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障害者雇用での働き方とは?制度の基礎知識をわかりやすく解説!

障害の有無で判断されるのではなく、希望するすべての人が能力・適性にあった職業に就く機会がある社会をつくるために「障害者雇用」のルールがあります。
障害者雇用と一般の雇用の違い、障害者雇用の対象となる障害者手帳の取得方法といった基本的な知識から、実際の働き方がわかる統計データ、障害者雇用の求人を探す方法まで、障害者雇用に関する基本的な知識をわかりやすく解説します!

障害者雇用とは「障害者雇用促進法で定められた特別な雇用枠」

障害者雇用とは、障害者雇用促進法(正式名称:障害者の雇用の促進等に関する法律)で定められた特別な雇用枠での就業のことです。

この「特別な雇用枠」は以下のように、企業・団体の規模や種類に応じて障害者を雇用する割合を定めるものです。この割合のことを「障害者雇用率」または「法定雇用率」と言います。障害者雇用率は過去数回法改正によって引き上げられており、直近の改正は2021年3月1日より施行されました。

民間企業(常用労働者数43.5人以上)……2.3% 国・地方公共団体・独立行政法人など特殊法人(常用労働者数40.0人以上)……2.6% 都道府県などの教育委員会(常用労働者数42.0人以上)……2.5%

つまり、およそ常用雇用者40人~43.5人に一人、障害者を雇用する義務が定められていることになります。雇用義務を履行しない事業主に対しては、行政指導を行うほか、常用労働者100人以上で障害者雇用率未達成の企業からは障害者雇用納付金が徴収されます。

障害者雇用率の成り立ちと背景

この障害者雇用率は、1976年に現在の障害者雇用促進安定法のもととなった「身体障害者雇用促進法」で設けられました。当時の障害者雇用の大きな目的として、戦後の傷痍兵の雇用対策からスタートしたため、当初は身体障害者のみが対象でした。その後、法改正を経て知的障害、精神障害者が算定基準に追加され、障害者雇用率も現在の水準まで徐々に引き上げられてきたのです。

障害者雇用の対象者は「身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所有者」

「障害者雇用率」の算出の対象になる障害者は、いわゆる「障害者手帳」の所有者です。 障害者手帳は、障害の種類によって3種類に分かれており、住民票がある市区町村のそれぞれの担当窓口を通じて発行されます。

身体障害者手帳(身体障害者)……身体機能に一定以上の障害があると認められた方 療育手帳(知的障害者)……児童相談所または知的障害者更生相談所で判定された方 精神障害者保健福祉手帳(精神障害者)……精神障害の状態が一定程度と認定された方

なお、この療育手帳の名称は各市区町村で異なる場合があります。 例えば、東京都では療育手帳を「愛の手帳(東京都療育手帳)」と呼称します。

障害者手帳の取得方法

3種類いずれの手帳も、障害者本人や保護者が申請し、認定・交付されるものです。例として、発作を繰り返す脳の病気である「てんかん」患者と医療機関に診断されたとしても、自動的に精神障碍者保健福祉手帳が発行されるわけではありません。診断を受けて自ら申請し、長期にわたり日常生活・社会生活に支障をきたすことが認められてはじめて交付されます。

それぞれの手帳の対象者・交付者・申請方法について確認しましょう。 なお、申請の流れについては、市区町村によって届け出先の名称や発行までの期間など一部異なる場合があります。詳しくはお住まいの市区町村にお問い合わせください。

