活の支援が受けられる

障害者手帳を取得することで、日常生活に関する支援を受けられる場合があります。

【生活支援の例】

なお、支援の内容や対象等級は自治体によって異なるため、詳細は市区町村の福祉課で確認するようにしましょう。

出典:川崎市

障害者手帳を取得することで、助成金や交通機関の割引など、様々な金銭的な支援を受けることができます。

【医療助成金・税金の控除の例】

出典:川崎市厚生労働省国税庁

【対象となる利用料の割引・免除の例】

助成制度や税控除の対象等級は自治体ごとに異なるため、申請前に自治体の福祉課で確認するようにしましょう。

また、肝硬変の症状によって就労ができないなど、社会生活に大きな影響が出ている場合、障害年金を受給できる可能性があります。

障害年金の受給は、障害者手帳の認定基準とは異なる「障害年金の認定基準」に基づく審査を受ける必要があります。

【障害年金の認定基準】

なお、令和7年度の障害年金の支給額は以下の通りとなっています。

月額 年額 前年度の年額
障害基礎年金1級 86,635円 1,039,625円 1,020,000円
障害基礎年金2級 69,308円 831,700円 816,000円
障害厚生年金 3級(最低保障) 51,983円 623,800円 612,000円
子の加算1人目(障害基礎年金に加算) 19,941円 239,300円 234,800円
子の加算2人目(障害基礎年金に加算 19,941円 239,300円 234,800円
子の加算3人目(障害基礎年金に加算 6,650円 79,800円 78,300円
配偶者 加給年金(障害厚生年金に加算) 19,941円 239,300円 234,800円
障害年金生活者支援給付金1級 6,813円 81,756円 79,656円
障害年金生活者支援給付金2級 5,450円 65,400円 63,720円

出典:小川早苗社会保険労務士事務所

上記の内容は毎年見直しが実施されているため、最新の情報は日本年金機構の公式サイトを確認しましょう。

出典:三重県・障害年金申請サポート

肝硬変で障害厚生年金2級を受給できた事例

肝硬変により、障害厚生年金2級の受給対象となった50代男性の事例を紹介します。

本事例の男性は、50代に入った頃から会社の健康診断で肝臓の異常を指摘されていましたが、病院への受診を断っていました。しかし、状態が悪化したことで、疲れやすさや足のむくみ、腰の痛みなどの身体的な異常が出るようになり、当時従事していた肉体労働の業務を行うことができなくなっていきました。

その後、転職をしたタイミングで再度健康診断を受けることになり、肝臓の異常を再度指摘されました。そして病院で精密検査をしたところ、肝硬変と診断されました。腹水を取り除くための手術を受けましたが、全てを取り除くことができず、倦怠感や腰痛といった症状が残り、さらにふらつきにより歩行もままならない状態となりました。

これらの症状が出たことで就労が難しくなり、障害年金の申請を実施。障害厚生年金2級に認定されました。

出典:障害ねんきん.jp

肝硬変が仕事に与える影響

肝硬変は進行度によって、仕事への影響も大きく異なります。

■ 代償性肝硬変の場合

肝臓の機能が比較的保たれており、症状がほとんどないため、以下のような業務であれば問題なく就労可能です。

■ 非代償性肝硬変の場合

症状が進行し、日常生活や仕事への支障が出てきます。主な症状と影響は以下の通りです。

症状 仕事への影響例
強い倦怠感・疲れやすさ 長時間労働や立ち仕事が困難になる
腹水による腹部膨満感 体を曲げる・立つ・歩くなどの動作がつらくなる
肝性脳症(判断力・集中力の低下) ミスが許されない業務や危険作業が難しくなる
食欲不振・体力低下 肉体労働や移動の多い業務に耐えられなくなる
こむら返り・筋力低下 長時間の立ち仕事や歩行が困難になる

■ 就労の工夫・選択肢

進行した肝硬変でも、体調に合わせた働き方の工夫で就労を継続できるケースもあります。

肝硬変による影響は人によって異なるため、症状の程度や通院状況を職場に正しく伝えた上で、無理のない働き方を選ぶことが大切です。

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