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【事例つき】身体障害者が自分に合う求人を探す方法や向いている仕事、得られる支援を解説

障害者の雇用率が義務化されてから、約45年。最初は身体障害者だけですが、知的障害者、精神障害者が追加されていったことによって、徐々に障害者の雇用率も上がってきています。

しかし、いまだに法定雇用率を達成できていない企業も多くいるのは皆さんもご存じでしょう。その状況を改善するため、2021年3月1日から法定雇用率が0.1%ずつ引き上げされました。障害者の皆さんにとっては自分に合う求人を探す機会が増える良いニュースといえます。

本記事では障害者の方の中でも身体障害を持つ方を対象に、どこで求人を探せば良いのか、向いている仕事はどう見つければいいのか、身体障害者が得られる支援などをご紹介します。

これから、自分にフィットする仕事を探すヒントにしていただければ幸いです。

■身体障害者の方が働きやすい環境

身体障害者は視覚・聴覚・言語/音声/そしゃく機能障害・肢体不自由・内部障害など、大きく分けると5つの障害があります。身体障害と一口にいっても障害の内容や程度が異なるため、個々人に応じて、働きやすいと感じる環境の条件は変わってきます。

視覚や聴覚障害なら、視覚や聴覚を補う設備が整っている場所。
そしゃく機能障害であれば、胃ろうカテーテルに栄養剤を注入しながら、あるいは経管栄養のチューブをつないで働ける自宅勤務が可能な職場、また消毒などにかかる時間や定期的に必要なカテーテル交換のための通院に対する理解がある環境が必要です。
肢体不自由であれば、車椅子や補助具をつけている状態でも移動しやすい職場。
内部障害の腎臓機能障害がある方は透析に通いながら働ける環境。呼吸器機能障害であれば、酸素吸入をしながら自宅で働ける環境。

上記のように、障害の内容や程度によって働きやすい環境が異なります。

■身体障害者が多く就労している産業一覧

厚生労働省の「平成30年度障害者雇用実態調査結果」によれば、身体障害者が就労している産業は下記のような順位です。

①卸売業・小売業…23.1%
②製造業…19.9%
③医療・福祉業…16.3%
④サービス業…14.6%
⑤運輸業・郵便業…7.9%

卸売業・小売業の場合、例えばECサイトを運営していてその物品伝票のチェックをする事務仕事。製造業であれば聴覚障害者の方が目でチェックし、光などで指示内容を伝える設備が整っていることが想定されます。これらの産業では身体障害者が働きやすい環境が整っているため、身体障害者の就労先としてトップに来ていると考えられます。

その他の順位については下記のような結果になっています。

◯雇用形態

①無期契約の正社員…49.3%
②有期契約の正社員以外…27.2%
③無期契約の正社員以外…19.9%
④有期契約の正社員…3.2%
⑤無回答…0.4%

◯労働時間(週の所定労働時間)

 ①通常(30時間以上)…79.8%
 ②20時間以上30時間未満…16.4%
 ③20時間未満…3.4%

◯平均賃金

身体障害者の1ヶ月の平均賃金は21万5000円(超過勤務手当を除く所定内給与額は20万4000円)。週の所定労働時間別に見ると下記のような結果となっています。

 ①通常(30時間以上)…24万8000円
 ②20時間以上30時間未満…8万6000円
 ③20時間未満…6万7000円

◯平均勤続年数

身体障害者の平均勤続年数は10年2ヶ月(身体障害者の定義を平成 25 年度調査に合わせた場合でも、同様の結果が推計される)となっています。知的障害者の平均勤続年数は7年5ヶ月、精神障害者は3年2ヶ月、発達障害者は3年4ヶ月となっており、比べると身体障害者が一番長い平均勤続年数という結果が出ています。

出典:厚生労働省ホームページ「平成30年度障害者雇用実態調査結果」(PDF)