手帳の分類 身体障害者手帳 療育手帳
(愛の手帳、みどりの手帳など)
精神障害者保健福祉手帳
対象の障害 ・ 視覚
・ 聴覚又は平衡機能
・ 音声機能、言語機能又はそしゃく機能
・ 肢体不自由
・ 心臓、じん臓又は呼吸器の機能
・ ぼうこう又は直腸の機能
・ 小腸機能
・ ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能
・ 肝臓機能
児童相談所または知的障害者更生相談所で知的障害であると判定を受けた方
○重度(A)の基準
① 知能指数が概ね35以下で、次のいずれかに該当する
○食事、着脱衣、排便及び洗面等日常生活の介助を必要とする。
○異食、興奮などの問題行動を有する。
② 知能指数が概ね50以下で、盲、ろうあ、肢体不自由などがある
○それ以外(B)の基準
重度(A)以外
精神疾患(機能障害)の状態とそれに伴う生活・能力障害の状態の両面から総合的に判定された方
1級 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級 日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級 日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの
交付者 都道府県知事、指定都市市長又は中核市市長 都道府県知事又は指定都市市長 都道府県知事又は指定都市市長
申請の流れ(東京都の例) 1. 区の福祉事務所、町村の障害者福祉担当課申請用紙を受け取る
2. 身体障害者福祉法第15条指定医を受診し、診断書・意見書の交付を受ける
3. 診断書作成日から1年以内にマイナンバーがわかるもの、本人確認書類とともに申請書と診断書、本人写真(4×3cm)を区市町村窓口に提出
4. 審査結果まで通常1ヶ月程度
1. 心身障害者福祉センター及び多摩支所(18歳以上の知的障害者)、各児童相談所(18歳未満の知的障害児)の判定を電話で予約する
2. 心身障害者福祉センター及び多摩支所、もしくは各児童相談所から知事に交付申請を送付、センターもしくは児童相談所に手帳が交付され、申請者に届けられる
3. 審査結果まで通常1ヶ月程度
1. 精神科を受診する
2. 区市町村窓口で申請書と診断書の用紙を受け取る
3. 初診から6ヶ月以上が経過した場合、診断書を医師の交付を受ける
4. 診断書作成日から3ヶ月以内にマイナンバーがわかるもの、本人確認書類とともに申請書と診断書、本人写真(4×3cm)を区市町村窓口に提出
5. 審査結果まで2~2ヶ月半程度

参考: ・厚生労働省
「身体障害者手帳制度の概要」 / 「療育手帳制度の概要」 / 「精神障害者保健福祉手帳制度実施要領について」
・東京都福祉保健局
身体障害者手帳について
愛の手帳について
【都民の皆様へ】精神障害者保健福祉手帳の申請手続き

発達障害の方の障害者手帳取得

発達障害は、身体障害・知的障害・精神障害のように、個別に指定された障害者手帳はありません。2011年に改正された「障害者基本法」によって、精神障害に含まれるものと定義されました。そのため、発達障害を持つ方で、日常生活・社会生活に困難を抱えていると認められる場合、精神障害者保健福祉手帳を取得するケースがあります。

引用: 障害者基本法第二条「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある者」

この状態によって、障害等級を「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準」に沿って医師が判定します。

参考:精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について

また、知的障害を併せ持つ方が、療育手帳を取得することも可能です。しかし、発達障害者の手帳交付申請に関しては、知的障害と発達障害を合併していてわずかに知能指数が基準を超えている場合の対応など、全国で統一した基準が定められていないケースがあります。

そのため、障害手帳を発行する地方公共団体からは、発達障害者独自の手帳を創設すべきとの意見も多く出ています。今後の法改正含めた検討・推進が待たれます。

障害者手帳を持たない方にも就労支援あり

手帳を持たない障害者の方は、法定雇用率の算出には該当しません。しかし、就労のための支援がまったく受けられないわけではありません。

例えば、障害者雇用をしたときに、雇用主が国から受け取ることができる「障害者雇用に関する助成金」については、精神障害者保健福祉手帳を申請しない統合失調症、そううつ病、そう病、うつ病、てんかんの方も対象となります。
障害者を採用することで必要になる設備を準備したり、人員に余裕を持った配置を援助したりするための補助金があることで、障害者採用を後押ししようという措置です。

ほかにも、ハローワークや地域障害者職業センターなどの就労支援では「心身の障害があるために長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な方」と規定されており、本人の希望で利用可能です。

障害者雇用と一般雇用の違い

障害者手帳を持つ方が対象となる障害者雇用に対して、障がいの有無にかかわらない雇用を一般雇用と言います。

この違いは「応募資格としての障害者手帳の有無」です。障害者雇用が障害者手帳を所持している方だけを対象にしているのに対し、一般雇用には企業ごとの募集要件以外に対象を限定しません。

一般雇用の求人に障害者手帳を持つ方が応募することはもちろん可能です。

また、「障害者雇用での採用枠は、一般雇用と同じ仕事内容・業務時間にもかかわらず給与が低く抑えられている」などということはありません。

そもそも、すべての雇用・すべての事業主に対して「障害者であることを理由に、募集・採用・賃金・配置・昇進・降格・教育訓練などで差別すること」は禁止されています。これは、2016年4月から施行された改正障害者雇用促進法で定められているものです。国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」に批准するために改正されました。

