電車に轢かれて、右手と両足を失った。それでも、僕がポジティブに生きられる理由 #EditorsEye

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編集部が、障害 を物ともせず活躍する方を紹介するコーナー「Editor’s Eye」。今回は、電車との接触事故で、右手と両足を切断する大怪我を負いながらも、ポジティブな考え方を守り抜く山田 千紘さんに注目しました。

本日紹介する山田千紘さんは、一般雇用枠を利用して某大手航空会社で働きながら、アイスランドのOSSUR社の義足モデルとしても活躍されていらっしゃいます。また2020年7月には、自身のYouTubeチャンネルを開設し、YouTuberとしての活動を開始されたり、2021年7月には書籍「線路は続くよどこまでも」を出版されたりなど、幅広い分野で活躍されていらっしゃいます。


本記事では、山田さんのこれまでについて、編集部が責任を持ってリサーチ。悩み事を抱えて前に進めない人が、一歩前に踏み出すきっかけになれば嬉しいです。

山田さんの障害は「肢体不自由」

まず、山田さんの障害について。20歳の頃「深夜に電車のホームから線路に転落、電車に轢かれながらも命を取りとめた。しかし、右手と両足の切断を余儀なくされた」とのこと。現在は義手と義足、場合によっては車椅子を活用しながら生活されています。

肢体不自由者
先天的か後天的かを問わず、四肢の麻痺や欠損、あるいは体幹の機能障害のため、日常の動作や姿勢の維持に不自由のある人を指す。(Wikipediaより引用)

事故が起きた当初は、明日の自分が想像できなくなり、塞ぎ込んでしまっていたそうです。しかし、友人がお見舞いに来てくれたことで、山田さんの考え方に大きな変化が生まれます。

お見舞いに来た友人は、終始障害について深く触れず、ただただ他愛もない話をしてくれたとのこと。あまりにも普段通りの友人と接して、「右手と両足が『ないだけ』だしな、気持ちまで変えたらダメじゃん」と気付いたそうです。

編集部の推しポイント

僕がみなさんに山田さんを知ってほしい理由は「マイナスではなく、プラスを見ることの大切さ」を届けたいから。

誰にでも大なり小なり悩み事や、受け入れたくない事実があると思います。それにより、マイナスの感情に囚われてしまうことも多いはず。

しかし山田さんは、右手と両足を失ったマイナスに目を向けるのではなく、左手があることを「圧倒的なプラス」と捉えたことで、さらに目が見え、耳が聞こえるなど、自分ができることの多さに気付いたとのこと。

僕自身、マイナスを感じるできごとがあると、気持ちを切り替えることが苦手です。ですが山田さんの考え方を知り、マイナスに目を向けてばかりいると、手に入るはずのチャンスすら逃してしまうと気付きました。

山田さんクラスのポジティブシンキングを、すぐに真似するのは難しいかもしれません。しかし、目指す価値は大いにあるでしょう。

山田千紘さんにお話を聞いてみた

障害を拒絶する涙、受容した涙

—— 病院で意識が戻ったとき、率直にどう思われましたか。

山田さん:「夢かな」と。でも、夢にしてはあまりにもリアルです。何が起きているのか、全く理解できませんでした。

事故にあってから10日後に目が覚め、目やにを取ろうとしたとき、右手がないことに気づきました。寝ぼけてるのかなと思い、足に目を向けると今度は両足がないように見える。

……「きっと夢の中なんだ」と思いこみました。これが、障害者としての僕のはじまりです。

—— 夢ではなく現実であるとわかったとき、障害を素直に受け入れることはできましたか。

山田さん:「僕の人生はここで終わったんだな」と思いました。体の状態を認識していましたが、現実だと認めたくなく、無理やりベットから立ち上がろうとしました。もちろんベットから落ちてしまいました。

そのとき、足の切断面を強く床にぶつけたんです。今までに体験したことない痛みと、右手と両足を失った事実に、涙が出ました。

—— 現在の山田さんを見ていると、にわかに信じられない話ですね。

山田さん:そう見えているのは、間違いなく僕の周りの人たちのおかげです。

「自分はもう、今までの自分ではない」「山田千紘はいなくなってしまった」と塞ぎ込んでいたとき、高校時代の友人が2人、急にお見舞いにきてくれて。僕を見ていきなり「なんだ、元気そうじゃん」とあっけらかんとしていたんです。