■【事例つき】身体障害者の方に向いている仕事

では、身体障害者の方に向いている仕事にはどのようなものがあるのでしょうか。

厚生労働省の「平成30年度障害者雇用実態調査結果」では、下記のような結果となっています。
①事務的職業…32.7%
②生産工程の職業…20.4%
③専門的・技術的職業…13.4%
④サービスの職業…10.3%

身体障害の場合は体に負担が大きくかかる仕事の遂行が難しいため、あまり体を動かずに仕事ができる事務的職業や、生産工程で確認を行う仕事、専門的・技術的職業、サービスの職業などで力を発揮している傾向が見られます。

事例紹介①:事務職

脚に障害があるAさん。車椅子のまま座位で作業ができる職場で電話応対・伝票処理・書類作成などの事務作業を行っています。車椅子の高さに合わせた机があるため、タイピングもしやすく、肩こりなども起こりにくいこと。移動の際にも椅子から車椅子に乗り換えるなどの手間がないことで、他の人の手を借りる必要もなく快適に仕事ができています。
ただ、トイレや給湯所が若干狭く、車椅子で移動しにくいという点は大変さがあります。今後バリアフリーになることを期待しながら、勤務を続けています。

事例紹介②:生産工程の職業

車の生産工場で生産している製品の異常がないかをチェック業務を行うBさんは聴覚障害があります。目視で異常をチェックできる工程を任され、異常があった場合はボタンを押してチームリーダーに報告。
Bさんや他の聴覚障害を持つ社員に危険がないよう、光で機械の作動状況を知らせるシステムが完備されており、機械に接触するなどの事故を防いでいます。
聴覚に障害があり、会話でのコミュニケーションが難しいという苦労はありますが、筆談をする、手話をチームメンバーが覚えるなどに取り組んでくれるため、徐々にコミュニケーションの円滑度合いが増してきています。

事例紹介③:専門的・技術職

化学メーカーで研究者として勤務するCさんは、膀胱機能障害があります。人工膀胱を保有しているため、日に何度か人工膀胱のパウチの洗浄、腹部の洗浄、着替えなどのできる場所や時間を要します。勤務するメーカーにはオストメイト対応のトイレがあるので、他の人に気兼ねなくトイレに行くことができます。
同じ部署の方はCさんに障害があることを知っていますが、外見上人工膀胱であることはわからないため、他部署の方とすれ違うときには毎度オストメイト対応トイレに行っていることを不思議に感じられているのではと少し気になってしまうのが勤務において大変なところです。

事例紹介④:サービス業

ソフトウェア企業でエンジニアとして働くDさんは、脳卒中の影響で現在そしゃく機能障害を持っています。嚥下機能の回復をするために口からの栄養摂取の訓練もしつつ、胃ろうカテーテルに直接栄養剤を注入しながら勤務する必要があるため、自宅での勤務を認められています。
社内とのコミュニケーションがオンラインのみになってしまうことは、大変ですが、自分の能力を活かしながら働けるこの企業での勤務にやりがいを感じています。

出典:厚生労働省ホームページ「平成30年度障害者雇用実態調査結果」(PDF)

それぞれの産業で代表的な企業であれば、障害者採用のページが充実していることも多いです。採用ページを見て、同じ障害を持つ方がどのような仕事をしているかを知っておくのも、自分に合う求人を探すのに役立つでしょう。

■身体障害者の方が求人探しで得られる支援

では実際身体障害者の方が求人を探すときに、得られる支援としてどのようなものがあるのか、ご紹介します。

◯ハローワーク

まずは健常者と同様に、ハローワークで求人を探す支援を受けられます。専門の窓口として専門援助部門がありますので、そちらに訪れて相談をしてみてください。障害者雇用枠・障害者対象の就職を支援してくれます。

◯地域障害者職業センター

独立行政法人の地域障害者職業センターでは、就職支援・相談以外に、職場適応援助者(ジョブコーチ)を事業所に派遣し、障害者が職場に適応できるように、事業主と障害者に対して援助を行うサポートも受けられます。
他にも障害者向けの職業訓練校の情報提供、就労支援カリキュラムなども実施されています。

