障がいを“おあつらえ向き”に切り取られた経験が、今に活きている。現役早稲田生のやっちが「ありのままの姿」を発信する理由 #EditorsEye

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障害者雇用バンクは、障がいに関する“ありのまま”を伝えるメディアです。“ありのまま”を伝えることが、障がいを持っている方、持っていない方の間にある溝を埋めることにつながると考えているからです。 そんな障害者雇用バンクと同様に、障がいの“ありのまま”を伝える一人の現役早稲田生がいます。先天性二分脊椎症という障がいを持つやっちさんは、YouTubeチャンネル『やっちチャンネル』でご自身の経験に基づく障がいのリアルを発信しています。普段は視聴者がなかなか踏み込めない領域に関して、あっけらかんと説明してくれるのが彼の魅力です。 今回は、やっちさんが障がいの“ありのまま”を伝える理由について、等身大の意見を述べていただきました。

周囲との「違い」を悟った入院生活

—— はじめに、やっちさんがお持ちの障がいについて教えてください。

やっちさん:僕が持っている障がいは「先天性二分脊椎症」です。この障がいは、同じ病名でも人によって症状が異なります。僕の場合は膝下の運動麻痺で、足の末端にかけて感覚が鈍くなっています。また、生まれつき片足の爪先が内向き、もう片足の爪先が外向きになっているので、歩くときにバランスが上手に取れません。

もう一つが、膀胱機能障害。排尿をする際に自分で尿を出しきれないので、「カテーテル」という排尿を補助する道具が必要になります。

—— 先天性の障がいとのことですが、ご自身の障がいを自覚したのはいつ頃でしたか?

やっちさん:一番はじめに自分の障がいを身をもって実感したのは、小学3年生の頃、足の手術をして1年間入院をしたときです。それまでは周りの友人たちと一緒に野球をしていたので、初めて周囲の人との違いを自覚しました。当時は「なんで自分だけこんな思いをしなくちゃいけないんだろう」と思いましたね。

また、初めて親元を離れ、心細い気持ちを抱えながらの入院です。ゲームも禁止で夜8時過ぎには消灯、そして3食病院食の日々。元々野球が大好きな活発な子どもだったので、自分の行動に制限をかけられるのも辛かったです。

“ありのまま”を伝え続ける理由

—— 野球少年だったやっちさんも大学3年生になり、現在はYouTubeチャンネルを開設していますよね。YouTubeを通して“ありのまま”を伝えようと思ったきっかけはどこにあったのでしょうか。

やっちさん:近年「ダイバーシティ」という言葉が普及し、少しずつ社会の多様化が進んでいますよね。しかし、「障がい」はまだまだ開けたトピックではなく、当事者として腫れ物に触られるような感覚がある。きっとその理由は、「障がいについてよく知らないから」だと思っています。

たとえば僕は、電車に乗った際にご好意で席を譲っていただいたくことがあります。その気遣いを嬉しく感じるのですが、その一方で「電車に乗ったときにパッと見で障がいを持っていそうな人がいても、席を譲った方がいいのかわからない」という声も聞きます。それは、障がいが身近な存在ではないからだと思うんです。

—— そこで、ご自身の経験に基づく障がいのリアルを発信することで、障がいをより身近な存在として捉えてもらおうと考えたんですね。

やっちさん:その通りです。また、高校時代、障がいに関するメディアがいかにしてつくられているかを知ったことも関係しています。

高校野球の特集をしていたテレビ番組が、僕のことを密着取材してくれたんです。しかし、やたらと「みんなと一緒に野球したくないの?」という質問を投げかけられ、「辛いけれど前向きに頑張っている」という文脈にしたいのだと気がつきました。

取材をされること自体は嬉しかったのですが、「そんな都合よくまとめられてたまるか」と思った僕は、「今はプレーをしたいと思ってないです」と言い張りました。しかし編集後の映像を見たら、結局“辛い気持ちに負けずに前向きに頑張っている”という文脈になっていたんです。それは僕にとって、とても悔しいことでした。

大人になった今は、万人の心を動かすようにつくられているコンテンツにはそれなりのメリットがあるのだと思えます。世間の方々から障がいに関心を持ってもらえたり、さまざまな募金を集めることができたりするでしょうから。しかし、僕は“おあつらえ向き”の動画ではなく、ありのままの自分の目線でつくった動画を届けたいと考えています。

—— ご自身のYouTubeの中では「障がいを持って生まれて幸せだと感じた瞬間もある」とおっしゃっていたくらいですもんね。

やっちさん:そうですね。もちろん、障がいの度合いによって考え方は異なると思いますが、僕は「障がいを持って生まれたことは、悪いことばかりじゃないな」と思っています。少なくとも僕は、障がいのおかげでさまざまな出会いを得られましたし、自分が弱い立場だからこそ、弱い立場の人に寄り添える心を持っていると自負しているからです。

それに、僕はありがたいことに周りの人に恵まれていて、周囲の人から障がいに関して不快なことを言われた経験もありません。おそらく、僕自身が「障がいのことを意識しないこと」を意識しているからだと思います。自分が障がいを意識せず何事もないかのように振る舞っていれば、周囲も気にせず接してくれる。たまに本当に困ったときに助けを求めると、「そういえばやっちは足に障がいがあるんだった」とみんなが思い出してくれます(笑)。

—— そういった考え方や、野球をしていたときに選手からマネージャーへと転身したエピソードを聞いて、やっちさんに対し「物事をポジティブに捉える方」という印象を受けています。前向き思考を持つようになるまでには、何かきっかけがあったのでしょうか。

やっちさん:正直、何事もポジティブに捉える性格は障がいに関係なく、生まれ持ったものだと思います。また負けず嫌いな性格でもあるので、障がいが原因でできないことがあった分、さまざまなことに挑戦してきました。高校時代は弁論大会で全国優勝を経験したし、大学に通っている今はサークルの幹事長を務めています。「できる」経験を積んできたからこそ、「できないこと」ばかりに囚われないようになったのかもしれません。

—— ちなみに、今は何か挑戦したいことや、達成したい目標はありますか?

やっちさん:ここで大きな夢を語ると、後から恥ずかしくなりそうですが……(笑)。実は、僕は将来タレントになりたいと思っているんです。僕がタレントとして活動することで、障がいへの理解が進み、障がいを持っている人と持っていない人の距離が縮まったらいいなと思っています。

目標は、障がい者であることを忘れられてしまうくらいに自然体のタレント。ふとしたときに「そういえば、やっちは障がいを持っているんだったね」と思ってもらえる存在になりたいです。それが、障がいがあっても毎日最高に楽しく生きている僕の“ありのまま”の姿だからです。

YouTubeチャンネルは、そのための導線でもあります。「視聴者はもちろん、自分も撮っていて楽しい動画」をモットーに、これからよりたくさんの人に観ていただける動画をつくっていきたいです。

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