障害者が国家公務員として採用されるには?編集部が全力でリサーチしてみた
採用されれば、安定した待遇が保証される国家公務員。近年は障害者雇用にも力を入れており、全府省が2.5%の法定雇用率を達成しています。また中央省庁などでは精神障害者の雇用も進み、定着率も好調です。 当記事では、障害者が国家公務員になった際の働き方や、国家公務員になるために必要な準備についてお伝えします。
国家公務員ってどんな仕事?
「国家公務員」とは、国の行政機関で働く方々を指します。各府省ごとに業務は異なり、障害者雇用で募集対象となっているの仕事は、下記の通りです(一部、現在業務内容が公開されていない府省があるため、未記載としています)。
内閣府 【参照】
- 資料作成
- 語学やITスキルを生かした業務
- 障害者施策に関連する業務
- 迎賓館における業務
- 広報業務
公正引委員会 【参照】
- 出勤簿等の管理
- 郵便物の仕分け
- コピー機への用紙補充
- 会議資料のコピー
- データの入力
- 集計業務など
金融庁 【参照】
- 給与や旅費などの支払業務
- 会議設営と運営
- データ入力や集計
- 物品管理
- 郵送物仕分けや集配
出入国在留管理庁 【参照】
- データ入力作業(エクセル・ワード等)
- 出勤簿、休暇簿の管理
- 郵便物の仕分け
- 文書、図書の整理
- 各種資料の作成
- 事務用物品の管理
- データ入力作業(エクセル・ワード等)
公安調査庁 【参照】
- 旅費、謝金等の支払業務
- 出勤簿の管理
- 郵便物の仕分け
- 文書の受付
- 事務用物品の管理など
外務省 【参照】
- 入力、集計業務:会計データ入力、文書管理状況の入力、給与や手当等の計算など
- 庶務関係業務:出勤簿管理、旅費等の支払・出張手配、物品の補充など
- 資料作成業務:出張用ファイルの作成、資料用データの収集、文書のPDF化など
- 設営、軽作業:レセプション会場の設営、要人のエスコート、書類の仕分けや配布、郵便物集配など
- 補助業務:資料のコピー、ファイルの作成・管理、マスキング作業、宛名ラベルの印刷など
国税庁 【参照】
- 納税者サービス(納税者の電話や面接等による税務相談)
- 税務調査(納税申告書の内容について正誤の調査、確認)
- 管理運営、徴収(国税債権管理や未納税の税金を徴収)
文部科学省 【参照】
- パソコン(ワード、エクセル等)を用いた文書資料作成及び情報のデータ入力
農林水産省 【参照】
- 庶務(出勤簿や文書管理、旅費・謝金の支払業務、書類整理など)
- 入力・集計(業務統計等のデータ入力や集計など)
- 資料作成(印刷や配付、PDF化など)
水産庁 【参照】
- 職員の諸手当認定業務
- 職員の諸手当の事後確認業務
経済産業省 【参照】
- 一般事務(会計、庶務、文書管理等)
- 経済産業政策全般に関する政策立案
- 企業情報、業界動向の調査分析等に係る業務
特許庁 【参照】
- 庶務関係業務
- データ入力業務
- 特許庁独自の業務システムの開発等の業務
- 外国特許庁や海外のユーザー向けの情報発信等における翻訳関連業務
国土交通省 【参照】
- 一般書類作成
- データ作成、管理
- 庶務
観光庁 【参照】
- 観光行政に係る政策立案や予算要求、並びに諸外国、他省庁、地方自治体、その他関係機関との連絡や調整などの場における定型的な事務
運輸安全委員会 【参照】
応募者の障害特性等を適切に踏まえ、担当業務を調整・決定していく予定です。 仕事の種類としましては、運輸安全委員会の一般行政事務に従事していただきます。 具体的には書類作成、データ作成・管理、庶務などの業務を予定しています。
環境省 【参照】
- 紙資料の電子データ化
- 名刺の作成
- 議事録案の作成
防衛省 【参照】
- 紙資料の電子データ化
- 名刺の作成
- 議事録案の作成
- 人事管理の補助(人事記録の整備など)
- 人事システムのデータ入力作業や統計データの集計
- 文書管理や出勤簿・休暇簿の管理などの総務・庶務業務
会計検査院 【参照】
- 検査業務…書面・実地検査の実施、とりまとめ等
- 官房業務…官房各課における各種業務(例:総務、人事、会計、図書館、情報システム等)
- 庶務業務…書類の作成、授受、受付、書庫整理、電話対応等
国家公務員の業務内容は、事務作業が中心です。特別なスキルがなくとも、働くことができます。 ただし、内閣府など一部の機関に限っては、、語学スキルを活かせる募集も。省庁によって業務内容が異なるため、得意を活かせる仕事がないか、事前にチェックするようにしましょう。
受験資格は二つだけ!国家公務員の選考方法と試験概要について
国家公務員になるための選考には、3つの種類があります。
- 各府省の選考採用(常勤)
- 障害者選考試験(常勤)
- 各府省の選考採用(非常勤)