—— 悩んでいる方からすると、びっくりの発言ですね。

山田さん:僕も本当にびっくりしました。

友人たちはそのあとも僕の体のことには触れず、いつも通りの他愛もない話だけをして帰っていきました。友人を見送ったあと、彼らの優しさを理解して、僕はまた泣いてしまいました。もちろん、以前と全く違う涙です。

思い返してみると、友人だけじゃなく、家族もずっと僕を僕として見てくれていました。そのおかげで、「自分は右手と両足をなくしただけで、自分はまだここで、山田千紘として生きているんだ」と思うことができた。そのとき、やっと障害を受け入れて、前を向くことができましたね。

右手と両足を失ったのではなく、左手を手に入れた

—— 障害を受け入れたことで、山田さんの中に変化はありましたか。

山田さん:自分のこれからを前向きに捉えられるようになりました。

たとえば、「障害があるから何もできない」と思われたくなかったので、退院後は実家に戻らず、一人暮らしを選択しています。実家に戻った方が、生活面や経済面が楽になることは分かっていました。でも、それでは成長できない気がしたんです。

結果として今では掃除や洗濯はもちろん、料理も毎日お弁当を作れるまで家事を習得しました。

—— 退院後、いきなり大きな行動をとられたんですね!

山田さん:こういった行動ができたのも、マイナスではなくプラスの面に目を向けられるようになったからです。

病院で目が覚めた当初は、右手と両足を失ったことばかりに目を向けていました。ですが、家族や友人の支えがあり、自分にはまだ左手があることに気づけたんです。それからは「目も見えるし、耳だって聞こえる。まだまだ自分はたくさんのプラスを持っている」と考えるようになりました。

この考え方が、今の僕を形作っています。

十人十色、自分だけを見つめて前を向く

—— 障害を受け入れ前を向くために必要なことについて、山田さんの考えを教えてください。

山田さん:「自分は自分、他人は他人」と理解することが大切です。

みなさんの周りにもたくさんの人がいると思いますが、十人十色で同じ人はいません。 障害者の中でも、持っている障害や悩みは人それぞれ。そのため、全ての人に対するアドバイスになるか分かりませんが、やはり周りと比べないことが重要です。

大切なのは自分らしさです。自分は何ができるのか、どうなりたいのかを考え、自分なりの色を出せるようにしていけばいいんじゃないかなと。

—— 自分らしさを持つことで、山田さんのようにポジティブな思考を保つことが可能になるんですね!

山田さん:人生は本人の捉え方次第で、どうとでも変えられると思います。

どうしても自分にとってマイナスなことに目が向いて、ネガティブになってしまうこともあると思います。過去の僕もそうでした。

ですが「ピンチはチャンス」です。マイナスばかりをみるのではなく、自分にとってもプラスを探してみてください。たとえそれが小さなプラスでも、繰り返していけばいつか、どんなことでもポジティブに捉えられる自分になっているはずです。

肢体不自由とは、どんな障害なの?

記事の最後に、山田さんがお持ちの「肢体不自由」とは、どんな障害なのか解説します。

肢体不自由は、先天性や後天性に関わらず、病気や怪我などが原因で四肢や体幹機能に障害が発生し、日常動作に支障が出るようになった状態を指します。

麻痺により手足を思うように動かすことができない方や、山田さんのように四肢を切断し、義手や義足を使用している方も総じて肢体不自由に該当します。

症状の種類が多いということはもちろん原因も多岐に渡ります。

肢体不自由を発症する原因(一例)

上記で掲載した原因意外にも、多数の発症原因が存在します。

障害名としては一括りにされますが、発症した原因や部位、症状は一人一人で全く違うと言っても過言はありません。そのため必要なサポートは人それぞれ。また肢体不自由は、現在身体障害者手帳を所有している人の中で、最も多くの人が抱える障害です。

今後みなさんも肢体不自由を抱えた方と接する機会も多くあるでしょう。先入観で行動するのではなく、どんなサポートが必要か本人に確認することを忘れないようにしてください。

参考

20歳の青年が電車に轢かれて右手と両足を失った時の話【1】

20歳の青年が電車に轢かれて右手と両足を失った時の話【2】

20歳の青年が電車に轢かれて右手と両足を失った時の話【3】

【神回】電車に轢かれた男のイケメンすぎる話です。

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