障害者雇用に関する制度の大原則は、障害者が「一般労働者と同じ水準で常用雇用者となりうる機会を確保すること」です。手帳の有無にかかわらず、ダイバーシティ&インクルージョンな職場を目指すことは企業の社会的責任のひとつと言えるでしょう。

障害者雇用と一般雇用それぞれのメリット・デメリット

障害者手帳をお持ちの方は、障害者雇用と一般雇用、二つの方法のどちらも選ぶことができます。同じポイントが、それぞれのメリットにもなり、デメリットにもなります。重要な2つのポイントを確認しましょう。

障害を開示するか

障害者雇用での就労の最大のメリットは、会社が障害に対して配慮をすることを前提としているという点にあります。特に、初めての就労の方は具体的にどのような配慮が必要かイメージしにくいこともありますが、障害者採用の経験が多数ある企業であれば、あらかじめ環境が整っている可能性も高くなります。

実際に、障害者の職場定着率は障害者求人が最も高い傾向があります。特に、一般求人で障害について会社に開示せず就職した場合、就職直後~3ヶ月という短い期間に大幅に離職する傾向があると言われています。

参考:厚生労働省職業安定局「障害者雇用の現状等」

一方、デメリットは「職場の人には障害について知られたくない」というようなケースに対応が難しいことです。一般雇用で応募する場合、必ずしも障害があることを開示する必要はありません。障害のある方が不安なく配慮を求めることができる環境づくりは、今後も社会全体で取り組むべき課題です。

選択肢の範囲

障害者雇用での求人は、障害への配慮を行いやすい仕事内容で行われることが一般的です。そのため、希望によっては障害者雇用での採用が見つからないことがあります。また、障害者雇用が義務化されている規模の企業がそもそも少ないエリアでは障害者雇用の求人自体が少ない可能性も高くなります。一般雇用の場合、障害者雇用と比較して勤務地や職種、仕事内容の幅が広くなるという点が大きなメリットです。

障害者雇用での働き方がわかる調査資料

障害を持つ方が、どのような働き方で雇用されているのかを5年ごとに調査・公表する厚生労働省の資料があります。

直近の結果は2018年6月に実施された「平成30年度障害者雇用実態調査」です。(※次回は2023年実施予定)この調査で、初めて発達障害者についても対象に加えられたため、過去の数字と比較が難しい点がありますが、より参考になるデータとなっています。

このうち、特に気になる「正社員の割合と平均賃金」をピックアップして紹介します。

身体障害者:42万3000人(内、正社員52.5% 平均賃金21万5千円)
知的障害者:18万9000人(内、正社員19.8% 平均賃金11万7千円)
精神障害者:20万人(内、正社員25.5%、平均賃金12万5千円)
発達障害者:3万9000人(内、正社員22.7%、平均賃金12万7千円)

知的障害者・精神障害者・発達障害者の正社員率・平均賃金が低いことには「短時間勤務等勤務時間の配慮」をするうえで、所定労働時間があらかじめ少なく定められたケースが多いことが大きく影響しています。

どのような働き方を求めるか、どのような条件であれば無理なく仕事に取り組めるか、じっくりと検討しながら仕事探しを進める必要があります。

資料出所:厚生労働省「平成30年度障害者雇用実態調査の結果を公表します」

さまざまな障害者雇用の求人情報、集め方を知ろう

障害者雇用での求人情報を探すには、障害者雇用に関する支援窓口であるハローワークや就労移行支援事業所からの紹介を受ける方法のほかに、民間企業が運営する「就職・転職情報サイト」「転職エージェント」を利用する方法もあります。

公的なサービスと民間サービスの大きく違う点は、「有料で求人広告を出してでも、積極的に優秀な方と出会いたい」と考える大手企業・優良企業に出会える可能性が高くなることです。なかには「ハローワークには求人情報を掲出していない」というケースも多数あります。

その民間サービスのひとつ、障害者雇用バンクでは、地域密着で幅広く企業を探せるハローワークの求人情報と、積極的に採用を進める大手企業の求人情報を一つのサイトで検索できます。会員登録をされていなくても求人票の概要をチェックできますが、3分でカンタンにできる無料登録で、さらに詳しい求人内容の確認可能になります。

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