各府省が個別に行う障害者を対象とした常勤職員の採用。
人事院(人事行政の構成が確保されるよう、採用試験や研修等を実施している組織)が能力実証等の一部を統一的に行う障害者を対象とした選考試験。
各府省が個別に行う障害者を対象とした非常勤職員の採用。
「各府省の選考採用」はそれぞれ試験概要が異なるため、ぜひ下記のリンクを参照してみてください。(既に募集が終わっている場合があります。ご了承ください)
① 各府省の選考採用(常勤)
③各府省の選考採用(非常勤)
- 内閣府大臣官房人事課 【参照】
- 内閣府大臣官房会計課 【参照】
- 宮内庁 【参照】
- 国税庁 【参照】
- 文部科学省大臣官房人事課(期間業務職員・時間雇用職員) 【参照】
- 文部科学省科学技術・学術政策研究所 【参照】
- 気象庁 任期付職員 【参照】
- 環境省 大臣官房秘書課 【参照】
- 防衛省 【参照】
続いて、「障害者選考試験」の概要を説明していきます。3つの選考の中で、最も一度に多くの方を採用するのがこの障害者選考試験です。ちなみに、受験資格は2点のみ。
- 障害者手帳を保有している人。または都道府県知事が指定する医師による診断書・意見書がある人。
- 1960(昭和35)年4月2日から2002(平成14)年4月1日までに生まれていること
各府省の採用試験と比べると、比較的受験しやすい条件です。 国家公務員の試験は「高校卒」「大学卒」「大学院卒」「社会人(職務歴5年以上ある人)」に区分されます。これはあくまで試験のレベルを示すものであって、「人事院が同等の資格があると認めた者」も受験対象です。 試験は一次と二次があります。一次試験は、基礎知識を問われる選択式の筆記試験と作文問題が出題。全国の主要都市9か所で開催されるため、近場の会場で受験しましょう。二次試験は志望する省庁で個別面接を行います。試験対策は後述します。
国家公務員の労働条件とワークライフバランス
次に、障害者選考試験で合格した場合の労働条件を見ていきましょう。人事院によると、勤務時間は一日7時間45分で、土日祝休み。年次休暇、病気休暇、特別休暇、介護休暇、育児休業など幅広い種類の休暇・休業を取ることが可能です。 初任給は148,600円が基本で、経歴に応じて増額されます。目安としては、高卒30歳で採用された場合は16.4万円~21/9万円ほど。手当に関しては下記のとおりです。
- 扶養手当:扶養家族がいる方に月額10,000円
- 地域手当:民間貸金水準の高い地域で働く方に、最高で俸給等の20%
- 住居手当:賃貸のアパート等に住み、家賃を支払っている方に月額最高27,000円
- 通勤手当:交通機関を利用している方に定期券相当額(月額最高55,000円)
- 期末手当・勤勉手当:いわゆるボーナス。1年間に俸給等の約4.45月分
休暇や手当の種類が豊富で、働き方に合わせたサポートを受けることが可能です。理想のワークライフバランスを実現しやすいのは大きなメリットではないでしょうか。
国家公務員になるための試験対策
ここまで、障害者選考試験の概要や合格後の待遇を紹介しました。続いて試験対策をお伝えします。 筆記試験に関しては、高卒向け公務員試験の問題集と就職SPI試験用問題集をひたすら解く方法が対策に挙げられます。前者には作文問題もあるので、時間内に作文を書く練習をしてみるのも方法の一つでしょう。面接対策でよく聞かれると言われている質問は、下記のとおりです。
- 志望動機を教えてください
- 前職の退職理由は何ですか
- 障害について教えてください
- 公務員として、どのようなことに取り組んでいきたいですか
これらの質問は聞かれることが非常に多いそうなので、質問への答えを事前に用意しておくことが大切です。
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精神障害者も受かりやすい?国家公務員における障害者雇用の現状と今後の展望
人事院によると、平成30年度障害者選考試験の結果、合格者は身体障害者42.3%に対し、精神障害者が57.3%。そもそも応募人数が多いとはいえ、合格者は精神障害者の方が多いことが分かります。精神障害を持った方でも、国家公務員になることは十分可能でしょう。 また厚生労働省によると、全ての行政機関において法定雇用率2.5%を達成、全体で2.84%もの実雇用率を実現しています。定着率も好調で、最新の厚生労働省の集計によると、平成 30 年 10 月 23 日~令和元年12月31日までに採用された障害者のうち、約90%以上の方が退職せず職場に定着しています。 前述のとおり、国家公務員における障害者雇用は雇用率・定着率ともに好調です。ぜひ本記事を参考に正しく準備をして、試験に挑戦してみてください。
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