自己免疫性肝炎で障害者手帳を取得するための条件・申請手順・メリットを解説

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肝障害を引き起こす慢性肝臓病であり、指定難病に該当する病気である自己免疫性肝炎。

本記事では、自己免疫性肝炎によって障害者手帳を取得できるかどうかについて、具体例を挙げながら解説します。

自己免疫性肝炎とは

まずは自己免疫性肝炎について、詳しく解説します。

自己免疫性肝炎の概要

自己免疫性肝炎は、本来外敵に反応するはずのリンパ球が、間違って肝細胞を自己免疫的に攻撃することで肝障害を起こす慢性肝臓病で、指定難病に該当します。

多くの場合は症状がゆっくり進行します。長く続くことで、肝硬変(かんこうへん)に進んだり、肝臓がん(肝細胞がん)を引き起こすこともあります。中には、突然症状が現れる「急性発症」のケースもあります。

また、慢性甲状腺炎や関節リウマチ、シェーグレン症候群など、他の自己免疫の病気と一緒に現れることもあります。さらに、「原発性胆汁性胆管炎(PBC)」という別の肝臓の病気と合併した場合は、「オーバーラップ症候群」と呼ばれます。

出典:恩寵財団済生会

自己免疫性肝炎の症状

症状が軽い場合や中程度のときには、自覚症状がまったくないことも多く、検査で初めて見つかるケースもあります。

ただし、急に発症したり、慢性的に続いていた病状が突然悪化したりすると、体のだるさ や食欲の低下などの不調が現れます。

さらに、肝硬変へと進行してしまうと、

といった、より重い症状が出てくることもあります。

出典:恩寵財団済生会

自己免疫性肝炎の治療法

自己免疫性肝炎の治療には、副腎皮質ステロイドという薬を使います。これは、免疫の働きを抑えることで、肝臓への攻撃を和らげる薬です。

症状が重いときは薬の量を多めに使いますが、病状が落ち着いてくれば徐々に薬の量を減らしていきます。

もしステロイドが効かない場合や、副作用のために使えない場合は、免疫を抑える他の薬に切り替えることもあります。

出典:恩寵財団済生会

症状によっては身体障害者手帳を取得できる

自己免疫性肝炎の人が障害者手帳を取得するための条件について、具体的に解説します。

肝臓機能障害の等級表

自己免疫性肝炎によって肝機能に重い障害がある場合、身体障害者手帳の交付対象となることがあります。

障害等級の判断は、厚生労働省が定める「肝臓機能障害等級表」に基づき、日常生活への制限の程度によって次のように分類されます。

【肝臓機能障害等級表(身体障害者福祉法に基づく)】

出典:厚生労働省

等級判断の指標「Child-Pugh分類」

上記の等級を判断する際には、医療的な評価指標として、肝機能障害の重症度を評価する「Child-Pugh分類」という指標が参考に使われます。

Child-Pugh分類とは、肝機能に関わる下記の5つの項目について、それぞれ1~3点(腹水と肝性脳症は2~3点)で分類されます。

【Child-Pugh分類の評価項目】

これらの合計数値が障害等級を判断する際に参考とされます。

【各等級に対応するChild-Pugh分類】

障害者手帳1級に対応する判定条件:
(1)Child-Pugh 分類(注)の合計点数が7点以上であって、肝性脳症、腹水、血清アルブミン値、プロトロンビン時間、血清総ビリルビン値の項目のうち肝性脳症又は腹水の項目を含む3項目以上が2点以上の状態が、90日以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続くもの。

(2)次の項目(a~j)のうち、5項目以上が認められるもの。

障害者手帳2級に対応する判定条件:
(1) Child-Pugh 分類(注)の合計点数が7点以上であって、肝性脳症、腹水、血清アルブミン値、プロトロンビン時間、血清総ビリルビン値の項目のうち肝性脳症又は腹水の項目を含む3項目以上が2点以上の状態が、90日以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続くもの。

(2) 前述の項目(a~j)のうち、aからgまでの1つを含む3項目以上が認められるもの。

障害者手帳3級に対応する判定条件:
(1) Child-Pugh 分類(注)の合計点数が7点以上の状態が、90日以上の間隔をおいた検査 において連続して2回以上続くもの。

(2) 前述の項目(a~j)のうち、aからgまでの1つを含む3項目以上が認められるもの。

障害者手帳4級に対応する判定条件:
(1) Child-Pugh 分類(注)の合計点数が7点以上の状態が、90日以上の間隔をおいた検査において連続して2回以上続くもの。

(2) 前述の項目(a~j)のうち、1項目以上が認められるもの。

出典:山形県(※本基準は厚生労働省が定めた全国共通の障害認定基準に基づき、都道府県で共通運用されています)

なお、上記は肝機能そのものの評価指標であり、直接的に「障害者手帳の等級(1級〜4級)」とリンクするわけではありません。

最終的な障害等級は、「生活への影響(等級表)」と「医学的所見(Child-Pugh分類など)」の両方を総合的に判断して決定されます。

出典:厚生労働省

障害者手帳を取得する手順

障害者手帳の申請には、主治医が作成した診断書が必要です。申請に必要な書類は、役所の福祉課で受け取る、もしくはオンラインでダウンロードできる場合もあります。

申請時には、診断書のほかに以下の書類も必要です。

※準備物は区市町村によって異なるケースがあるため事前に市区町村の福祉課に確認するようにしましょう

<障害者手帳の取得手順>

STEP.1:主治医に相談
症状がある程度固定されたと判断されたタイミングで、主治医に申請用の診断書を作成してもらいます。

STEP.2:役所に必要書類を提出して申請
診断書・意見書を受け取ったら、役所の福祉課に申請書類とともに提出します。

STEP.3:審査機関による審査
役所が申請書類を受理した後、申請書類をもとに専門機関で障害の程度について審査が行われます。

STEP.4:手帳の発行と交付通知
審査が完了すると、役所から交付の通知が届きます。その後、役所で障害者手帳を受け取ります。

主治医への相談から手帳が手元に届くまで、一般的には2〜3か月ほどかかります。ただし、診断書作成の期間や審査の混雑状況によっては、3か月以上かかることもあるため、取得を希望する場合は早めに行動するようにしましょう。