◯障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは障害者の雇用促進と安定を図ることを目的として、全国に336箇所設置されています(令和3年4月1日時点)。
ハローワークや地域障害者職業センター、福祉事務所、就労移行支援事業者などと連動しながら就職支援や斡旋、事業所に対する助言、生活面での支援を行っています。

◯就労移行支援事業所

障害者総合支援法に基づいて運営されている福祉事業所で、職業訓練や就職活動の支援、定着のサポートなどを行っています。各自治体のホームページなどで紹介されているため、お住まいの地域と就労移行支援で検索をすれば、事業所一覧が出てきます。

◯障害者向けの転職エージェントサービス

障害者向けの転職エージェントは多数存在します。障害者専門に行っているところとそうでないところがありますが、障害者専門で行っている、あるいは他サービスも行っているけれど障害者対象の転職エージェントを持っているところを選ぶのがおすすめです。

なぜなら、障害に関する知識が深いエージェントでないと、障害を抱えながら仕事をする大変さや勤務継続がしやすい会社設備などを理解してもらえない可能性もあるからです。

また、転職エージェントサービスを利用すれば、自分の知り合い以外の身体障害を持つ方がどんな風に転職を成功させたのか、自分の持つスキルではどういった企業に転職が可能なのか、障害者転職市場の動向など、さまざまな情報を効率良く仕入れられます。

■障害者専門の転職エージェントを4つご紹介!

では、障害者専門に転職エージェント業務を行っている事業者を4つご紹介します。

・障害者雇用バンク

障害者向けの求人情報の提供、エージェントの紹介、就職転職サポート、就労移行支援・施設の紹介など、障害者の就職・転職にまつわる領域を幅広く手掛けています。

大手転職エージェントと多数提携しており、多くの求人の中からマッチする案件を見つけることも可能です。就職・転職サポートサービスでは、一般の求人情報だけでなく、ハローワーク求人の閲覧も同時にできます。また、障害者雇用バンクに登録をすればスマホでWeb面談機能の利用も可能です。(事前に登録時の必須項目・写真の登録他、基本情報を入力する必要あり)

求人情報の提供やエージェントとの提携だけでなく、就労移行支援や就労継続支援を行う事業所の紹介も行っているため、障害を持つ方が抱える課題を一気に解決できるというメリットがあります。

・ランスタッド

あらゆる分野の派遣や紹介を行う、人材総合サービス企業です。専門サービスとして障害者(チャレンジド)の転職支援サービスを行っています。障害の種別に合わせた対応を行っているため、それに合わせた仕事紹介をしてくれる期待が持てるでしょう。

・dodaチャレンジ

中途人材のための転職サイトや転職エージェントサービス、新卒向けのダイレクトリクルーティングサービス、就職エージェントなどの事業を行っています。こちらも障害者の転職に特化した、専門のエージェントサービスです。

・atGP

社会問題の解決を自社の存在意義としている会社で、障害者専門の転職支援サービスや求人検索・スカウトサービス、障害者アスリート向けの求人。就職支援サービス他、就労移行支援サービスを行っています。

■まとめ

身体障害者が自分に合う求人を探す方法や向いている仕事、得られる支援をまとめて解説しました。身体障害者の方が自分に合う求人を探すには、どんな仕事があるのか、似たような障害を持つ方がどんな転職をしたのか、どういった支援があれば転職成功できそうかなどの情報を仕入れることが重要です。

今は、2021年3月1日から法定雇用率が引き上げられたことによって、企業側も前向きに採用活動を行っている時期です。

ハローワーク・地域障害者職業センター・障害者就業・生活支援センター・障害者向けの転職エージェントなど、求人を探すにもさまざまな支援があります。どんな情報が手に入れられるのか、問い合わせや登録をしてみて、自分に合った求人を見つけてみてください。

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