出典:多摩市日野市

自己免疫性肝炎の人が障害者手帳を取得するメリット

続いて、自己免疫性肝炎の人が障害者手帳を取得するメリットを解説します。

障害者枠での就労が可能になる

障害者手帳を取得すると、障害者枠での就労が可能になります。

障害者枠での採用となると、業務内容や勤務時間の調整など、障害に対する合理的配慮を受けながら働けるようになるため、就労による心身への負担を軽減できます。

また、障害者枠は一般枠とは採用枠が異なり、障害者を採用することを前提としています。そのため、障害を持っていることが、選考において不利に働くことがなく、一般枠での選考に参加するより採用される確率が高くなるというメリットもあります。

生活の支援が受けられる

障害者手帳を取得することで、日常生活に関する支援を受けられる場合があります。

【生活支援の例】

なお、支援の内容や対象等級は自治体によって異なるため、詳細は市区町村の福祉課で確認するようにしましょう。

出典:川崎市

金銭的な支援が受けられる

障害者手帳を取得することで、助成金や交通機関の割引など、様々な金銭的な支援を受けることができます。

【助成金・税金の控除の例】

出典:川崎市厚生労働省国税庁

【対象となる利用料の割引・免除の例】

助成制度や税控除の対象等級は自治体ごとに異なるため、申請前に自治体の福祉課で確認するようにしましょう。

また、潰瘍性大腸炎の症状によって就労ができないなど、社会生活に大きな影響が出ている場合、障害年金を受給できる可能性があります。

障害年金の受給は、障害者手帳の認定基準とは異なる「障害年金の認定基準」に基づく審査を受ける必要があります。

【障害年金の認定基準】

なお、令和7年度の障害年金の支給額は以下の通りとなっています。

月額 年額 前年度の年額
障害基礎年金1級 86,635円 1,039,625円 1,020,000円
障害基礎年金2級 69,308円 831,700円 816,000円
障害厚生年金 3級(最低保障) 51,983円 623,800円 612,000円
子の加算1人目(障害基礎年金に加算) 19,941円 239,300円 234,800円
子の加算2人目(障害基礎年金に加算 19,941円 239,300円 234,800円
子の加算3人目(障害基礎年金に加算 6,650円 79,800円 78,300円
配偶者 加給年金(障害厚生年金に加算) 19,941円 239,300円 234,800円
障害年金生活者支援給付金1級 6,813円 81,756円 79,656円
障害年金生活者支援給付金2級 5,450円 65,400円 63,720円

出典:小川早苗社会保険労務士事務所

上記の内容は毎年見直しが実施されているため、最新の情報は日本年金機構の公式サイトを確認しましょう。

出典:三重県・障害年金申請サポート

自己免疫性肝炎で障害厚生年金2級を受給できた事例

自己免疫性肝炎と皮膚筋炎により障害厚生年金2級の受給対象となった50代女性の事例を紹介します。

こちらの女性は、会社の健康診断で肝機能異常を指摘されて、自己免疫性肝炎と診断されました。

さらに皮膚筋炎を併発していたことにより、手足や腰の痛みが続き、さらに体力や筋力が著しく低下したことで車椅子が必要になりました。

職場の復帰は困難な状況となり、社会生活に大きな影響が出ていることで障害年金を申請。結果的に障害厚生年金2級に認定され、約142万円の障害年金を受給できることになりました。

出典:愛知障害年金相談センター

自己免疫性肝炎が仕事に与える影響

自己免疫性肝炎を発症したとしても、軽症から中等症までの場合は明確な自覚症状がないことが大半であるため、その時点では基本的に仕事への影響は少ないと考えられます。

しかし病状が進行すると、徐々にだるさや食欲低下といった身体的な症状が発生します。

その場合、現場仕事や工場勤務のように身体的に負担の大きい仕事は、避けることが推奨されます。

また、デスクワークであっても、体力の低下によってフルタイムでの勤務ができなくなってしまう可能性もあります。

一方で、症状の程度や体調に応じて働き方を見直したり、体への負担が少ない職種に就くことで、無理なく仕事を続けることも十分に可能です。

在宅勤務や短時間勤務、障害者雇用枠の活用などを検討することで、体調と両立した働き方を実現している方も多くいます。

以下では、潰瘍性大腸炎の人におすすめの求人を紹介します。

※症状の程度や治療内容によって働き方の調整が必要な場合もあるため、主治医と相談しながら無理のない働き方を検討しましょう

自己免疫性肝炎を発症した人におすすめの求人

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自己免疫性肝炎の人に向いてる仕事については、こちらの記事「自己免疫性肝炎の人に向いてる仕事・おすすめの求人3選」でも詳しく解説しています。

自己免疫性肝炎の人の転職/就職には転職エージェントがおすすめ

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